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はじまり編
00.プロローグ
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目が眩むほどの晴天であった。
ここは、貴族や平民も通うジルマフェリス王国で一番の規模を誇るファイエット学園。その普通科校舎裏。
暗い焦げ茶色の髪を二つにした何処にでもいそうな少女が、ベンチの前に座り込んでいた。
「ただのモブのくせして!! でしゃばらないで下さる!?」
その少女に向かって、美しいウェーブを描いた腰辺りまである暗い灰銀の髪をした女子生徒が、怒りを露に目を吊り上げる。
「ガイラン公爵令嬢?」
ベンチに座っていた黒髪の男子生徒が、何が何だかと言った様子で戸惑った声を出した。
しかし、怒鳴られた少女は特に萎縮などした風でもなく。寧ろ、困り果てたように深い溜息を吐き出す。
瞬間、少女の背後で稲妻が迸った。あまりに突然の雷鳴に、その場にいた全員の意識がそちらに持っていかれる。
相も変わらず空は晴天だ。そこに、どんよりとした雷雲が突如として現れた。空間が歪んだように、その一点にだけ。
「な、なんですの!?」
「あれ、は……」
雷雲を抉じ開けるようにして、何かがこちらに来ようとしている。不穏を現実にするように、白金色の鱗がやけに美しく輝いた。
「ま、まおう……」
誰かが震える声で、そう呟く。
雷雲の中から姿を現したのは、白金色のドラゴンであった。その巨躯はどのくらい距離があるのか分からないが、上空にいてあの大きさだ。近くで見るともっと大きいのだろう。
「きれい」
小さな呟きだった。ともすれば、誰の耳にも入らないような。そんな少女の声に反応したかのように、ドラゴンが首を動かす。
しかし、それは正しいのかもしれなかった。何故なら、少女とドラゴンは確かに目が合っていたのだから。
誰もが恐れるドラゴンの瞳が、少女には寝ぼけ眼に見えたのだった。
ここは、貴族や平民も通うジルマフェリス王国で一番の規模を誇るファイエット学園。その普通科校舎裏。
暗い焦げ茶色の髪を二つにした何処にでもいそうな少女が、ベンチの前に座り込んでいた。
「ただのモブのくせして!! でしゃばらないで下さる!?」
その少女に向かって、美しいウェーブを描いた腰辺りまである暗い灰銀の髪をした女子生徒が、怒りを露に目を吊り上げる。
「ガイラン公爵令嬢?」
ベンチに座っていた黒髪の男子生徒が、何が何だかと言った様子で戸惑った声を出した。
しかし、怒鳴られた少女は特に萎縮などした風でもなく。寧ろ、困り果てたように深い溜息を吐き出す。
瞬間、少女の背後で稲妻が迸った。あまりに突然の雷鳴に、その場にいた全員の意識がそちらに持っていかれる。
相も変わらず空は晴天だ。そこに、どんよりとした雷雲が突如として現れた。空間が歪んだように、その一点にだけ。
「な、なんですの!?」
「あれ、は……」
雷雲を抉じ開けるようにして、何かがこちらに来ようとしている。不穏を現実にするように、白金色の鱗がやけに美しく輝いた。
「ま、まおう……」
誰かが震える声で、そう呟く。
雷雲の中から姿を現したのは、白金色のドラゴンであった。その巨躯はどのくらい距離があるのか分からないが、上空にいてあの大きさだ。近くで見るともっと大きいのだろう。
「きれい」
小さな呟きだった。ともすれば、誰の耳にも入らないような。そんな少女の声に反応したかのように、ドラゴンが首を動かす。
しかし、それは正しいのかもしれなかった。何故なら、少女とドラゴンは確かに目が合っていたのだから。
誰もが恐れるドラゴンの瞳が、少女には寝ぼけ眼に見えたのだった。
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