学園の天使と前髪重めな僕

出会い

「瑠依くんってさ、すっごいブサイクだよね！」とこちらを向きながら言ってきたのは僕の幼馴染である花鳥風月(はなとりふうか)だ。
「なんで、そんなこと言うの？」と僕は子供ながら泣きたい気持ちを抑えて聞く。
「なぁに？ホントのこと言って悪いの？」と彼女は悪びれもせずに言ってくる。


その様子に耐えきれず
僕は、逃げ出した。
昨日までは仲良く接してくれたのにいきなりそんなことを言われ、僕は風月の呼び止める声を無視して保育所から駆け出していく。
保育士の呼び止める声がする。いつもなら直ぐに言われた通りにするが、僕はその声をも無視して逃げ出した。
そして門を出た瞬間僕の体にすごく強い衝撃が走る。
体がばらばらになりそうな痛みを抱えながら数メートルも吹っ飛ばされ、ガードレールにぶつかる。
そうして僕は意識を失った。










あれから僕は高校生になった。
あの事故は運良く後遺症がなく、数週間入院した程度ですんだ。
しかし事故よりもあの日言われたこともあり僕の醜顔を極力見せないように髪をのばしている。


僕が歩いていると「いやー進学先一緒だとは思わなかったよ」と僕に話しかけてくるのは友達の早瀬川純(はやせがわじゅん)だ。
僕が醜い顔をしているのを知って僕に関わってくれる優しい奴だ。そんなことを考えていると後ろから走ってくる音がする
「彼女置いてくのはどうなのよ！」と純の後ろから走ってくるのは純の彼女の柊結珠(ひいらぎゆず)だ。
「悪い悪い、つい瑠依が見えたから」と結珠に申し訳なさそうに言う。
「まぁ良いわ、それじゃ、瑠依も一緒に入学式行きましょ！」と言い、僕達は教室に向かうのだった。




そうして教室に入り席に座ろうとすると僕の席の隣には、
人の視線を釘付けにするような、全てを吸い込むような黒色の髪
白くてモチモチしてそうな頬
しかしそれまでとは対称に凄くささやかな体をしている人がいた。
あまりかかわりたくなかったが、その隣は僕なので仕方なくその人の隣を通ろうとするとその人が話しかけてくる。
「あっ！隣の席の人？私、東雲玲乃って言うの、よろしくね？」と言ってくる。
僕はぶっきらぼうに「よろしく」と言い、席に着くと人が話しかけにくいように持ってきていた本を読み始める。

そうしていると先生が入ってくる。
その人は明らかな体育会系で見た目と同じ全てを根性で乗り越えろとかいう奴だった。
僕はこれからの学校生活が少し億劫になるのだった。



そうして、体育館に行き恒例行事の眠たくなる校長の話、それが終わったかと思うと知らない偉そうな服装のおっさんの話が始まり僕は限界まで眠気を我慢するのだった。


入学式が終わり、先生の話もようやく終わったところで僕が帰ろうとするとそこには純と結珠がいた。


僕が教室からでると、近寄ってきて
「「友達できた？」」と言ってくる。
僕は「2人同時に言うなよ」と言い、「できたと思うんだったら飯おごってくれ」と言うと
純は「よし、帰るか」と言い僕達は帰路につくのだった。