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1章 由雄と健太の夏休み
第92話 いよいよ半分
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無事ボス戦を終え俺達の目の前には宝箱が5つ並んでいた。最初に来ていた通りちゃんと人数分でていてひとまずほっと胸を撫で下ろす。これで大してダメージを与えられなかった健太や俺の分がなかったらやってられんとこだったわ。
「私先に選んでもいい??」
「ん、ああ誰からでもいいよな」
ミネがどうやら先に宝を選びたいらしく宝箱の前をうろうろとしている。健太もファーナさんも別にいいみたいでお互い頷いていた。それを確認したミネは真ん中の箱を選んで開けた。そのまま続けてリノはその左隣を選ぶ。残りは俺達3人の分なのだが、健太が手を伸ばそうとしたところでファーナさんが一気に3つとも開けマジックバックにしまった。
「私達このまま次の階層見にいくのでここで失礼しますね」
「ん、そうなの?」
「ああ…まあそうだな。もう一回ここのボス倒せといわれても無理だからな」
毎回そうだったのでもちろん問題はないのだが、ファーナさんが妙に急いでいるのが気になるな。
「そう…じゃあまた、ね。ファーナ・エレノワール?」
「あれ?エレノアールって…」
リノの言葉にミネが反応したがそれすら無視してファーナさんはさっさと階層を移動してしまった。それに続いて俺達も軽く挨拶をするとタッチパネルからすぐに5階層へと進んだ。するとさっきまで暗いところだったのがいきなり明るくなり、俺は軽く目を瞑る。
「……空?」
その閉じた目を薄っすらと開け周りを見ると青い空と白い雲しか見えなかった。と、思ったとたんおなかの辺りがゾワリとした。あの落下感を感じたってことなんだが…
「うわああああーーーっ!?」
落ちていく視界には俺よりも上のほうでゆっくりと落ちてくる健太。どうやらマントのおかげでフワフワと浮きながら降下しているみたいだ。そして落ちている途中で何かが俺に捕まってきた。
「ファ、ファーナさんっ」
俺のほうが重いから先にいったファーナさんに追いついたみたいだ。でもこのまま落ちたら俺達はただじゃすまないだろう。しかも2人分の重さだ。さっきよりも落ちる速度が上がっている。もちろん俺だってこんな状況に冷静に頭を働かせているわけではなく、頭を働かせないとこのまま地面に激突だ。必死にファーナさんが掴まっているのを見た俺はリュックの中から『浮遊10』になったババントの羽を取り出して何かに『合成』しようと周りを見る。気軽に付けられるものが周りにないがとにかく何かに使わないとこのまま俺とファーナさんは大変なことになる。もちろん大変で済ませられない惨状だ。
「ええーいっ『合成』!!」
選んでいられる余裕も時間もなかった俺はそのまま手に持っていた杖に『浮遊10』を『合成』してしまった。一瞬カクンッと速度が落ち、俺とファーナさんはその杖のおかげでゆっくりと降下していくのだった。
「あ~~これでこの杖で殴るのは無理になったな…これからどうしようか」
今後のことを考えると俺はため息しか出ないのであった。
「私先に選んでもいい??」
「ん、ああ誰からでもいいよな」
ミネがどうやら先に宝を選びたいらしく宝箱の前をうろうろとしている。健太もファーナさんも別にいいみたいでお互い頷いていた。それを確認したミネは真ん中の箱を選んで開けた。そのまま続けてリノはその左隣を選ぶ。残りは俺達3人の分なのだが、健太が手を伸ばそうとしたところでファーナさんが一気に3つとも開けマジックバックにしまった。
「私達このまま次の階層見にいくのでここで失礼しますね」
「ん、そうなの?」
「ああ…まあそうだな。もう一回ここのボス倒せといわれても無理だからな」
毎回そうだったのでもちろん問題はないのだが、ファーナさんが妙に急いでいるのが気になるな。
「そう…じゃあまた、ね。ファーナ・エレノワール?」
「あれ?エレノアールって…」
リノの言葉にミネが反応したがそれすら無視してファーナさんはさっさと階層を移動してしまった。それに続いて俺達も軽く挨拶をするとタッチパネルからすぐに5階層へと進んだ。するとさっきまで暗いところだったのがいきなり明るくなり、俺は軽く目を瞑る。
「……空?」
その閉じた目を薄っすらと開け周りを見ると青い空と白い雲しか見えなかった。と、思ったとたんおなかの辺りがゾワリとした。あの落下感を感じたってことなんだが…
「うわああああーーーっ!?」
落ちていく視界には俺よりも上のほうでゆっくりと落ちてくる健太。どうやらマントのおかげでフワフワと浮きながら降下しているみたいだ。そして落ちている途中で何かが俺に捕まってきた。
「ファ、ファーナさんっ」
俺のほうが重いから先にいったファーナさんに追いついたみたいだ。でもこのまま落ちたら俺達はただじゃすまないだろう。しかも2人分の重さだ。さっきよりも落ちる速度が上がっている。もちろん俺だってこんな状況に冷静に頭を働かせているわけではなく、頭を働かせないとこのまま地面に激突だ。必死にファーナさんが掴まっているのを見た俺はリュックの中から『浮遊10』になったババントの羽を取り出して何かに『合成』しようと周りを見る。気軽に付けられるものが周りにないがとにかく何かに使わないとこのまま俺とファーナさんは大変なことになる。もちろん大変で済ませられない惨状だ。
「ええーいっ『合成』!!」
選んでいられる余裕も時間もなかった俺はそのまま手に持っていた杖に『浮遊10』を『合成』してしまった。一瞬カクンッと速度が落ち、俺とファーナさんはその杖のおかげでゆっくりと降下していくのだった。
「あ~~これでこの杖で殴るのは無理になったな…これからどうしようか」
今後のことを考えると俺はため息しか出ないのであった。
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