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試作
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俺は思いついたものを片っ端から試してみることにした。まずはご飯を炊きたい。おにぎりとかならそのまま出せそうだと思ったからね。ということは水がいるわけで…
「あの~水って港で自由に使える場所とかありますか?」
「あー自由に使える水は広場の方にあるよ。だからみんなそこで水を汲んで運んで使っているはずだ」
運ばないと使えないのか…水って何気に重いよな? 水を運ぶだけなら台車でいいが、水を入れるためのものがない。鍋とかでちまちまやるのはどかと思う。買えばいいじゃんと思うかもだけど、そもそも所持金が0!! 買えるわけがない。仕方ない召喚魔法で試すしかないか。
「ドンナー!」
おなじみの光景を眺めながら水がある場所を探す。まあ…水道の蛇口をひねらなければ水は出てこない。いやまてよ…あるじゃないか別のものが。俺は四角い箱状のものを呼び出した。
「これは何だい?」
「飲み物が出る道具ですね」
そうジュースサーバーってやつだ。ぽちっとボタンを押すと規定量のジュースが出てくるやつ。相変わらずホースが繋がっていないが…これもきっと出るよな? さらに紙コップを取り出しジュースサーバーのボタンを押した。オレンジ色をした液体がコップにたまっていく。
「ユニ飲んでいいぞ」
「天使様…すごく色が鮮やかなんですが、本当に飲んでも大丈夫なんですかこれ?」
「ちょっと濃いえーと…果実水?」
「果実水なんですか。わかりました飲んでみますっ」
恐る恐るユニがコップに口を付ける。
「ふわあああ…甘いです!!」
「ユニ父さんも飲ませてくれないか?」
ユニがコップを父親に渡した。まあこのサーバーを出したのはこれについている機能で水を出せるから。ジュースの方はおまけみたいなものだな。よし、水もちゃんと出る。じゃあ炊飯器と米も呼び出そう。米と水を釜に入れ米を研ぐ。とぎ汁はひとまず保管庫へ。少しだけ水を含ませておきたいから炊飯器にセットして放置しておこう。
「カイ君、この果実水は露店にだすのはおすすめしないよ」
「え、だめですか?」
「いくらで売るつもりなんだい?」
「えーと…100リラくらいですかね」
「それは安すぎる…っ 1000リラでもいいくらいだ」
え…俺はそんな高いジュースなんて飲みたくないが。顔をしかめているとユニ父がこっちを見ながらうなずいていた。
「高くなってしまうものは変なのに目をつけられるからやめた方がいい」
「あーそういった心配が出てくるのか」
確かにと納得し、俺は次の作業に入る。もう一つ炊飯器を出し、こっちには別のものを入れる。呼び出した粉をボールに入れさらに卵と水と砂糖を入れて混ぜる。牛乳があればよかったんだが、流石になかったので水で我慢だ。もう何を作るのかわかったかな? そうこれは炊飯器で作るパンケーキだ! 一枚ずつ焼くのがめんどくさいのでこういった形にしたっ これに使った粉は天ぷら用の粉でベーキングパウダーも入っているので丁度良い。釜に油を塗りつけて混ぜたものをいれスイッチをポン。簡単でいいね。
お次はどうせなら俺も串焼きみたいなものも作りたい。その前にご飯のスイッチをぽちっと。
召喚で出せる肉はかつ丼用の冷凍かつだけ。これをあげて切って割りばしに刺したらどうだろうか? 味付けは…残念ながらソースはないので、塩じゃ物足り無い。だとすると味噌か? 砂糖と水と一緒に混ぜて火にかければ完成。かつは油で揚げてから4つに切り分け2切ずつ割った割りばしにさして味噌にくぐらす。どうだ??
俺の作業を黙って見ていたユニ父に味噌カツ串を手渡す。
「ちょっと変わった匂いがするけどこれは?」
「一応肉ですよそれ」
「父さん食べないのでしたら僕が食べますけど! それ絶対おいしいですよっ」
作る工程を見ていたユニは奪うように父から味噌カツ串を取り上げかぶりついた。
「んぅ~~おいしい!! 天使様は料理上手だったんですねっ」
そう言われるとちょっと目をそらしたくなる。さっきから俺は何も難しい調理はしていないからな…どれもこれもバイトで知っているものばかり。むしろそれでも出来なかったらそのほうがまずいレベルだ。つまりあの目玉焼きは店では作っていなくて不慣れだから焦がしたってことだ。
「カイ君私にも作ってくれないかな?」
「ん? ああいいよ」
どうやらユニ父はユニがおいしそうに食べていたので食べる気になったみたいだ。
そうこうしている間にパンケーキが焼きあがる。思ったより膨らんでいて蓋にぎりぎりつかないくらいであぶなかった。釜から取り出して8切れに切り分けた。天ぷら用の紙を半分におり間に挟めば持って食べられるぞ。
「やっぱり牛乳じゃない分味が物足りないな…」
「これはやばい食べ物ですよ天使様…っ」
味見をするとユニは目をキラキラと輝かせていた。やっぱり甘いおやつは女の子と子供には受けがいい。ユニ父はなぜかじっとパンケーキを眺めていた。
「どうかしましたか?」
「これ、売るとしたらいくらになるんだ?」
「値段か~ 俺としては100リラでも十分なんだけど」
俺がそう答えるとユニ父は目を大きく見開いた。
「あの~水って港で自由に使える場所とかありますか?」
「あー自由に使える水は広場の方にあるよ。だからみんなそこで水を汲んで運んで使っているはずだ」
運ばないと使えないのか…水って何気に重いよな? 水を運ぶだけなら台車でいいが、水を入れるためのものがない。鍋とかでちまちまやるのはどかと思う。買えばいいじゃんと思うかもだけど、そもそも所持金が0!! 買えるわけがない。仕方ない召喚魔法で試すしかないか。
「ドンナー!」
おなじみの光景を眺めながら水がある場所を探す。まあ…水道の蛇口をひねらなければ水は出てこない。いやまてよ…あるじゃないか別のものが。俺は四角い箱状のものを呼び出した。
「これは何だい?」
「飲み物が出る道具ですね」
そうジュースサーバーってやつだ。ぽちっとボタンを押すと規定量のジュースが出てくるやつ。相変わらずホースが繋がっていないが…これもきっと出るよな? さらに紙コップを取り出しジュースサーバーのボタンを押した。オレンジ色をした液体がコップにたまっていく。
「ユニ飲んでいいぞ」
「天使様…すごく色が鮮やかなんですが、本当に飲んでも大丈夫なんですかこれ?」
「ちょっと濃いえーと…果実水?」
「果実水なんですか。わかりました飲んでみますっ」
恐る恐るユニがコップに口を付ける。
「ふわあああ…甘いです!!」
「ユニ父さんも飲ませてくれないか?」
ユニがコップを父親に渡した。まあこのサーバーを出したのはこれについている機能で水を出せるから。ジュースの方はおまけみたいなものだな。よし、水もちゃんと出る。じゃあ炊飯器と米も呼び出そう。米と水を釜に入れ米を研ぐ。とぎ汁はひとまず保管庫へ。少しだけ水を含ませておきたいから炊飯器にセットして放置しておこう。
「カイ君、この果実水は露店にだすのはおすすめしないよ」
「え、だめですか?」
「いくらで売るつもりなんだい?」
「えーと…100リラくらいですかね」
「それは安すぎる…っ 1000リラでもいいくらいだ」
え…俺はそんな高いジュースなんて飲みたくないが。顔をしかめているとユニ父がこっちを見ながらうなずいていた。
「高くなってしまうものは変なのに目をつけられるからやめた方がいい」
「あーそういった心配が出てくるのか」
確かにと納得し、俺は次の作業に入る。もう一つ炊飯器を出し、こっちには別のものを入れる。呼び出した粉をボールに入れさらに卵と水と砂糖を入れて混ぜる。牛乳があればよかったんだが、流石になかったので水で我慢だ。もう何を作るのかわかったかな? そうこれは炊飯器で作るパンケーキだ! 一枚ずつ焼くのがめんどくさいのでこういった形にしたっ これに使った粉は天ぷら用の粉でベーキングパウダーも入っているので丁度良い。釜に油を塗りつけて混ぜたものをいれスイッチをポン。簡単でいいね。
お次はどうせなら俺も串焼きみたいなものも作りたい。その前にご飯のスイッチをぽちっと。
召喚で出せる肉はかつ丼用の冷凍かつだけ。これをあげて切って割りばしに刺したらどうだろうか? 味付けは…残念ながらソースはないので、塩じゃ物足り無い。だとすると味噌か? 砂糖と水と一緒に混ぜて火にかければ完成。かつは油で揚げてから4つに切り分け2切ずつ割った割りばしにさして味噌にくぐらす。どうだ??
俺の作業を黙って見ていたユニ父に味噌カツ串を手渡す。
「ちょっと変わった匂いがするけどこれは?」
「一応肉ですよそれ」
「父さん食べないのでしたら僕が食べますけど! それ絶対おいしいですよっ」
作る工程を見ていたユニは奪うように父から味噌カツ串を取り上げかぶりついた。
「んぅ~~おいしい!! 天使様は料理上手だったんですねっ」
そう言われるとちょっと目をそらしたくなる。さっきから俺は何も難しい調理はしていないからな…どれもこれもバイトで知っているものばかり。むしろそれでも出来なかったらそのほうがまずいレベルだ。つまりあの目玉焼きは店では作っていなくて不慣れだから焦がしたってことだ。
「カイ君私にも作ってくれないかな?」
「ん? ああいいよ」
どうやらユニ父はユニがおいしそうに食べていたので食べる気になったみたいだ。
そうこうしている間にパンケーキが焼きあがる。思ったより膨らんでいて蓋にぎりぎりつかないくらいであぶなかった。釜から取り出して8切れに切り分けた。天ぷら用の紙を半分におり間に挟めば持って食べられるぞ。
「やっぱり牛乳じゃない分味が物足りないな…」
「これはやばい食べ物ですよ天使様…っ」
味見をするとユニは目をキラキラと輝かせていた。やっぱり甘いおやつは女の子と子供には受けがいい。ユニ父はなぜかじっとパンケーキを眺めていた。
「どうかしましたか?」
「これ、売るとしたらいくらになるんだ?」
「値段か~ 俺としては100リラでも十分なんだけど」
俺がそう答えるとユニ父は目を大きく見開いた。
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