上 下
127 / 243
1章 由雄と健太の夏休み

第127話 タコ殴れ!

しおりを挟む
 先ずはもう一度健太にマントを装備してもらった。さっきここで処理をしている間には向かってきていなかったからだ。その状態で角から覗き込むがこっちへ来る様子はない。それを確認した後少しづつ進み1匹だけ釣ろうと試みる。すると一番手前側にいた鎧が動き出し健太目掛けて走ってきた。すぐさま健太に角まで戻ってもらい俺達はそこでその1匹をタコ殴りにする。どうやらこの狩り方なら何とか倒して進めそうだ。
 それからははっきり行って作業だった。1匹づつ釣ってきて倒す。ただこれだけの仕事。途中からはロープの両端を持って転ばせてからタコ殴ると言うものに変わってきた。この方が楽だったからだ。そんな感じで通路の右端に並んでいた鎧をすべて倒した。多分…10体くらいいたと思う。

 ひとまず見えるところに鎧がいなくなったので俺達は通路を進んでマップを埋め始める。所々に扉みたいなものがあるのだが、取っ手を引っ張っても押しても開かない。どうやらただの装飾的なものだったみたいだ。

 通路はそのまま真っ直ぐ進むと再び左へ曲がるところにたどり着いた。地図で確認すると外側をぐるっと右側が埋まっている。曲がり角も2箇所しかなかったのだから同然だろう。
 念のため角からそっとその先を眺めると再び鎧が右側の壁に沢山並んでいた。

「また鎧がいるな…」
「うへぇ…ただ逃げ回って殴るだけって、地味に疲れるんだが」

 そりゃそうだ。今までだとボス以外はそれほど時間もかからず倒せていたんだから、それを時間かけてこの数狩れば5人いても疲れは出てくる。

「今日は、終わろう?」

 リノが健太の盾を指差している。ああ、そういえば壊れたんだったな。これは盾の防御力も上げておいたほうがよさそうだ。それにこの先まだ厳しくなるかもだからみんなの装備ももっと防御力を上げておくべきだろう。

 と言うことで俺達はタッチパネルのところまで戻ると今日は解散することになった。

「よっすー今日も鱗集めにいくのか?」
「もちろんそのつもりだけど」
「んじゃ今日は俺も行こうかな。そのほうが早く集まるだろう?」
「あーじゃあ今日は泊まりか。ちゃんと言ってからこいよー」
「おけーぃ」

 プレハブの前で健太と別れると俺は家に戻り健太が今日は泊まることを親に言っておく。その後少しすると健太が再びやってきて一緒にゲームとかして時間をつぶし夕食と風呂を済ませ、またプレハブの地下へと降りていった。

 健太は今日は自分でちゃんと長めの棒を用意してきたみたいで、それぞれ少しだけ離れた水溜りで棒を振り回す作業を始めた。あまり近くでやると叩きつける音で隣の水溜りの魔物が出なくなるからこれは仕方が無いのだ。現に一度リノがしでかしているしな。そして10分ほどすると健太が飽きたといってその場に座り込んでぼんやりとしている。
 それからさらに30分ほど俺は続けているがその途中にはまた健太が再開していた。すると今日もまた3人の男達がこっちのほうへと向かって来た。昨日見た人達だ。先ずはちらりと俺を見た後すぐに視線を健太へと向け、昨日俺を見たのと同じようにじろじろと見た後ぼそぼそと会話をして帰っていった。その間健太がまったく気がつかず作業をしていてくれたおかげで無事だったことに胸を撫で下ろす。気がついていたら健太から突っかかりそうだから少し不安だったんだよな。
 この後ひとまず健太の盾の分と後もう1人分集まったので俺達は引き上げ、合成などは明日の朝ダンジョンに入る前にやることにして帰って寝ることにした。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...