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1章 由雄と健太の夏休み
第180話 とあるダンジョンマスターの記憶5
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少しの間寝ていたようだ。体を起こし画面に表示されている様子を見るといつのまにか少女は7階層へと足を運んでいた。これは寝すぎたかもしれない…俺は慌てて体を起こすと転送装置を利用して8階層へと足を運ぶことにした。
長いことダンジョンに挑む人がいなかったので8階以降のチェックが甘くなっているのだ。急いで直接確認を取っておかなければなるまい。
地図の確認魔物の初期配置それらが間違っていないかどうか…まあここは地図と言っても草木が生い茂る場所で特に区切られていないからさほど難しくはない。ただ問題があるとすればボスが見つけにくいってことくらいか…まあそのくらいは簡便してもらおうか。見つけさえすればさほど難しくはないはず。ただ多少は恥ずかしい思いはするかもだが、少女は一人パーティだ。誰にも聞かれることはないのだから恥ずかしいこともないか。あーしいて言えば俺が聞いているってくらいか。まあそもそも一度もあったこともないうえに俺の存在がばれていないのだから問題はないだろう。
「…っと調節はこんなもんか?」
無理に戦闘しようとしなければ危険も少ないこの階層。ボスさえ見つければあっという間に9階層へいけるだろう。いよいよ大詰めだな。初めて攻略者が出るのか…楽しみでありさみしくもあるもんだな。そして俺は次のダンジョンの管理へとランクアップするわけだ。そうなると流石に攻略者も増えるだろうし忙しくなりそうだ。
「ミンナミンナキエテシマエバイイ!!」
「や…っ 何?」
「ヤサシイフリナンテツライダケ…ハジメカラワタシノコトナンテッ!!」
「やめてぇぇぇ~~~っ」
しまった…少女がいつの間にかこの階層へと来ているようだ。少し遠くからだが少女と魔物の声が聞こえてくる。一度物陰に隠れてやり過ごすか…といってもここには隠れられるほど大きな木などはない。どっちからやってくる…?
だんだんと足音が近づいてくる…早くこの場からさらないといけない。入り口は右だから左から回って逃げよう。俺はすぐさま走り出した。
「あ、待って…待ってくださーい」
「…っち」
だが少し遅かったようだ。少女の視界に俺はすでに入ってしまっていた。それでも逃げるしかないので俺は走った。走って走ってそして…捕まった。少女が俺に馬乗りになっている。
「はぁ…はぁ…はじ、初めて…っ 人に、会いましたぁ~ なんで逃げるんですか?」
初めから逃げられるわけがなかった。見つかった時点ですでに終わっていたんだ。こんなところに引きこもっている俺が普段から動き回っている人たちにかなうわけがなかったのだ。こんな少女ですら俺より走るのは早いのだからな。
「は…っ はははははっ」
「何がおかしいんですか??」
年だけは取ったがそれだけではだめなこともあるってことだ。もう笑うしかないな。
「あの~~?」
「いや何でもない」
「えーと私はレイノアール。あなたの名前は?」
「名前か…しばらく呼ばれていなかったからなすっかり忘れてしまったよ」
「ん~? 忘れてしまったんですか…じゃあここで何をしていたんですか?」
変な子だな…ダンジョンにいたら基本ダンジョンの攻略をしているもの以外に普通はないだろうにな。
「お前と同じだ」
「うそです」
「…なぜだ?」
「武器何も持っていませんよね。それに軽装すぎます」
お前に言われたくない…とは本人には言えないな。相変わらずの白いスク水に外套という服装だ。十分軽装だと思うんだがな。まあ布をスポッと被っただけの俺の服装が狩りをするのに向いていないことぐらいはわかってはいるさ。でも楽なんだから許せ。
「あー…まああれだ。ここの管理者ってやつだな」
「…ということはあなたを倒せば攻略完了ですか?」
「は…?」
何物騒なこと言っているんだこの子は!! というか武器を構えるのをやめなさいっ
「そんなことをしたら制御がきかなくなるぞっ」
「違うんですか…がっかりです」
「ちゃんと10階層まで行ってくれ…」
「そうします…ところで、ダンジョンの管理とか楽しいんですか??」
「…退屈な仕事だよ」
「ふむ…人が来なければ仕事もないですよね。納得です」
久々の会話でつい言わんでもいいことまで口が滑ってしまいそうだ。早くこの場を去ったほうがいいな。
「でも…私はそれがうらやましい」
立ちあがって立ち去ろうとするとそんな言葉が聞こえてきた。魔物がさっき口にしていた言葉から予想するとあまりいい環境にはいなかったと思われる。だからと言って俺にはどうすることも出来ないんだがね。
長いことダンジョンに挑む人がいなかったので8階以降のチェックが甘くなっているのだ。急いで直接確認を取っておかなければなるまい。
地図の確認魔物の初期配置それらが間違っていないかどうか…まあここは地図と言っても草木が生い茂る場所で特に区切られていないからさほど難しくはない。ただ問題があるとすればボスが見つけにくいってことくらいか…まあそのくらいは簡便してもらおうか。見つけさえすればさほど難しくはないはず。ただ多少は恥ずかしい思いはするかもだが、少女は一人パーティだ。誰にも聞かれることはないのだから恥ずかしいこともないか。あーしいて言えば俺が聞いているってくらいか。まあそもそも一度もあったこともないうえに俺の存在がばれていないのだから問題はないだろう。
「…っと調節はこんなもんか?」
無理に戦闘しようとしなければ危険も少ないこの階層。ボスさえ見つければあっという間に9階層へいけるだろう。いよいよ大詰めだな。初めて攻略者が出るのか…楽しみでありさみしくもあるもんだな。そして俺は次のダンジョンの管理へとランクアップするわけだ。そうなると流石に攻略者も増えるだろうし忙しくなりそうだ。
「ミンナミンナキエテシマエバイイ!!」
「や…っ 何?」
「ヤサシイフリナンテツライダケ…ハジメカラワタシノコトナンテッ!!」
「やめてぇぇぇ~~~っ」
しまった…少女がいつの間にかこの階層へと来ているようだ。少し遠くからだが少女と魔物の声が聞こえてくる。一度物陰に隠れてやり過ごすか…といってもここには隠れられるほど大きな木などはない。どっちからやってくる…?
だんだんと足音が近づいてくる…早くこの場からさらないといけない。入り口は右だから左から回って逃げよう。俺はすぐさま走り出した。
「あ、待って…待ってくださーい」
「…っち」
だが少し遅かったようだ。少女の視界に俺はすでに入ってしまっていた。それでも逃げるしかないので俺は走った。走って走ってそして…捕まった。少女が俺に馬乗りになっている。
「はぁ…はぁ…はじ、初めて…っ 人に、会いましたぁ~ なんで逃げるんですか?」
初めから逃げられるわけがなかった。見つかった時点ですでに終わっていたんだ。こんなところに引きこもっている俺が普段から動き回っている人たちにかなうわけがなかったのだ。こんな少女ですら俺より走るのは早いのだからな。
「は…っ はははははっ」
「何がおかしいんですか??」
年だけは取ったがそれだけではだめなこともあるってことだ。もう笑うしかないな。
「あの~~?」
「いや何でもない」
「えーと私はレイノアール。あなたの名前は?」
「名前か…しばらく呼ばれていなかったからなすっかり忘れてしまったよ」
「ん~? 忘れてしまったんですか…じゃあここで何をしていたんですか?」
変な子だな…ダンジョンにいたら基本ダンジョンの攻略をしているもの以外に普通はないだろうにな。
「お前と同じだ」
「うそです」
「…なぜだ?」
「武器何も持っていませんよね。それに軽装すぎます」
お前に言われたくない…とは本人には言えないな。相変わらずの白いスク水に外套という服装だ。十分軽装だと思うんだがな。まあ布をスポッと被っただけの俺の服装が狩りをするのに向いていないことぐらいはわかってはいるさ。でも楽なんだから許せ。
「あー…まああれだ。ここの管理者ってやつだな」
「…ということはあなたを倒せば攻略完了ですか?」
「は…?」
何物騒なこと言っているんだこの子は!! というか武器を構えるのをやめなさいっ
「そんなことをしたら制御がきかなくなるぞっ」
「違うんですか…がっかりです」
「ちゃんと10階層まで行ってくれ…」
「そうします…ところで、ダンジョンの管理とか楽しいんですか??」
「…退屈な仕事だよ」
「ふむ…人が来なければ仕事もないですよね。納得です」
久々の会話でつい言わんでもいいことまで口が滑ってしまいそうだ。早くこの場を去ったほうがいいな。
「でも…私はそれがうらやましい」
立ちあがって立ち去ろうとするとそんな言葉が聞こえてきた。魔物がさっき口にしていた言葉から予想するとあまりいい環境にはいなかったと思われる。だからと言って俺にはどうすることも出来ないんだがね。
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