21 / 60
第3章 勇者修行開始?
21話 再びダンジョンへ
しおりを挟む
今、ダンジョン『フラカン』の前にいるらしい。らしいと言うのは目の前にあるのが深い崖の手前であるからだ。確かに以前見た柱が2本たっているが、その先に足場はない。
「…………」
どうやらこの光景に驚いているのは直人1人だけのようだ。『サラキア』の時は海が割れた先にあったがこれはどう見ても何もないのだ。
まもなく入り口が開く。今回は他にダンジョンに入る人達はいないようだ。
「直人開いたから行くぞ。」
テンタチィオネが先に入って行った。崖の向こうに扉が見えている。そこに消えたのだ。みんな次々と入って行く。
「なんだ、ナオトは怖いのか?」
アストレアが近づいて腕を取った。
「どう見ても崖じゃから怖くても仕方ないな。」
「姫様も最初は…」
「!」
睨まれたカイナは黙った。どうやらアストレアも最初は怖がったらしい。直人は少しだけホッとした。
アストレアに手を引かれ3人も扉をくぐる。中は普通の岩壁のダンジョンであった。
「中は普通だな……」
さて、このダンジョンはどんなのが出るのが聞いてなかったな……下層とは違うだろうし。
「そういえばこの目的を何も話してなかったわ。」
「目的?」
「うむ。妾達は今までも何度もあったスライムの大量発生の周期確認を兼ねて毎日来ておる。今回はおぬし達がその護衛となる。妾とカイナはスライムにしか用がないゆえ他は全てまかせる。」
「最近サボっていた姫様がくる気になっただけでも凄いのだ。」
「「「………」」」
「スライム、以外、狩る。おけーっ」
まあ、そう言う事らしい。
「それにしてもスライム多いですね……」
このダンジョンは飛行系が多いらしく、足元はスライムしかいない。気をつけて歩かないと踏みそうである。今のところ飛行系と言っても蝶々や蜂などの昆虫しかいない。一般の昆虫よりは若干大きいかもしれないが。
「蜂からは蜂蜜と…美容液?蝶々からはガムシロップと…ファンデーション?」
相変わらず変な物が落ちた。ネネは変わった食べ物じゃなかったのでがっかりしている。
「蜂蜜と、シロップは、私もでる。」
「他の魔物に賭けるしかなさそうですねー」
ネネとクラスタと話ているとアストレアが覗き込んできた。
「それはなんですの?」
「えーと…化粧品ですね。」
「こんな小さな入れ物に?」
アストレアは不思議そうに眺めていた。
「あ、聞くの忘れてたのですが大量発生していたらどうするんですか?」
「あぁ、地下に向かうようなら放置で、地上に向かうようなら処理で。」
「なるほど。」
途中から出てくる魔物が変化していた。小型の鳥が増えて来ていた。パッセロとコロンバがメインのようだ。
パッセロは雀のようだが布を被っていた。コロンバも鳩のようだけどやはり布を被っている。
メジェドみたいな見た目……
布をめくってみたら消えてしまった。どうやらそのまま仕留めるものらしい。
「たまに変な魔物がいるな…」
ドロップはどちらも微妙であった。パッセロは飴玉とガラス玉、コロンバは大豆と卵かボールを落とした。
「また微妙な……」
「卵、食べられ、る?」
「鑑定すればわかるんじゃないかな?」
ネネが鑑定するようだ。なにやら難しい顔している。
「どうした??」
「これ、無理、かも?1日で、孵化する、みたい。」
つまり今卵割るとグロテスクなことになるということか。
「…ん、孵化?」
みんな顔を見合わせている。
とりあえず『ディメンションウォール』の中に入れて置くことにした。
それはともかくとしてアストレアとカイナはこちらの会話には入らず、ひたすらスライムを観察している。よくあきないものだとおもう。
「アストレア、ちなみに階層はどこまでいくつもりなんだ?」
スライムを観察していた手を休めこちらにやってきた。
「特には決めてはおらんが基本気が済むまでになるかな?」
「じゃあ、一番奥、まで。」
ネネが割り込んできた。
「石化、解除、したい。」
「石化?ナオト何の話かわからんのだが。」
「あーそういえば話していなかったですね。」
アストレアに簡単に説明した。
「ふむ…なるほど。じゃあちゃちゃっと先に奥にいっておくか?」
「ん、まだここ4階、だよ?」
ネネが疑問に思うのもうなずける。
「もしかしてアストレア誰か奥に待機させているのか?」
各階層とかで『ディメンションウォール』で待機している人がいれば可能であろう。そして一番奥の人のところまで行けば外はすぐ最下層に違いない。
「まあ行けばわかるであろう?」
そう言うとアストレアは『ディメンションウォール』を出しみんなを押し込んだ。一度入ったことはあるがやはり中は殺風景である。前は気がつかなかったが扉がいくつか目についた。
そういえばテンタチィオネがずっと会話に入っていないことに気がついた。
「ねえ、父さん。」
「ん?」
「アストレアの前だとあまり会話ないよね?」
テンタチィオネが手を招く、「口を出すと酷い目にあるぞ」と耳打ちした。
納得した。まあきっと立場的なものもあるのだろうなと…
「カイナ。」
「はい。」
「お前はここで待機。」
「む…わかりました。」
「そうだな…」
アストレアが見渡す。
「クラスタ、お前も待機だな。」
「私もですか?はあ…」
コンコン
アストレアが一つの扉を開いた。
「入るぞ。」
相手の返事もまたず扉を開け3人を押し込んだ。中はもちろん見たことはないのだがその部屋に一人男が立っていた。その顔には見覚えがある。
「フラカン……!」
そう地下の住人で魔族の一人であり、サラキアの兄でもある。そして先ほどまでいたダンジョンの主フラカンだ。
「…………」
どうやらこの光景に驚いているのは直人1人だけのようだ。『サラキア』の時は海が割れた先にあったがこれはどう見ても何もないのだ。
まもなく入り口が開く。今回は他にダンジョンに入る人達はいないようだ。
「直人開いたから行くぞ。」
テンタチィオネが先に入って行った。崖の向こうに扉が見えている。そこに消えたのだ。みんな次々と入って行く。
「なんだ、ナオトは怖いのか?」
アストレアが近づいて腕を取った。
「どう見ても崖じゃから怖くても仕方ないな。」
「姫様も最初は…」
「!」
睨まれたカイナは黙った。どうやらアストレアも最初は怖がったらしい。直人は少しだけホッとした。
アストレアに手を引かれ3人も扉をくぐる。中は普通の岩壁のダンジョンであった。
「中は普通だな……」
さて、このダンジョンはどんなのが出るのが聞いてなかったな……下層とは違うだろうし。
「そういえばこの目的を何も話してなかったわ。」
「目的?」
「うむ。妾達は今までも何度もあったスライムの大量発生の周期確認を兼ねて毎日来ておる。今回はおぬし達がその護衛となる。妾とカイナはスライムにしか用がないゆえ他は全てまかせる。」
「最近サボっていた姫様がくる気になっただけでも凄いのだ。」
「「「………」」」
「スライム、以外、狩る。おけーっ」
まあ、そう言う事らしい。
「それにしてもスライム多いですね……」
このダンジョンは飛行系が多いらしく、足元はスライムしかいない。気をつけて歩かないと踏みそうである。今のところ飛行系と言っても蝶々や蜂などの昆虫しかいない。一般の昆虫よりは若干大きいかもしれないが。
「蜂からは蜂蜜と…美容液?蝶々からはガムシロップと…ファンデーション?」
相変わらず変な物が落ちた。ネネは変わった食べ物じゃなかったのでがっかりしている。
「蜂蜜と、シロップは、私もでる。」
「他の魔物に賭けるしかなさそうですねー」
ネネとクラスタと話ているとアストレアが覗き込んできた。
「それはなんですの?」
「えーと…化粧品ですね。」
「こんな小さな入れ物に?」
アストレアは不思議そうに眺めていた。
「あ、聞くの忘れてたのですが大量発生していたらどうするんですか?」
「あぁ、地下に向かうようなら放置で、地上に向かうようなら処理で。」
「なるほど。」
途中から出てくる魔物が変化していた。小型の鳥が増えて来ていた。パッセロとコロンバがメインのようだ。
パッセロは雀のようだが布を被っていた。コロンバも鳩のようだけどやはり布を被っている。
メジェドみたいな見た目……
布をめくってみたら消えてしまった。どうやらそのまま仕留めるものらしい。
「たまに変な魔物がいるな…」
ドロップはどちらも微妙であった。パッセロは飴玉とガラス玉、コロンバは大豆と卵かボールを落とした。
「また微妙な……」
「卵、食べられ、る?」
「鑑定すればわかるんじゃないかな?」
ネネが鑑定するようだ。なにやら難しい顔している。
「どうした??」
「これ、無理、かも?1日で、孵化する、みたい。」
つまり今卵割るとグロテスクなことになるということか。
「…ん、孵化?」
みんな顔を見合わせている。
とりあえず『ディメンションウォール』の中に入れて置くことにした。
それはともかくとしてアストレアとカイナはこちらの会話には入らず、ひたすらスライムを観察している。よくあきないものだとおもう。
「アストレア、ちなみに階層はどこまでいくつもりなんだ?」
スライムを観察していた手を休めこちらにやってきた。
「特には決めてはおらんが基本気が済むまでになるかな?」
「じゃあ、一番奥、まで。」
ネネが割り込んできた。
「石化、解除、したい。」
「石化?ナオト何の話かわからんのだが。」
「あーそういえば話していなかったですね。」
アストレアに簡単に説明した。
「ふむ…なるほど。じゃあちゃちゃっと先に奥にいっておくか?」
「ん、まだここ4階、だよ?」
ネネが疑問に思うのもうなずける。
「もしかしてアストレア誰か奥に待機させているのか?」
各階層とかで『ディメンションウォール』で待機している人がいれば可能であろう。そして一番奥の人のところまで行けば外はすぐ最下層に違いない。
「まあ行けばわかるであろう?」
そう言うとアストレアは『ディメンションウォール』を出しみんなを押し込んだ。一度入ったことはあるがやはり中は殺風景である。前は気がつかなかったが扉がいくつか目についた。
そういえばテンタチィオネがずっと会話に入っていないことに気がついた。
「ねえ、父さん。」
「ん?」
「アストレアの前だとあまり会話ないよね?」
テンタチィオネが手を招く、「口を出すと酷い目にあるぞ」と耳打ちした。
納得した。まあきっと立場的なものもあるのだろうなと…
「カイナ。」
「はい。」
「お前はここで待機。」
「む…わかりました。」
「そうだな…」
アストレアが見渡す。
「クラスタ、お前も待機だな。」
「私もですか?はあ…」
コンコン
アストレアが一つの扉を開いた。
「入るぞ。」
相手の返事もまたず扉を開け3人を押し込んだ。中はもちろん見たことはないのだがその部屋に一人男が立っていた。その顔には見覚えがある。
「フラカン……!」
そう地下の住人で魔族の一人であり、サラキアの兄でもある。そして先ほどまでいたダンジョンの主フラカンだ。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜
一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。
しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた!
今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。
そうしていると……?
※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!
【転生先が四天王の中でも最弱!の息子とか聞いてない】ハズレ転生先かと思いきや世界で唯一の氷魔法使いだった俺・・・いっちょ頑張ってみますか
他仲 波瑠都
ファンタジー
古の大戦で連合軍を勝利に導いた四人の英雄《導勝の四英傑》の末裔の息子に転生した天道明道改めマルス・エルバイス
しかし彼の転生先はなんと”四天王の中でも最弱!!”と名高いエルバイス家であった。
異世界に来てまで馬鹿にされ続ける人生はまっぴらだ、とマルスは転生特典《絶剣・グランデル》を駆使して最強を目指そうと意気込むが、そんな彼を他所にどうやら様々な思惑が入り乱れ世界は終末へと向かっているようで・・・。
絶剣の刃が煌めく時、天は哭き、地は震える。悠久の時を経て遂に解かれる悪神らの封印、世界が向かうのは新たな時代かそれとも終焉か────
ぜひ読んでみてください!
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
はぁ?とりあえず寝てていい?
夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。
※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる