上 下
19 / 137
第一章 異世界スローライフ開始

第十九話 攻撃開始!

しおりを挟む


 日が沈んだ平原。夜になれば月明かりが照らしてくれるのだが、今夜は黒雲に覆われていて、真っ暗も同然であった。
 それでも肉眼で分かるくらいに、それは動いている。群れを成して一直線に進んでいる。その先に見えるのは――フレッド王都。
 魔物の大群となれば、間違いなく驚異だ。
 たとえ中型以下の魔物しかおらず、ギルドが全力で対策を整えたとしても、人々に恐怖や不安を与えてしまうことは避けられない。
 ――そこに颯爽と勇者が現れ、華麗に魔物を蹴散らせばどうなるか。
 そう考えたマーカスは、丘の上で進軍する魔物たちを見下ろしながら、ニヤつきが止まらないでいた。

「クックックッ、もうすぐだ……もうすぐ俺は、かつての輝きを取り戻せる!」

 マーカスは両手を広げ、暗い夜空を見上げながら高らかに叫ぶ。

「俺がこの手で魔物を倒し、王都を救った英雄になる! そうすれば、父上が俺に言い渡した勘当を取り消すに違いない! そしてリトルバーン家の跡取りの座を確固たるモノとし、将来バラ色の道が開けるのだ! ハーッハッハッハッ!!」

 まだ始まってもいないのに、既に結果が出たと思い込んでいるマーカス。そこに後ろから、一人分の足音が聞こえてきた。
 マーカスが振り返ると、つい先日引き込んだ新たな仲間の姿があった。

「よぉ、ヴァネッサ」

 ニヤついた笑みとともにマーカスが振り返る。

「お前も分かっているとは思うが、この俺様に感謝するんだぞ? なんたってお前に新たな力を与えたのは、この俺様なのだからな。もしお前が望むなら、俺様の未来の夫人候補にしてやってもいいんだぜ?」

 気持ちよさげに自分の世界に浸るマーカスは、ヴァネッサがその腰に携える、禍々しい装飾を施した剣をスッと抜いたことに気づかない。

「何を黙ってる? ははーん、さてはこの俺に照れて……ぐぅっ!?」

 ズッ――という鈍い音と、マーカスの呻き声が重なる。
 腹に感じる、痛さを通り越した鋭さと熱さ。腹から何かが引き抜かれ、その衝撃で体の中から熱い何かが噴き出す。
 それらを全て理解できたのは、地面に倒れた瞬間であった。
 力を振り絞ってなんとか見上げると、黒い飛び散った液体が大量に付着させ、冷たい目で見下ろしてくるヴァネッサの姿があった。

「あなたのくだらない英雄ごっこに付き合う気はないわ。邪魔だから消えなさい」

 そう言いながらヴァネッサは剣を振りかぶる。その瞬間、黒い雲に隠れていた月が姿を見せた。
 マーカスは言葉が出なかった。恐怖と混乱と絶望が渦を巻き、もはや何も考えることができない。
 ヴァネッサはクスッと笑みを浮かべ――

「さようなら」

 そう一言だけ告げ、力を抜くように剣を振り下ろした。


 ◇ ◇ ◇


 街門を出た平原に冒険者たちは集まっていた。
 アヤメも魔法剣士として、デュークやダン、ケニーと同じ前衛の場にいたが、その表情はどこか残念そうであった。

「ご不満か?」

 デュークがアヤメに話しかける。

「仕方ないだろう。ギルドマスターがミナヅキに別の用事を頼んだらしいからな。しかもフィリーネ様も関わってるって話だ。尚更断れんだろう?」
「そんなこと分かってるわよ。その上で不満に思ってるの」
「さいで」

 堂々と不満を認めるアヤメに、デュークも敵わんなと言わんばかりに笑う。
 ミナヅキがこの緊急クエストに参加しないと通達されてから、ずっとアヤメはこの調子なのだった。癇癪の一つでも起こすと思われたが、普通に号令に従ってここまできた。そのことについては周囲も少しばかり驚いていた。
 アヤメも少しは自覚しているらしく、ここにきてようやく諦めを込めた、深いため息をつく。

「まぁ確かに、四の五の言っても仕方ないわね。私が思いっきり戦うところを見せるのは、また今度の機会にしておくわ」
「やっと納得してくれたか……んじゃせめて、これを持ってけ」

 デュークがアイテムボックスから、液体の入った瓶を一つ取り出し、それをアヤメに差し出した。

「特性ポーションだ。お守り代わりにはなるだろ」
「え、そんなのもらっちゃっていいの?」
「俺が買った物でもないからな。上質ポーションならまだ結構あるし」
「そう? じゃあ遠慮なく」

 戸惑いながらもアヤメは、デュークから瓶を受け取った。するとそこに、斧を担いだ大柄な男がニヤついた笑みとともに話しかける。

「おいおいデューク、いくら年下と言えど、人妻を口説くのはやめとけや」
「違うっての。冒険者の先輩として、親切にしてやっただけだ」
「自分で親切なんて言うかよ……お前らしいけど」

 そう言いながらデュークはその冒険者とともに去っていく。残されたアヤメは、もらった瓶をジッと見つめていた。
 瓶の形は調合者によって違うことが多く、その形はアヤメにとっても凄く見覚えのあるモノであった。

(……これ、工房でミナヅキがあげた、最上級ポーションじゃない?)

 なんとなくそんな気がしてならなかった。そう考えると、この瓶詰めされた液体の正体が気になって仕方がない。
 鑑定すればすぐに分かるのだろうが、残念ながらアヤメにその能力はない。

(ベアトリスさんにでも見てもらおうかしら?)

 確か彼女も鑑定能力も持っていたハズだと、アヤメが思ったその瞬間――

「来たぞー、魔物の大群だあぁーっ!!」

 とある男の冒険者の掛け声が平原に響き渡った。
 砂煙を立てて突進してくる大群は、徐々に近づいてきているのが分かる。それぞれが武器を構え、臨戦態勢を整えていく。もはやこうなっては、呑気に後方へ確認に行くことはできない。

(まぁ良いわ。そんなことよりも……)

 持っていた瓶をしまい、アヤメは新しくもらった短剣を抜いて構える。

(これが私にとって、初めてとなる大きな戦い。存分に暴れさせてもらうわよ!)

 アヤメが表情を引き締める。それとほぼ同時に、ダンが皆の先頭に立つ。
 剣を高らかに掲げ――それを前方に思いっきり振り下ろした。

「攻撃開始!」
『おおおおおぉぉぉぉーーーーーっ!!』

 ダンの掛け声に、前衛の冒険者たちが一斉に走り出す。
 一ヶ所に固まらぬよう、自然といくつかのグループにばらける形で、魔物たちを誘導しながら切りかかっていく。
 魔物たちの先頭は、剣や斧を手に持つゴブリンであった。同じく武器を持つ先頭の冒険者と、武器同士でぶつかり合うのだが――

「ぐっ、このゴブリン、力が強いぞ!」
「油断するな! こいつらは皆、普通の魔物ではない!」

 目の前に広がる光景にダンの叫びが相まって、冒険者たちに緊張を走らせる。
 見た目は冒険者なら誰しも戦ったことがある魔物。しかしその中身は全く別物。何をどう仕掛けてくるか分からなくなった。
 デュークやダンなど、それなりに修羅場を潜り抜け、実績を得ている者ならまだしも、まだ駆け出しを卒業したばかりの冒険者は、予想とは違う光景に戸惑いを浮かべる者が多かった。
 早くも少し冒険者側が崩れてきた。そう思われた時だった。

「はあっ!」

 ――ちゅどおおぉーーんっ!
 襲われかけていた冒険者の目の前で、数匹の魔物たちが爆発で吹き飛ばされる。同時に颯爽と前に出てきたのはアヤメであった。

「今のうちに立って! まだまだわんさか来るわよ!」
「は、はいっ!」

 冒険者の返事を聞いたアヤメは、そのまま思いっきり地を蹴った。
 ゴブリンが武器を振り上げている隙に短剣で切り裂く。そして炎の魔法を弾丸として放ち、一匹の魔物をその後ろでウロついていた魔物ごと吹き飛ばす。更にその隙をついて突進してきたイノシシ型の魔物の突進を、アヤメは咄嗟に飛んで躱しつつ魔法を放った。
 ――どおおぉーーん!
 上手くイノシシ型の魔物の足元で爆発が起き、その巨体は吹き飛ばされる。ちょうどその場に駆けつけたダンにより、見事仕留められた。

「へぇ、アヤメの嬢ちゃんも、なかなかやってくれるじゃねぇの!」

 魔物が絶命したことを確認し、ダンはアヤメがいた方向を見る。
 彼女は既に次のターゲットに向かって走り出していた。激しい動きを繰り返していながらも、決して無理をしている様子はなく、自分のこなせるペースをちゃんとわきまえている。
 アヤメが冒険者登録をして、まだ数ヶ月しか経っていないと聞いていた。この短い期間であそこまで鍛えたのかと、ダンは驚きを隠せなかった。
 そしてそんな彼女の姿に、ケニーも目を見開いていた。

(アヤメさんはかなり腕を上げている。俺だって……!)

 ケニーが剣を握る手に力を込める。ちょうど目の前には、真正面に突っ込んでくる斧を持ったゴブリンの姿。
 ――ここで一つ、成果を作る。
 その気持ちがケニーを勢いよく走り出させた。
 しかしそれは、立派な焦りでもあった。故に周囲の状況を読み切れておらず、脇から飛び出してくる魔物の存在まで頭が回っていなかった。

「ぐわぁっ!?」

 イノシシの魔物が突進してきていた。防御する術もなく、ケニーは思いっきり吹き飛ばされてしまう。
 衝撃で持っていた剣を手放し、ゴロゴロと転がる。ようやく止まり、なんとか立ち上がろうと見上げると、ゴブリンが斧を振りかぶってきていた。

「ケニー!」

 それに気づいたダンが叫ぶが、時すでに遅し。体の痛みと恐怖で動けず、ケニーは頭が真っ白になっていた。
 ――もうダメだ。
 そんな言葉が頭を過ぎったその瞬間――目の前で爆発が起こった。

「えっ?」

 一瞬、ケニーは何が起こったのかよく分からなかった。
 斧を持ったゴブリンが、黒焦げ状態で倒れていく。爆発に巻き込まれたのか、傍でケニーを吹き飛ばしたイノシシの魔物も、横倒し状態でもがいていた。

「たーまやー、ってね」

 どこか呑気そうな女性の声とともに、誰かが歩いてくる。ケニーが呆然とした表情で見上げると、爆弾をボールのように弄びながら、ベアトリスが周囲の様子を伺っていた。
 そして――

「ふっ!」

 また一つ、爆弾を投げる。突進してきていたイノシシの魔物の眉間に当たり、大きな爆発を起こした。
 そしてベアトリスは、未だ呆然と座っているケニーを見下ろす。

「大丈夫かい? ほら、ポーション!」

 ベアトリスはアイテムボックスからポーションを取り出し、ケニーに投げる。

「あまり出来は良くないかもだけど、回復できないよりかはマシでしょ?」
「ど、どうも……」

 戸惑いながらもケニーは立ち上がる。それを見たベアトリスは、大丈夫そうだと判断し笑顔になる。

「さぁ、もうひと踏ん張りだよ。騎士ならもっとカッコイイとこ見せてよね」

 それだけ言い残して、ベアトリスは去っていく。
 爆弾を取り出しては投げつけ、そしてポーションを差し出しては華麗に去る。そんな支援と攻撃を兼ね備えた美人の存在に、他の冒険者たちもポヤーッとしながら姿を追っていた。
 ベアトリスのファンと化したケニーは、またしても動きが止まっていた。
 ちなみにここは立派な戦場である。故にその姿を見つけたダンは――

「テメェ、ケニー! 何そんなとこでボサッとしてやがる!」

 当然の如く、凄まじい形相で怒鳴りつけるのだった。

「王宮騎士がみっともねぇマネ晒してんじゃねぇ! さっさと動きやがれや!」
「す、すみませぇーんっ!」

 ケニーは急いでポーションを飲み干し、傍に落ちていた剣を拾って走る。
 体は軽くなっていた。さっきまで痛かったのがウソのようだった。それは他の冒険者たち数人も同じであり、互いに無言で笑い、頷き合った。
 気持ちは繋がった。ベアトリスに助けられた者同士、手を取り合って戦おうじゃないかと。
 傍から見れば、冒険者と王宮騎士が協力して戦っている姿に他ならない。ダンもその様子を見てフッと笑っていたが、無論彼らの内面など知る由もない。

「おーい、誰か向こうからこっちに歩いてくるぞ!」

 冒険者の男がそう叫んだ。魔物の討伐に区切りをつけつつ、皆が東側――つまり魔物が攻めてきた方向を見ると、確かに人影らしき姿が見えていた。

「誰かしら? 暗くてよく見えないわね」
「油断は禁物だよアヤメ。あの騎士さんみたく、吹き飛ばされないでよ?」

 ベアトリスにそう忠告されたアヤメは、クスッと笑いながら言う。

「えぇ、そーゆーベアトリスさんも、自分の爆弾で吹き飛ばされないようにね」
「そっちこそ、この天才錬金術師サマを見損なわないでもらえるかな」
「それはゴメンなさい」

 二人は笑い合い、和やかな空気を漂わせつつも、前方の注意は決して怠らない。
 やがてその人影が近づき、肉眼でも確認できるようになったその時――

「あれはまさか……マーカスか?」

 デュークが目を見開きながら呟いた瞬間、マーカスらしき人物が顔を上げる。その目は真っ赤に染まり、鋭く不気味に光っていたのだった。


しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

アメイジング・ナイト ―王女と騎士の35日―

碧井夢夏
ファンタジー
たったひとりの王位継承者として毎日見合いの日々を送る第一王女のレナは、人気小説で読んだ主人公に憧れ、モデルになった外国人騎士を護衛に雇うことを決める。 騎士は、黒い髪にグレーがかった瞳を持つ東洋人の血を引く能力者で、小説とは違い金の亡者だった。 主従関係、身分の差、特殊能力など、ファンタジー要素有。舞台は中世~近代ヨーロッパがモデルのオリジナル。話が進むにつれて恋愛濃度が上がります。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

処理中です...