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第四章 闇の女神
4-26 第四章エピローグ
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「本当に無茶をするんですから」
アイルは今、説教されている。
記憶によれば、ここはエレノアの寝室だったはずだ。調度品や壁の装飾などは、エレノアの病床を見舞って約束をした日と変わっていない。
「そうねえ、アイルちゃんは難しいことを考えるのが苦手だものねえ」
説教しているのは二人、かたやアイルはたった一人。
固い床の上に正座させられた上で、大きな身体を小さくしながら黙って怒られている。
「前に魔女ダイアと戦った時に、あれを使ってしばらく意識不明になったのを忘れてしまったのですか? もし攻撃に失敗してあなたが行動不能になったらどうするつもりだったのか問い詰めたい所ですが、どうせ後のことなんて考えてなかったでしょうしね」
説教役の片割れは長い銀色の髪を腰のあたりまで伸ばした貴族然とした若い女性で、おっとりしているような表情の中にも厳しさを兼ね備えた顔つきをしている。
「あら、もしアイルちゃんが意識を失ってしまったら、柔らかくて気持ちいい膝枕か胸枕で目覚めるまで待ってあげるつもりだったけどお?」
もう一人は、真っ黒なローブを着た女性で、先程までアイルが戦っていた魔女ヘレンである。こちらは説教というよりも、面白そうだから首を突っ込んでいるといった調子ではあるが。
「ヘレンさんはどうしてそう破廉恥なのですか! まあそれはともかく実際ヘレンさんはアイルを殺す気なんかなかったでしょう?」
「当たり前じゃない。アイルちゃんを私の手で殺したら契約解除になっちゃうもの。だけど一生身動きできなくするとかなら出来たかもじゃない? でもあんな技であっさり決着がついちゃったのは納得いかないわ」
「エレノア……」
ため息を吐きつつアイルは銀髪の女性をそう呼んだ。
「あ、そうですね。本題に戻りましょう。アイル、私との約束を守ってくれてありがとうと言いたいけれど、もうちょっと自分の身体を大事にしてちょうだい」
エレノアと呼ばれた若い女性は困った顔でアイルに告げた。
「ま、あたしも倒したんだからこれで約束コンプリート。よかったじゃなあい?」
横のヘレンがうるさいが、とにかく魔女をすべて討ち果たすことは出来たのだ。アイルも満足げな微笑みで返す。
「で、こうして会えたのは嬉しいけど、もしかしてこのまま私と一緒に行こうとか考えてないでしょうね? 確かにずっと待ってるとは言ったけどこんな形で一緒に行くのは嫌よ?」
図星をつかれてたじろぐアイル。
頼まれた魔女の討伐は終わった。
あの頃の姿のエレノアに再会できた。
これ以上、永遠とも言える生を送る理由がどこにもない。
ヘレンは先程から意味深な微笑みを崩さないし、エレノアは困った顔のままだ。
「そう……やっぱりね。ミュウさんとの約束はちゃんと果たしたのかしら?」
エレノアの目がすっと細くなる。
ミュウとの約束? なんだっけ?
「酷い人ねえ。私を殺してまで助けてあげたいと思ったくせに、あなたがここでいなくなっちゃったら残されたミュウちゃんが可哀想じゃない」
ヘレンがやれやれといった調子でため息を吐く。
そう言われると言葉に詰まるアイル。もとから無口ではあるが。
「というわけで。ミュウちゃんとの約束を果たすまで、一緒に来ることは許しません。ほらほら早く起きなさい」
「そうよお。私だって、ようやくアイルちゃんと一緒にいる方法を思いついたんだから、早く起きてえ」
二人にせっつかれて、エレノアの寝室を追い出される。
「エレノア……」
「ええ、いつまでも待ってるわ」
アイルを送り出すエレノアの顔は晴れ晴れとした笑顔に満ちていた。
バタンと寝室の扉を閉めて、エレノアは『ほう』と一つため息を吐く。
「で、ヘレンさんはいつまでこちらに? アイルが再びここに来るまでには相当長い年月がかかると思いますけど」
ちゃっかりテーブルに用意してあったお茶を啜って優雅に座るヘレンに振り向く。
「それがねえ、私の未練やら執着やらの塊がまだあっちに残ってるのよねえ。あれがアイルちゃんと一緒にここに来るまで私も逝けないわけ」
ティーカップを置いたヘレンは両手を上げてまいったような仕草をする。
生者がこの世に残した未練などが強く、それを残したまま死ぬと、そのエネルギーが凝り固まって人に害を為す存在として留まってしまうなどという説があるが、あながち間違いでも無いのかも知れない。
「あのハンサム君が未練だらけの女の子に取り憑かれたのを見て思いついちゃったのよねえ。そしたらまんまと上手くいっちゃったから、アイルちゃんが死ぬまであたしの未練も一緒に向こうに居続けることになっちゃったわけ。おかげでしばらくここにいなくちゃならなくなったから、長い付き合いになるかもだけど、よろしくねえ」
そう言ってヘレンはニコリと笑う。
「はあ……仕方のない人ですね。まあ、私も人のことは言えませんけど。待っていると約束した以上はいつまででもここで待ち続けます。では改めてよろしくお願いしますね」
エレノアは仕方無さそうに笑顔を返すのだった。
──────────────────
「ミュウ様、マスターが目覚めました」
なんとなく懐かしい無機質な声が耳朶を撫でる。
「やっとですか、どれだけ待たせるんですか。本当にしょうがない人ですね」
「まあ、目覚めたんだからいいじゃないか。誰よりもそれを待っていたくせに、ほんとにミュウちゃんは素直じゃないね」
「うるさいです。今の私は最強の女神ですから瞬殺しますよ」
「待って、待って、冗談だから怒らないで。クラリスもそこで本気にならないで」
やかましくも心地良いやり取りが自分の左右で繰り広げられる。
それにしても胸の辺りがやけに重たい。何かが乗っかっているようだと感じつつも、まだなんとなくアイルはぼんやりしていた。
「お二方ともそれぐらいに、マスターはしばらく眠っていたためにまだ本調子ではないようです」
八号の声のようだが、どうやら胸の辺りからその声が聞こえるらしく、もしかして自分に乗っかっているのは八号なのではないかという推測を立てるアイル。
少し頭もはっきりしてきて目を開ける。
予想通り、胸にもたれかかるようにして乗っていたのは八号だった。
が、様子がおかしい。
「おはようございますマスター。このようなお見苦しい格好での再会をお詫び申し上げますが、マレーダー様でないと修復が出来ないために、このような形でお邪魔しております。なお、上に乗らせていただいているのはトルマ様の強いご希望を実現した結果となります」
冷静かつ単調な言葉に苦笑しそうになるが、それよりも見るも無残な八号の姿に切ない想いのほうが湧き上がってきた。
聞けば、アイルが意識を失っている間にエルがここまで八号を運んできて、魔力だけはミュウが充填することが出来たが散らばった装甲をすべて集めることは出来ず、なんとか顔だけは元の可愛らしい顔に戻すのが精一杯だったらしい。
身体は無骨な金属が剥き出しとなっていて、そのうえ四肢で無事なのは右腕だけで左腕は完全に無くなっていて、両脚も膝から下が無いという状態だった。
アイルは思わず八号を抱きしめようとしたが、まだ右腕が思ったように動かず歯がゆい気分になる。左腕の鎧もうまく機能しない。
「まだ動こうとしないほうがいいです。アイルさんは半年眠っていたのですよ? エルさんと連絡を取るのも苦労しました。ここから動くわけにはいかないし、どうしようかと思った時にヘレンから受け継いだ能力の一つに伝書鳥があったのを思い出しましてエルさんに伝言を飛ばしたのです。そしたらエルさんが泣きながら八号をここまで背負ってきてくれたんです。私には治し方まではわからず魔力だけを注いで終わりだったんですけどね」
ミュウの言葉にアイルは絶句する。
夢の中でエレノアと再会していたのはほんの一時だったような気がするが、実際にはそれほど長い間寝ていたらしい。
「その顔は信じていない顔ですね。では伝書鳥を実際に使ってみせましょう」
ミュウはそんなことを言い出して、部屋から出ていった。
しばらくして、窓から胴体も嘴も真っ黒な鳥が入ってきて、アイルの枕元に止まる。
『人が助けに来なくていいとあれほど念じていたのに、本当にアイルさんにも少し人の心を読む能力を身につけていただきたいものです。頼まれごとを断らないのも最初は喋れないせいで断れないのかと思ったら、アイルさんの性格が原因じゃないですか。三文字以上話せるようになったのに、まだ断ってる場面を一度も見たことがないですよ。お節介にもほどがあります。私はアイルさん達を見限って、あの領主に協力して、アイルさんが助けようとした魔女を殺そうとしたんですよ? それに、私のせいで腕まで失って……。本当に馬鹿なんじゃないでしょうか』
鳥が口を開いたと思えば、延々とミュウの文句が流れ始めた。
これには一緒に聞いていたエルも苦笑する。
『ヘレンと戦ったときだって、あれ一か八かの賭けだったのでしょう? いつもそうですけど、後先を考えないで行動しすぎですよ。私あのとき動けなかったですけど、意識はちゃんとあったんですから。まあヘレンがそもそもアイルさんを殺すわけがないので、その点は安心してましたけど』
これいつまで続くんだ? とうんざりし始めたところで鳥が黙った。
ようやく目覚めのお説教も終わりか、と安堵したところで、また嘴が開いた。
『それと……その……まあ……助けに来てくれたのは…………嬉しかったです。だから……ええと…………』
急にたどたどしくなる。
『あ……ありがとうございました。それと、初めてこの目ではっきりと見たアイルさんは、その……』
そこまで言って、黒い鳥がまた黙る。
数秒おいて、また嘴が開く。
『その……思ったよりも格好よかった……です……』
今度こそ黒い鳥はその場でかき消えた。
エルはたまらず吹き出した。
「これはまた……えらく遠回しなお礼と告白だねえ」
「はい。最初のお小言はすべて照れ隠しのようなものだと推測します。考えるに伝書鳥を疑っているわけでもないマスターに無理やり難癖をつけて、使ってみせましょうなどと言いながら別室で一生懸命に言葉を吹き込んでいるミュウ様を想像すると非常に奥ゆかしい何かを感じます。トルマ様から非常に生暖かい気持ちが流れ込んできました」
八号が無表情に抑揚のない声で解説するせいで、余計におかしくなり、今度はアイルも一緒に笑った。
思えば、おかしくて笑うなどいつ以来のことだっただろうか、もしかしたら人間になって初めてかも知れないと感じながら。
それからは、アイルが徐々に動けるようになり、リハビリのために身体を動かしたりしつつも、まずはこの廃都を出てルミとリミの村まで移動しようということになる。
「ついに、ついにですよ。ついにこの私専用の椅子に座ることが出来ました!」
ミュウは超ご機嫌である。
「それにこの目で見る景色というのはなんて美しいんでしょう。見る物すべてが愛おしいです!」
移動時にアイルの左肩に乗るのが定番となったミュウの希望で作った鎧の左肩部分の椅子だったが、実は作って以来、乗る機会がなかったのである。
ついに乗ることが出来た喜びと、己の肉眼で数十年ぶりに景色を見ることが出来た喜びも合わさって今までに見たこともないほどに高揚している。
しかし、山道を歩く一行の様子を見る者がいたら、なんとも微妙な気分になったであろう。
左腕のみが重厚な金属鎧となっている鎧をつけた男が、その左肩に拵えられた椅子に少女を座らせて歩いている。
そしてその男は背中にほとんど壊れた人形を背負い、腰には大きな剣をぶら下げている。
隣を歩く軽装の男が少しはなにか負担したほうがいいのではないかと思えるほどにアンバランスだ。
「いやあ、城までハチゴーちゃんを背負っていったけど、本当に大変だったよ。あんなに重たいとは思わなかった。なんでもなさそうに背負ってるアイルさんはやっぱり凄いね」
「女性に重いというのは失礼です。まあ、金属の塊なので否定はしませんが」
「私が羽のように軽いから大丈夫です。それにしてもあのベッドにあった枕を持ってきて正解でした。最高の座り心地ですよ」
「トルマ様も乗ってみたいそうです」
「ではダナンに帰ったら……」
急にミュウが言葉を閉ざす。
「どうなさいました?」
アイルも怪訝な顔で左肩を見る。
「あ、いえなんでもありません。ダナンに帰ったら乗せてあげますとも」
乗せるのはミュウじゃなくて俺なんだが……という長い台詞を言えるわけでもないアイルはただ黙っていた。
「それよりも、そろそろ喋ったらどうですか? ヘレンさん」
ミュウが口を尖らせたために二人は驚いて立ち止まった。
「ヘレンだって? あの魔女は死んだんじゃないのかい!?」
エルが警戒して剣の柄に手を伸ばす。
「ヘレンが言ってたじゃないですか、そちらのクラリスさん? あ、初めましてですね、いまさらですけど。エルさんとクラリスさんの様子をこっそり見ていたヘレンが良いことを思いついたらしいですよ。それで想像がつきませんか?」
まさか……と、思わずアイルは腰の剣に視線を向ける。
『へへー、バレてたかー。どもー、アイルちゃん半年ぶり。クラリスちゃんの真似してあたしもアイルちゃんの剣に宿ってみたんだけど、どーお? あ、エルっち、あたしが元魔女なんだからこっちを魔剣ヘレンにして、あんたのは聖女っぽいクラリンのイメージで聖剣クラリスにしなさいよ』
唐突に剣が喋りだした。
ヘレンの声で。
声がするたびに柄にいつの間にかはめ込まれていた赤い宝石が光るのが微妙にうざい。
「ああ、まあ、聖剣クラリスはいい響きだけど。正直驚いたなあ」
エルが感想を述べている間にもアイルは腰から剣を抜いて今にも捨てようとしている。
『待って。アイルちゃん待って。あたしを捨てたらミュウちゃんが困るわよ?』
聞き捨てならない台詞にアイルの手が止まる。
「そういうことなんです」
驚いたことにミュウも同意した。
『これは予想してなかったんだけど、あたしがこんな形で現世に留まっちゃったから、ミュウちゃんに引き継がれたあたしの力のトリガーみたいな存在になっちゃったのよ。だからミュウちゃんが元々持っていた物以外を発動しようとしたら、あたしが傍にいないと駄目なの』
なんということだ。と、アイルは思わず顔をしかめる。
『わ、私のせいじゃないわよ? 私はただ、こうすればアイルちゃんたちの旅にお供してずっと一緒にいられるーって思っただけだし、私が本当の意味で死ぬのはアイルちゃんが死ぬときだからもう生涯を共にする夫婦と言ってもいいぐらい? あ、でも正妻の座はミュウちゃんに譲るから、私は愛人でいいわよ? エロさでは私の勝ちだし』
「誰が正妻ですか。それに剣にエロさで負けたら、この世の女性は一様に落ち込むと思いますけど」
『甘いわね、ミュウちゃん。今は剣に宿ってるだけだけど、魔力を貯めれば夜寝てる時とかに一定時間元の姿で実体化できるのよ?』
「クラリス、急に勢いよく食いつかない。『く、詳しく』じゃない」
ヘレンの言葉にクラリスがどうやら思い切り食いついたらしい。エルの腰の剣が無駄に勢いよく光っている。
「なん……ですって……?」
一方のミュウはショックを受けているようだ。
『夜とか油断してるとあたしが先にアイルちゃんを食べちゃうわよ?』
「許しません。絶対に私が先に……あ……」
勢いで言葉を返したミュウだったが、自分がヘレンに乗せられて何を言ってしまったのか気づき、真っ赤になって押し黙った。
アイルはただ、なんとかしてこの剣を永遠に葬り去る方法はないかな、と考えるばかりだった。
「あ、そうだ! ヘレンさんに聞きたかったんですけど、あれってずっとついてくるんですかねえ?」
凍りつつあった空気を無理やり破壊すべくミュウが話題を変えて後ろを指差す。
『あー、それは諦めて、最早すべての魔女の力がミュウちゃんに集まっちゃったんだから仕方ないの。自分たちの食い扶持ぐらいは自分たちでなんとかするだろうから、近くにいるぐらいは許してあげて』
ミュウが指差した先、アイルたちが歩いてきた道に、彼らから一定の距離を置きつつついてくる者達がいた。
一人は筋骨たくましい紳士と、もうひとりは全身を金属鎧で包んだ剣士。へレンの眷属だったレオノワールと騎士ヒルデガルドの姿であった。
ミュウが魔女ヘレンの力を受け継いだために、そのままミュウの眷属になってしまったのである。
「まあ、害はなさそうだからいいですけど。人間たちに害を及ぼさないようにだけ良い含めておかないといけませんね。私は構わないですけど、アイルさんに瞬殺されてしまうと思うので」
二人の力からして瞬殺はないだろうと思いつつ、確かに害を及ぼすならば殺すしかない。アイルもそこは同意する。
『ああ、あの二人は眷属の中でも礼儀とかしっかりしてるから大丈夫よ。馬鹿は全部あなた達が倒しちゃったしね』
「それならいいです」
それ以上特にいま話して置かなければならないことはなくなったのか、ヘレンは黙る。ミュウも黙る。
ならばとアイル達は再び歩を進める。
しばらく無言で進み、彼方にルミ達の村が見えてきた所でミュウが意を決したように口を開いた。
「アイルさん、村についたらお話があります。また前みたいに夜の星空でも眺めながら……」
そこまで言った時に、エルが何かに気づいた。
「ねえ、あれって……ティーバさんじゃない?」
村の方角からアイルたちに向かって山道をかけてくる者がいた。
その姿は、遠目でもはっきりわかるほどに特徴的なあの着ぐるみだった。
「アイルさーん!!」
遠くから呼ぶ声にも聞き覚えがあった。思わず走り出すアイルとエル。
「ぜえ……ぜえ……よかった、皆さんに会えて……これから廃都に向かおうと思っていたのです」
その格好で? と聞きたいのは山々だったが、そもそも何故ここにいるのかなど聞きたいことが多すぎた。
「詳しい話は村で、ロゼッタやマリアも来ています」
「一体何があったんだい?」
エルが、着ぐるみの顔の部分を外して息を切らすテオを気遣いつつ尋ねる。
「ティーバの街に王国軍が侵攻してきました」
その言葉に、エルの表情は固くなった。
アイルは今、説教されている。
記憶によれば、ここはエレノアの寝室だったはずだ。調度品や壁の装飾などは、エレノアの病床を見舞って約束をした日と変わっていない。
「そうねえ、アイルちゃんは難しいことを考えるのが苦手だものねえ」
説教しているのは二人、かたやアイルはたった一人。
固い床の上に正座させられた上で、大きな身体を小さくしながら黙って怒られている。
「前に魔女ダイアと戦った時に、あれを使ってしばらく意識不明になったのを忘れてしまったのですか? もし攻撃に失敗してあなたが行動不能になったらどうするつもりだったのか問い詰めたい所ですが、どうせ後のことなんて考えてなかったでしょうしね」
説教役の片割れは長い銀色の髪を腰のあたりまで伸ばした貴族然とした若い女性で、おっとりしているような表情の中にも厳しさを兼ね備えた顔つきをしている。
「あら、もしアイルちゃんが意識を失ってしまったら、柔らかくて気持ちいい膝枕か胸枕で目覚めるまで待ってあげるつもりだったけどお?」
もう一人は、真っ黒なローブを着た女性で、先程までアイルが戦っていた魔女ヘレンである。こちらは説教というよりも、面白そうだから首を突っ込んでいるといった調子ではあるが。
「ヘレンさんはどうしてそう破廉恥なのですか! まあそれはともかく実際ヘレンさんはアイルを殺す気なんかなかったでしょう?」
「当たり前じゃない。アイルちゃんを私の手で殺したら契約解除になっちゃうもの。だけど一生身動きできなくするとかなら出来たかもじゃない? でもあんな技であっさり決着がついちゃったのは納得いかないわ」
「エレノア……」
ため息を吐きつつアイルは銀髪の女性をそう呼んだ。
「あ、そうですね。本題に戻りましょう。アイル、私との約束を守ってくれてありがとうと言いたいけれど、もうちょっと自分の身体を大事にしてちょうだい」
エレノアと呼ばれた若い女性は困った顔でアイルに告げた。
「ま、あたしも倒したんだからこれで約束コンプリート。よかったじゃなあい?」
横のヘレンがうるさいが、とにかく魔女をすべて討ち果たすことは出来たのだ。アイルも満足げな微笑みで返す。
「で、こうして会えたのは嬉しいけど、もしかしてこのまま私と一緒に行こうとか考えてないでしょうね? 確かにずっと待ってるとは言ったけどこんな形で一緒に行くのは嫌よ?」
図星をつかれてたじろぐアイル。
頼まれた魔女の討伐は終わった。
あの頃の姿のエレノアに再会できた。
これ以上、永遠とも言える生を送る理由がどこにもない。
ヘレンは先程から意味深な微笑みを崩さないし、エレノアは困った顔のままだ。
「そう……やっぱりね。ミュウさんとの約束はちゃんと果たしたのかしら?」
エレノアの目がすっと細くなる。
ミュウとの約束? なんだっけ?
「酷い人ねえ。私を殺してまで助けてあげたいと思ったくせに、あなたがここでいなくなっちゃったら残されたミュウちゃんが可哀想じゃない」
ヘレンがやれやれといった調子でため息を吐く。
そう言われると言葉に詰まるアイル。もとから無口ではあるが。
「というわけで。ミュウちゃんとの約束を果たすまで、一緒に来ることは許しません。ほらほら早く起きなさい」
「そうよお。私だって、ようやくアイルちゃんと一緒にいる方法を思いついたんだから、早く起きてえ」
二人にせっつかれて、エレノアの寝室を追い出される。
「エレノア……」
「ええ、いつまでも待ってるわ」
アイルを送り出すエレノアの顔は晴れ晴れとした笑顔に満ちていた。
バタンと寝室の扉を閉めて、エレノアは『ほう』と一つため息を吐く。
「で、ヘレンさんはいつまでこちらに? アイルが再びここに来るまでには相当長い年月がかかると思いますけど」
ちゃっかりテーブルに用意してあったお茶を啜って優雅に座るヘレンに振り向く。
「それがねえ、私の未練やら執着やらの塊がまだあっちに残ってるのよねえ。あれがアイルちゃんと一緒にここに来るまで私も逝けないわけ」
ティーカップを置いたヘレンは両手を上げてまいったような仕草をする。
生者がこの世に残した未練などが強く、それを残したまま死ぬと、そのエネルギーが凝り固まって人に害を為す存在として留まってしまうなどという説があるが、あながち間違いでも無いのかも知れない。
「あのハンサム君が未練だらけの女の子に取り憑かれたのを見て思いついちゃったのよねえ。そしたらまんまと上手くいっちゃったから、アイルちゃんが死ぬまであたしの未練も一緒に向こうに居続けることになっちゃったわけ。おかげでしばらくここにいなくちゃならなくなったから、長い付き合いになるかもだけど、よろしくねえ」
そう言ってヘレンはニコリと笑う。
「はあ……仕方のない人ですね。まあ、私も人のことは言えませんけど。待っていると約束した以上はいつまででもここで待ち続けます。では改めてよろしくお願いしますね」
エレノアは仕方無さそうに笑顔を返すのだった。
──────────────────
「ミュウ様、マスターが目覚めました」
なんとなく懐かしい無機質な声が耳朶を撫でる。
「やっとですか、どれだけ待たせるんですか。本当にしょうがない人ですね」
「まあ、目覚めたんだからいいじゃないか。誰よりもそれを待っていたくせに、ほんとにミュウちゃんは素直じゃないね」
「うるさいです。今の私は最強の女神ですから瞬殺しますよ」
「待って、待って、冗談だから怒らないで。クラリスもそこで本気にならないで」
やかましくも心地良いやり取りが自分の左右で繰り広げられる。
それにしても胸の辺りがやけに重たい。何かが乗っかっているようだと感じつつも、まだなんとなくアイルはぼんやりしていた。
「お二方ともそれぐらいに、マスターはしばらく眠っていたためにまだ本調子ではないようです」
八号の声のようだが、どうやら胸の辺りからその声が聞こえるらしく、もしかして自分に乗っかっているのは八号なのではないかという推測を立てるアイル。
少し頭もはっきりしてきて目を開ける。
予想通り、胸にもたれかかるようにして乗っていたのは八号だった。
が、様子がおかしい。
「おはようございますマスター。このようなお見苦しい格好での再会をお詫び申し上げますが、マレーダー様でないと修復が出来ないために、このような形でお邪魔しております。なお、上に乗らせていただいているのはトルマ様の強いご希望を実現した結果となります」
冷静かつ単調な言葉に苦笑しそうになるが、それよりも見るも無残な八号の姿に切ない想いのほうが湧き上がってきた。
聞けば、アイルが意識を失っている間にエルがここまで八号を運んできて、魔力だけはミュウが充填することが出来たが散らばった装甲をすべて集めることは出来ず、なんとか顔だけは元の可愛らしい顔に戻すのが精一杯だったらしい。
身体は無骨な金属が剥き出しとなっていて、そのうえ四肢で無事なのは右腕だけで左腕は完全に無くなっていて、両脚も膝から下が無いという状態だった。
アイルは思わず八号を抱きしめようとしたが、まだ右腕が思ったように動かず歯がゆい気分になる。左腕の鎧もうまく機能しない。
「まだ動こうとしないほうがいいです。アイルさんは半年眠っていたのですよ? エルさんと連絡を取るのも苦労しました。ここから動くわけにはいかないし、どうしようかと思った時にヘレンから受け継いだ能力の一つに伝書鳥があったのを思い出しましてエルさんに伝言を飛ばしたのです。そしたらエルさんが泣きながら八号をここまで背負ってきてくれたんです。私には治し方まではわからず魔力だけを注いで終わりだったんですけどね」
ミュウの言葉にアイルは絶句する。
夢の中でエレノアと再会していたのはほんの一時だったような気がするが、実際にはそれほど長い間寝ていたらしい。
「その顔は信じていない顔ですね。では伝書鳥を実際に使ってみせましょう」
ミュウはそんなことを言い出して、部屋から出ていった。
しばらくして、窓から胴体も嘴も真っ黒な鳥が入ってきて、アイルの枕元に止まる。
『人が助けに来なくていいとあれほど念じていたのに、本当にアイルさんにも少し人の心を読む能力を身につけていただきたいものです。頼まれごとを断らないのも最初は喋れないせいで断れないのかと思ったら、アイルさんの性格が原因じゃないですか。三文字以上話せるようになったのに、まだ断ってる場面を一度も見たことがないですよ。お節介にもほどがあります。私はアイルさん達を見限って、あの領主に協力して、アイルさんが助けようとした魔女を殺そうとしたんですよ? それに、私のせいで腕まで失って……。本当に馬鹿なんじゃないでしょうか』
鳥が口を開いたと思えば、延々とミュウの文句が流れ始めた。
これには一緒に聞いていたエルも苦笑する。
『ヘレンと戦ったときだって、あれ一か八かの賭けだったのでしょう? いつもそうですけど、後先を考えないで行動しすぎですよ。私あのとき動けなかったですけど、意識はちゃんとあったんですから。まあヘレンがそもそもアイルさんを殺すわけがないので、その点は安心してましたけど』
これいつまで続くんだ? とうんざりし始めたところで鳥が黙った。
ようやく目覚めのお説教も終わりか、と安堵したところで、また嘴が開いた。
『それと……その……まあ……助けに来てくれたのは…………嬉しかったです。だから……ええと…………』
急にたどたどしくなる。
『あ……ありがとうございました。それと、初めてこの目ではっきりと見たアイルさんは、その……』
そこまで言って、黒い鳥がまた黙る。
数秒おいて、また嘴が開く。
『その……思ったよりも格好よかった……です……』
今度こそ黒い鳥はその場でかき消えた。
エルはたまらず吹き出した。
「これはまた……えらく遠回しなお礼と告白だねえ」
「はい。最初のお小言はすべて照れ隠しのようなものだと推測します。考えるに伝書鳥を疑っているわけでもないマスターに無理やり難癖をつけて、使ってみせましょうなどと言いながら別室で一生懸命に言葉を吹き込んでいるミュウ様を想像すると非常に奥ゆかしい何かを感じます。トルマ様から非常に生暖かい気持ちが流れ込んできました」
八号が無表情に抑揚のない声で解説するせいで、余計におかしくなり、今度はアイルも一緒に笑った。
思えば、おかしくて笑うなどいつ以来のことだっただろうか、もしかしたら人間になって初めてかも知れないと感じながら。
それからは、アイルが徐々に動けるようになり、リハビリのために身体を動かしたりしつつも、まずはこの廃都を出てルミとリミの村まで移動しようということになる。
「ついに、ついにですよ。ついにこの私専用の椅子に座ることが出来ました!」
ミュウは超ご機嫌である。
「それにこの目で見る景色というのはなんて美しいんでしょう。見る物すべてが愛おしいです!」
移動時にアイルの左肩に乗るのが定番となったミュウの希望で作った鎧の左肩部分の椅子だったが、実は作って以来、乗る機会がなかったのである。
ついに乗ることが出来た喜びと、己の肉眼で数十年ぶりに景色を見ることが出来た喜びも合わさって今までに見たこともないほどに高揚している。
しかし、山道を歩く一行の様子を見る者がいたら、なんとも微妙な気分になったであろう。
左腕のみが重厚な金属鎧となっている鎧をつけた男が、その左肩に拵えられた椅子に少女を座らせて歩いている。
そしてその男は背中にほとんど壊れた人形を背負い、腰には大きな剣をぶら下げている。
隣を歩く軽装の男が少しはなにか負担したほうがいいのではないかと思えるほどにアンバランスだ。
「いやあ、城までハチゴーちゃんを背負っていったけど、本当に大変だったよ。あんなに重たいとは思わなかった。なんでもなさそうに背負ってるアイルさんはやっぱり凄いね」
「女性に重いというのは失礼です。まあ、金属の塊なので否定はしませんが」
「私が羽のように軽いから大丈夫です。それにしてもあのベッドにあった枕を持ってきて正解でした。最高の座り心地ですよ」
「トルマ様も乗ってみたいそうです」
「ではダナンに帰ったら……」
急にミュウが言葉を閉ざす。
「どうなさいました?」
アイルも怪訝な顔で左肩を見る。
「あ、いえなんでもありません。ダナンに帰ったら乗せてあげますとも」
乗せるのはミュウじゃなくて俺なんだが……という長い台詞を言えるわけでもないアイルはただ黙っていた。
「それよりも、そろそろ喋ったらどうですか? ヘレンさん」
ミュウが口を尖らせたために二人は驚いて立ち止まった。
「ヘレンだって? あの魔女は死んだんじゃないのかい!?」
エルが警戒して剣の柄に手を伸ばす。
「ヘレンが言ってたじゃないですか、そちらのクラリスさん? あ、初めましてですね、いまさらですけど。エルさんとクラリスさんの様子をこっそり見ていたヘレンが良いことを思いついたらしいですよ。それで想像がつきませんか?」
まさか……と、思わずアイルは腰の剣に視線を向ける。
『へへー、バレてたかー。どもー、アイルちゃん半年ぶり。クラリスちゃんの真似してあたしもアイルちゃんの剣に宿ってみたんだけど、どーお? あ、エルっち、あたしが元魔女なんだからこっちを魔剣ヘレンにして、あんたのは聖女っぽいクラリンのイメージで聖剣クラリスにしなさいよ』
唐突に剣が喋りだした。
ヘレンの声で。
声がするたびに柄にいつの間にかはめ込まれていた赤い宝石が光るのが微妙にうざい。
「ああ、まあ、聖剣クラリスはいい響きだけど。正直驚いたなあ」
エルが感想を述べている間にもアイルは腰から剣を抜いて今にも捨てようとしている。
『待って。アイルちゃん待って。あたしを捨てたらミュウちゃんが困るわよ?』
聞き捨てならない台詞にアイルの手が止まる。
「そういうことなんです」
驚いたことにミュウも同意した。
『これは予想してなかったんだけど、あたしがこんな形で現世に留まっちゃったから、ミュウちゃんに引き継がれたあたしの力のトリガーみたいな存在になっちゃったのよ。だからミュウちゃんが元々持っていた物以外を発動しようとしたら、あたしが傍にいないと駄目なの』
なんということだ。と、アイルは思わず顔をしかめる。
『わ、私のせいじゃないわよ? 私はただ、こうすればアイルちゃんたちの旅にお供してずっと一緒にいられるーって思っただけだし、私が本当の意味で死ぬのはアイルちゃんが死ぬときだからもう生涯を共にする夫婦と言ってもいいぐらい? あ、でも正妻の座はミュウちゃんに譲るから、私は愛人でいいわよ? エロさでは私の勝ちだし』
「誰が正妻ですか。それに剣にエロさで負けたら、この世の女性は一様に落ち込むと思いますけど」
『甘いわね、ミュウちゃん。今は剣に宿ってるだけだけど、魔力を貯めれば夜寝てる時とかに一定時間元の姿で実体化できるのよ?』
「クラリス、急に勢いよく食いつかない。『く、詳しく』じゃない」
ヘレンの言葉にクラリスがどうやら思い切り食いついたらしい。エルの腰の剣が無駄に勢いよく光っている。
「なん……ですって……?」
一方のミュウはショックを受けているようだ。
『夜とか油断してるとあたしが先にアイルちゃんを食べちゃうわよ?』
「許しません。絶対に私が先に……あ……」
勢いで言葉を返したミュウだったが、自分がヘレンに乗せられて何を言ってしまったのか気づき、真っ赤になって押し黙った。
アイルはただ、なんとかしてこの剣を永遠に葬り去る方法はないかな、と考えるばかりだった。
「あ、そうだ! ヘレンさんに聞きたかったんですけど、あれってずっとついてくるんですかねえ?」
凍りつつあった空気を無理やり破壊すべくミュウが話題を変えて後ろを指差す。
『あー、それは諦めて、最早すべての魔女の力がミュウちゃんに集まっちゃったんだから仕方ないの。自分たちの食い扶持ぐらいは自分たちでなんとかするだろうから、近くにいるぐらいは許してあげて』
ミュウが指差した先、アイルたちが歩いてきた道に、彼らから一定の距離を置きつつついてくる者達がいた。
一人は筋骨たくましい紳士と、もうひとりは全身を金属鎧で包んだ剣士。へレンの眷属だったレオノワールと騎士ヒルデガルドの姿であった。
ミュウが魔女ヘレンの力を受け継いだために、そのままミュウの眷属になってしまったのである。
「まあ、害はなさそうだからいいですけど。人間たちに害を及ぼさないようにだけ良い含めておかないといけませんね。私は構わないですけど、アイルさんに瞬殺されてしまうと思うので」
二人の力からして瞬殺はないだろうと思いつつ、確かに害を及ぼすならば殺すしかない。アイルもそこは同意する。
『ああ、あの二人は眷属の中でも礼儀とかしっかりしてるから大丈夫よ。馬鹿は全部あなた達が倒しちゃったしね』
「それならいいです」
それ以上特にいま話して置かなければならないことはなくなったのか、ヘレンは黙る。ミュウも黙る。
ならばとアイル達は再び歩を進める。
しばらく無言で進み、彼方にルミ達の村が見えてきた所でミュウが意を決したように口を開いた。
「アイルさん、村についたらお話があります。また前みたいに夜の星空でも眺めながら……」
そこまで言った時に、エルが何かに気づいた。
「ねえ、あれって……ティーバさんじゃない?」
村の方角からアイルたちに向かって山道をかけてくる者がいた。
その姿は、遠目でもはっきりわかるほどに特徴的なあの着ぐるみだった。
「アイルさーん!!」
遠くから呼ぶ声にも聞き覚えがあった。思わず走り出すアイルとエル。
「ぜえ……ぜえ……よかった、皆さんに会えて……これから廃都に向かおうと思っていたのです」
その格好で? と聞きたいのは山々だったが、そもそも何故ここにいるのかなど聞きたいことが多すぎた。
「詳しい話は村で、ロゼッタやマリアも来ています」
「一体何があったんだい?」
エルが、着ぐるみの顔の部分を外して息を切らすテオを気遣いつつ尋ねる。
「ティーバの街に王国軍が侵攻してきました」
その言葉に、エルの表情は固くなった。
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