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5.5話
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薄暗い王城の一室。椅子に腰掛ける私は扉の傍に立つメイドであるサリアの言葉を待つ。サリアは言葉を選びつつゆっくりと口を開いた。
「はい、間違いありません。ステータスボードにて確認をいたしました」
「そうか…今後どうするかを検討するとしよう」
私がが合図をするとサリアは静かに扉から出ていった。室内は私1人となり、独り言をぼそりとつぶやいた。顎にある髭をもて遊びながら今後のことについて思案する。
「転生者…か。さて、どうするべきか……」
***
ベッドに腰掛けた私はペンダントを説明書に変えた。説明書のページを開き目次を確認する。
(うーん。全部見るのはやっぱ面倒だよね…)
すでに知っている家族構成や自分のこと国の名前などはもういいのでそれは省き、あとは王族、貴族、平民という項目だけであるのだがまだ幼い体もあり眠気に耐えられそうもない。全部を読むのには時間も体力も足りないのだ。
(今日は王族のとこだけでいいかな…)
王族についてのページを開き読んで見ることに決めた私は早速そのページを開き読み始めた。
王族とは王国を治めている一族のことである。王族には一般的に知られている王族の情報と王族でもほんの数人しか知られていない情報があり、この国でもいくつか隠されている情報があった。この説明書を読んでいる本人にかかわる秘密にされている情報を1つ教えておくとしようか。
『転生者』は国だけでなくその世界に影響を起こす存在となりえるため、王族にその人物が現れた場合その国で匿わず、広い世界に出し発展に役立てよとされている。だがそれが必ずしも守られることがあるわけではないので要注意だ。そして王族として大人しくしていたいものは『転生者』ということは明かさないほうがいいだろう。
(あー…うん。もう手遅れだわね…すでに4人に知られているし)
発展に役立たせる方法は国によってさまざまで、そのまま自由にさせることもあれば記憶を消し王族ではない生活をさせられることもある。後は国から情報を絞り取られる場合もあるだろう。この場合本人は廃人となってしまうことが多いので相手の出方を吟味しなければならない。ゆえに王族以外の『転生者』は基本自分から明かすこともないだろう。明かした場合は廃人しか道がないのだから。
全部を読み終わりため息をつく。
(う~ん…口止めしてないからきっと報告とかされちゃってるかな…まあ私の口止めで止まるかわからないけど)
考えても仕方がないと思った私はペンを手に取った。説明書のページはなぜか厚さはそれほど無いのにページがいつまでも終わらない仕様になっているようで、裏のほうは白紙が続いている。それを利用しこれからここに日記を書いていこうと思う。記憶を消された場合の対策だ。実際どうなるのはわからないがやらないよりはいいだろう。目次にも日記と自分ですぐわかるように書いておく。もちろんすべて日本語で、だ。
これからの日々は常に警戒しつつ生活することになると思うと私は少し気が重くなった。
「はい、間違いありません。ステータスボードにて確認をいたしました」
「そうか…今後どうするかを検討するとしよう」
私がが合図をするとサリアは静かに扉から出ていった。室内は私1人となり、独り言をぼそりとつぶやいた。顎にある髭をもて遊びながら今後のことについて思案する。
「転生者…か。さて、どうするべきか……」
***
ベッドに腰掛けた私はペンダントを説明書に変えた。説明書のページを開き目次を確認する。
(うーん。全部見るのはやっぱ面倒だよね…)
すでに知っている家族構成や自分のこと国の名前などはもういいのでそれは省き、あとは王族、貴族、平民という項目だけであるのだがまだ幼い体もあり眠気に耐えられそうもない。全部を読むのには時間も体力も足りないのだ。
(今日は王族のとこだけでいいかな…)
王族についてのページを開き読んで見ることに決めた私は早速そのページを開き読み始めた。
王族とは王国を治めている一族のことである。王族には一般的に知られている王族の情報と王族でもほんの数人しか知られていない情報があり、この国でもいくつか隠されている情報があった。この説明書を読んでいる本人にかかわる秘密にされている情報を1つ教えておくとしようか。
『転生者』は国だけでなくその世界に影響を起こす存在となりえるため、王族にその人物が現れた場合その国で匿わず、広い世界に出し発展に役立てよとされている。だがそれが必ずしも守られることがあるわけではないので要注意だ。そして王族として大人しくしていたいものは『転生者』ということは明かさないほうがいいだろう。
(あー…うん。もう手遅れだわね…すでに4人に知られているし)
発展に役立たせる方法は国によってさまざまで、そのまま自由にさせることもあれば記憶を消し王族ではない生活をさせられることもある。後は国から情報を絞り取られる場合もあるだろう。この場合本人は廃人となってしまうことが多いので相手の出方を吟味しなければならない。ゆえに王族以外の『転生者』は基本自分から明かすこともないだろう。明かした場合は廃人しか道がないのだから。
全部を読み終わりため息をつく。
(う~ん…口止めしてないからきっと報告とかされちゃってるかな…まあ私の口止めで止まるかわからないけど)
考えても仕方がないと思った私はペンを手に取った。説明書のページはなぜか厚さはそれほど無いのにページがいつまでも終わらない仕様になっているようで、裏のほうは白紙が続いている。それを利用しこれからここに日記を書いていこうと思う。記憶を消された場合の対策だ。実際どうなるのはわからないがやらないよりはいいだろう。目次にも日記と自分ですぐわかるように書いておく。もちろんすべて日本語で、だ。
これからの日々は常に警戒しつつ生活することになると思うと私は少し気が重くなった。
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