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17話 学校の初日とかこんなものじゃないですかね?③
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「おいあれ…」
「ああ、見たことあるなたしかもうじきAランクに上がると言われてる…」
周りから聞こえてきた声でわかったがどうやらこの女性は結構強い相手らしい。新1年生の能力テストに出すにはどう考えても強すぎる相手だ。
「レークイット~ そのお姉さんかなり強いらしいよ!」
「…まじで?」
聞こえてきた声を俺が教えてやるとレークイットは驚いた声を上げた。まあみんなの実力を見るために学校側がいろいろしていてもおかしくないのでこの人にあたった俺らは運が割る方のだろう。
「今年の新入生に強そうなのがいると聞いたのでな。でも…」
青い髪の女性は長剣を構えた。それにならいレークイットも長剣を構える。真っ先に動いたのはレークイットでまずは上段から切りかかる。それをすかさず女性が自分の持つ長剣で対応する。
「振りが大きい!」
レークイットの剣をはじきさらに腰の辺りに打ち込んできた。その動きをしっかりと見つつ女性は少しだけ顔をゆがめる。
「腰が引けている! …うん、この子じゃないな」
「くっ…」
わき腹を押さえながらそれでもレークイットは剣を構え続けた。負けても別に恥ずかしくはないのだが流石にすぐに負けるわけにはいかないといったところだろうか。
「だけど…根性はありそうかなっ」
女性は真っ直ぐ向かったと思ったら右へ飛び、すかさずレークイットの裏にまわる。それに気が付けなかったレークイットは首に長剣を突きつけられた。
「…参りました」
「次のおいで!」
次は確かテトラテッド・シグナリア、自己紹介の時に一番最後だった人だ。彼が得意なのは弓のようで矢じりが外され先にインクが付けられている。あたった場所がわかるようになっているようだ。…まあ3本ほど打ち込んだところで近づかれて終わってしまったが。
「弓だってその場で打ってたらだめでしょっ 次!」
3番目はテルサダ・シマノ、動くことより机に向かうのが好きとか言っていた男の子だ。一応短剣を選び構えている。だがほとんど動くことなく負けてしまった。
「おや、少しは抵抗をしなさい。後2人か…」
ランドール・メリアーノ、トップを目指すとか言っていた人だ。選んだ武器は2種類で長剣と鞭のようだ。中々変わった組み合せだと思う。ランドールは開始直後左手に持っていた鞭を振るった。
「…お?」
女性の剣をもつ手首に鞭が絡み付いている。それを思いっきり引き寄せるつもりなのだろう。鞭を持つ手が力を加えた瞬間女性が逆に前に走り出しランドールは尻餅をついた。もちろんそんな隙を女性が見逃すわけもなく…
「はい、終わり」
間をあっさりと詰められ尻餅をついたランドールの首に正面から剣を突き当てていた。ランドールはしぶしぶ退散した。
「うーん…Sクラスでもこのグループじゃなかったかな。まあ最後の人」
「あ、俺です! 武器選ぶんで少し待ってください~」
女性が声を上げた俺を見て酷くがっかりしている。見た目幼く、女の子に見えなくもない男の子で強そうに見えないからだろう。でも俺だって多少は動ける。これでも近所の子供たちと走り回っていて一番早かったし、じいちゃんに教えられた剣もすごく褒められたこともあった。
「んーこれでいいかな」
俺が選んだ武器は、重さと長さが程よい木の棒だ。いわゆる鈍器というやつである。ちゃんと自分の身長や体格にあっていると思うものを選んだつもりだ。それを軽く振り使い心地を確認している。
「さあかかっておいで」
「あ、お願いします~」
笑顔で挨拶をすると女性の動きが一瞬止まった。隙を見せた本人がそれは悪いだろう。まあなんで止まったのかわからないんだけどね。その次の瞬間女性の目の前の地面に剣が突き刺さる。さっきまで女性が手に持っていた長剣で俺の武器ではない。
「テストとはいえ試験です。気を抜いたら負けですよ?」
「は…っえ?」
俺の鈍器が女性の正面から喉下へ伸びている。その出来事に女性だけじゃなく周りも静かになった。
「…えーと、これじゃだめですかね?」
「…名前は?」
「ディビです」
「ディビ…」
女性はそれだけ言うとすぐに次の人と交代をした。次の冒険者はかなり背の高い男の人で、武器は短剣だった。開始と同時にデビィは背後に回ると、あっという間に首筋に鈍器を当てている。
「お兄さん武器に慣れてないね…もしかして魔法使い?」
「おや、わかるかい?」
見た目だけの人だったようだ、魔法の試験だったらわからないが武器を使用した試験ではこの人はハッタリ的な立ち位置だったのかもしれないな。
勝ち抜き戦なのでまだ後1人残っている。最後は大きな剣を持ったいかにもパワーキャラですみたいな人だった。大きな剣にもかかわらずすばやい振りで俺に一気に切りかかってくる。それを上に跳ぶことで避け、俺は剣の上に着地した。身軽な俺だからこんなこともできる。同じくらいの体格ならそれで武器を押さえつけられるだろうが、俺は軽すぎたのでそのまま剣をもちあげられてしまった。
タンッとその剣を足場にしデビィは軽く跳躍すると、男の頭を飛び越えざまに首を鈍器でたたいた。
わああああああぁぁ…
順番待ちで見ていた生徒達から大きな歓声が上がった。驚きの声が多いが、子供でもやり方次第で大人に勝てる希望を目の前で見たからだろう。
「こりゃまいったね…」
そんな声で湧き上がる中俺はクラスの元へ戻ってきた。真っ先に声を掛けてきたのはレークイットだ。
「ディビ強いな…何か習ってた?」
「んー…まあそんなとこ?」
「だよなー全然俺達と違うし」
まあそれも櫻子の時の記憶なんだがそうだとは言えないので適当に濁すことにした。
俺達はここでのテストが終わったので、次のテスト体術技能の部屋へと場所を確認しながら向かうことになった。
次はどんなことをやらされるのかと少しだけ楽しみになってきたのだった。
「ああ、見たことあるなたしかもうじきAランクに上がると言われてる…」
周りから聞こえてきた声でわかったがどうやらこの女性は結構強い相手らしい。新1年生の能力テストに出すにはどう考えても強すぎる相手だ。
「レークイット~ そのお姉さんかなり強いらしいよ!」
「…まじで?」
聞こえてきた声を俺が教えてやるとレークイットは驚いた声を上げた。まあみんなの実力を見るために学校側がいろいろしていてもおかしくないのでこの人にあたった俺らは運が割る方のだろう。
「今年の新入生に強そうなのがいると聞いたのでな。でも…」
青い髪の女性は長剣を構えた。それにならいレークイットも長剣を構える。真っ先に動いたのはレークイットでまずは上段から切りかかる。それをすかさず女性が自分の持つ長剣で対応する。
「振りが大きい!」
レークイットの剣をはじきさらに腰の辺りに打ち込んできた。その動きをしっかりと見つつ女性は少しだけ顔をゆがめる。
「腰が引けている! …うん、この子じゃないな」
「くっ…」
わき腹を押さえながらそれでもレークイットは剣を構え続けた。負けても別に恥ずかしくはないのだが流石にすぐに負けるわけにはいかないといったところだろうか。
「だけど…根性はありそうかなっ」
女性は真っ直ぐ向かったと思ったら右へ飛び、すかさずレークイットの裏にまわる。それに気が付けなかったレークイットは首に長剣を突きつけられた。
「…参りました」
「次のおいで!」
次は確かテトラテッド・シグナリア、自己紹介の時に一番最後だった人だ。彼が得意なのは弓のようで矢じりが外され先にインクが付けられている。あたった場所がわかるようになっているようだ。…まあ3本ほど打ち込んだところで近づかれて終わってしまったが。
「弓だってその場で打ってたらだめでしょっ 次!」
3番目はテルサダ・シマノ、動くことより机に向かうのが好きとか言っていた男の子だ。一応短剣を選び構えている。だがほとんど動くことなく負けてしまった。
「おや、少しは抵抗をしなさい。後2人か…」
ランドール・メリアーノ、トップを目指すとか言っていた人だ。選んだ武器は2種類で長剣と鞭のようだ。中々変わった組み合せだと思う。ランドールは開始直後左手に持っていた鞭を振るった。
「…お?」
女性の剣をもつ手首に鞭が絡み付いている。それを思いっきり引き寄せるつもりなのだろう。鞭を持つ手が力を加えた瞬間女性が逆に前に走り出しランドールは尻餅をついた。もちろんそんな隙を女性が見逃すわけもなく…
「はい、終わり」
間をあっさりと詰められ尻餅をついたランドールの首に正面から剣を突き当てていた。ランドールはしぶしぶ退散した。
「うーん…Sクラスでもこのグループじゃなかったかな。まあ最後の人」
「あ、俺です! 武器選ぶんで少し待ってください~」
女性が声を上げた俺を見て酷くがっかりしている。見た目幼く、女の子に見えなくもない男の子で強そうに見えないからだろう。でも俺だって多少は動ける。これでも近所の子供たちと走り回っていて一番早かったし、じいちゃんに教えられた剣もすごく褒められたこともあった。
「んーこれでいいかな」
俺が選んだ武器は、重さと長さが程よい木の棒だ。いわゆる鈍器というやつである。ちゃんと自分の身長や体格にあっていると思うものを選んだつもりだ。それを軽く振り使い心地を確認している。
「さあかかっておいで」
「あ、お願いします~」
笑顔で挨拶をすると女性の動きが一瞬止まった。隙を見せた本人がそれは悪いだろう。まあなんで止まったのかわからないんだけどね。その次の瞬間女性の目の前の地面に剣が突き刺さる。さっきまで女性が手に持っていた長剣で俺の武器ではない。
「テストとはいえ試験です。気を抜いたら負けですよ?」
「は…っえ?」
俺の鈍器が女性の正面から喉下へ伸びている。その出来事に女性だけじゃなく周りも静かになった。
「…えーと、これじゃだめですかね?」
「…名前は?」
「ディビです」
「ディビ…」
女性はそれだけ言うとすぐに次の人と交代をした。次の冒険者はかなり背の高い男の人で、武器は短剣だった。開始と同時にデビィは背後に回ると、あっという間に首筋に鈍器を当てている。
「お兄さん武器に慣れてないね…もしかして魔法使い?」
「おや、わかるかい?」
見た目だけの人だったようだ、魔法の試験だったらわからないが武器を使用した試験ではこの人はハッタリ的な立ち位置だったのかもしれないな。
勝ち抜き戦なのでまだ後1人残っている。最後は大きな剣を持ったいかにもパワーキャラですみたいな人だった。大きな剣にもかかわらずすばやい振りで俺に一気に切りかかってくる。それを上に跳ぶことで避け、俺は剣の上に着地した。身軽な俺だからこんなこともできる。同じくらいの体格ならそれで武器を押さえつけられるだろうが、俺は軽すぎたのでそのまま剣をもちあげられてしまった。
タンッとその剣を足場にしデビィは軽く跳躍すると、男の頭を飛び越えざまに首を鈍器でたたいた。
わああああああぁぁ…
順番待ちで見ていた生徒達から大きな歓声が上がった。驚きの声が多いが、子供でもやり方次第で大人に勝てる希望を目の前で見たからだろう。
「こりゃまいったね…」
そんな声で湧き上がる中俺はクラスの元へ戻ってきた。真っ先に声を掛けてきたのはレークイットだ。
「ディビ強いな…何か習ってた?」
「んー…まあそんなとこ?」
「だよなー全然俺達と違うし」
まあそれも櫻子の時の記憶なんだがそうだとは言えないので適当に濁すことにした。
俺達はここでのテストが終わったので、次のテスト体術技能の部屋へと場所を確認しながら向かうことになった。
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