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2. 必要な物
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消えていく神の人をぼんやりと眺めていた俺は、急に今の状況が理解できなくなり軽く混乱していた。どう考えてもおかしいのだ。原因も理由も知らないままなぜ俺はこの世界へと来てしまったのか…
「ありえないって…っ」
来てしまったのはもうなんともならないが、たしか元の世界へ戻るのは無理って言っていたからな。だからそれはいい。よくないけど今はいい。問題はなぜこんなに何も考えずにまあいいかみたいなのりで来てしまったか。普段の自分だったら絶対にないはずだ。記憶もはっきりしないとか不安しかないのにさらにこんなよくわからない状況を増やす意味がわからない。
「くそっ」
バンっとPCデスクを叩くとPCが少し揺れた。その画面に映る幼い自分の姿…そもそもこいつは誰なんだ。目の前にいるのだから自分なんだろうが、どう考えてもこんな子供ではなかった!
「そうだメール」
PCをたちあげメールを開く。登録されている相手は神のみだ。その登録先へと早速メールを送った。なんでこんな年齢なのか、それとちゃんと俺がこっちへ来なければならない理由を教えろと言うものだ。少し待つと返事が返ってきた。
<面倒だと思ったけど久々に会話をするのも楽しいものね。また何かあったら連絡をするといいわ>
…返事になっていないんだが。だけどなぜかこの返信に怒れない俺がいる。もうなんかよくわからんがこういうもんなんだと思えてきた。文句は言えるが神に逆らうことは出来ないみたいなやつ。となると現実をしっかりと見つめなければならないだろう。
「はあ…」
PCに向かい俺はブラウザを開いた。3日後に届くのを想定して頼むものと今すぐにいるのもを頼まなければ。ここは森の中で他にやることもないのだし、すぐ傍でいつの間にかやってきたサルみたいな生き物が近づけなくてなんかやっているが気にしている場合ではないのだ。
急ぎでいるものは…
・水
・食料
ひとまずこれだけか? 今はそれなりに金はあるが使っていれば無くなってしまうので最低限で済ませなければ。そうだトイレはどうしようか…携帯トイレとか買ったら高くつく。ここは誰も見ていないのだしそこらで済ますしかないか…後は風呂。毎日という贅沢は言わないがたまには入りたい。だけど電気どころかガスすらないこの場に風呂はどう頑張っても無理だ。
「あ、そうかシャワーくらいなら使えるか。確かUSBで繋いで…そうこれポータブルシャワー」
PCの画面を見ながらひとりごちる。これは急いでいないから3日後でいいだろう。あとは布団か? まあ寒いわけじゃないし急いでいないが毛布くらいはすぐに用意しておこう。パンイチだと流石に寝たら腹が冷えそうだし。
「よし、こんなところかな」
急ぎで買うもの
・水2L6本
・食料2日分
・毛布
3日後に届くもの
・ポータブルシャワー
・白Tシャツ5枚
・黒いジャージ下3枚
・スポーツ用シューズ
・水2L60本
・食料10日分
・白タオル10枚
・シャンプー
・リンス
・石鹸
・耐熱タンブラー
・歯ブラシ
・歯磨き粉
・塩
靴下とかも欲しかったが金が稼げないうちは贅沢だろうとまたにした。まあシャンプー、リンス、石鹸は贅沢じゃないのかという話になるが…毎日使うとかいう贅沢はしないつもりだから気にしないことにした。これで後は足りないものを検討しつつ足していこう。持ち歩ける種類の数の制限もあるから慎重に決めないといけないだろう。
早速食事にしようか。といっても安くてたくさん売っていたロールパンだが。水を取り出し耐熱タンブラーへと注ぐ。うん、あまりおいしくはないかも。まあ腹は膨れるからしばらくはこれで我慢しよう。これだけだと栄養が足りないので栄養バランス食品を1本食べておく。それと塩をひとつまみ。塩分不足はやばいだろうからな。スポーツドリンクとか飲みたいところだが贅沢は言えない身。塩があるだけまし。
食事が終わったので他にやれることを探そう。3日後に服が届くまでここから移動することが出来ないのだ。もちろん危険はないんだけど、流石にパンイチでうろついて現地人にでも出くわしたらやばいだろう。変態待ったなし。というわけで今できることはPCを見ることだけ。
「そうだ、参考になりそうなことがないか探してみるか」
例えば異世界で必要な物とかキャンプの知識とか。役に立つたたないは別として、こういったことを調べておくのは後々無駄にならないと思う。たまに視界の端で動くものがあってびくっとするが気にしていたら心が折れてしまう。ちらりと見ると生き物同士が殴りあっていたり、たまに血が飛び散ったりしている…まるで獲物である俺を誰が手に入れるのかでもめているかのような光景だ。はっきり言って怖いが、そんなもんを眺めている趣味はないので、外の音を遮断して俺はPCの画面に集中する。
…飽きた。というか似たような内容ばかりだったので切り上げた。仕方ないが退屈なのでまわりの生き物たちの戦闘を眺めることにする。楽しむ趣味はないがこれが当たり前の世界の可能性もあるので慣れておきたいと思ったから。
狼のような犬っぽい4足歩行の生き物がサルっぽい生き物の喉に噛みついた。血しぶきが飛び散りちょっとグロイ…音は聞こえないが匂いはする。慣れたほうがいいのかもしれないが、無理そうだったら匂いも遮断しよう。ははは…まるで生き物の観察をしているみたいじゃないか。そうだ日記でも書くか。やることがないからな。
俺は体を起こし再びPCに向かう。マウスとキーボードをセットしマウスを動かし…うご…かない? 一度インベントリにしまって説明を見てみた。
「あ…」
マウス電力無しで使える状態にし忘れている。そういえばPCの画面をタップして操作確認していたからこっちまで調べていなかったな。ということはキーボードもか…電池を買おう。画面をポチポチっとして購入した。そしてメモを開いて画面をタップしながら今日の出来事を日記として残した。この日記は俺の死とともに消えるものだから安心だ。
日記を書き終わるとだいぶ日も傾いて来て暗くなってきた。流石に真っ暗は嫌なのでPCをつけたままにしておく。
「はあ…」
この世界にやって来てまだ1日目だというのにため息が出てしまう。暗くなってきてあまり見えなくなったが辺りは血の匂いがすごいことになっている。これから夕食にしたいところだったがこれでは流石に食べられない。というかこの世界の人はこんな状態でも食べられるのだろうか? 流石にみんながみんな大丈夫とは限らないだろうけど、状況によってはこんな状態で食事をしないといけないときもあるのかもしれないな。まあ俺には無理だが。
匂いを遮断し、俺はパンと水を取り出した。だけど思い出す光景と鼻の奥にまだ残っている匂いのせいであまり食べられなかった。
「寝よう」
インベントリから毛布を取り出し、それを頭から被ると俺は目を閉じるのだった。
結局よく寝付けないまま朝になった。毛布の隙間から光が差し込みそのまぶしさに目を細める。それと同時に知らない世界へとやってきたことを思い出す。ゆっくりと体を起こし毛布から顔を出した。明るいために周りがよく見えた。マットの周囲1mくらいは血まみれだった。だけど死骸は骨が少し落ちている程度。それといくつか色のついた石が落ちているこれが何かはわからない。そして昨日周りにいた生き物はなぜか1匹もいない…朝は活動が鈍いのかもしれないね。
それならばと一応マウスを手に持ち色のついた石を拾ってみることにする。色は緑色で形状はとげとげしている。インベントリに入れて詳細を確認するとどうやらこれは風の魔石らしい。魔力を込めると風のエネルギーが使用できるらしいが…まあ使い道もあるし、売ることも出来そうなので拾っておこう。よく見ると血の跡にまぎれて茶色い石も落ちていた。こっちは土の魔石。土のエネルギーが使えるみたい。風よりこっちの方がたくさん落ちているかも。とりあえず拾えるだけ拾っておこう。
魔石を拾い終わり木の陰でトイレを済ますとPCの所へ戻って来た。今日は朝から食欲はない。やっぱりこの血だらけが見えているのもよくないと思う。このままだと体力が落ちて行ってしまうので、視界も塞ごうと思う。マットの周りを囲むように配置できる衝立を購入した。
今日も1日が始まった。まあやることはない。
仕方がないので再びPCの前へ。今日はどうしようか…何か動画でも見るかな。時間も潰せるし。気になっていたアニメを再生することに。
「あ、音…」
音がそのまま流れ出した。今は森の中だからいいが人がいるところへ行ったら迷惑になってしまう。後でヘッドフォンを買っておこう。
「獣人か…この世界にはいるのか?」
画面にはうさ耳を生やした女の子が魔物を蹴り飛ばしたりして無双していた。こうやってアニメを見ていたり、ひとりでいるとだんだん口数が減ってくる気がする。まあ話し相手がいないんだから当然なんだが。
気がついたら寝ていたみたいだ。いつの間にか空が赤くなっていた。さっさと食事を済ませ、日記を書いてやることが無いので再び寝ることにした。
そして朝がやってくる。若干体がだるい…これは体を動かさないといけないかもしれないな。今日が過ぎたらここから人がいるところを探して移動が出来るようになるからそれまでは我慢。そうだラジオ体操くらいならこのマットの中で出来るだろう。どうせならとPCからラジオ体操を流す。ちょっと久しぶりにやった気がした。
さて、今日はなにをしようか。調べ物はしたし、アニメも見た。じゃあ次はゲームかな? ブラウザを立ち上げ、PCで遊べるものから選ぶ。そうだまだマウスとキーボードが使えない。となると…
「ふむ…ありえないって」
画面をポチポチとしながら選択肢を選ぶ。3つの選択肢…女の子をデートに誘うシーンで、映画館に誘う、水族館に誘う、B級グルメの祭典へ誘う。気になって3つ目のやつを選ぶと妙に好感度が上がった。詳しいことは知らないがこの子は食べ物に執着があったり、大食いだったりしたんだろうか? よくわからない。まああれだ操作の少ないゲームくらいしか遊べなかったという話。
気がついたら昼を過ぎていた。昼食を食べやることが無いので昼寝をすることに。目を覚ますとすでに暗くなっていた。流石にちょっと寝すぎた気がする。
「ん?」
メールが来ているみたいだ。画面の下にある手紙のマークに数字が3と、ついていた。音とかで教えてくれないからここはこまめに見ておいた方がいいかもしれない。まあメールを送ってくるのは神の人くらいしかいないけど。
「えーと…?」
<やることがないのなら私とメールでもしたらいいと思うんだけど?>
<あーそういえば、あんた名前考えていないんじゃ>
2件は神の人からでこんな内容だった。暇なんだろうか…もっと忙しかったりしないんだろうかね。そしてもう一つは通販サイトからだった。まもなく発送いたしますと書かれていた。
「おお…」
何が届くのかわかっているのにこういうのは結構うれしいものだ。
「おっと、名前」
明日移動をするにしても自分の名前を決めておかないとまずい。流石に名無しじゃ不審に思われるだろう。名前名前…いざ自分の名前を付けるとなると悩むな。普通自分の名前は付けたりしないし。あーだけどゲームの主人公とかだとつけたりするか。そんな感じでいいのかもしれない。まあ俺、が1なのか2なのかを呼び分けるためのものだ。最悪人に会う前に考えておけばいい。
ということで食事を済ませ、ごろりとその場に転がった。まあ寝れないわけだけど。最近寝てばかりだったのであまり眠くないのもあるし、明日移動をするということで若干緊張もしている。魔物とかの危険はないが、それらを引き連れて歩くことになったりしないかとか…まだ一度も現地の人と会話していないけど、実は言葉が通じないんじゃないかとか…そんなことを考えているせいかもしれない。
「あ…」
インベントリに何かが増えた感触が。どうやら荷物が届いたようだ。夜中というか日付が変わったくらいに届くものなんだ…まあ本当の宅配とかじゃないからありえることでもある。PCの時計は0時1分を示していた。
「お、最初に注文したパンツもあるし後で追加した乾電池も入っているな」
どうやらその日のうちに注文したものはまとめて送られてくるみたいだ。よし、届いたのなら早速シャワーを使おうか。少しだけ重ねておかれていた衝立を目いっぱい広げマットの外側、触れることが出来ないぎりぎりの範囲まで囲みなおす。その出来たスペースにシャワーを設置して使用するんだ。充電コードをPCに繋げとりあえずこの水を入れる場所に水を…どのくらい入れようかな。このまましまっておけばいいから入るだけ入れてしまおうか。でも現地の水が手に入ったらシャワーの分はそれを入れたいよな。半分くらいにしておこうか…10本多いな。また水を注文しておいた方がよさそうだ。
「よしっと」
ノズルの下の方にあるボタンを押してみると水が出てきた。あまり充電出来ていないが一応動くみたいだね。石鹸類をマットの上に並べタオルと着替えを用意すると、俺はパンツを脱いでシャワーを使用した。出てくるのは水だけだけど3日ぶりに汗を流せてさっぱりできた。おかげでこの後ぐっすりと朝まで眠ることが出来たのだから素晴らしい。
「ありえないって…っ」
来てしまったのはもうなんともならないが、たしか元の世界へ戻るのは無理って言っていたからな。だからそれはいい。よくないけど今はいい。問題はなぜこんなに何も考えずにまあいいかみたいなのりで来てしまったか。普段の自分だったら絶対にないはずだ。記憶もはっきりしないとか不安しかないのにさらにこんなよくわからない状況を増やす意味がわからない。
「くそっ」
バンっとPCデスクを叩くとPCが少し揺れた。その画面に映る幼い自分の姿…そもそもこいつは誰なんだ。目の前にいるのだから自分なんだろうが、どう考えてもこんな子供ではなかった!
「そうだメール」
PCをたちあげメールを開く。登録されている相手は神のみだ。その登録先へと早速メールを送った。なんでこんな年齢なのか、それとちゃんと俺がこっちへ来なければならない理由を教えろと言うものだ。少し待つと返事が返ってきた。
<面倒だと思ったけど久々に会話をするのも楽しいものね。また何かあったら連絡をするといいわ>
…返事になっていないんだが。だけどなぜかこの返信に怒れない俺がいる。もうなんかよくわからんがこういうもんなんだと思えてきた。文句は言えるが神に逆らうことは出来ないみたいなやつ。となると現実をしっかりと見つめなければならないだろう。
「はあ…」
PCに向かい俺はブラウザを開いた。3日後に届くのを想定して頼むものと今すぐにいるのもを頼まなければ。ここは森の中で他にやることもないのだし、すぐ傍でいつの間にかやってきたサルみたいな生き物が近づけなくてなんかやっているが気にしている場合ではないのだ。
急ぎでいるものは…
・水
・食料
ひとまずこれだけか? 今はそれなりに金はあるが使っていれば無くなってしまうので最低限で済ませなければ。そうだトイレはどうしようか…携帯トイレとか買ったら高くつく。ここは誰も見ていないのだしそこらで済ますしかないか…後は風呂。毎日という贅沢は言わないがたまには入りたい。だけど電気どころかガスすらないこの場に風呂はどう頑張っても無理だ。
「あ、そうかシャワーくらいなら使えるか。確かUSBで繋いで…そうこれポータブルシャワー」
PCの画面を見ながらひとりごちる。これは急いでいないから3日後でいいだろう。あとは布団か? まあ寒いわけじゃないし急いでいないが毛布くらいはすぐに用意しておこう。パンイチだと流石に寝たら腹が冷えそうだし。
「よし、こんなところかな」
急ぎで買うもの
・水2L6本
・食料2日分
・毛布
3日後に届くもの
・ポータブルシャワー
・白Tシャツ5枚
・黒いジャージ下3枚
・スポーツ用シューズ
・水2L60本
・食料10日分
・白タオル10枚
・シャンプー
・リンス
・石鹸
・耐熱タンブラー
・歯ブラシ
・歯磨き粉
・塩
靴下とかも欲しかったが金が稼げないうちは贅沢だろうとまたにした。まあシャンプー、リンス、石鹸は贅沢じゃないのかという話になるが…毎日使うとかいう贅沢はしないつもりだから気にしないことにした。これで後は足りないものを検討しつつ足していこう。持ち歩ける種類の数の制限もあるから慎重に決めないといけないだろう。
早速食事にしようか。といっても安くてたくさん売っていたロールパンだが。水を取り出し耐熱タンブラーへと注ぐ。うん、あまりおいしくはないかも。まあ腹は膨れるからしばらくはこれで我慢しよう。これだけだと栄養が足りないので栄養バランス食品を1本食べておく。それと塩をひとつまみ。塩分不足はやばいだろうからな。スポーツドリンクとか飲みたいところだが贅沢は言えない身。塩があるだけまし。
食事が終わったので他にやれることを探そう。3日後に服が届くまでここから移動することが出来ないのだ。もちろん危険はないんだけど、流石にパンイチでうろついて現地人にでも出くわしたらやばいだろう。変態待ったなし。というわけで今できることはPCを見ることだけ。
「そうだ、参考になりそうなことがないか探してみるか」
例えば異世界で必要な物とかキャンプの知識とか。役に立つたたないは別として、こういったことを調べておくのは後々無駄にならないと思う。たまに視界の端で動くものがあってびくっとするが気にしていたら心が折れてしまう。ちらりと見ると生き物同士が殴りあっていたり、たまに血が飛び散ったりしている…まるで獲物である俺を誰が手に入れるのかでもめているかのような光景だ。はっきり言って怖いが、そんなもんを眺めている趣味はないので、外の音を遮断して俺はPCの画面に集中する。
…飽きた。というか似たような内容ばかりだったので切り上げた。仕方ないが退屈なのでまわりの生き物たちの戦闘を眺めることにする。楽しむ趣味はないがこれが当たり前の世界の可能性もあるので慣れておきたいと思ったから。
狼のような犬っぽい4足歩行の生き物がサルっぽい生き物の喉に噛みついた。血しぶきが飛び散りちょっとグロイ…音は聞こえないが匂いはする。慣れたほうがいいのかもしれないが、無理そうだったら匂いも遮断しよう。ははは…まるで生き物の観察をしているみたいじゃないか。そうだ日記でも書くか。やることがないからな。
俺は体を起こし再びPCに向かう。マウスとキーボードをセットしマウスを動かし…うご…かない? 一度インベントリにしまって説明を見てみた。
「あ…」
マウス電力無しで使える状態にし忘れている。そういえばPCの画面をタップして操作確認していたからこっちまで調べていなかったな。ということはキーボードもか…電池を買おう。画面をポチポチっとして購入した。そしてメモを開いて画面をタップしながら今日の出来事を日記として残した。この日記は俺の死とともに消えるものだから安心だ。
日記を書き終わるとだいぶ日も傾いて来て暗くなってきた。流石に真っ暗は嫌なのでPCをつけたままにしておく。
「はあ…」
この世界にやって来てまだ1日目だというのにため息が出てしまう。暗くなってきてあまり見えなくなったが辺りは血の匂いがすごいことになっている。これから夕食にしたいところだったがこれでは流石に食べられない。というかこの世界の人はこんな状態でも食べられるのだろうか? 流石にみんながみんな大丈夫とは限らないだろうけど、状況によってはこんな状態で食事をしないといけないときもあるのかもしれないな。まあ俺には無理だが。
匂いを遮断し、俺はパンと水を取り出した。だけど思い出す光景と鼻の奥にまだ残っている匂いのせいであまり食べられなかった。
「寝よう」
インベントリから毛布を取り出し、それを頭から被ると俺は目を閉じるのだった。
結局よく寝付けないまま朝になった。毛布の隙間から光が差し込みそのまぶしさに目を細める。それと同時に知らない世界へとやってきたことを思い出す。ゆっくりと体を起こし毛布から顔を出した。明るいために周りがよく見えた。マットの周囲1mくらいは血まみれだった。だけど死骸は骨が少し落ちている程度。それといくつか色のついた石が落ちているこれが何かはわからない。そして昨日周りにいた生き物はなぜか1匹もいない…朝は活動が鈍いのかもしれないね。
それならばと一応マウスを手に持ち色のついた石を拾ってみることにする。色は緑色で形状はとげとげしている。インベントリに入れて詳細を確認するとどうやらこれは風の魔石らしい。魔力を込めると風のエネルギーが使用できるらしいが…まあ使い道もあるし、売ることも出来そうなので拾っておこう。よく見ると血の跡にまぎれて茶色い石も落ちていた。こっちは土の魔石。土のエネルギーが使えるみたい。風よりこっちの方がたくさん落ちているかも。とりあえず拾えるだけ拾っておこう。
魔石を拾い終わり木の陰でトイレを済ますとPCの所へ戻って来た。今日は朝から食欲はない。やっぱりこの血だらけが見えているのもよくないと思う。このままだと体力が落ちて行ってしまうので、視界も塞ごうと思う。マットの周りを囲むように配置できる衝立を購入した。
今日も1日が始まった。まあやることはない。
仕方がないので再びPCの前へ。今日はどうしようか…何か動画でも見るかな。時間も潰せるし。気になっていたアニメを再生することに。
「あ、音…」
音がそのまま流れ出した。今は森の中だからいいが人がいるところへ行ったら迷惑になってしまう。後でヘッドフォンを買っておこう。
「獣人か…この世界にはいるのか?」
画面にはうさ耳を生やした女の子が魔物を蹴り飛ばしたりして無双していた。こうやってアニメを見ていたり、ひとりでいるとだんだん口数が減ってくる気がする。まあ話し相手がいないんだから当然なんだが。
気がついたら寝ていたみたいだ。いつの間にか空が赤くなっていた。さっさと食事を済ませ、日記を書いてやることが無いので再び寝ることにした。
そして朝がやってくる。若干体がだるい…これは体を動かさないといけないかもしれないな。今日が過ぎたらここから人がいるところを探して移動が出来るようになるからそれまでは我慢。そうだラジオ体操くらいならこのマットの中で出来るだろう。どうせならとPCからラジオ体操を流す。ちょっと久しぶりにやった気がした。
さて、今日はなにをしようか。調べ物はしたし、アニメも見た。じゃあ次はゲームかな? ブラウザを立ち上げ、PCで遊べるものから選ぶ。そうだまだマウスとキーボードが使えない。となると…
「ふむ…ありえないって」
画面をポチポチとしながら選択肢を選ぶ。3つの選択肢…女の子をデートに誘うシーンで、映画館に誘う、水族館に誘う、B級グルメの祭典へ誘う。気になって3つ目のやつを選ぶと妙に好感度が上がった。詳しいことは知らないがこの子は食べ物に執着があったり、大食いだったりしたんだろうか? よくわからない。まああれだ操作の少ないゲームくらいしか遊べなかったという話。
気がついたら昼を過ぎていた。昼食を食べやることが無いので昼寝をすることに。目を覚ますとすでに暗くなっていた。流石にちょっと寝すぎた気がする。
「ん?」
メールが来ているみたいだ。画面の下にある手紙のマークに数字が3と、ついていた。音とかで教えてくれないからここはこまめに見ておいた方がいいかもしれない。まあメールを送ってくるのは神の人くらいしかいないけど。
「えーと…?」
<やることがないのなら私とメールでもしたらいいと思うんだけど?>
<あーそういえば、あんた名前考えていないんじゃ>
2件は神の人からでこんな内容だった。暇なんだろうか…もっと忙しかったりしないんだろうかね。そしてもう一つは通販サイトからだった。まもなく発送いたしますと書かれていた。
「おお…」
何が届くのかわかっているのにこういうのは結構うれしいものだ。
「おっと、名前」
明日移動をするにしても自分の名前を決めておかないとまずい。流石に名無しじゃ不審に思われるだろう。名前名前…いざ自分の名前を付けるとなると悩むな。普通自分の名前は付けたりしないし。あーだけどゲームの主人公とかだとつけたりするか。そんな感じでいいのかもしれない。まあ俺、が1なのか2なのかを呼び分けるためのものだ。最悪人に会う前に考えておけばいい。
ということで食事を済ませ、ごろりとその場に転がった。まあ寝れないわけだけど。最近寝てばかりだったのであまり眠くないのもあるし、明日移動をするということで若干緊張もしている。魔物とかの危険はないが、それらを引き連れて歩くことになったりしないかとか…まだ一度も現地の人と会話していないけど、実は言葉が通じないんじゃないかとか…そんなことを考えているせいかもしれない。
「あ…」
インベントリに何かが増えた感触が。どうやら荷物が届いたようだ。夜中というか日付が変わったくらいに届くものなんだ…まあ本当の宅配とかじゃないからありえることでもある。PCの時計は0時1分を示していた。
「お、最初に注文したパンツもあるし後で追加した乾電池も入っているな」
どうやらその日のうちに注文したものはまとめて送られてくるみたいだ。よし、届いたのなら早速シャワーを使おうか。少しだけ重ねておかれていた衝立を目いっぱい広げマットの外側、触れることが出来ないぎりぎりの範囲まで囲みなおす。その出来たスペースにシャワーを設置して使用するんだ。充電コードをPCに繋げとりあえずこの水を入れる場所に水を…どのくらい入れようかな。このまましまっておけばいいから入るだけ入れてしまおうか。でも現地の水が手に入ったらシャワーの分はそれを入れたいよな。半分くらいにしておこうか…10本多いな。また水を注文しておいた方がよさそうだ。
「よしっと」
ノズルの下の方にあるボタンを押してみると水が出てきた。あまり充電出来ていないが一応動くみたいだね。石鹸類をマットの上に並べタオルと着替えを用意すると、俺はパンツを脱いでシャワーを使用した。出てくるのは水だけだけど3日ぶりに汗を流せてさっぱりできた。おかげでこの後ぐっすりと朝まで眠ることが出来たのだから素晴らしい。
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