女の子を拾ったら毎日楽しくなりました。

山中波音

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21話

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 家に着くとエルザは料理の準備をし、ベアトリスも率先して手伝いをした。
 夕食後、エルザはアクセサリー作りをする傍らベアトリスの文字の勉強に付き合った。一刻ほど勉強した後はハギレや服が入った袋の中を見始めた。

「手伝いましょうか?」

 そうエルザが聞くとベアトリスは頭を横にふった。ついでにどんな生地の服がありどんなデザインの布があるか確認したいとのこと。目はとても真剣でいてとてもキラキラしている。小さいのにしっかりしつつでも時たま子供のように目を輝かせるベアトリスにエルザは微笑んだ。

 エルザは何か飲もうかとベアトリスに聞くと少し言葉に詰まりながら照れたように「ホットミルク」と答えた。エルザは蜂蜜あったかなっと呟くとベアトリスの目が少し輝いたがすぐに目を逸らして「ホットミルクだけで…」っと言うので、待っててと声をかけてエルザはボックスの中を探し、調味料や食器棚を見た。そして棚からカップを二つとりミルクを温めて注ぎ蜂蜜を溶かし混ぜ、テーブルの上に置いた。

 ベアトリスに温かいうちに飲んでと伝え、エルザも椅子にかけて作業をしつつ少しづつ飲んだ。ベアトリスはお礼を言いカップを手に取り、「ふぅーふぅー」っとふきかけ少し冷ました後一口飲んだ。それはとても美味しく顔が少し綻びもう一口飲むとエルザが微笑んでいるのに気がつき、少し俯き再度お礼を伝えた。

 ベアトリスが全ての生地を見終わり欠伸をしたのを見たエルザが「そろそろ寝ましょうか」っと声をかけるとコクリと頷いた。ベアトリスが生地を片付けている間、エルザは二つのカップをシンクで洗い乾かし食器棚に戻した。生地を片付けたベアトリスは歯を磨き、眠たそうな顔でエルザに就寝の挨拶をし部屋に続く階段を登って行った。
 エルザももう少しだけアクセサリーを作りキリがいいところで終わらせ就寝することにした。


ーーーーーーーーーー

 翌朝、いつものように起きたエルザはボックスに入っている葉物野菜とパン、ベーコンを取り出し千切ったり刻んだり温めたり、炒めたりとそれらの調理をしているとベアトリスが2階から起きてきた。

「おはようございます、、、あ、昨日みた時そろそろ赤くなってたから後で野菜収穫してきます!」

 そう言って顔を洗いに行き、その後エルザに野菜を入れるかごを受け取り外に駆け出して行った。
 エルザは赤くと言う事なのでミニトメイトウだと思いドレッシングを砂糖なしにして作ることにした。
 ベアトリスは野菜を収穫した後水撒きをし家に戻ってくると、エルザはお皿にちょうど他の料理の盛り付けをしていた。
 ベアトリスはカゴをキッチンに置きエルザに手を洗ってくるように言われ手を洗いに行き、その間にエルザはサラダ以外の料理をお皿に盛り、ベアトリスが収穫してきたトマトを洗い四分の一に切り分けそれぞれの皿に盛り合わせた。ちょうどベアトリスが戻ってきたのでカトラリーとサラダを運んでもらい、その間に軽く洗い物を済ませておいた。

 二人は朝食をとり、片付けをし軽く掃除も行い出かける準備をし家を後にした。



 店に着いた二人は掃除をしたりエルザが昨日作ったアクセサリーを並べたり商品を補充したり開店準備を済ませ、店を開けた。
 その後は二人はカウンターに入り作業机にそれぞれ作業する物を出した。

「ベアトリスは何を作るの?」

「とりあえず兎の鞄を作ろうかと思います」

 それを聞いたエルザは昨日のベアトリスの行動を思い出し、少しはにかんだ後頑張ってっと応援した。
 ベアトリスはエルザが昨日のことを思い出したことに気がつき少し微妙な顔をしたが頷いた。

 午前中は客が来店し何度か中断したり昼食を買いに行ったり、結局ベアトリスは午前中で生地を裁断するところまでしかできなかった。昼からもそれなりに人が来店し仮縫いを少ししかできなかった。



「ベアトリス、大丈夫?」

 店を閉め机にうつ伏せになっているベアトリスにエルザは苦笑しながら声をかけた。

「大丈夫です…いえ大丈夫じゃないかもしれません……エルザさんあんなに接客してたのに…なんでそんなにアクセサリー作れてるのですか!?私もそれなりに接客したと思うのですが、全然…全然作れなかったのですよ!」

 エルザの席の方には出来上がったアクセサリーが10以上出来上がっていた。

「うーん、慣れかしら?」

 頬をかきつつ苦笑するエルザ。ベアトリスは「私要領いいと思ってたのになぁー」っと呟きため息を吐いた。
 エルザはどうしたものかと悩んだがため息一つ付き「作っても追いついてないのですけどね」っと呟いたがベアトリスの耳には届かなかったようで「ん?」っとベアトリスは頭を傾げた。

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