1 / 6
異世界ですか?
しおりを挟む
~~~♪
「わからないわからないわからないったらわからない~」
今の感情を有名な楽曲にのせて声に出す。ぼんやりと空を眺めただ疑問に思ったことがポロポロと零れ落ちた。
「今の状況がわからなくてただひたすら困惑するだけ。右を見ても左を見ても目を輝かせて僕のことを眺める人々。いつの時代かわからない服装…いや自分のほうがやばい恰好だったと気がつく…はぁ~」
ため息が漏れた。この人たちはこんな奇抜な服装をした僕を最初に見たときはすごい驚いていたんだけど、次第には両手を合わせ拝みだしたり、食べ物やいろんなものを置いて行ってくれるようになったんだ。そのうち屋根のある簡素な小屋まで立ててくれ雨風がしのげるようになったのでとても助かっている。
さらりと長い金髪が視界の端に入る…いや、うん。僕の髪というかウィッグなんだけどね? いま僕はとあるゲームのキャラクターの衣装を着ているんだ。まあいわゆるコスプレというやつで、なんでこんな姿かというと…持ち物がこれしかないわけで。ウィッグをはずすと変だし、だからといって他に服がないのに脱ぐわけにもいかない。下着姿とかおまわりさんを呼ばれてしまうだろう。
…で、最近日課になってきたんだけど、毎朝この作ってもらった小屋の前で歌を歌う。するとこの人たちが喜んで色々くれる。ちなみに言葉はわからないから歌詞が酷くても誰も気がつかないんだよね…まあ僕もこの人たちの言葉がわからないからおあいことも言える。もしかしたら悪口を堂々と言っているのかもしれないのだから。
そして今日も歌を歌う。いつものように適当な歌詞で…
ところがどっこい今日はいつもと違うようだ。戸惑うようなざわめきが聞こえてきて人々の合間を一人の男がこちらへと向かってくる。周りの人たちと比べて綺麗な服を着たちょっとキラキラした人だ。
「────…っ」
何を言っているのかわからない…僕は首を傾げる。するとその男は更に僕に近づいて来て小さな声でこう言ったんだ。
「助けがいるか?」
「…っ」
驚いてひゅっと喉がなる。思わず差し出された手を取ってしまう僕だった。
ちょっと気持ちを整理させて欲しい…
ガタゴトガタゴトと揺れる馬車の中、僕は出来るだけ隅によって男の顔を眺めている。確かに助けは欲しいと思った。だが馬車にのせられてどこかへ連れていかれるなんて思わなかった…
「なんだ、顔に何か付いているか?」
「…日本語っ」
そう男は僕に向かって日本語で『助けがいるか?』と話かけてきたんだ。今も日本語でさらに驚く。周りにいた人たちは知らない言葉を使っていたのに、この男は僕にだけ日本語で話しかけてくるのだ。
「どこの国のお嬢さんか知らないが、あなたも日本語がお上手ですね」
「いや、あのっ 僕、日本人だし!」
「はははっ しかも僕っ子ときたか」
いやそんなことより色々と説明が欲しい。僕は一度深呼吸をすると一気に聞きたいことを口にした。
「あの、ここはどこなんですか? あなたはなぜ一人だけ日本語を話せるので? それと馬車で今から僕はどこへ連れていかれるのでしょうか?」
男は僕の言葉に少しだけ目を見開いたがすぐに元に戻る。
「これはこれは…なるほど」
「一人で納得していないで教えてくださいっ 本当に困っているんです」
すっとあまりにも自然に男が僕の近くへと寄ってくる。そして顔を覗き込むようにしてふわりと笑った。
「ようこそ異世界へ」
「わからないわからないわからないったらわからない~」
今の感情を有名な楽曲にのせて声に出す。ぼんやりと空を眺めただ疑問に思ったことがポロポロと零れ落ちた。
「今の状況がわからなくてただひたすら困惑するだけ。右を見ても左を見ても目を輝かせて僕のことを眺める人々。いつの時代かわからない服装…いや自分のほうがやばい恰好だったと気がつく…はぁ~」
ため息が漏れた。この人たちはこんな奇抜な服装をした僕を最初に見たときはすごい驚いていたんだけど、次第には両手を合わせ拝みだしたり、食べ物やいろんなものを置いて行ってくれるようになったんだ。そのうち屋根のある簡素な小屋まで立ててくれ雨風がしのげるようになったのでとても助かっている。
さらりと長い金髪が視界の端に入る…いや、うん。僕の髪というかウィッグなんだけどね? いま僕はとあるゲームのキャラクターの衣装を着ているんだ。まあいわゆるコスプレというやつで、なんでこんな姿かというと…持ち物がこれしかないわけで。ウィッグをはずすと変だし、だからといって他に服がないのに脱ぐわけにもいかない。下着姿とかおまわりさんを呼ばれてしまうだろう。
…で、最近日課になってきたんだけど、毎朝この作ってもらった小屋の前で歌を歌う。するとこの人たちが喜んで色々くれる。ちなみに言葉はわからないから歌詞が酷くても誰も気がつかないんだよね…まあ僕もこの人たちの言葉がわからないからおあいことも言える。もしかしたら悪口を堂々と言っているのかもしれないのだから。
そして今日も歌を歌う。いつものように適当な歌詞で…
ところがどっこい今日はいつもと違うようだ。戸惑うようなざわめきが聞こえてきて人々の合間を一人の男がこちらへと向かってくる。周りの人たちと比べて綺麗な服を着たちょっとキラキラした人だ。
「────…っ」
何を言っているのかわからない…僕は首を傾げる。するとその男は更に僕に近づいて来て小さな声でこう言ったんだ。
「助けがいるか?」
「…っ」
驚いてひゅっと喉がなる。思わず差し出された手を取ってしまう僕だった。
ちょっと気持ちを整理させて欲しい…
ガタゴトガタゴトと揺れる馬車の中、僕は出来るだけ隅によって男の顔を眺めている。確かに助けは欲しいと思った。だが馬車にのせられてどこかへ連れていかれるなんて思わなかった…
「なんだ、顔に何か付いているか?」
「…日本語っ」
そう男は僕に向かって日本語で『助けがいるか?』と話かけてきたんだ。今も日本語でさらに驚く。周りにいた人たちは知らない言葉を使っていたのに、この男は僕にだけ日本語で話しかけてくるのだ。
「どこの国のお嬢さんか知らないが、あなたも日本語がお上手ですね」
「いや、あのっ 僕、日本人だし!」
「はははっ しかも僕っ子ときたか」
いやそんなことより色々と説明が欲しい。僕は一度深呼吸をすると一気に聞きたいことを口にした。
「あの、ここはどこなんですか? あなたはなぜ一人だけ日本語を話せるので? それと馬車で今から僕はどこへ連れていかれるのでしょうか?」
男は僕の言葉に少しだけ目を見開いたがすぐに元に戻る。
「これはこれは…なるほど」
「一人で納得していないで教えてくださいっ 本当に困っているんです」
すっとあまりにも自然に男が僕の近くへと寄ってくる。そして顔を覗き込むようにしてふわりと笑った。
「ようこそ異世界へ」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説

チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
転生幼女の異世界冒険記〜自重?なにそれおいしいの?〜
MINAMI
ファンタジー
神の喧嘩に巻き込まれて死んでしまった
お詫びということで沢山の
チートをつけてもらってチートの塊になってしまう。
自重を知らない幼女は持ち前のハイスペックさで二度目の人生を謳歌する。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。
ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった
16歳の少年【カン】
しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ
これで魔導まで極めているのだが
王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ
渋々それに付き合っていた…
だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう
この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである
※タイトルは思い付かなかったので適当です
※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました
以降はあとがきに変更になります
※現在執筆に集中させて頂くべく
必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします
※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる