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最終章 旅立ち
44 未来のために
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書斎を出ると、澪は携帯を取り出し悠真へかける。
呼び出しもそこそこに悠真の声が聞こえた。
『終わったのか』
「うん、今どこ?」
『裏のテニスコート』
「わかった」
そう答えて、澪は通話を切った。
近付くにつれ、屋敷の裏手のテニスコートからは、楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
また颯太と圭吾が悠真に挑戦しているのかと思ったら、今日の相手は龍一だった。
悠真同様二人相手に苦戦しているようだが、表情はまだ余裕がある。
コート端のベンチには悠真一人が座っており、澪を見つけると笑顔で手を振る。
悠真に手を振って答えながら、澪は近付いていった。
「あれ、悠真が相手じゃないの」
悠真の隣に腰掛けながらコートを眺める。
「今日はりーちゃんに挑戦してる」
悠真が苦笑いで答えた。
生島の姿はない。
生島は会社員とはいえ研究開発に携わっている為、佳境に入るとよく休日出勤をしているらしい。
龍一が一人で来ているということは、生島は仕事だろう。
先ほど会った惣一と賢木を除いても、まだ一人足りない。
「京香ちゃんは?」
澪が悠真に尋ねると、悠真がそっと教えてくれた。
「出かけてる。多分デートだって、颯にいが」
「へえ」
親にはまだ内緒らしい、と悠真が小さく付け足した。
「で、どうだった?」
「う、ん」
悠真に切り出されて、澪は俯いた。
それから惣一からの条件、それに挑戦したいと言ったことなどを簡単に説明した。
「あれ、澪くんじゃん」
話し終えた頃、コートの中で颯太が澪に気付いて大きく手を振った。
他の二人も吊られて振り返る。
「ほんとだ、おーい久しぶりー」
圭吾から大きな声をかけて来たので、澪は手を振りながら返事をした。
「お久しびりです」
ちらりと隣の悠真を見ると、じっと黙り込み、少し俯いている。
予想していた反応だった。
悠真には最短で1年、最長で2年と話してあった。
それが最短で2年、最長で4年の話になってしまった。
条件からして、勉強で忙しくて帰国はそうそう出来ないだろう。
その間連絡を取り合うことはできても、会うことは難しい。
やっと悠真とまた触れ合えるようになったのに、また、今度は長く会えない日が続くなんて。
澪も寂しいと思っている。
でも…。
全てを終えて帰国した時を思えば…。
「ねえ、悠真」
「………」
澪が話しかけても悠真は返事をしない。
黙り込んだまま、顔も上げない。
「僕、やってみたいんだ。いいでしょ?」
顔を覗き込むように小さく尋ねた。
「…なんで、俺に聞くんだ。俺がどう思っても、どう返事しても、澪は行くんだろ?…」
顔も上げず、悠真が小さく言う。
澪は思わず苦笑いした。
確かにそうなんだけど。
「悠真に言って欲しいんだ」
「………」
「そうしたら、頑張れる気がするから…」
悠真の意見を無視して強行することもできる。
でもそれじゃあ何にもならない。
だって、悠真のために行くんだから。
悠真との将来のために。
澪は黙り込んだままの悠真をじっと見つめた。
テニスコートではまた騒ぐ声が聞こえている。
こちらの様子には気付いていないようだ。
澪はそっと悠真の肩にもたれ、目を閉じた。
幸せで穏やかな日常は得難く、手離し難い。
悠真が側にいて、いつでも触れ合える距離。
でもただ側にいるだけではなくて、支え合って、力になれる存在になりたい。
そのために必要なことは、出来る限りやってみたい。
悠真の反対を押し切ることもできるけれど。
それじゃあ意味がない。
悠真に理解されないまま旅立っても…。
ふっと悠真が息を吐いたのに気付いて、澪は瞳を開けて悠真を振り向いた。
悠真も小さな微笑みを浮かべて澪を見た。
「行ってこいよ、澪」
じわりと胸に込み上げてくる、感謝の気持ち。
「うん!悠真、ありがとう!」
再び悠真の肩にもたれて、さらにその腕に腕を絡ませた。
目も、胸も熱くなる。
悠真を好きになって良かった。
出会えて、良かった。
どんなに大変でも、それだけで、頑張れる。
悠真の体温を感じながら浸っている澪に、悠真がそっと話しかけた。
「澪、約束してくれ」
澪は顔を上げた。
「何?あ、浮気とか僕、絶対しないよ。ていうか今更悠真以外とか考えられ…」
悠真に言われそうなことを先回りして話し出した澪を、悠真は笑う。
「じゃいいよな」
澪は首を傾げた。
「ん?何?」
その澪をじっと真面目な顔つきで悠真は見つめる。
「戻ってきて大学卒業したら俺と結婚してくれ」
一瞬、澪は固まって、悠真の言葉を胸の中で反芻した。
澪の中のどこにもその言葉を否定する要素がない。
そもそも澪が選んだ未来はそこにしか繋がっていない。
「うん」
澪は心から、大きく頷いた。
それは澪がいつも願っていること。
留学するのも、全てはその未来のため。
悠真がわざわざ言葉にしてくれたことに喜びを隠し切れず、澪は悠真の腕にしがみついた。
「戻ってきたらすぐ婚約だぞ」
澪を見下ろしながら、悠真は確認する。
澪は何度も頷きながら、ふと、思いつく。
「結婚…の約束、ってことだよね」
「ああ」
「でもそれって、さ、今約束したから、その…」
澪は赤くなりながら、悠真を見つめ直した。
澪の言葉にはっとしたように悠真は目を見開いた。
「あ!そうか!今すればいいんだ」
それから澪を絡ませたまま、悠真が急に立ち上がる。
「わ、何⁉」
バランスを崩した澪の腕を、悠真が引っ張り上げた。
「指輪買いに行こう!今すぐ!」
そのままぐいぐいと引っ張られる。
「え、ちょ、悠真」
悠真に引き摺られていく澪に気付いたテニスコートから「もう帰るのか?」などと声がかけられたが、澪はただ苦笑いを返しただけだった。
そこからはとにかくあれよあれよと言う間に話は進み、準備に追われているうちに夏休みが来て、出発の日になってしまった。
見送りに来た福田と空港で待ち合わせると、澪が一人で大荷物を抱えているのを見て、少し呆れた顔をした。
「で、結局見送りは僕だけ?」
澪も苦笑いで返した。
「他の人たちにはもう、挨拶も済ませたし、見送りはいい、って言ってあるんだ」
「ふうん」
短期間であったし、勝手な理由で急に辞めることになってしまった龍一の会社のみんなにも、昨日挨拶に行った。
それにも関わらず見送りにくると行ってくれたのだが、あまりに申し訳なくて、澪の方から断った。
「玖珂くんぐらいはくると思ったのに」
「悠真は朝出てくるときに見送ってくれたよ」
最後、と言うかしばらく会えなくなるのだからと、悠真と賢木に言われ、さらには玖珂家の兄弟からそれぞれ似たような連絡を貰った。
惣一に会いに行った後、颯太に新しい連絡先を教えたのだが、そこから全員に連絡が知られてしまったらしく、京香からまで日本を発つ前に屋敷に来て欲しい、と言われては断れない。
結局、昨日のうちにアパートの方を引き払って、出発の前夜は玖珂で過ごすことになった。
アパートの住民全員とは結局会えなかったのだが、親しくしてくれた二人とはそのときに別れの挨拶をして来た。
次の澪が日本へ戻ってくるときはもう二人はあのアパートにいないだろう。
5年の契約が二人とも終わってしまっているはず。
もうアパートでは会えない。
もちろん連絡先の交換はしているので、今生の別れと決まったわけではないけれど、やはり寂しくて、結局3人して涙を零してしまった。
アパートに残った荷物は後で賢木が玖珂へ運んでくれることになっている。
玖珂家での夕食は澪の門出を祝して、惣一や賢木が腕を振るってご馳走を作ってくれ、龍一も生島も招かれた。
惣一秘蔵の高価なワインも引っ張り出されて、未成年の悠真だけ飲めずに拗ねることになった。
夜は久しぶりに悠真の部屋に泊まった。
ただ体温を感じられれば良かったのだが、次はいつになるかわからなくて、自然盛り上がってしまい、今日は寝不足だった。
けれど澪の心も体も満たされて、新世界への期待が膨らんでいる。
「結局、僕はまた最後に聞かされたわけだよね」
「…もう、そのことは謝ったじゃない」
惣一に話した後で福田には話すつもりだった。
その前に福田と会ったときにはまだ心をかすめる程度だったのに、その後バイトへ行く途中、バイトの合間、帰宅途中と心の中を占めていて、悠真に話すと決心が固まってしまった。
福田に話さなきゃ、そう思いながら、その前に惣一を捕まえることができたので話に出かけたら、そのまま話が本決まりした上に、さらに進んでしまった。
翌日福田に会う前に教授とばったり会ってしまって、惣一、つまりスポンサーからそういう申し出があったことを話すと、教授がやけに乗り気で、すぐさま留学先の教授に連絡をしてくれた。
その後福田と講義で一緒になり、ことの顛末を話している最中に、教授が留学先から送られて来た書類やパンフと一緒に、休学のための書類まで手渡されてしまったのだ。
澪も急展開に驚いていたのだが、福田はそれ以上だった。
賢木に留学先の詳細を連絡するように言われていたので、留学先を教えると、数日後には留学先の側に住む所を手配してくれた。
おまけに向こうで使う家具も、悠真の所に置いてあった荷物の移動の手配までされていた。
あとは澪が向こうに行くだけ。
早々にそんな準備万端にされては澪も悠長にしておられず、龍一の会社にも話をして、大学の休学手続きも済ませた。
おかげで夏休みは出発の直前までゆっくりと悠真と出かけたり、福田と出かけたりできたけれど。
「…志垣くんまで留学なんて…。僕、一人になっちゃった…」
福田が小さく呟いた。
「…大泉くんはいつ発つの?」
澪は新学期が始まる1週間前に向こうへ行く。
ぎりぎりでも構わないのだけれど、荷物の片付けや少しは向こうに慣れていなくては、という賢木の采配だ。
ちなみにそのあと、新学期の2~3日前には賢木もやってくる。
忙しい惣一の代わりに、色々な手配をしにくるようだ。
「…明後日、って連絡が来た…」
「見送りに来て欲しいって?」
「ううん、そんなことは一言も…。ただ発つって、時間とかメールだけ…」
黙り込んで俯いた福田の肩を澪はそっと叩いた。
「それは、見送りに来て欲しいってことだと思うよ」
結局、澪が日本にいる間に、福田が大泉と和解している様子はなかった。
澪にとってはそれが唯一とも言える心残り、というか気がかりで…。
「………」
「大泉くんは仲直りのタイミングを待ってるんじゃないかな」
「…日本を発つ、このタイミングで…どうしろっていうの…」
福田はすっかり塞ぎ込んでしまった。
「でもさ、仲直り出来てたら、福田くんが休みのときには遊びに行ったり、戻って来たら会うことも出来るだろ?」
澪は休みでも戻ってこれるかわからないけれど…。
心の中でちょっとだけ呟く。
悠真が遊びに来てくれても、自分は勉強ばかりで構えないかもしれない。
そしたらきっと悠真は遠慮して、次は来ないだろう。
でも連絡を取り合うことはできるから。
「ね、行ってみなよ」
「………」
福田はなかなかうんと頷いてくれない。
澪はうーんと考え込み、いい案が思いついてにやりと笑った。
「じゃあ、僕からのお願い」
「え」
顔を上げ、澪を振り返った福田に澪はにっこりと微笑んだ。
「大泉くんに伝言を伝えて欲しいんだ」
「………」
ぽかんとする福田に澪はさらに続ける。
「大泉くんは僕が留学すること知らないだろうからさ、それを伝えて?お互いに頑張ろうね、って」
「………」
澪の意図に気付いたのか、福田は微かに眉を寄せる。
「ねえ、お願い」
澪がわざとらしく手を合わせて頭を下げると、福田は渋々と頷いた。
「…わかった…」
ほっと胸を撫で下ろして、澪は福田の背を叩いた。
「さあ、じゃあ、笑って見送ってよ」
福田がはっとしたような仕草をした。
「しばらく会えないんだから。親友として笑顔で見送ってよね」
「わかってるよ」
福田がにっこりと笑ってくれたので、澪もそれに笑顔で答えた。
搭乗時間より少し早めに来ていたので、時間まで空港内の店を見て回ったり、カフェに入って他愛ない話をしたりして過ごした。
日本での、次の帰国までの、最後の思い出に。
福田との別れは一次的なものだったとしても悲しくて、寂しかった。
お互いに涙を滲ませながら、それでも笑顔で手を振りあった。
搭乗口で一度振り返っると、ふといるはずのない悠真の幻影が浮かんだ。
玖珂の玄関で、澪を見送りながら笑顔を見せてくれた悠真。
ふと右手につけ始めたばかりの指輪が熱を持った気がして、澪は思わず左手で摩った。
銀のお揃いの指輪。
悠真に引きずられるように行ったアクセサリーショップで、お互いに購入し合ったもの。
細めで飾りなどないシンプルな作り。
せっかくだからと悠真は豪勢なものを買いたがったけれど、毎日、大学にも付けていきたいし、悠真の分は澪が買って上げたかったので、一番安い物にした。
悠真は学校に付けていけないからと、チェーンも一緒に購入したので、澪も失くさないようにと真似をした。
それもお揃い。
値段なんか関係ない。
これは二人で交わした約束を形にしたもの。
指にはめた途端、なんだかそこが悠真と繋がっているような気がして、嬉しくて、少し照れくさかった。
二人でお揃いの指輪を嵌めたまま、もう一度玖珂に戻って、惣一と賢木に一応報告した。
当然喜んでくれたけれど。
「報告なんて、別に必要なかったんだどな」
悠真は笑った。
「番になればよかったのに」
二人の指輪を見て、圭吾がすぐに言った。
悠真は驚いていた。
忘れていたらしい。
改めて、悠真は澪に申し出ようとしたが、澪がそれは断った。
澪が普通に発情期を迎えて数年経っていたなら、即座にOKしたのだけれど。
まだやっと短い発情期がくるだけだし、今番になってしまったら、発情期によって判断できる澪のΩの状態がわからなくなってしまう。
澪には発情期がくる正確な時間がわかるのだから、なんの心配もいらない、と。
これには賢木も同調してくれた。
不安がないわけではない。
寂しくないわけがない。
でもこれからのために。
悠真との未来にために。
澪は、一歩、踏み出した。
完
----必要じゃないかもしれない後書-----
長らく、一年ほどに渡って連載して来ました「螺旋に中の欠片」、読んでくださる貴方のおかげでなんとか完結まで辿り着くことか出来ました。本当にここまでお付き合い下さってありがとうございました。
私が思っているよりもずうっと長くなってしまいました( ̄O ̄;)
この話を書き始めた時に「はしょりすぎない」と決めてしまったので、だらだらと続き、回り道をした挙句やっとくっついたかと思えば、離れて、くっついて、また離れてしまいました。この後惣一の条件を満たし、帰国した澪は悠真と幸せになります。まあ、帰国早々、惣一にこき使われることとなるでしょうけど、幸せには変わりないでしょう(笑)
この「欠片~悠真&澪」編は終了しますが、この後「追憶~惣一&苳也」編を予定してます。過去編なんですけど、未来(この最終話から5~6年後)を交えていこうと思いますので、幸せになった悠真&澪も登場すると思います。
ただ暗い話なんですよね。
別の子供にスポットを当てた話も考えてはいるんですよ?
例えば…
「玖珂家の正統な長男でありながら、異母兄弟である弟の悠真にその座を譲った颯太。いつも笑顔で明るい彼の前に、家族の誰も知らないコンプレックスを刺激する男が現れる」
とか。
この「欠片」でもこの後の「追憶」でも颯太は良い子で明るいんですよね。でも一番複雑で微妙な立場だと思うので、胸中はさぞ複雑だろうと。
あとα&βって書いたことがないので。
β&Ωとか番上書きとかは二次の方でやったことがあるんですけど。
まだわかりませんが。
何かしら続編が出たら、この後書、一部消去させていただきます。
しばらく、ひと月ほどお休みを貰って何かしら新作を投稿させて頂きますので、どうぞそちらもよしなに。
あとtwitterでも絵が描けないけど漫画の連載みたいなことを始めようと思います。
絵が描けないのに漫画?
まあ、見て貰ったらこういうことか、と納得できるでしょう。
当然BLですけどね。
なかなかうまく行かなくて挫けそうですけどね…。
ではまたお会いする時まで。
呼び出しもそこそこに悠真の声が聞こえた。
『終わったのか』
「うん、今どこ?」
『裏のテニスコート』
「わかった」
そう答えて、澪は通話を切った。
近付くにつれ、屋敷の裏手のテニスコートからは、楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
また颯太と圭吾が悠真に挑戦しているのかと思ったら、今日の相手は龍一だった。
悠真同様二人相手に苦戦しているようだが、表情はまだ余裕がある。
コート端のベンチには悠真一人が座っており、澪を見つけると笑顔で手を振る。
悠真に手を振って答えながら、澪は近付いていった。
「あれ、悠真が相手じゃないの」
悠真の隣に腰掛けながらコートを眺める。
「今日はりーちゃんに挑戦してる」
悠真が苦笑いで答えた。
生島の姿はない。
生島は会社員とはいえ研究開発に携わっている為、佳境に入るとよく休日出勤をしているらしい。
龍一が一人で来ているということは、生島は仕事だろう。
先ほど会った惣一と賢木を除いても、まだ一人足りない。
「京香ちゃんは?」
澪が悠真に尋ねると、悠真がそっと教えてくれた。
「出かけてる。多分デートだって、颯にいが」
「へえ」
親にはまだ内緒らしい、と悠真が小さく付け足した。
「で、どうだった?」
「う、ん」
悠真に切り出されて、澪は俯いた。
それから惣一からの条件、それに挑戦したいと言ったことなどを簡単に説明した。
「あれ、澪くんじゃん」
話し終えた頃、コートの中で颯太が澪に気付いて大きく手を振った。
他の二人も吊られて振り返る。
「ほんとだ、おーい久しぶりー」
圭吾から大きな声をかけて来たので、澪は手を振りながら返事をした。
「お久しびりです」
ちらりと隣の悠真を見ると、じっと黙り込み、少し俯いている。
予想していた反応だった。
悠真には最短で1年、最長で2年と話してあった。
それが最短で2年、最長で4年の話になってしまった。
条件からして、勉強で忙しくて帰国はそうそう出来ないだろう。
その間連絡を取り合うことはできても、会うことは難しい。
やっと悠真とまた触れ合えるようになったのに、また、今度は長く会えない日が続くなんて。
澪も寂しいと思っている。
でも…。
全てを終えて帰国した時を思えば…。
「ねえ、悠真」
「………」
澪が話しかけても悠真は返事をしない。
黙り込んだまま、顔も上げない。
「僕、やってみたいんだ。いいでしょ?」
顔を覗き込むように小さく尋ねた。
「…なんで、俺に聞くんだ。俺がどう思っても、どう返事しても、澪は行くんだろ?…」
顔も上げず、悠真が小さく言う。
澪は思わず苦笑いした。
確かにそうなんだけど。
「悠真に言って欲しいんだ」
「………」
「そうしたら、頑張れる気がするから…」
悠真の意見を無視して強行することもできる。
でもそれじゃあ何にもならない。
だって、悠真のために行くんだから。
悠真との将来のために。
澪は黙り込んだままの悠真をじっと見つめた。
テニスコートではまた騒ぐ声が聞こえている。
こちらの様子には気付いていないようだ。
澪はそっと悠真の肩にもたれ、目を閉じた。
幸せで穏やかな日常は得難く、手離し難い。
悠真が側にいて、いつでも触れ合える距離。
でもただ側にいるだけではなくて、支え合って、力になれる存在になりたい。
そのために必要なことは、出来る限りやってみたい。
悠真の反対を押し切ることもできるけれど。
それじゃあ意味がない。
悠真に理解されないまま旅立っても…。
ふっと悠真が息を吐いたのに気付いて、澪は瞳を開けて悠真を振り向いた。
悠真も小さな微笑みを浮かべて澪を見た。
「行ってこいよ、澪」
じわりと胸に込み上げてくる、感謝の気持ち。
「うん!悠真、ありがとう!」
再び悠真の肩にもたれて、さらにその腕に腕を絡ませた。
目も、胸も熱くなる。
悠真を好きになって良かった。
出会えて、良かった。
どんなに大変でも、それだけで、頑張れる。
悠真の体温を感じながら浸っている澪に、悠真がそっと話しかけた。
「澪、約束してくれ」
澪は顔を上げた。
「何?あ、浮気とか僕、絶対しないよ。ていうか今更悠真以外とか考えられ…」
悠真に言われそうなことを先回りして話し出した澪を、悠真は笑う。
「じゃいいよな」
澪は首を傾げた。
「ん?何?」
その澪をじっと真面目な顔つきで悠真は見つめる。
「戻ってきて大学卒業したら俺と結婚してくれ」
一瞬、澪は固まって、悠真の言葉を胸の中で反芻した。
澪の中のどこにもその言葉を否定する要素がない。
そもそも澪が選んだ未来はそこにしか繋がっていない。
「うん」
澪は心から、大きく頷いた。
それは澪がいつも願っていること。
留学するのも、全てはその未来のため。
悠真がわざわざ言葉にしてくれたことに喜びを隠し切れず、澪は悠真の腕にしがみついた。
「戻ってきたらすぐ婚約だぞ」
澪を見下ろしながら、悠真は確認する。
澪は何度も頷きながら、ふと、思いつく。
「結婚…の約束、ってことだよね」
「ああ」
「でもそれって、さ、今約束したから、その…」
澪は赤くなりながら、悠真を見つめ直した。
澪の言葉にはっとしたように悠真は目を見開いた。
「あ!そうか!今すればいいんだ」
それから澪を絡ませたまま、悠真が急に立ち上がる。
「わ、何⁉」
バランスを崩した澪の腕を、悠真が引っ張り上げた。
「指輪買いに行こう!今すぐ!」
そのままぐいぐいと引っ張られる。
「え、ちょ、悠真」
悠真に引き摺られていく澪に気付いたテニスコートから「もう帰るのか?」などと声がかけられたが、澪はただ苦笑いを返しただけだった。
そこからはとにかくあれよあれよと言う間に話は進み、準備に追われているうちに夏休みが来て、出発の日になってしまった。
見送りに来た福田と空港で待ち合わせると、澪が一人で大荷物を抱えているのを見て、少し呆れた顔をした。
「で、結局見送りは僕だけ?」
澪も苦笑いで返した。
「他の人たちにはもう、挨拶も済ませたし、見送りはいい、って言ってあるんだ」
「ふうん」
短期間であったし、勝手な理由で急に辞めることになってしまった龍一の会社のみんなにも、昨日挨拶に行った。
それにも関わらず見送りにくると行ってくれたのだが、あまりに申し訳なくて、澪の方から断った。
「玖珂くんぐらいはくると思ったのに」
「悠真は朝出てくるときに見送ってくれたよ」
最後、と言うかしばらく会えなくなるのだからと、悠真と賢木に言われ、さらには玖珂家の兄弟からそれぞれ似たような連絡を貰った。
惣一に会いに行った後、颯太に新しい連絡先を教えたのだが、そこから全員に連絡が知られてしまったらしく、京香からまで日本を発つ前に屋敷に来て欲しい、と言われては断れない。
結局、昨日のうちにアパートの方を引き払って、出発の前夜は玖珂で過ごすことになった。
アパートの住民全員とは結局会えなかったのだが、親しくしてくれた二人とはそのときに別れの挨拶をして来た。
次の澪が日本へ戻ってくるときはもう二人はあのアパートにいないだろう。
5年の契約が二人とも終わってしまっているはず。
もうアパートでは会えない。
もちろん連絡先の交換はしているので、今生の別れと決まったわけではないけれど、やはり寂しくて、結局3人して涙を零してしまった。
アパートに残った荷物は後で賢木が玖珂へ運んでくれることになっている。
玖珂家での夕食は澪の門出を祝して、惣一や賢木が腕を振るってご馳走を作ってくれ、龍一も生島も招かれた。
惣一秘蔵の高価なワインも引っ張り出されて、未成年の悠真だけ飲めずに拗ねることになった。
夜は久しぶりに悠真の部屋に泊まった。
ただ体温を感じられれば良かったのだが、次はいつになるかわからなくて、自然盛り上がってしまい、今日は寝不足だった。
けれど澪の心も体も満たされて、新世界への期待が膨らんでいる。
「結局、僕はまた最後に聞かされたわけだよね」
「…もう、そのことは謝ったじゃない」
惣一に話した後で福田には話すつもりだった。
その前に福田と会ったときにはまだ心をかすめる程度だったのに、その後バイトへ行く途中、バイトの合間、帰宅途中と心の中を占めていて、悠真に話すと決心が固まってしまった。
福田に話さなきゃ、そう思いながら、その前に惣一を捕まえることができたので話に出かけたら、そのまま話が本決まりした上に、さらに進んでしまった。
翌日福田に会う前に教授とばったり会ってしまって、惣一、つまりスポンサーからそういう申し出があったことを話すと、教授がやけに乗り気で、すぐさま留学先の教授に連絡をしてくれた。
その後福田と講義で一緒になり、ことの顛末を話している最中に、教授が留学先から送られて来た書類やパンフと一緒に、休学のための書類まで手渡されてしまったのだ。
澪も急展開に驚いていたのだが、福田はそれ以上だった。
賢木に留学先の詳細を連絡するように言われていたので、留学先を教えると、数日後には留学先の側に住む所を手配してくれた。
おまけに向こうで使う家具も、悠真の所に置いてあった荷物の移動の手配までされていた。
あとは澪が向こうに行くだけ。
早々にそんな準備万端にされては澪も悠長にしておられず、龍一の会社にも話をして、大学の休学手続きも済ませた。
おかげで夏休みは出発の直前までゆっくりと悠真と出かけたり、福田と出かけたりできたけれど。
「…志垣くんまで留学なんて…。僕、一人になっちゃった…」
福田が小さく呟いた。
「…大泉くんはいつ発つの?」
澪は新学期が始まる1週間前に向こうへ行く。
ぎりぎりでも構わないのだけれど、荷物の片付けや少しは向こうに慣れていなくては、という賢木の采配だ。
ちなみにそのあと、新学期の2~3日前には賢木もやってくる。
忙しい惣一の代わりに、色々な手配をしにくるようだ。
「…明後日、って連絡が来た…」
「見送りに来て欲しいって?」
「ううん、そんなことは一言も…。ただ発つって、時間とかメールだけ…」
黙り込んで俯いた福田の肩を澪はそっと叩いた。
「それは、見送りに来て欲しいってことだと思うよ」
結局、澪が日本にいる間に、福田が大泉と和解している様子はなかった。
澪にとってはそれが唯一とも言える心残り、というか気がかりで…。
「………」
「大泉くんは仲直りのタイミングを待ってるんじゃないかな」
「…日本を発つ、このタイミングで…どうしろっていうの…」
福田はすっかり塞ぎ込んでしまった。
「でもさ、仲直り出来てたら、福田くんが休みのときには遊びに行ったり、戻って来たら会うことも出来るだろ?」
澪は休みでも戻ってこれるかわからないけれど…。
心の中でちょっとだけ呟く。
悠真が遊びに来てくれても、自分は勉強ばかりで構えないかもしれない。
そしたらきっと悠真は遠慮して、次は来ないだろう。
でも連絡を取り合うことはできるから。
「ね、行ってみなよ」
「………」
福田はなかなかうんと頷いてくれない。
澪はうーんと考え込み、いい案が思いついてにやりと笑った。
「じゃあ、僕からのお願い」
「え」
顔を上げ、澪を振り返った福田に澪はにっこりと微笑んだ。
「大泉くんに伝言を伝えて欲しいんだ」
「………」
ぽかんとする福田に澪はさらに続ける。
「大泉くんは僕が留学すること知らないだろうからさ、それを伝えて?お互いに頑張ろうね、って」
「………」
澪の意図に気付いたのか、福田は微かに眉を寄せる。
「ねえ、お願い」
澪がわざとらしく手を合わせて頭を下げると、福田は渋々と頷いた。
「…わかった…」
ほっと胸を撫で下ろして、澪は福田の背を叩いた。
「さあ、じゃあ、笑って見送ってよ」
福田がはっとしたような仕草をした。
「しばらく会えないんだから。親友として笑顔で見送ってよね」
「わかってるよ」
福田がにっこりと笑ってくれたので、澪もそれに笑顔で答えた。
搭乗時間より少し早めに来ていたので、時間まで空港内の店を見て回ったり、カフェに入って他愛ない話をしたりして過ごした。
日本での、次の帰国までの、最後の思い出に。
福田との別れは一次的なものだったとしても悲しくて、寂しかった。
お互いに涙を滲ませながら、それでも笑顔で手を振りあった。
搭乗口で一度振り返っると、ふといるはずのない悠真の幻影が浮かんだ。
玖珂の玄関で、澪を見送りながら笑顔を見せてくれた悠真。
ふと右手につけ始めたばかりの指輪が熱を持った気がして、澪は思わず左手で摩った。
銀のお揃いの指輪。
悠真に引きずられるように行ったアクセサリーショップで、お互いに購入し合ったもの。
細めで飾りなどないシンプルな作り。
せっかくだからと悠真は豪勢なものを買いたがったけれど、毎日、大学にも付けていきたいし、悠真の分は澪が買って上げたかったので、一番安い物にした。
悠真は学校に付けていけないからと、チェーンも一緒に購入したので、澪も失くさないようにと真似をした。
それもお揃い。
値段なんか関係ない。
これは二人で交わした約束を形にしたもの。
指にはめた途端、なんだかそこが悠真と繋がっているような気がして、嬉しくて、少し照れくさかった。
二人でお揃いの指輪を嵌めたまま、もう一度玖珂に戻って、惣一と賢木に一応報告した。
当然喜んでくれたけれど。
「報告なんて、別に必要なかったんだどな」
悠真は笑った。
「番になればよかったのに」
二人の指輪を見て、圭吾がすぐに言った。
悠真は驚いていた。
忘れていたらしい。
改めて、悠真は澪に申し出ようとしたが、澪がそれは断った。
澪が普通に発情期を迎えて数年経っていたなら、即座にOKしたのだけれど。
まだやっと短い発情期がくるだけだし、今番になってしまったら、発情期によって判断できる澪のΩの状態がわからなくなってしまう。
澪には発情期がくる正確な時間がわかるのだから、なんの心配もいらない、と。
これには賢木も同調してくれた。
不安がないわけではない。
寂しくないわけがない。
でもこれからのために。
悠真との未来にために。
澪は、一歩、踏み出した。
完
----必要じゃないかもしれない後書-----
長らく、一年ほどに渡って連載して来ました「螺旋に中の欠片」、読んでくださる貴方のおかげでなんとか完結まで辿り着くことか出来ました。本当にここまでお付き合い下さってありがとうございました。
私が思っているよりもずうっと長くなってしまいました( ̄O ̄;)
この話を書き始めた時に「はしょりすぎない」と決めてしまったので、だらだらと続き、回り道をした挙句やっとくっついたかと思えば、離れて、くっついて、また離れてしまいました。この後惣一の条件を満たし、帰国した澪は悠真と幸せになります。まあ、帰国早々、惣一にこき使われることとなるでしょうけど、幸せには変わりないでしょう(笑)
この「欠片~悠真&澪」編は終了しますが、この後「追憶~惣一&苳也」編を予定してます。過去編なんですけど、未来(この最終話から5~6年後)を交えていこうと思いますので、幸せになった悠真&澪も登場すると思います。
ただ暗い話なんですよね。
別の子供にスポットを当てた話も考えてはいるんですよ?
例えば…
「玖珂家の正統な長男でありながら、異母兄弟である弟の悠真にその座を譲った颯太。いつも笑顔で明るい彼の前に、家族の誰も知らないコンプレックスを刺激する男が現れる」
とか。
この「欠片」でもこの後の「追憶」でも颯太は良い子で明るいんですよね。でも一番複雑で微妙な立場だと思うので、胸中はさぞ複雑だろうと。
あとα&βって書いたことがないので。
β&Ωとか番上書きとかは二次の方でやったことがあるんですけど。
まだわかりませんが。
何かしら続編が出たら、この後書、一部消去させていただきます。
しばらく、ひと月ほどお休みを貰って何かしら新作を投稿させて頂きますので、どうぞそちらもよしなに。
あとtwitterでも絵が描けないけど漫画の連載みたいなことを始めようと思います。
絵が描けないのに漫画?
まあ、見て貰ったらこういうことか、と納得できるでしょう。
当然BLですけどね。
なかなかうまく行かなくて挫けそうですけどね…。
ではまたお会いする時まで。
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出だしから面白くて一気読みしました!
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有難うございます。
続きが読みたい!
ラブラブでずっと続くかなと思っていたら、家族の複雑な事情、離れ離れがあったりとハラハラでした。が!
最後ハッピーエンドで良かったです(*◊*;)
また読みたくなる作品でした☆
いや、読みます!
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