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23話 依頼の選択
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「次の話に移るぞー」
みんながみんなボードに書かれている数字を眺めていたがユージン先生の声でそっちに視線が移った。次の話ではカードの使い方や依頼の受け方、依頼の種類に報告それと買い取りについての説明が行われた。これは大雑把な説明で後は実際に体験してみるしかないらしい。
「じゃあグループリーダーは渡すもんがあるから取りにこい」
それぞれのグループリーダーはユージン先生というかその横のサリア姉の所へと集まっていった。俺のいるグループはレークイットなので彼が前へと向かっている。なにやら配られたものをもってリーダー達は再び席へと戻っていった。
「今渡した物は依頼リストだ。今回お前たちはその中から一つ選んでもらい実際に依頼を受けてもらうつもりだ。どれもが1日で確実に終わるものを選んでおいたので大丈夫だと思うが、よくグループで話し合って受けてもらいたいと思う。その後受ける依頼について各グループで必要なことを調べるまでが今日の授業になる。余裕があるのなら準備まで行っていいぞ~ 間に合わないグループは次の授業までに準備を終わらせること。次は即冒険者ギルドで実際依頼を受けてもらうからな」
どうやらユージン先生の話は終わったみたいだ。グループごとに集まって周りは話し合いを始めている。俺達も机を寄せてこれから話し合いをするつもりだ。
「で、依頼は何があるのよ」
「ああこれだ」
ユリアがレークイットに依頼書を見せるように聞いた。レークイットはすぐにその用紙を机に見えるように置く。みんなその用紙を食い入るように眺めている。
「なあ、ディビ色眼鏡にあわねぇーな」
「うーんそうかな…でもないと困るだろ? 俺じゃなくておもに周りが」
「そういわれてもこれはやっぱり体験してみないとわからないしなっと」
「あっ」
俺の色眼鏡が頭の上のほうへとずらされた。何をするんだという気持ちもあったためか俺は思わずそのままレークイットをにらみつけてしまった。睨まれている本人であるレークイットはそんなことも気にせず俺をじっと見つめている。気のせいか気持ち頬が染まり息が荒い。レークイットの右手が俺の頬へと伸びてきたので慌てて色眼鏡をかけなおした。するとはっとしたような顔をしてレークイットの手が止まる。
「こ、これはやばい…っ」
「ちょっと、遊んでいないで依頼を決めますわよ!」
「…どうせなら一度みんな体験しておくか?」
「…は?」
言うが早いがレークイットは俺の頭を固定してユリアに近づけた。そして色眼鏡をくいっと上へ持ち上げる。ユリアは頬を染めフルフルと震えながらゆっくりと目をそらした。
「ふっ ふぅ~ こう目を逸らせば問題ないわ。昔もよくこうやって…誰だったかしら。まあ慣れてるってことよ。それよりも依頼を選ぶわよ」
「ふぇ~い」
悪ふざけが過ぎたのか少しだけレークイットはユリアに睨まれていた。ちょっとだけユリアが気になる反応をしていたが今は目の前のことに集中するべきだろう。
▷薬草採取◁
王国東側平原でココノア草を10個集めてくる
▷討伐納品◁
西区の下水にてライノットを10匹仕留めそのしっぽを10個納品する
▷清掃証明◁
東区の教会の清掃を手伝い、清掃終了証明の提出
▷配達運搬◁
冒険者ギルドから商人ギルドへ荷物を運び、配達証明を持ち帰る
▷研究手伝い◁
王国研究所でまだ出ていない新しい魔道具の意見や、素材の使い道を探してもらいたい
どうやらこの5つの中から選んで依頼を受けなければいけないようだ。俺としてはどれでもいいのでみんなの意見が出るのを待つことにした。
「ふあ~いろいろあるんだねぇ~」
「討伐もあるぞー」
ミシュリアとレークイットが真っ先に口を開いた。テルサダはじっと眺めるだけで意見を言いそうもない。そこへすっとユリアの指が伸びてきて研究手伝いの所をさした。
「これはこの中で一番難しいわね…さすがに1日でできる依頼ではないわ」
「ん、もしかしてできないものとかも混ぜられているのか…?」
「ええ、罠依頼があるはず…怪しいのはこの研究所のと教会の清掃かしら」
ユリアの話によると失敗させることも勉強ということで罠依頼が今までもあったらしい。もちろんそれも勉強には違いないのだが規定時間があるのにその時間でできないものを受けるのは成績に響くのだとか。これを実際の試験でやってしまうとまずいそうだ。まだ授業の一環なのでそれほど影響はないらしいが出来たら受けないほうがいいらしい。
「ふーん…じゃあとりあえずほかの3つなら大丈夫ってことだよね」
「ココノア草はよく目にする薬草だし図書室へ行けばすぐに資料があるわ。ライノットも資料があったはず。配達は配達距離がはっきりしているから大丈夫じゃないかしら。ただ運ぶ量がわからないってところが少しだけ不安ね。で、教会なんだけど、清掃って教会のどの範囲か書いてないわね。それにもし相手側がこれじゃあ終わったことにならないって言い続けたらずっと終わらないんだけど…1日で終わるかしら? 研究所のはね確実に罠だと思う。見慣れない魔道具や素材を見せられても私たちで意見出せると思う?」
「ほへぇ~ ユリアさんすごいねぇ~ 私じゃすぐにそんな思いつかないよー」
ミシュリアが目をキラキラさせてユリアをほめているまんざらでもないのかどことなくユリアも嬉しそうだ。
「そういえばテルサダはなんかないのか?」
「あ、うん… それほど危ないものとかなさそうだからどれに決まっても平気だよ」
「意見があったら気にせず言えよ?」
「あはは…」
少しだけ困った顔のテルサダを見ながら俺たちは図書室でココノア草とライノットの資料を眺めた後、薬草集めをすることに決めた。みんな…といってもユリアを除いてだが門の外へ出るのが少しだけ嬉しそうだった。まあそれは俺もなんだけどな。
みんながみんなボードに書かれている数字を眺めていたがユージン先生の声でそっちに視線が移った。次の話ではカードの使い方や依頼の受け方、依頼の種類に報告それと買い取りについての説明が行われた。これは大雑把な説明で後は実際に体験してみるしかないらしい。
「じゃあグループリーダーは渡すもんがあるから取りにこい」
それぞれのグループリーダーはユージン先生というかその横のサリア姉の所へと集まっていった。俺のいるグループはレークイットなので彼が前へと向かっている。なにやら配られたものをもってリーダー達は再び席へと戻っていった。
「今渡した物は依頼リストだ。今回お前たちはその中から一つ選んでもらい実際に依頼を受けてもらうつもりだ。どれもが1日で確実に終わるものを選んでおいたので大丈夫だと思うが、よくグループで話し合って受けてもらいたいと思う。その後受ける依頼について各グループで必要なことを調べるまでが今日の授業になる。余裕があるのなら準備まで行っていいぞ~ 間に合わないグループは次の授業までに準備を終わらせること。次は即冒険者ギルドで実際依頼を受けてもらうからな」
どうやらユージン先生の話は終わったみたいだ。グループごとに集まって周りは話し合いを始めている。俺達も机を寄せてこれから話し合いをするつもりだ。
「で、依頼は何があるのよ」
「ああこれだ」
ユリアがレークイットに依頼書を見せるように聞いた。レークイットはすぐにその用紙を机に見えるように置く。みんなその用紙を食い入るように眺めている。
「なあ、ディビ色眼鏡にあわねぇーな」
「うーんそうかな…でもないと困るだろ? 俺じゃなくておもに周りが」
「そういわれてもこれはやっぱり体験してみないとわからないしなっと」
「あっ」
俺の色眼鏡が頭の上のほうへとずらされた。何をするんだという気持ちもあったためか俺は思わずそのままレークイットをにらみつけてしまった。睨まれている本人であるレークイットはそんなことも気にせず俺をじっと見つめている。気のせいか気持ち頬が染まり息が荒い。レークイットの右手が俺の頬へと伸びてきたので慌てて色眼鏡をかけなおした。するとはっとしたような顔をしてレークイットの手が止まる。
「こ、これはやばい…っ」
「ちょっと、遊んでいないで依頼を決めますわよ!」
「…どうせなら一度みんな体験しておくか?」
「…は?」
言うが早いがレークイットは俺の頭を固定してユリアに近づけた。そして色眼鏡をくいっと上へ持ち上げる。ユリアは頬を染めフルフルと震えながらゆっくりと目をそらした。
「ふっ ふぅ~ こう目を逸らせば問題ないわ。昔もよくこうやって…誰だったかしら。まあ慣れてるってことよ。それよりも依頼を選ぶわよ」
「ふぇ~い」
悪ふざけが過ぎたのか少しだけレークイットはユリアに睨まれていた。ちょっとだけユリアが気になる反応をしていたが今は目の前のことに集中するべきだろう。
▷薬草採取◁
王国東側平原でココノア草を10個集めてくる
▷討伐納品◁
西区の下水にてライノットを10匹仕留めそのしっぽを10個納品する
▷清掃証明◁
東区の教会の清掃を手伝い、清掃終了証明の提出
▷配達運搬◁
冒険者ギルドから商人ギルドへ荷物を運び、配達証明を持ち帰る
▷研究手伝い◁
王国研究所でまだ出ていない新しい魔道具の意見や、素材の使い道を探してもらいたい
どうやらこの5つの中から選んで依頼を受けなければいけないようだ。俺としてはどれでもいいのでみんなの意見が出るのを待つことにした。
「ふあ~いろいろあるんだねぇ~」
「討伐もあるぞー」
ミシュリアとレークイットが真っ先に口を開いた。テルサダはじっと眺めるだけで意見を言いそうもない。そこへすっとユリアの指が伸びてきて研究手伝いの所をさした。
「これはこの中で一番難しいわね…さすがに1日でできる依頼ではないわ」
「ん、もしかしてできないものとかも混ぜられているのか…?」
「ええ、罠依頼があるはず…怪しいのはこの研究所のと教会の清掃かしら」
ユリアの話によると失敗させることも勉強ということで罠依頼が今までもあったらしい。もちろんそれも勉強には違いないのだが規定時間があるのにその時間でできないものを受けるのは成績に響くのだとか。これを実際の試験でやってしまうとまずいそうだ。まだ授業の一環なのでそれほど影響はないらしいが出来たら受けないほうがいいらしい。
「ふーん…じゃあとりあえずほかの3つなら大丈夫ってことだよね」
「ココノア草はよく目にする薬草だし図書室へ行けばすぐに資料があるわ。ライノットも資料があったはず。配達は配達距離がはっきりしているから大丈夫じゃないかしら。ただ運ぶ量がわからないってところが少しだけ不安ね。で、教会なんだけど、清掃って教会のどの範囲か書いてないわね。それにもし相手側がこれじゃあ終わったことにならないって言い続けたらずっと終わらないんだけど…1日で終わるかしら? 研究所のはね確実に罠だと思う。見慣れない魔道具や素材を見せられても私たちで意見出せると思う?」
「ほへぇ~ ユリアさんすごいねぇ~ 私じゃすぐにそんな思いつかないよー」
ミシュリアが目をキラキラさせてユリアをほめているまんざらでもないのかどことなくユリアも嬉しそうだ。
「そういえばテルサダはなんかないのか?」
「あ、うん… それほど危ないものとかなさそうだからどれに決まっても平気だよ」
「意見があったら気にせず言えよ?」
「あはは…」
少しだけ困った顔のテルサダを見ながら俺たちは図書室でココノア草とライノットの資料を眺めた後、薬草集めをすることに決めた。みんな…といってもユリアを除いてだが門の外へ出るのが少しだけ嬉しそうだった。まあそれは俺もなんだけどな。
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