7 / 13
7.いつもと違う(妹視点)
しおりを挟む
いつもと同じ明るいお日様の光が差し込む朝、いつもと同じようにいつもと同じ人が私の身支度を整える。ありがたいけれどたまには自分で着替えくらいはしてみたいとたまに思う。
いつもと同じ人に連れらえていつもと同じ食堂のいつもと同じ自分の席へとつく。顔をあげれば視界に入るのはいつもと同じ代わり映えのない顔ぶれ。父様、母様、兄上…
「…アルム兄さまは?」
いつもとは違いアルム兄さまがそこにはいなかった。昨日誕生日を迎え、初めてのスキルを披露してくれたアルム兄さま…昼食や夕食時に全員がそろわないことはよくあるけれど、理由もなく朝食にいない人がいたことは一度も無かったから。
「しばらく家には帰ってこない」
「そうなのですか? 昨日ご本を読んでいただけなかったので残念です」
父様はそれだけ言うとまだ途中だというのに食事を切り上げ、執事のイルスを連れて部屋を出ていった。何なのでしょうか? それに1…2…数え間違えでないのならメイドの数が足りません。他の仕事でこの部屋にいない場合もありますが、朝食時にはいつも同じ人数がいました。
どう考えてもおかしいのです。私も食事を切り上げ、急いで父様の後を追いました。もちろんすでに廊下に姿は見えませんが、行き先はきっと執務室なのです。
「父様の執務室へ向かいます」
「お仕事をしていらっしゃると思いますが」
「中には入らないので問題ないのです」
いつもくっついてくるメイドがやはり今日もついてきています。なので丁度いいと私は道案内を頼みます。ちょっと呆れたような顔をしていましたがどうでもいいです。歩き出したメイドの後をついて進みます。もちろん執務室までの行き方は知っています。私はメイドに仕事を与えているのです。けっして覚えてないわけではありませんったらありません。
父様の執務室の前に到着しました。もちろん突撃したりはしません。父様はお仕事をしているはずなので。なので私はすぐ隣の部屋へと足を踏み入れます。これはいつものことなのです。所謂日課というやつなのですね。暇さえあればこうやってこの部屋へと来て壁に耳を当てています。これは私にとっては仕事のようなもの。家の中の情報収集を行っているだけなのです。なのでもちろん後で厨房の隣の部屋へ行って夕食もチェックなのですよ。でも1つだけ問題があります。
「…が、……のです?」
「アルムか…か、……ない」
そうなのです。壁越しなのではっきりと聞こえないのが問題なのです。だけど今アルム兄さまの話が出ました。もっとしっかりと聞かなければ。
「レイナス…で………しょう…」
「…かた……」
よく聞こえません…ですが、レイナスと言ったらレイナス大森林のことですよね?
「ゴミスキル…いらな……うか?」
「………が」
よくわかりませんね。そもそも今耳にした話が全てアルム兄さまのことかどうかもわかりません。もし違うとすれば…まあそれでもわかりませんけれど。もしすべてアルム兄さまの話だとした場合はどうでしょうか? レイナス大森林、ゴミスキル…とりあえずはこの2つのことについて調べてみたほうがよさそうです。
「書庫へ向かいます」
またメイドに仕事を与える私はとても良い子なのです。
書庫へ向かうと早速レイナス大森林について書かれている本を探しました。そして驚きました。それほど多くはない本の数の中に2冊もあったのですから。ちなみにスキルについては3冊ほど見つけております。机へ運んでもらい本のページをめくっていきます。1冊目は大森林の場所とそれにまつわる物語のようでした。ええ、本くらい自分で読めますよ? 兄さまに読んでいただいていたのは、兄さまの声を聞いていたかったからですし。読んでいただいているといつもより近くにもいられるのです。話がそれました。もう1冊を手に取ります。こちらは…大森林の調査についてまとめたもののようですね。4つの国でそれぞれの場所からの調査…生息している植物や動物、そして…
「魔獣がいるのですか?」
大勢で歩くのは森林は向いていない。だけど魔獣がいるから少人数だと苦戦する強さを確認したと書かれています。奥へ向かうほど魔獣が強くなっていき途中で調査が終了…調べ切れていないのです。アルム兄さまと関係がないのならまた調査でも始めるのでしょうか?
次はスキルの本をみましょう。1冊目はスキルの入手と系統について。スキルは10歳で必ず誰もが1つは手に入れるという誰もが知っていること。もちろんこれは私も知っています。私は9歳なのでもうじきもらえますね。それとは別に手に入れる方法があるみたいです。例えば仕事でひたすら手紙などを書いていたら【速記】というスキルを手に入れたなどの報告ですか。系統は【強化スキル】【技スキル】【魔法スキル】【特殊スキル】大きく分けて4つみたいです。上の兄さまのスキルは【強化スキル】です。アルム兄さまは…【特殊スキル】ですかね? 私は何が手に入るのか今から楽しみです。2冊目は家柄別お勧めスキル。3冊目は家柄別不人気スキル…ですか。ゴミと言うくらいですから不人気スキルの方を見て見ましょう。スキル名で調べられるみたいですね。アルム兄さまのスキルは…ありません。おすすめスキルの方も見て見ますがありませんね。なぜでしょうか?
不思議ですね。調べ物をしたら余計によくわからなくなってしまいました。でもこの調子でまだまだ情報集めをいたします。せっかくなのでアルム兄さまが帰ってくるよりも先に私がアルム兄さまの元へと行ってやるのです。
いつもと同じ人に連れらえていつもと同じ食堂のいつもと同じ自分の席へとつく。顔をあげれば視界に入るのはいつもと同じ代わり映えのない顔ぶれ。父様、母様、兄上…
「…アルム兄さまは?」
いつもとは違いアルム兄さまがそこにはいなかった。昨日誕生日を迎え、初めてのスキルを披露してくれたアルム兄さま…昼食や夕食時に全員がそろわないことはよくあるけれど、理由もなく朝食にいない人がいたことは一度も無かったから。
「しばらく家には帰ってこない」
「そうなのですか? 昨日ご本を読んでいただけなかったので残念です」
父様はそれだけ言うとまだ途中だというのに食事を切り上げ、執事のイルスを連れて部屋を出ていった。何なのでしょうか? それに1…2…数え間違えでないのならメイドの数が足りません。他の仕事でこの部屋にいない場合もありますが、朝食時にはいつも同じ人数がいました。
どう考えてもおかしいのです。私も食事を切り上げ、急いで父様の後を追いました。もちろんすでに廊下に姿は見えませんが、行き先はきっと執務室なのです。
「父様の執務室へ向かいます」
「お仕事をしていらっしゃると思いますが」
「中には入らないので問題ないのです」
いつもくっついてくるメイドがやはり今日もついてきています。なので丁度いいと私は道案内を頼みます。ちょっと呆れたような顔をしていましたがどうでもいいです。歩き出したメイドの後をついて進みます。もちろん執務室までの行き方は知っています。私はメイドに仕事を与えているのです。けっして覚えてないわけではありませんったらありません。
父様の執務室の前に到着しました。もちろん突撃したりはしません。父様はお仕事をしているはずなので。なので私はすぐ隣の部屋へと足を踏み入れます。これはいつものことなのです。所謂日課というやつなのですね。暇さえあればこうやってこの部屋へと来て壁に耳を当てています。これは私にとっては仕事のようなもの。家の中の情報収集を行っているだけなのです。なのでもちろん後で厨房の隣の部屋へ行って夕食もチェックなのですよ。でも1つだけ問題があります。
「…が、……のです?」
「アルムか…か、……ない」
そうなのです。壁越しなのではっきりと聞こえないのが問題なのです。だけど今アルム兄さまの話が出ました。もっとしっかりと聞かなければ。
「レイナス…で………しょう…」
「…かた……」
よく聞こえません…ですが、レイナスと言ったらレイナス大森林のことですよね?
「ゴミスキル…いらな……うか?」
「………が」
よくわかりませんね。そもそも今耳にした話が全てアルム兄さまのことかどうかもわかりません。もし違うとすれば…まあそれでもわかりませんけれど。もしすべてアルム兄さまの話だとした場合はどうでしょうか? レイナス大森林、ゴミスキル…とりあえずはこの2つのことについて調べてみたほうがよさそうです。
「書庫へ向かいます」
またメイドに仕事を与える私はとても良い子なのです。
書庫へ向かうと早速レイナス大森林について書かれている本を探しました。そして驚きました。それほど多くはない本の数の中に2冊もあったのですから。ちなみにスキルについては3冊ほど見つけております。机へ運んでもらい本のページをめくっていきます。1冊目は大森林の場所とそれにまつわる物語のようでした。ええ、本くらい自分で読めますよ? 兄さまに読んでいただいていたのは、兄さまの声を聞いていたかったからですし。読んでいただいているといつもより近くにもいられるのです。話がそれました。もう1冊を手に取ります。こちらは…大森林の調査についてまとめたもののようですね。4つの国でそれぞれの場所からの調査…生息している植物や動物、そして…
「魔獣がいるのですか?」
大勢で歩くのは森林は向いていない。だけど魔獣がいるから少人数だと苦戦する強さを確認したと書かれています。奥へ向かうほど魔獣が強くなっていき途中で調査が終了…調べ切れていないのです。アルム兄さまと関係がないのならまた調査でも始めるのでしょうか?
次はスキルの本をみましょう。1冊目はスキルの入手と系統について。スキルは10歳で必ず誰もが1つは手に入れるという誰もが知っていること。もちろんこれは私も知っています。私は9歳なのでもうじきもらえますね。それとは別に手に入れる方法があるみたいです。例えば仕事でひたすら手紙などを書いていたら【速記】というスキルを手に入れたなどの報告ですか。系統は【強化スキル】【技スキル】【魔法スキル】【特殊スキル】大きく分けて4つみたいです。上の兄さまのスキルは【強化スキル】です。アルム兄さまは…【特殊スキル】ですかね? 私は何が手に入るのか今から楽しみです。2冊目は家柄別お勧めスキル。3冊目は家柄別不人気スキル…ですか。ゴミと言うくらいですから不人気スキルの方を見て見ましょう。スキル名で調べられるみたいですね。アルム兄さまのスキルは…ありません。おすすめスキルの方も見て見ますがありませんね。なぜでしょうか?
不思議ですね。調べ物をしたら余計によくわからなくなってしまいました。でもこの調子でまだまだ情報集めをいたします。せっかくなのでアルム兄さまが帰ってくるよりも先に私がアルム兄さまの元へと行ってやるのです。
10
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
強奪系触手おじさん
兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
無人島ほのぼのサバイバル ~最強の高校生、S級美少女達と無人島に遭難したので本気出す~
絢乃
ファンタジー
【ストレスフリーの無人島生活】
修学旅行中の事故により、無人島での生活を余儀なくされる俺。
仲間はスクールカースト最上位の美少女3人組。
俺たちの漂着した無人島は決してイージーモードではない。
巨大なイノシシやワニなど、獰猛な動物がたくさん棲息している。
普通の人間なら勝つのはまず不可能だろう。
だが、俺は普通の人間とはほんの少しだけ違っていて――。
キノコを焼き、皮をなめし、魚を捌いて、土器を作る。
過酷なはずの大自然を満喫しながら、日本へ戻る方法を模索する。
美少女たちと楽しく生き抜く無人島サバイバル物語。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
転生特典:錬金術師スキルを習得しました!
雪月 夜狐
ファンタジー
ブラック企業で働く平凡なサラリーマン・佐藤優馬は、ある日突然異世界に転生する。
目を覚ますと、そこは見知らぬ森の中。彼に与えられたのは、「錬金術師」としてのスキルと、手持ちのレシピブック。
素材を組み合わせてアイテムを作る能力を持った優馬は、錬金術を駆使して日々の生活を切り開いていく。
そんな彼のもとに集まったのは、精霊の力を持つエルフの少女・リリア、白くフワフワの毛並みを持つ精霊獣・コハク。彼らは王都を拠点にしながら、異世界に潜む脅威と向き合い、冒険と日常を繰り返す。
精霊の力を狙う謎の勢力、そして自然に異変をもたらす黒い霧の存在――。異世界の危機に立ち向かう中で、仲間との絆と友情を深めていく優馬たちは、過酷な試練を乗り越え、少しずつ成長していく。
彼らの日々は、精霊と対話し、魔物と戦う激しい冒険ばかりではない。旅の合間には、仲間と共に料理を楽しんだり、王都の市場を散策して珍しい食材を見つけたりと、ほのぼのとした時間も大切にしている。美味しいご飯を囲むひととき、精霊たちと心を通わせる瞬間――その一つ一つが、彼らの力の源になる。
錬金術と精霊魔法が織りなす異世界冒険ファンタジー。戦いと日常が交錯する物語の中で、優馬たちはどんな未来を掴むのか。
他作品の詳細はこちら:
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/270920526】
これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる