女の子を拾ったら毎日楽しくなりました。

山中波音

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4話

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―――――――
 エルザは家の戸締まりをし玄関を魔法で閉め、振り返ると後ろに立っていた女の子は「?」っと言う顔で扉を見ていた。エルザも「?」としながら手を女の子に出すと?ビックリした顔をしエルザと手を交互に見た後、ゆっくりとエルザの掌に手を重ねた。エルザはぎゅっと手を握ると女の子は顔を赤くして俯いた。

「さ、行こうか!」

 エルザは立ち上がり女の子にそう声をかけ二人は歩き出した。女の子の歩幅に合わせいつもよりゆっくりと歩き女の子の顔を見ると、少しはにかんでいた。ジッと見ていたらまたそっぽ向かれるので前を向き直して話しかけた。

「この景色綺麗よね?私昔から好きなの」

 女の子は小さく頷いた。エルザはクスリと笑い、そうだと思い女の子に話し掛けた。

「お店で話し掛けるとき名前ないと不便だから教えてくれるかな?」

 女の子の顔はすぐに暗い顔をし「……名前はない」と答えた。エルザは驚き「誰かと会話するときは何て呼ばれてたの?」っと聞くと、俯いてしまった。どうしたものかと悩んでいたら街に入っていた。

「あ!お昼、お昼何食べたいか考えて置いて!ほらお店見てみて?何あるか見ておかないと、お昼に悩んで食べる時間なくなっちゃうわ」

 女の子は顔を上げ「え?」っと言う顔をした後、回りを見始めた。なんとか気をそらせたかなっと思いながら商店街を通りその通りの1つの店の前で止まった。

「ここ、私のお店なの」

 そう言うと女の子はエルザを見てお店を見た。エルザは扉を魔法で開け女の子の手を引いて中に入った。エルザは女の子に「好きに見てて」っと言って開店準備を始めた。

 金庫から昨日準備したおつりを出しカウンター下の棚に置き、アクセサリーを羽の叩きで軽く払っていき床掃除をした後に外を掃除し、入り口に置いていたオープンの看板を外に出し掃除用具を持って中に入ると女の子は目を輝かせてアクセサリーを見ていた。

 エルザは奥に掃除用具を片し手を洗い椅子を一脚持ってきてカウンター後ろにあるテーブルに置きカウンターに立った。

「どう?」

 っと聞くと女の子は、はっ!という顔をして目を泳がせた。

「お客さんも来るかもしれないからこっちに来て」

 そう言うとカウンター横の小さな扉を開けて入ってきた。エルザは椅子を手でさし女の子に座って貰った。エルザは女の子の向かいに座り隣の棚からアクセサリーの素になる金属と小さな緑色の魔石をいくつか取り出した。エルザは女の子の顔をチラリと見るとエルザの出した物に釘付けになっているので、少し気合いを入れ呪まじないを入れつつ金属を魔法で加工し始めた。途中魔石を取りアクセントになるようにし、綺麗な腕輪を作った。

 時間にすると半刻ほど。エルザは伸びをし一息つき女の子を見ると女の子は目をキラキラして見ていた。少し疲れたエルザだが女の子の姿を見てほっこりし笑顔になり疲れが吹き飛んだ気がした。そんなエルザに気がついた女の子は目を泳がせ怖ず怖ずと質問してきた。

「途中何かしてたけど…あれは何?」

 エルザは先ほど作ったのを横に用意したトレイに置きまた新しい材料を隣から取りだしながら質問に答えた。

「あれは植物に元気をあげられる呪まじないをいれたんだよ」

「何それ?」

 キョトンとした女の子にクスクス笑いながら、先ほどとった赤色の魔石と金属を机に起き席に着き女の子の頭を撫でまた作業をしながら以前あったことを話すことにした。

「んー、お客さんでねお付き合いしてる人にお花を貰って嬉しかったそうなんだけど2、3日でお花は駄目になるから次会うまで持たないから悲しいって話を聞いてね」

「ふーん、なら植木で上げたら良いのに…」

「………植木ねぇ…困る人は困る物だと思うよ」

「「…………」」

「で、そのブレスレットしてたらお花はどれくらい持ったの?」

「2週間ほど持ったらしいよ」

「え、、、持ちすぎじゃない?」

「まぁ、人や花によるかな?1週間の人もいれば5日とか……長い人でひと月?」

 女の子は絶句した。たんなるブレスレット、いやたんなるアクセサリー……でしょ?っとブツブツ言いながら先ほど出来た緑のブレスレットを触っている。

 そしてまた赤色のブレスレットが出来たので女の子は何の効果か聞きエルザは「ほんのり暖かくなるかな?」って言うと、女の子はブレスレットをまじまじ見てまた質問して、その間にエルザはまた新しいブレスレットをつくるを繰り返した。
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