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1章 由雄と健太の夏休み

第165話 綱引き

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 とりあえずアイテムのことは置いておき、ボスをどうするかを考えないといけないだろう。

「誰かロープ持っていないか?」
「5階層の時に持ってきたままのならあるけど、それほど長くないよ?」

 そう口を開いたのはミネだった。というか持っていたのなら出してくれればいいのにな。ポーチの中から引っ張り出されたロープは2m弱くらいの長さでどうにか縛り付け5人で引っ張ることが出来る長さのぎりぎりだった。

「なんだよ、あるならよっすー達探しにいかなくてよかったのになっ」
「すっかり忘れてたのよね鞄から出しておくの。だから持ってたことも忘れてたし」
「あったなら、それで、試そう?」
「そうだな…ところであのボス流石に移動とかしてないよな?」
「いや~それはないでしょうっ」
「あったら困りますね」

 俺の言葉にみんなは否定的だったが、用心するのに越したことはない。でかいボスに突然会うのほど驚くものはないんだからな。俺たちはさっき見つけたボスがいる場所へと再び向かうことにした。途中にいるマンドラゴラは無視してたまにいる変な魔物を処理していく。そしてボスは最初にいた場所にそのまま地面に植わっていたのだった。

「ほら、ちゃんといるじゃない」
「ああ移動してなくてよかったよ。移動できるってことは自力で這い出して来るってことだからな」
「じゃあ早速ロープで縛るぞーってか俺がやっていいか?」

 ちゃんと縛れれば誰がやってもいいかなぜか健太やりたそうにこちらを見ている。

「別に誰がやってもいいんじゃないか?」
「おっしじゃあ俺が縛るなっ でもさぁ~」

 鼻歌交じりでロープを結びつけながら健太が何かを思いついたらしく口を開く。

「このでかいのもボスとはいえマンドラゴラだろう?」
「まあ…そうだな」
「マント装備したらはい出てきたりしないのか?」
「…え、いやどうだろう」

 そういえば今までボスに効果があるかは確認していなかった気がする。もちろん同じならってことが前提なのだが、その辺はどうなんだろうか?

「ひとまず引き抜けなかったらやってみるか」
「そうだな~っとこんなもんでいいかな」

 マンドラゴラにロープを結びつけ終わり一度軽く引っ張り強度を確認する。根元近くに縛られたこともありスポッと抜けることななさそうだし、縛り目も簡単にはほどけそうもないことを調べると俺達はそれぞれロープをつかんだ。

「よし…じゃあ引いてくれ」
「よしきたーってか綱引きみたいだな!!」

 綱を引いているなら綱引きで間違ってはいないと思うぞ。運動会などでやる綱引きとは違うけどな。それから俺達は思いっきりマンドラゴラと綱引きをしたが地面から抜けることはなかった。

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