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中央の島

163. 箱庭4

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 昼食後一度箱庭から外を覗いてみた。外は結構な雨と風が吹いて軽く嵐のような状態になっていた。いつからこんんな状態かわからないが、もしあのまま船に乗っていたらと思うと…軽く身震いしてしまうね。

 それは終わったことなのでいいとして、午後からは何をして時間を潰そうか。これだけ雨が降っていると流石に店も出ていないだろうし。ここはあれかな…しばらく進めていなかった箱庭の内装っていうのかそういったやつを少し進めてみようかな。ちなみにたまごはまだ孵化してない。

 地図を取り出し全体図をまず眺める。現在は全体のほぼ中央(やや右上より)に俺の家、その左となり(中央上)に前設置した民家。建物はこの2つだけだな。そして北西と南東に森があり、南東の森に湖が。その湖からぐるりとマップ全体を囲むように川が流れている。湖の近くの川に1本橋(歩道橋)がかかっている状態だ。

「家を増やすか森を増やすかそれとも…何が出来るかな」

 うーん…地竜がたまごからかえったらこと世界で過ごすことになるんだよねそいつは。前見た時のサイズは大体ネコルーの3倍くらいの大きさだった。それが大人のサイズだというのならいいが流石にその辺はよくわからん。

「リョータさん、それってどこの地図ですか?」
「ああこれはこの箱庭の地図だね」
「なるほど…こことことが森でこっちが今いる森なんですね」

 簡単な省略されたイラストの地図だが思ったよりわかりやすいのか初めて見たルーでも理解できたみたいだ。

「全体の広さのわりに森は狭いんですね…後山もないし、海は…流石に厳しそうですが」
「山か…」

 たしかに海は厳しいよな。途中までしかないことになるし。山はあったほうがいいんだろうか?

「ルー山ってあったほうがいいと思う?」
「はい。やっぱり山にしか住めない生き物もいますし、山でとれる山菜や木の実、キノコ類もあるんじゃないですか?」

 …あれ? ちょっとまってくれ。そもそもこの箱庭は俺たち以外には勝手に入ってきた妖精くらいしかいないんじゃ。

「私変なこと言いましたか??」
「いや…他の生き物って?」
「ちらほらと虫を見かけましたよ? まだ見てませんけどこの分だと小動物もいるかもですね」

 また俺の知らない間に色々増えているんだが…もしかして森を作った時についてきたのか?? となると現在観測できる生き物リストとか作ってみるか。手のひらをおわん型にしここにイメージを固めリストを作り出す。もちろん地図のときと同じく自動更新できるタイプで。出来たのは本の形をしたものだった。流石に地図みたいに1枚ぺらりとはいかないか。

「それはなんですか?」
「この箱庭の生き物リスト」

 まだページが少ないのかペラペラの本だ。増えてきたらページが増えるのだろう。ぺらりとページをめくると真っ先に現れたのは人間。簡単な人間の特徴やらが書かれ、現在生息数が1~4となっている。なるほど、ここに来たことがある人もカウントされるんだね。次はエルフで同じように説明と生息数が…こっちははっきりと2となっているな。あとはネコルーのこと、さっきルーが言った虫なども書かれていた。今のところ小動物は書かれていない。

「山作ったら小動物も増えるのかもしれないな…」
「作るんですか山」
「ん-…ルーは地竜の生態わかる?」
「地竜ですか…おもに草原や山に住んでいると思います。たしか他の小動物と協力をして生活をする生き物ですね。草食でまれに中型の動物を食べるみたいです」

 他の小動物か…だったら山いるよな。再び地図を眺めながら山をどこに置こうか考える。まあ…配置的に北東になるかな~ 家の裏手から山に上がれるような感じに。イメージを固め山を作るために魔力を使用する。勾配は緩やかで北東側、川の手前までかけて山を…ん? ちょっと魔力が足りない感じかな。ポーションを取り出しそれを2本飲んだ。

「きゃっ」
「おっと…」

 急激な振動がやって来て軽くふらついたルーを支える。山を作った影響で地面が揺れたから流石にルーも驚いたみたいだ。俺は山を作ろうとしてたから平気だ。

「今の揺れは…え?」

 周辺を眺めたルーがさらに驚いた。北東方面、森の上から山の姿が見えていたからだ。

「山がある…」
「今作ったからね。思ったより魔力がいるみたいでちょっと厳しかったが」

 さっき生き物リストで魔力消費した後だったのもあるけど、ほぼ俺の魔力まるっと使うぐらい必要だったみたいだし…レベル少し上げないとだめなのかな。

「ちょっと見に行ってみるか?」
「は、はい」

 自転車の後ろにまたルーを乗せ俺たちは山へ向かって走りだした。
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