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露店
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宿で一晩泊まり、今日ユニたちは買出しを済ませたら村へと帰る。俺はここに残りまずは港で露店を始めるところから。この力で大金は稼ぐつもりはない。あくまでも最初の登録料を稼ぐために売る。なので少しでも売れればよし。ということで帰ってしまう前にユニにちょっと手伝ってもらい昼前に店を出すだけのつもりだ。ユニ父がユニを迎えに来るまでの商売だな。
昨日あれからおにぎりも食べてもらったんだが、崩れやすいのと手にご飯粒が付くのがよくないみたいだった。髪に包むとそれはそれは紙にびっしりとついてしまう。ラップが使えればいいんだけど、これは使っていいかわからないのでおにぎりはやめた。その代わりご飯の中にチーズを入れ丸く整えそれを油で揚げて見た。これなら紙で包めば売ることが出来るからね。
というわけで今日売るのはパンケーキ(味見で残った5切れのみ)と、ライスボール(炊いたご飯で作れた分12個)と、味噌串カツ(カツ5枚分で串が10本)の3種類。用意した分が売れたら終了だ。値段はパンケーキが300リラ、ライスボールが100リラ、味噌串カツが200リラで売ることに。全部売れなくても少し売れるだけで登録料にはなるので、無理はしない。
「ユニそっちから見てどうだ?」
「はい、ん~~…大丈夫です!」
取り出したテーブルの上に籠に入れた紙に包まれたパンケーキ、籠の中に紙を敷いた上にそのまま入っているライスボール、同じく籠の中に紙を敷いてその中に串カツを入れ、若干見えやすいように奥側に器を置いて籠を傾けて設置。パンケーキはそのまま売り、ライスボールと串カツは軽く上げなおしてからの提供だ。その後串カツは味噌をくぐらせて紙でくるんで渡すのだ。
準備が整ったのでユニに売り込みをしてもらう。俺はやらないのかという意見は聞かないぞ? 仕上げを俺がやらないといけないからな。露店を始めてからすぐに人が来るわけじゃないので、この待ち時間にパンケーキを作ろうか。これはお世話になったお礼にユニに持ち帰ってもらう分になる。
「天…カイ様お客さんです!」
生地を混ぜていると最初のお客さんがやってきた。いきなりユニが天使様を呼びそうで軽くヒヤッとする。
「変わったものばかりだね…これは何だい?」
包まれていて姿の見えないパンケーキが気になったらしく訊ねられた。
「甘い焼き菓子です」
「じゃあこっちは?」
「丸めたご飯の中にチーズを入れて油で揚げたものです」
そうこの世界米は普通にあるらしい。昨日の試食の時に2人ともちゃんと米だとわかって食べていたんだ。客がそのまま串カツの方へ視線を動かしたので俺は聞かれる前にこたえる。
「それでこっちは肉に細かくしたパンをつけて油で揚げたものですね。あと専用のたれをつけたら完成です」
「どれもが珍しいから困るな…よしっ 全部1つずつだ!」
「600リラですね。少し待ってくれ」
これは幸先がいい。これで登録料1つ分! もう一つ登録したいから後400リラあればいい。楽勝じゃないかこれ。そんなことを考えながら俺はライスボールと串カツを温めて置いた油の中へといれる。すると通りがかりにまた別の客が気になったのか覗き込んでいるじゃないか。やっぱりその場所少しだけ手を加えるのは興味をひける。
「はいできたよー 熱いから気を付けて」
「じゃあ600リラ」
「ありがとうございまーす」
お金を受け取ったユニが元気にお礼を言う。そしてなくさないうちにとテーブルの内側に入り俺に悪寒を渡してくれた。お金をやり取りしているとさっきまで覗き込んでいた客はいなくなっていた。
「おっと続きやるか」
パンケーキ作りの続きを再開する。まあほとんど混ざったから炊飯器に入れてスイッチポン。すぐにやることは無くなった。
最初の客が来てから少し時間が経ったがあれから誰も来ない。パンケーキもすでに焼きあがっているくらい。通り掛けにちらりと見ていく人はいるけどそれだけ。わからないならさっきの人みたいに聞けばいいのにね。
「ねえねえ」
「ん?」
暇そうにしていたせいかすぐ俺の横までやってきた子供が俺の服の裾を引っ張っていた。
「食べ物分けてくれるって言うのは本当?」
…ん? なんの話だ?? もちろん魔法で出したもので元では0だからあげるのは構わない。だけど目的の金額がそろうまではだめだ。それをやったら誰も買ってくれなくなってしまうからな。
「うーん…残りが出たらあげるよ」
「やった! あのおじちゃんの話は本当だったんだ。友達も連れてくるっ」
子供はそういうとどこかへと走って消えた。なんだったんだろう…俺知り合いなんてユニの家族くらいしかいないのに。
「カイ君どうだね?」
「あ、買出し終わりましたか?」
「だから来たんだよ」
まあそうだよな。
「残念ながらちょっと足りないですね~」
「いくら出来たんだい?」
「600リラです。登録料にあと400ほしかったんですよね」
「ふむ…でもそれで1つなら登録出来るじゃないか」
「はい、なのでとりあえず冒険者の方を登録して少し稼いでから商人の方も登録しようと思ってます」
「うんうん、いいと思うよ。ところでユニは?」
「ユニならそこ…に…あれ?」
テーブルの前で売り子をしていたユニがいない。その代わりというわけじゃないか残り物を貰おうと待っている子供が数人いるだけだった。
「店終わり?」
「え、ああそうだけど…店の前で売り子していた子知らないかな?」
「えーと…これ見ればわかるって」
子供は俺に紙きれを渡してきた。
「残り貰ってもいい?」
「ああいいぞ」
そういうと子供たちが籠を持ってどこかへといってしまった。俺とユニ父はそれに驚いて動きを止めてしまったが、見ればわかると言われた紙へと視線を落とす。
「まさか…っ カイ君早くその紙を開いてくれ!」
「わかったっ」
俺は恐る恐る手渡された紙を開いて中を見るのだった。
昨日あれからおにぎりも食べてもらったんだが、崩れやすいのと手にご飯粒が付くのがよくないみたいだった。髪に包むとそれはそれは紙にびっしりとついてしまう。ラップが使えればいいんだけど、これは使っていいかわからないのでおにぎりはやめた。その代わりご飯の中にチーズを入れ丸く整えそれを油で揚げて見た。これなら紙で包めば売ることが出来るからね。
というわけで今日売るのはパンケーキ(味見で残った5切れのみ)と、ライスボール(炊いたご飯で作れた分12個)と、味噌串カツ(カツ5枚分で串が10本)の3種類。用意した分が売れたら終了だ。値段はパンケーキが300リラ、ライスボールが100リラ、味噌串カツが200リラで売ることに。全部売れなくても少し売れるだけで登録料にはなるので、無理はしない。
「ユニそっちから見てどうだ?」
「はい、ん~~…大丈夫です!」
取り出したテーブルの上に籠に入れた紙に包まれたパンケーキ、籠の中に紙を敷いた上にそのまま入っているライスボール、同じく籠の中に紙を敷いてその中に串カツを入れ、若干見えやすいように奥側に器を置いて籠を傾けて設置。パンケーキはそのまま売り、ライスボールと串カツは軽く上げなおしてからの提供だ。その後串カツは味噌をくぐらせて紙でくるんで渡すのだ。
準備が整ったのでユニに売り込みをしてもらう。俺はやらないのかという意見は聞かないぞ? 仕上げを俺がやらないといけないからな。露店を始めてからすぐに人が来るわけじゃないので、この待ち時間にパンケーキを作ろうか。これはお世話になったお礼にユニに持ち帰ってもらう分になる。
「天…カイ様お客さんです!」
生地を混ぜていると最初のお客さんがやってきた。いきなりユニが天使様を呼びそうで軽くヒヤッとする。
「変わったものばかりだね…これは何だい?」
包まれていて姿の見えないパンケーキが気になったらしく訊ねられた。
「甘い焼き菓子です」
「じゃあこっちは?」
「丸めたご飯の中にチーズを入れて油で揚げたものです」
そうこの世界米は普通にあるらしい。昨日の試食の時に2人ともちゃんと米だとわかって食べていたんだ。客がそのまま串カツの方へ視線を動かしたので俺は聞かれる前にこたえる。
「それでこっちは肉に細かくしたパンをつけて油で揚げたものですね。あと専用のたれをつけたら完成です」
「どれもが珍しいから困るな…よしっ 全部1つずつだ!」
「600リラですね。少し待ってくれ」
これは幸先がいい。これで登録料1つ分! もう一つ登録したいから後400リラあればいい。楽勝じゃないかこれ。そんなことを考えながら俺はライスボールと串カツを温めて置いた油の中へといれる。すると通りがかりにまた別の客が気になったのか覗き込んでいるじゃないか。やっぱりその場所少しだけ手を加えるのは興味をひける。
「はいできたよー 熱いから気を付けて」
「じゃあ600リラ」
「ありがとうございまーす」
お金を受け取ったユニが元気にお礼を言う。そしてなくさないうちにとテーブルの内側に入り俺に悪寒を渡してくれた。お金をやり取りしているとさっきまで覗き込んでいた客はいなくなっていた。
「おっと続きやるか」
パンケーキ作りの続きを再開する。まあほとんど混ざったから炊飯器に入れてスイッチポン。すぐにやることは無くなった。
最初の客が来てから少し時間が経ったがあれから誰も来ない。パンケーキもすでに焼きあがっているくらい。通り掛けにちらりと見ていく人はいるけどそれだけ。わからないならさっきの人みたいに聞けばいいのにね。
「ねえねえ」
「ん?」
暇そうにしていたせいかすぐ俺の横までやってきた子供が俺の服の裾を引っ張っていた。
「食べ物分けてくれるって言うのは本当?」
…ん? なんの話だ?? もちろん魔法で出したもので元では0だからあげるのは構わない。だけど目的の金額がそろうまではだめだ。それをやったら誰も買ってくれなくなってしまうからな。
「うーん…残りが出たらあげるよ」
「やった! あのおじちゃんの話は本当だったんだ。友達も連れてくるっ」
子供はそういうとどこかへと走って消えた。なんだったんだろう…俺知り合いなんてユニの家族くらいしかいないのに。
「カイ君どうだね?」
「あ、買出し終わりましたか?」
「だから来たんだよ」
まあそうだよな。
「残念ながらちょっと足りないですね~」
「いくら出来たんだい?」
「600リラです。登録料にあと400ほしかったんですよね」
「ふむ…でもそれで1つなら登録出来るじゃないか」
「はい、なのでとりあえず冒険者の方を登録して少し稼いでから商人の方も登録しようと思ってます」
「うんうん、いいと思うよ。ところでユニは?」
「ユニならそこ…に…あれ?」
テーブルの前で売り子をしていたユニがいない。その代わりというわけじゃないか残り物を貰おうと待っている子供が数人いるだけだった。
「店終わり?」
「え、ああそうだけど…店の前で売り子していた子知らないかな?」
「えーと…これ見ればわかるって」
子供は俺に紙きれを渡してきた。
「残り貰ってもいい?」
「ああいいぞ」
そういうと子供たちが籠を持ってどこかへといってしまった。俺とユニ父はそれに驚いて動きを止めてしまったが、見ればわかると言われた紙へと視線を落とす。
「まさか…っ カイ君早くその紙を開いてくれ!」
「わかったっ」
俺は恐る恐る手渡された紙を開いて中を見るのだった。
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