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人々が行きかいすれ違う馬車の数も多い街並みは、フロージスよりも大きく、王都と言われるのもわかるくらいには賑わっていて大きな場所。俺たちは街の北側から入り中央にある城を迂回して南側へと進んでいる。この王城の北東側が貴族街、北西側は学園街、南側は色々混ざってはいるが中央の通りには商人ギルドと冒険者ギルドがある。
「賑やかだね」
「国一番の街だからな」
視線をさまよわせながら街の中を歩き目的地へと向かう。俺たちは何事もなく王都へとつき、現在はしばらく厄介になるための宿を探しているところ。ここは3人もあまり詳しくはないらしく、別行動はせず一緒に行動をしていた。
「先ほど聞いた話だとこの先に冒険者ギルドがあるので、その周辺に宿が多いみたいですよ」
なるほど…宿を利用するのは外からやってきた人が多い。となると冒険者ギルドの周りに多いのは確かに理にかなっている。だとすると商人ギルドの周りにも宿屋は多そうだ。もしかするとこっちの宿は少しお高い可能性もありそうだけども。
「あ、ほらっ 宿の看板が増えてきたよ」
「よし、この際片っ端から当たってみるか」
俺たちは早速近くの宿から当たってみることにした。
数軒回って獣魔可な宿を見つけると次は冒険者ギルドへ。急いで王都に向かった俺たちは依頼を受けることもなく出発したので、道中脇道にそれ魔物を狩りながら向かってきた。この狩りで手に入れた魔物の素材を売るのだ。まあ大半が俺の魔法の練習に使ったので状態はあまりよくない。取れた肉も旅の間に半分以上食べてしまっている。大した金額にはならないだろうけど数日分の宿代くらいにはなるはずなので、忘れずに売っておきたい。
ギルドで魔物を売った後は学園に手続きに向かう。買い取りをお願いしたときに俺が収納から取り出したことに若干驚かれたが、メンバーの構成を見てどうやら俺が荷物持ちだと思われたようだった。そんなことを考えながら街の西の方へと向かうと大きな門が見えてくる。街の南側と違って北東と北西は大きな塀で囲まれていてその北西側の門は2ヶ所、俺たちが向かっているのは一番近い方の門なんだ。北の貴族街に面したほうの門は貴族しか入ることができないからなんだけどね。
「あそこじゃないか?」
門の外に置かれた長机の所に3人ほど座っていた。入学試験の申込の締め切りも近いこともあり受付をしている人は誰もいなく、退屈そうに座っている子供が3人。どうやら学園の生徒が受付を行っているらしい。
「すみません入学試験の受付はここでいいですか?」
トールが受付にいる子供に声をかけた。声をかけられた子供はじっとトールを眺めた後、眉をひそめた。
「15歳を過ぎていたら試験も受けられませんよ?」
「ああ~違う違う受けるのはこの子ね」
近くにいたロザリが俺を前へと押し出す。その姿が見えたのか子供たちは顔を見合わせた後一人が話し出す。
「受付はここになります。平民用の受付になりますが問題ないみたいですね」
「まあそうだな」
「ではこちらの書類に本人が記入をお願いします」
机の上に紙とペンが置かれた。ちらりと3人の方を見ると頷いているので俺はペンを手に取る。するとそのペンへと自分から魔力が流れ込む感覚がして驚いて手を離す。
「くくっ それは魔道具だよ。君の魔力の測定も同時にやっているんだ。中々便利だろう? そのペンで書類を書くことによって本人が書いた証明になるんだ」
よく見ると3人は手に手袋のようなものをはめていた。話からするとペンに魔力を流さないようにするためのものってことなんだろうか? 落としたペンを拾い魔力を吸われる感覚に眉をひそめながら俺は書類と向き合った。
「えーと?」
記入すべき内容は名前、年齢、得意な魔法、得意な武器、得意な学科くらい。だけど学科と言われても俺にはピンとこない。元の世界ならわかるけどこの世界だと学科として何が成り立っているのか知らない。まあそれも含めて勉強をするために学園へいくのだけども。そういえば普段この国のこととか3人から聞いていた程度しか知識がない…こんなんで試験受かるのだろうか。得意な学科はわからないので無しとしておいた。
「これでいいですか?」
「全部書かれてるからいいよ。でも得意の学科がないだなんて…そんなんじゃ試験受からないんじゃ?」
そんな不安になること言われても困る。学園の生徒は書類にペンをはさみ箱に置いた。するとすぐにその紙とペンがその場から消える。これも魔道具ってやつなんだろうか? 俺が不思議に思って覗き込んでいると別の紙を取り出し渡してきた。
「こちらに日程が書かれています。よく読んで準備をして当日こちらに来てください」
「わかりました」
受け取った紙を手に持ったまま俺たちは受付を後にしると宿へと戻るのだった。もちろん受付を離れた後、紙はなくさないようにすぐ収納へとしまってから。今日はこの後のんびりして明日試験の準備を整え当日に備えようか。この試験に受かったら俺は一緒に過ごしてきた3人とお別れになる…親は結局みつからないまま…
「賑やかだね」
「国一番の街だからな」
視線をさまよわせながら街の中を歩き目的地へと向かう。俺たちは何事もなく王都へとつき、現在はしばらく厄介になるための宿を探しているところ。ここは3人もあまり詳しくはないらしく、別行動はせず一緒に行動をしていた。
「先ほど聞いた話だとこの先に冒険者ギルドがあるので、その周辺に宿が多いみたいですよ」
なるほど…宿を利用するのは外からやってきた人が多い。となると冒険者ギルドの周りに多いのは確かに理にかなっている。だとすると商人ギルドの周りにも宿屋は多そうだ。もしかするとこっちの宿は少しお高い可能性もありそうだけども。
「あ、ほらっ 宿の看板が増えてきたよ」
「よし、この際片っ端から当たってみるか」
俺たちは早速近くの宿から当たってみることにした。
数軒回って獣魔可な宿を見つけると次は冒険者ギルドへ。急いで王都に向かった俺たちは依頼を受けることもなく出発したので、道中脇道にそれ魔物を狩りながら向かってきた。この狩りで手に入れた魔物の素材を売るのだ。まあ大半が俺の魔法の練習に使ったので状態はあまりよくない。取れた肉も旅の間に半分以上食べてしまっている。大した金額にはならないだろうけど数日分の宿代くらいにはなるはずなので、忘れずに売っておきたい。
ギルドで魔物を売った後は学園に手続きに向かう。買い取りをお願いしたときに俺が収納から取り出したことに若干驚かれたが、メンバーの構成を見てどうやら俺が荷物持ちだと思われたようだった。そんなことを考えながら街の西の方へと向かうと大きな門が見えてくる。街の南側と違って北東と北西は大きな塀で囲まれていてその北西側の門は2ヶ所、俺たちが向かっているのは一番近い方の門なんだ。北の貴族街に面したほうの門は貴族しか入ることができないからなんだけどね。
「あそこじゃないか?」
門の外に置かれた長机の所に3人ほど座っていた。入学試験の申込の締め切りも近いこともあり受付をしている人は誰もいなく、退屈そうに座っている子供が3人。どうやら学園の生徒が受付を行っているらしい。
「すみません入学試験の受付はここでいいですか?」
トールが受付にいる子供に声をかけた。声をかけられた子供はじっとトールを眺めた後、眉をひそめた。
「15歳を過ぎていたら試験も受けられませんよ?」
「ああ~違う違う受けるのはこの子ね」
近くにいたロザリが俺を前へと押し出す。その姿が見えたのか子供たちは顔を見合わせた後一人が話し出す。
「受付はここになります。平民用の受付になりますが問題ないみたいですね」
「まあそうだな」
「ではこちらの書類に本人が記入をお願いします」
机の上に紙とペンが置かれた。ちらりと3人の方を見ると頷いているので俺はペンを手に取る。するとそのペンへと自分から魔力が流れ込む感覚がして驚いて手を離す。
「くくっ それは魔道具だよ。君の魔力の測定も同時にやっているんだ。中々便利だろう? そのペンで書類を書くことによって本人が書いた証明になるんだ」
よく見ると3人は手に手袋のようなものをはめていた。話からするとペンに魔力を流さないようにするためのものってことなんだろうか? 落としたペンを拾い魔力を吸われる感覚に眉をひそめながら俺は書類と向き合った。
「えーと?」
記入すべき内容は名前、年齢、得意な魔法、得意な武器、得意な学科くらい。だけど学科と言われても俺にはピンとこない。元の世界ならわかるけどこの世界だと学科として何が成り立っているのか知らない。まあそれも含めて勉強をするために学園へいくのだけども。そういえば普段この国のこととか3人から聞いていた程度しか知識がない…こんなんで試験受かるのだろうか。得意な学科はわからないので無しとしておいた。
「これでいいですか?」
「全部書かれてるからいいよ。でも得意の学科がないだなんて…そんなんじゃ試験受からないんじゃ?」
そんな不安になること言われても困る。学園の生徒は書類にペンをはさみ箱に置いた。するとすぐにその紙とペンがその場から消える。これも魔道具ってやつなんだろうか? 俺が不思議に思って覗き込んでいると別の紙を取り出し渡してきた。
「こちらに日程が書かれています。よく読んで準備をして当日こちらに来てください」
「わかりました」
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