転性とか聞いてない!

れのひと

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15話 学校の初日とかこんなものじゃないですかね?①

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 いつまでも入り口で話し込んでいるとまた誰かがぶつかるかもしれないので、俺達は場所の移動をした。軽く自己紹介を済ませると空いていた一番前の席に並んで座った。

「なあなあ、お前らは自宅通い?寮?」
「わた…いや、俺は寮からだよ」
「私も寮ですね~」

 佐久良 櫻子のころの記憶と混ざりそうになりつつ俺ははあわてて言葉を直した。この姿で女みたいな口調でしゃべったら笑いものにされてしまう。まあ…少しだけ男っぽい顔ではない気もするのだがそこは気にしたらいけない。

「なんだみんな同じか~」

 どうやら3人とも寮通いと言う点において同じだったみたいだ。そんなふうに雑談をしていると先生がやってきた。

「はい、みんなそろったなー」

 席が埋まったか先生は見渡して確認している。

「じゃあまずは自己紹介から始めてもらおうか。先生からいくぞーっ」

 先生は一度姿勢を正すと自己紹介を始めた。

「カース・ガルフォン、見ての通り男だ。姓を持っているがここではただの先生だ気にしないように。基本教養と冒険者技能の担当だ。んーではそっちの窓際から順番に行こうか」

 俺の左横、レークイットのいる列から自己紹介をするらしい。一番乗りにレークイットが立ち上がり自己紹介を始める。

「レークイット・アストーン、剣術が得意だ。よろしくな!」
「アルメリア、父が商人やってます」
「エリーゼ・ライゼン…おわり」
「セルロード・アインベルツ、武術を中心に習いたいと思う」
「ユリア・バレ・マールブランシュです。一応王族だけど気にせず付き合ってもらえると嬉しいです」

 レークイットのいる列の5人の自己紹介が終わり、次はその隣真ん中の列である俺からだ。

「ディビです。動くことは好きです。よろしく」
「ノルンといいます。左のアルメリアと双子です」
「テルサダ・シマノ。動くことより机に向かうことのが好みです」
「スフィードいいます。よろしく~」
「ユグラドナ・ハールセム…」

 順番にこの列の5人の自己紹介が終わる。最後はミシュリアのいる列で終わりだ。

「ミシュリア…です。魔法がすきです」
「リーガラ。友達募集中!」
「ウルトナ・セルメタ、やっと念願のSクラス…今度は進級したいです!」
「ランドール・メリアーノ、トップを狙います」
「テトラテッド・シグナリアだ。よろしく頼む」

 これで全員簡単な自己紹介が終わった。それほど人数のいないクラスとはいえ一度に覚えるのは大変そうだ。

「みんななかよくなーっ特に新入生じゃない4人。誰とは言わないが、もめるなよ?」

 それだけ言うと教室の前においてある大きなボードに先生が向かってこっちに背を向けた。どうやら何か文字を書いているみたいだ。



 今日の予定

・時計の配布、説明
・ステータスボード作成
・能力テスト
・各教科見学


「はい、今日はこれだけのことが終われば終了だ。明日から各学科にわかれてもらう。毎日最初の教科は基本教養だからこの教室に来るように」

 簡単に今日の予定を説明すると小さな箱を配りだした。これが最初に書いてある時計なのだろう。4人ほど時計を渡されなかった人がいるがすでにもっているからなんだろうね。

「箱を開けてくれ。それが時計な。普段時間を気にせず生活していたと思うが、これからは時間というものを理解し、気にしながら過ごしてもらうこととなる」

 俺は箱から早速時計を取り出した。形としては腕時計だろか…数字が書かれ針がついた円盤上のものにベルトが付いている。櫻子の知識と少し違うところは書かれている数字が10までというところだろう。

「まずはそれを腕に付けてくれ。そうすると勝手に本人の魔力を使用し、時間をあわせてくれるぞ。」

 次々と周りの生徒達は時計を腕にはめ始める、するといろんな声が上がり始めた。驚いたり感心したりする声だ。俺も同じように時計をはめそれをじっと眺めている。ぐるぐると針が回ったかと思うとその針が突然止まる。多分時間があわせられたのだろう。

 全員が時計を付けたのを確認すると時間の説明が始まった。共通して時間を理解するために、学校の行動時間に合わせて作られたものだそうで、卒業後もいろんな場所でそのまま使われているものだと説明が入る。時計の針が刺す短い針が時間をあらわし、たとえば今だと短い針が1長い針が6を刺していて、1の6時と読む。
 そして1日の教科を受ける時間が1~4時その数字を刺すまでに、各教室へ集まることになるそうだ。

「時計の読み方がわからなかったら後で聞きにきてくれ。次へ進むぞー」

 次はステータスボード作りだ。金属でできたはがきサイズの板が配られた。まだ何も書かれていない。どうやらこれを使って作られるもののようだ。

「簡単に説明するとその板に魔力を流すとステータスが表示される。魔力の流し方がわからないやつはいるかー?まあ、時計が機能している時点で魔力が動いているから、手に持っていれば勝手にそのうち表示されるけどな~」

 生徒達はボードを手に取りにらめっこを始めた。俺もそれにならいボードを手に取り眺めた。

(魔力か…流すってくらいだから血液の流れみたいなやつかな…)

 血液の流れを意識した俺の体が薄っすらと光った。するとだんだんボードに文字が現れてくる。俺は目の前のことに夢中で周りが見えていなかったみたいだ。両サイドが俺を見ながら戸惑ったような声を上げている。

「す、すごい魔力です~…」
「こいつ魔法が得意なのか」

 目の前のボードを眺めていた俺は2人の言葉の内容までは頭に入っておらずただじっと完成したステータスボードへと視線を落としていた。



 名前 ディビーノ・バレ・マールブランシュ
 年齢 10歳
 性別 男
 職業 無し
 特性 オートチャーム
    『無意識に笑顔や眼力で相手を魅了する。』
 特技 家事全般、園芸
 称号 縁の下の力持ち、転生者、酒豪
 戦力 A +
    『身体能力A。魔法能力B+。』
スキル 言語理解A。道具理解S。



(ディビーノ・バレ・マールブランシュ…あれ?どこかで聞いた姓がついているんだが、これはもしかして俺の記憶のヒントになるんじゃないか? んでたしかこれって…)

 そもそも今まで呼ばれていた名前と全然違う名前が表示されていることに俺は驚いていた。魔力を通して表示されたステータスボード、もちろんこれが正しい名前になるわけなのだが…

(いやいやいや…王族とかないわ…)

 俺はチラリと左後ろに視線を向けた。その視線の先にはユリア・バレ・マールブランシュがつまらなそうに頬杖をついていた。
 
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