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第5章 変化
35 発情
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必死に悠真の名前を呼んでいた。
悠真も何度も呼んでいた。
瞳を見ながら熱い吐息を交わして、激しい波に一緒に揺れていた。
軋むベッドの音や恥ずかしい音が寝室に響いて。
「悠真、好き」
何度も呟いていた。
その度悠真が微笑んでキスをくれるから、澪は何度も繰り返した。
頂上がどこかもわからないぐらい登って、登って。
頭の中にあるのは悠真の熱と激しさと、悠真から与えられる快感だけで。
自分の身体がどこにあるのかさえわからない。
ああ。
こんなにも。
こんなにも悠真のことが好きになっていた自分を再認識しながら、目の前で真っ白く何かがスパークしたのを最後に記憶は途絶えた。
次に気が付いた時には悠真の腕の中で、しっかりと抱き込まれていた。
ベッド脇の窓から日差しが差し込んでいないことから、まだ夜明け前であることはわかったけれど。
一体あれからどれだけ経ったのかもわからない。
一瞬だったようで、ずっと長い間だったようでもあるし。
温かく、穏やかな寝息が額にかかる。
悠真の寝顔なんて見慣れてるのに。
あんな激しさを隠して、いつもの穏やかな寝顔。
澪は思わずくすり、と笑いを漏らしていた。
嬉しい。
気恥ずかしくて、悠真が起きてきたら、どんな顔をしたらいいかわからないけれど。
こんな風に裸で抱き合って目が醒めるなんて初めてじゃないのに。
何もかもが新鮮で、嬉しくて。
笑みが止まらない。
眠ったままの悠真に抱きついて、胸に頬を擦り寄せる。
汗の感触が残る肌さえ、嬉しくて愛おしい。
微かに聞こえてくる鼓動に合わせて、呼吸をする。
こんな風に悠真と抱き合いたかったんだ。
そう痛感して。
さらに小さく笑い声を漏らした。
「何笑ってんだよ」
不意に頭上から声が降ってきて、澪は身体を離しながら顔を上げようとした。
それを押さえ込まれてさらに抱き込まれる。
「ちょ、悠真、起きてたの?」
一人でニヤついていたのを見られたのかと、澪は顔を赤くした。
「澪の笑い声で目が覚めた」
恥ずかしい。
澪は悠真の腕の中で顔を両手で覆った。
もっと恥ずかしいことをした後だけれど。
なぜだか、もっと恥ずかしい。
…?あれ?…
悠真の脚に挟まれた脚が、なんだか、変。
「恥ずかしいな」
もぞもぞと脚を動かしている時に悠真の声が降ってきて、澪は反射的にびくりとした。
「え、僕?」
見上げようとすると、微妙に押さえ込まれる。
「は?俺のことだよ、がっついた。ごめん」
「え、いいよ、別に」
恥ずかしいのは一緒だよ、と顔を見たいのに、悠真の手が頭を抑えているので叶わない。
恥ずかしいけれど、顔を見て話したいなのにがっちりと押さえ込まれた頭は身動きが取れないまま。
「…もしかして、顔を見られたくない?」
澪が視線だけで悠真を見上げると、悠真の頭が自分の頭にさらに隠れて見えなくなった。
「恥ずかしい、だろ」
悠真も同じなんだと思うと嬉しくて。
澪がくすくす笑いだすと、悠真が拗ねたように咎める。
「笑うなよ。ガキっぽいって自分でも思うよ」
「そうじゃなくて。僕も一緒だから」
答えながら、澪は頬を寄せている悠真の胸板を撫でた。
「キス、したいな、って」
そう言うと、押さえつける力が弱まったので、澪は顔を上げた。
それから照れくさそうな悠真の唇にそっと唇を重ねる。
きっと、自分も同じ顔をしてる。
それすらも嬉しい。
唇が離れると、悠真が少し眉を寄せた。
「…なあ、澪…」
「あ、気付いた?」
キスをしたのはわざと、気付かせるためだった。
悠真なら気付いてくれるはず。
「じゃあ…」
悠真の顔色がぱあっと明るくなっていく。
澪はもう一度ことん、と悠真の胸に頭を落とした。
「うん、発情期になったみたい」
くすくす笑いながら悠真の胸を撫でた。
「驚きじゃな」
老医者は澪を見るなり、驚きを隠せないようカルテを何度も見直した。
「どんな魔法を使ったんじゃ」
「どんなって…」
悠真とのセックスが呼び水になったみたいです、などとは医者相手とはいえとても言えない。
赤くなる頬が恥ずかしくて、澪は診察用の椅子の上で体を丸めて縮こまった。
あの後。
まだ夜明け前だったことから、澪と悠真は抱き合ったまま眠ろうとした。
けれど、鼻をくすぐるαの匂いが気になって、悠真も澪のΩの匂いが気になる、と言い出して。
眠れず、話しながらキスを繰り返しているうちに、再び、体を繋いだ。
さすがに疲労からうとうとする澪を置いて、悠真は明るくなった屋敷の中を駆け、賢木を探しにいった。
厨房で惣一や颯太と朝食準備中だった賢木は、悠真が言うより早く、澪の発情期の匂いを感じ取り、血相変えてやってきた。
急かされながらシャワーを浴びて、身支度を整えた。
その間に賢木が、休診のはずの老医者を起こして、急遽診てもらえることになった。
半信半疑だった老医者も、澪を診て驚きを隠せないようだった。
ちょっとだけ視線を上げて盗み見た、カルテを見る横顔はどこかほっとしているように見えた。
それを見て、澪も思わず口元を綻ばせる。
この間来た時は冷たく感じた老医者の表情が、今は穏やかで優しく見える。
もしかしたらあの時も、本当は優しい顔をしていたのかもしれない。
ずっと診てくれているのだから、心配もしてくれていたんだ。
なんだか、嬉しくて。
今度は笑っていることを隠したくて、澪は俯いた。
「先生、どうですか?澪さんは」
澪の後ろから賢木が心配そうに声を掛けた。
「まだ弱い感じじゃが…、自分ではどんな感じじゃ?」
「え」
澪は一人ほこほこと笑っていたので、慌てて背を伸ばし、老医者を見た。
「よく、わからないんですけど…。少し体がほかほかする感じで…、あの、αの匂いに敏感になりました」
話に聞く発情期とは程遠い。
性衝動も、悠真のαの匂いを嗅いでしばらくしないと起こらない。
最中も、ちょっとだけ感度がいいかな、程度で、直前にしたセックスとあまり変わらない気さえする。
ただ。
自分から、今まで劣等感を抱えて嗅いで来たΩの発情期の匂いが確かにする。
そして、何より悠真が澪の匂いに過敏に反応する。
ちょっと抱き合っただけで、悠真の下肢は反応し興奮状態になる。
賢木を呼びに行くまで、何度か繰り返したから間違いない。
賢木の前でも悠真は澪の匂いに惑わされるように興奮状態に陥ってしまって。
抑制器は医者の許可が出てからと賢木に言われたので、お互い近付き過ぎない距離を取ってここまで来た。
悠真がそんな状態なのは澪にとっては嬉しいことだったので、いつでも応えたいのだけれど。
さすがに悠真は賢木の前では恥ずかしいのか、自制が効くようになっていった。
それでも気になるらしく、病院に同行して、今は待合室で二人が戻ってくるのを待っている。
「そうじゃろうな…。αの匂いにさえ気をつけておれば、衝動もないじゃろう」
「抑制器や薬は、どうしましょう?悠真さんはともかく、うちには他のαもいますし」
賢木の言葉には悠真、の名前に少し呆れたような含みがあった。
我を忘れたようにふらふらと澪に近付く悠真を、正気に戻したのは賢木の声だった。
それを見るたび、澪は複雑な思いがした。
やはりずっと教育係として悠真を躾てきて、さらに実の母親だったのだから、影響力は絶大。
「軽めの抑制剤を処方しておこう。それを朝晩を目安に服用して、他のαがいると思われる所へは抑制器を片方に一つつけておけば問題ないかの」
「朝、晩?」
澪は思わず聞き返した。
以前飲んだ抑制剤は1日一回でよかった。
それに…。
昼はともかく、夜は悠真としかいないし。
…せっかく、やっと迎えた発情期なのに。
もっとも、もう、発情期なんかあてにしなくても平気だけれど。
でも、あんな悠真は初めて見るし。
あんな風に求められるのは、好きな相手ならば嬉しい。
ましてややっと繋がれた相手だし。
「あ、あの…」
澪は恥ずかしそうに口を開いた。
けれど悠真としたいから、抑制剤を飲みたくない、とは言えなくて。
再び消え入らんばかりに縮こまって黙り込んだ澪を、老医者が少し笑った。
「夜は問題なければ飲まなくてもいいじゃろ」
ぱっと顔を上げた澪の後ろから、やや冷ややかな声がする。
「ダメですよ。先ほど言ったように、うちには他のαもいるんですから」
龍一は週末しか現れない。
つまりこの言葉がさすのは、明らかに惣一。
賢木でもそんな心配をするんだ、と感激と感心と、変な照れ臭さを込めて澪は振り向いた。
賢木も澪の視線からそのことを感じ取ったのだろう。
気まずそうに視線を逸らした。
「僕、発情期の間は部屋で食事を取っていいですか」
賢木は少し赤くなりながら、腰に手を当てて、澪を睨んだ。
「ダメです!家族は一緒に食事をしなくちゃ…」
澪を「家族」と呼んでくれたことが嬉しくて、目をきらきらさせ賢木を見つめた。
賢木がそう言ってくれるのなら、たった一言で説得されてしまった澪が頷く直前、傍から遠慮がちな声が届く。
「まあ、苳也の言いたいこともわかるが、わしもその方がいいかもしれんと思う」
老医者が口を挟むと、賢木は明らかにむっとした表情をした。
「…どうしてですか…」
澪も一緒になって振り向く。
もう納得し掛けていたのに。
「できるだけ、抑制せんほうがいいと思うんじゃ。せっかく迎えられたんじゃからな」
「………」
はっと目を見開いて、澪は老医者の言葉を聞く。
「この様子だと、1週間もないじゃろう。あって、2~3日じゃな」
自分でも疑問が湧くほどの軽い発情期だから、そう長くはないだろうと澪も思っていた。それでも老医者の宣告には驚き、愕然とした。
「………」
賢木が黙り込むと、澪はここぞとばかりに追い打ちを掛けた。
「賢木さん、僕、期間中は部屋で大人しくしてます。出来れば大学も休んで…」
悠真は昼間いないけれど、老医者の言葉に抑制剤への恐怖を思い出した。
もう、あんな思いはしたくない。
自分が変な弱い心に負けて、薬や器具に頼ったばっかりに、望む時に望む状態になれず、焦り苦悩と劣等感を抱えてきた。
今はもう、発情期に関わらず、全ての負の感情を悠真のおかげで拭い去れたけれど、また同じことを繰り返したくない。
Ωである自分を受け入れて、ありのままの自分でいたい。
その方がきっと全て順調に進む。
紆余曲折はこれからもあるかもしれないけれど。
真っ正面から受け止めて、乗り越えて行きたい。
その時にハンデや負い目、心配事は抱えていたくない。
じっと真剣に見つめた澪に、賢木は小さな溜息を吐いた。
「…仕方ありませんねぇ…」
澪は思わず涙ぐんで、賢木の手を取った。
「なんだ、もう、抑制器つけちゃったのか」
人もまばらな待合室で澪の隣に座った悠真が、澪の髪を掻き上げ右耳を露わにして呟いた。
微かに肌に触れた悠真の指先にぞくりと背を震わせる。
悠真から与えられる、微かな接触でさえ刺激になる。
発情期のせいなのか、昨夜の性行為のせいなのか。
澪には区別がつかないけれど。
悠真も澪の反応に気付いて、微かに口端を上げただけ。
「う、ん。薬貰うまでは、ね」
「残念だな。澪の発情期の匂い、俺、すごく好きなのに」
ふと、顔を近付けた悠真が肩口、首筋にずっと近いところで鼻をすん、と鳴らした。
「微かにしか、しないや」
「うん、悠真の匂いもあんまりしないね」
澪も肩口の悠真に顔を近付けて鼻を鳴らす。
今はいつもの悠真の香りだけ。
体臭というほど強く香るわけではなく、微かな存在を主張するだけの匂い。
それと出がけに浴びたシャワーの匂いが混じってる。
その中に溶け込むようにαの匂いがする。
二人して、そのままうっとりとお互いの香りを楽しむ。
「…なんで、澪にも分からなかったんだろうな…」
悠真の声はどこか気が抜けていて、澪の耳を掠めていく。
「…うん?どういう、こと…?」
匂いと声と、悠真がそこにいることを澪に教えてくれる。
それだけで澪は心地よい空気が全身を包んでくれるのを感じた。
身を任せて、目を閉じる。
「…澪は、前もって発情期がわかるはずだろ…」
「…そういえば、そうだね…」
「…なんでだろうな…」
「…なんでだろうね…」
言葉を交わしながらも、内容はほとんど頭に入ってこない。
お互いの匂いを全身で嗅ぎあって、その心地よさに身を任せて…。
「こんなところでイチャイチャしないでくださいっ」
大きな咳払いとともに叱咤されて、二人とも飛び上がるようにして離れた。
「ったく」
賢木が呆れたような溜息と眼差しで二人を見下ろしていた。
澪は気恥ずかしくて、真っ赤になって俯く。
つい、悠真の匂いに釣られて、すっかりここがどこか忘れていた。
隣で悠真が頭をかいた。
「いいじゃん、人も少ないし」
「よくありませんよ!ほら、帰りますよ」
勢いよく踵を返した賢木を澪と悠真は顔を見合わせながら追いかけた。
「さか、…母さん、澪の薬は?」
悠真の声に賢木は振り向きもせず、薬の入った小さな袋を肩口で振ってみせた。
「二人がいちゃついてるうちに私が取ってきました」
「あ、すみません」
澪は追いかけながら、賢木に声を掛けた。
それでも賢木はなんだか怒っているように足音高く歩き続ける。
「こんなに悠真さんが腑抜けになるなんて。本当に澪さんの発情期は弱いんですかっ!?」
「何怒ってんだよ」
悠真が聞くと、やはり拗ねたような、怒ってる顔でくるりと振り向いた。
「怒ってませんっ!呆れてるんですっ!」
「…いや、怒ってるだろ…」
「どっちでもいいですよっ、もう」
再び歩き出した賢木を追いかけながら、澪は苦笑いして悠真と目配せをした。
悠真も苦笑いして、賢木の背中を追いかける。
悠真の疑問は最もだった。
澪も一瞬、自分から香る匂いに疑問を持った。
なんの前触れもなかったはず。
突然、行為の後気がついたら香っていた。
でももしかしたら。
その前兆はちゃんとあって。
その頃澪はそれどころじゃなく悩んでいたから、気付かなかっただけかもしれない。
あるいは。
本当に、悠真との行為が呼び水になったのかも。
αに触れて、澪の中のΩが目を覚ましたのかもしれない。
もともといつきてもおかしくないと言われていたのだから。
どうとでも取れる、し、もう、どうでもいい。
これからは他のΩと対等に澪も主張できる。
悠真の相手として、自分にも資格があると、胸を張ることができる。
まだまだ、行先も決まっていない将来だけれど。
きっと、その道は悠真と寄り添うように伸びているに違いない。
拗ねたように歩く賢木に、澪は後ろから飛びつくようにして腕に腕を絡めた。
驚く賢木に、精一杯の笑みをみせた。
「ありがとうございました、賢木さん。そして色々心配かけてすみませんでした」
賢木越しの反対側に悠真が微笑んでいるのが見える。
目を見開いていた賢木がふわりと微笑んだ。
「まだ、過去形にしないでくださいね。私はまだまだ澪さんの心配をする気でいますから」
嬉しくて。
賢木が自分もあの、たくさんいる家族の一員として見ていることを、初めて口にしてくれたから。
これまでも他の子供達と同等に扱ってくれていたけれど。
自分にはもういないはずの親が、ここにちゃんといると。
いつでも見守っていてくれる。
それが嬉しくて。
賢木の腕に顔を擦り付けるようにして、幸福感に満ち溢れた笑顔で歩いていた澪に、賢木が何気なく声を掛けてきた。
「そうそう、龍が来週にでも一度顔を出しにおいで、って言ってましたよ」
「え」
あ、忘れてた。
澪がその一言で、もう一つ悠真に話さなければいけないことを思い出したのと同時に、悠真から黒い怒気が漂ってきた。
「なんで、りーちゃんと約束してんだよっ」
「え、あれ?」
賢木が悠真の様子にきょとんとして澪を振り返る。
澪はそれどころじゃなく。
「あ、あのね、悠真、そうじゃなくてね」
「ま、まさか発情期だからりーちゃんに会うとか言うなよっ!絶対会わせなないからな!!」
賢木越しに、澪を捕まえようと腕を伸ばしてきた悠真から、澪は反射的に逃げ、賢木の後ろに隠れた。
「な、なんで逃げるんだよっ」
「だ、って、悠真誤解してるし」
「はあ!?どこが誤解だよっ!?」
「だから!悠真が思ってるような意味じゃないんだってば!」
澪も必死に訴えようと声を荒げる。
賢木の周りを澪はくるくると逃げ回り、悠真はそれを追いかけてくる。
「ちょ、ちょっと二人ともやめなさい」
「おい、澪!こっち来いよっ」
「やだよ!悠真が話を聞いてくれたらそっちに行く!」
焦る賢木の後ろを逃げ回りながら、尋常じゃない悠真の怒気に怯みつつも、思わず笑みが零れた。
「こっちきたら話を聞く!」
悠真は額に筋すらない浮かべているけれど。
「話を聞いてくれたら、行くってば」
堂々巡りの言い合いを繰り返す。
それすらも嬉しくて、楽しい。
ちゃんと話を聞いてくれれば、悠真の怒りが収まることはわかっているので。
それよりも取り乱した悠真が、珍しくて楽しい。
自分のために例え誤解であっても、こんなに取り乱してくれると言うことは、それだけ思っってくれていると言うことに変わりないから。
あんなに慕っている龍一が相手でも。
微かに脳裏を掠める惣一の言葉。
澪に自信と喜びを与えてくれる悠真の態度。
「いい加減にしなさいっ」
賢木の怒声を聴きながら、澪は笑い声を上げていた。
「ちゃんと聞いてほしいんだってば、悠真」
親友によって導き出された一筋の道。
ぜひ悠真に聞いて欲しい。
自分が悠真と一緒に進むために足掻いていることを、ちゃんと知ってほしい。
まあ、悠真が簡単に頷いてくれるかはわからないけれど。
きっと、悠真ならわかってくれるから。
悠真も何度も呼んでいた。
瞳を見ながら熱い吐息を交わして、激しい波に一緒に揺れていた。
軋むベッドの音や恥ずかしい音が寝室に響いて。
「悠真、好き」
何度も呟いていた。
その度悠真が微笑んでキスをくれるから、澪は何度も繰り返した。
頂上がどこかもわからないぐらい登って、登って。
頭の中にあるのは悠真の熱と激しさと、悠真から与えられる快感だけで。
自分の身体がどこにあるのかさえわからない。
ああ。
こんなにも。
こんなにも悠真のことが好きになっていた自分を再認識しながら、目の前で真っ白く何かがスパークしたのを最後に記憶は途絶えた。
次に気が付いた時には悠真の腕の中で、しっかりと抱き込まれていた。
ベッド脇の窓から日差しが差し込んでいないことから、まだ夜明け前であることはわかったけれど。
一体あれからどれだけ経ったのかもわからない。
一瞬だったようで、ずっと長い間だったようでもあるし。
温かく、穏やかな寝息が額にかかる。
悠真の寝顔なんて見慣れてるのに。
あんな激しさを隠して、いつもの穏やかな寝顔。
澪は思わずくすり、と笑いを漏らしていた。
嬉しい。
気恥ずかしくて、悠真が起きてきたら、どんな顔をしたらいいかわからないけれど。
こんな風に裸で抱き合って目が醒めるなんて初めてじゃないのに。
何もかもが新鮮で、嬉しくて。
笑みが止まらない。
眠ったままの悠真に抱きついて、胸に頬を擦り寄せる。
汗の感触が残る肌さえ、嬉しくて愛おしい。
微かに聞こえてくる鼓動に合わせて、呼吸をする。
こんな風に悠真と抱き合いたかったんだ。
そう痛感して。
さらに小さく笑い声を漏らした。
「何笑ってんだよ」
不意に頭上から声が降ってきて、澪は身体を離しながら顔を上げようとした。
それを押さえ込まれてさらに抱き込まれる。
「ちょ、悠真、起きてたの?」
一人でニヤついていたのを見られたのかと、澪は顔を赤くした。
「澪の笑い声で目が覚めた」
恥ずかしい。
澪は悠真の腕の中で顔を両手で覆った。
もっと恥ずかしいことをした後だけれど。
なぜだか、もっと恥ずかしい。
…?あれ?…
悠真の脚に挟まれた脚が、なんだか、変。
「恥ずかしいな」
もぞもぞと脚を動かしている時に悠真の声が降ってきて、澪は反射的にびくりとした。
「え、僕?」
見上げようとすると、微妙に押さえ込まれる。
「は?俺のことだよ、がっついた。ごめん」
「え、いいよ、別に」
恥ずかしいのは一緒だよ、と顔を見たいのに、悠真の手が頭を抑えているので叶わない。
恥ずかしいけれど、顔を見て話したいなのにがっちりと押さえ込まれた頭は身動きが取れないまま。
「…もしかして、顔を見られたくない?」
澪が視線だけで悠真を見上げると、悠真の頭が自分の頭にさらに隠れて見えなくなった。
「恥ずかしい、だろ」
悠真も同じなんだと思うと嬉しくて。
澪がくすくす笑いだすと、悠真が拗ねたように咎める。
「笑うなよ。ガキっぽいって自分でも思うよ」
「そうじゃなくて。僕も一緒だから」
答えながら、澪は頬を寄せている悠真の胸板を撫でた。
「キス、したいな、って」
そう言うと、押さえつける力が弱まったので、澪は顔を上げた。
それから照れくさそうな悠真の唇にそっと唇を重ねる。
きっと、自分も同じ顔をしてる。
それすらも嬉しい。
唇が離れると、悠真が少し眉を寄せた。
「…なあ、澪…」
「あ、気付いた?」
キスをしたのはわざと、気付かせるためだった。
悠真なら気付いてくれるはず。
「じゃあ…」
悠真の顔色がぱあっと明るくなっていく。
澪はもう一度ことん、と悠真の胸に頭を落とした。
「うん、発情期になったみたい」
くすくす笑いながら悠真の胸を撫でた。
「驚きじゃな」
老医者は澪を見るなり、驚きを隠せないようカルテを何度も見直した。
「どんな魔法を使ったんじゃ」
「どんなって…」
悠真とのセックスが呼び水になったみたいです、などとは医者相手とはいえとても言えない。
赤くなる頬が恥ずかしくて、澪は診察用の椅子の上で体を丸めて縮こまった。
あの後。
まだ夜明け前だったことから、澪と悠真は抱き合ったまま眠ろうとした。
けれど、鼻をくすぐるαの匂いが気になって、悠真も澪のΩの匂いが気になる、と言い出して。
眠れず、話しながらキスを繰り返しているうちに、再び、体を繋いだ。
さすがに疲労からうとうとする澪を置いて、悠真は明るくなった屋敷の中を駆け、賢木を探しにいった。
厨房で惣一や颯太と朝食準備中だった賢木は、悠真が言うより早く、澪の発情期の匂いを感じ取り、血相変えてやってきた。
急かされながらシャワーを浴びて、身支度を整えた。
その間に賢木が、休診のはずの老医者を起こして、急遽診てもらえることになった。
半信半疑だった老医者も、澪を診て驚きを隠せないようだった。
ちょっとだけ視線を上げて盗み見た、カルテを見る横顔はどこかほっとしているように見えた。
それを見て、澪も思わず口元を綻ばせる。
この間来た時は冷たく感じた老医者の表情が、今は穏やかで優しく見える。
もしかしたらあの時も、本当は優しい顔をしていたのかもしれない。
ずっと診てくれているのだから、心配もしてくれていたんだ。
なんだか、嬉しくて。
今度は笑っていることを隠したくて、澪は俯いた。
「先生、どうですか?澪さんは」
澪の後ろから賢木が心配そうに声を掛けた。
「まだ弱い感じじゃが…、自分ではどんな感じじゃ?」
「え」
澪は一人ほこほこと笑っていたので、慌てて背を伸ばし、老医者を見た。
「よく、わからないんですけど…。少し体がほかほかする感じで…、あの、αの匂いに敏感になりました」
話に聞く発情期とは程遠い。
性衝動も、悠真のαの匂いを嗅いでしばらくしないと起こらない。
最中も、ちょっとだけ感度がいいかな、程度で、直前にしたセックスとあまり変わらない気さえする。
ただ。
自分から、今まで劣等感を抱えて嗅いで来たΩの発情期の匂いが確かにする。
そして、何より悠真が澪の匂いに過敏に反応する。
ちょっと抱き合っただけで、悠真の下肢は反応し興奮状態になる。
賢木を呼びに行くまで、何度か繰り返したから間違いない。
賢木の前でも悠真は澪の匂いに惑わされるように興奮状態に陥ってしまって。
抑制器は医者の許可が出てからと賢木に言われたので、お互い近付き過ぎない距離を取ってここまで来た。
悠真がそんな状態なのは澪にとっては嬉しいことだったので、いつでも応えたいのだけれど。
さすがに悠真は賢木の前では恥ずかしいのか、自制が効くようになっていった。
それでも気になるらしく、病院に同行して、今は待合室で二人が戻ってくるのを待っている。
「そうじゃろうな…。αの匂いにさえ気をつけておれば、衝動もないじゃろう」
「抑制器や薬は、どうしましょう?悠真さんはともかく、うちには他のαもいますし」
賢木の言葉には悠真、の名前に少し呆れたような含みがあった。
我を忘れたようにふらふらと澪に近付く悠真を、正気に戻したのは賢木の声だった。
それを見るたび、澪は複雑な思いがした。
やはりずっと教育係として悠真を躾てきて、さらに実の母親だったのだから、影響力は絶大。
「軽めの抑制剤を処方しておこう。それを朝晩を目安に服用して、他のαがいると思われる所へは抑制器を片方に一つつけておけば問題ないかの」
「朝、晩?」
澪は思わず聞き返した。
以前飲んだ抑制剤は1日一回でよかった。
それに…。
昼はともかく、夜は悠真としかいないし。
…せっかく、やっと迎えた発情期なのに。
もっとも、もう、発情期なんかあてにしなくても平気だけれど。
でも、あんな悠真は初めて見るし。
あんな風に求められるのは、好きな相手ならば嬉しい。
ましてややっと繋がれた相手だし。
「あ、あの…」
澪は恥ずかしそうに口を開いた。
けれど悠真としたいから、抑制剤を飲みたくない、とは言えなくて。
再び消え入らんばかりに縮こまって黙り込んだ澪を、老医者が少し笑った。
「夜は問題なければ飲まなくてもいいじゃろ」
ぱっと顔を上げた澪の後ろから、やや冷ややかな声がする。
「ダメですよ。先ほど言ったように、うちには他のαもいるんですから」
龍一は週末しか現れない。
つまりこの言葉がさすのは、明らかに惣一。
賢木でもそんな心配をするんだ、と感激と感心と、変な照れ臭さを込めて澪は振り向いた。
賢木も澪の視線からそのことを感じ取ったのだろう。
気まずそうに視線を逸らした。
「僕、発情期の間は部屋で食事を取っていいですか」
賢木は少し赤くなりながら、腰に手を当てて、澪を睨んだ。
「ダメです!家族は一緒に食事をしなくちゃ…」
澪を「家族」と呼んでくれたことが嬉しくて、目をきらきらさせ賢木を見つめた。
賢木がそう言ってくれるのなら、たった一言で説得されてしまった澪が頷く直前、傍から遠慮がちな声が届く。
「まあ、苳也の言いたいこともわかるが、わしもその方がいいかもしれんと思う」
老医者が口を挟むと、賢木は明らかにむっとした表情をした。
「…どうしてですか…」
澪も一緒になって振り向く。
もう納得し掛けていたのに。
「できるだけ、抑制せんほうがいいと思うんじゃ。せっかく迎えられたんじゃからな」
「………」
はっと目を見開いて、澪は老医者の言葉を聞く。
「この様子だと、1週間もないじゃろう。あって、2~3日じゃな」
自分でも疑問が湧くほどの軽い発情期だから、そう長くはないだろうと澪も思っていた。それでも老医者の宣告には驚き、愕然とした。
「………」
賢木が黙り込むと、澪はここぞとばかりに追い打ちを掛けた。
「賢木さん、僕、期間中は部屋で大人しくしてます。出来れば大学も休んで…」
悠真は昼間いないけれど、老医者の言葉に抑制剤への恐怖を思い出した。
もう、あんな思いはしたくない。
自分が変な弱い心に負けて、薬や器具に頼ったばっかりに、望む時に望む状態になれず、焦り苦悩と劣等感を抱えてきた。
今はもう、発情期に関わらず、全ての負の感情を悠真のおかげで拭い去れたけれど、また同じことを繰り返したくない。
Ωである自分を受け入れて、ありのままの自分でいたい。
その方がきっと全て順調に進む。
紆余曲折はこれからもあるかもしれないけれど。
真っ正面から受け止めて、乗り越えて行きたい。
その時にハンデや負い目、心配事は抱えていたくない。
じっと真剣に見つめた澪に、賢木は小さな溜息を吐いた。
「…仕方ありませんねぇ…」
澪は思わず涙ぐんで、賢木の手を取った。
「なんだ、もう、抑制器つけちゃったのか」
人もまばらな待合室で澪の隣に座った悠真が、澪の髪を掻き上げ右耳を露わにして呟いた。
微かに肌に触れた悠真の指先にぞくりと背を震わせる。
悠真から与えられる、微かな接触でさえ刺激になる。
発情期のせいなのか、昨夜の性行為のせいなのか。
澪には区別がつかないけれど。
悠真も澪の反応に気付いて、微かに口端を上げただけ。
「う、ん。薬貰うまでは、ね」
「残念だな。澪の発情期の匂い、俺、すごく好きなのに」
ふと、顔を近付けた悠真が肩口、首筋にずっと近いところで鼻をすん、と鳴らした。
「微かにしか、しないや」
「うん、悠真の匂いもあんまりしないね」
澪も肩口の悠真に顔を近付けて鼻を鳴らす。
今はいつもの悠真の香りだけ。
体臭というほど強く香るわけではなく、微かな存在を主張するだけの匂い。
それと出がけに浴びたシャワーの匂いが混じってる。
その中に溶け込むようにαの匂いがする。
二人して、そのままうっとりとお互いの香りを楽しむ。
「…なんで、澪にも分からなかったんだろうな…」
悠真の声はどこか気が抜けていて、澪の耳を掠めていく。
「…うん?どういう、こと…?」
匂いと声と、悠真がそこにいることを澪に教えてくれる。
それだけで澪は心地よい空気が全身を包んでくれるのを感じた。
身を任せて、目を閉じる。
「…澪は、前もって発情期がわかるはずだろ…」
「…そういえば、そうだね…」
「…なんでだろうな…」
「…なんでだろうね…」
言葉を交わしながらも、内容はほとんど頭に入ってこない。
お互いの匂いを全身で嗅ぎあって、その心地よさに身を任せて…。
「こんなところでイチャイチャしないでくださいっ」
大きな咳払いとともに叱咤されて、二人とも飛び上がるようにして離れた。
「ったく」
賢木が呆れたような溜息と眼差しで二人を見下ろしていた。
澪は気恥ずかしくて、真っ赤になって俯く。
つい、悠真の匂いに釣られて、すっかりここがどこか忘れていた。
隣で悠真が頭をかいた。
「いいじゃん、人も少ないし」
「よくありませんよ!ほら、帰りますよ」
勢いよく踵を返した賢木を澪と悠真は顔を見合わせながら追いかけた。
「さか、…母さん、澪の薬は?」
悠真の声に賢木は振り向きもせず、薬の入った小さな袋を肩口で振ってみせた。
「二人がいちゃついてるうちに私が取ってきました」
「あ、すみません」
澪は追いかけながら、賢木に声を掛けた。
それでも賢木はなんだか怒っているように足音高く歩き続ける。
「こんなに悠真さんが腑抜けになるなんて。本当に澪さんの発情期は弱いんですかっ!?」
「何怒ってんだよ」
悠真が聞くと、やはり拗ねたような、怒ってる顔でくるりと振り向いた。
「怒ってませんっ!呆れてるんですっ!」
「…いや、怒ってるだろ…」
「どっちでもいいですよっ、もう」
再び歩き出した賢木を追いかけながら、澪は苦笑いして悠真と目配せをした。
悠真も苦笑いして、賢木の背中を追いかける。
悠真の疑問は最もだった。
澪も一瞬、自分から香る匂いに疑問を持った。
なんの前触れもなかったはず。
突然、行為の後気がついたら香っていた。
でももしかしたら。
その前兆はちゃんとあって。
その頃澪はそれどころじゃなく悩んでいたから、気付かなかっただけかもしれない。
あるいは。
本当に、悠真との行為が呼び水になったのかも。
αに触れて、澪の中のΩが目を覚ましたのかもしれない。
もともといつきてもおかしくないと言われていたのだから。
どうとでも取れる、し、もう、どうでもいい。
これからは他のΩと対等に澪も主張できる。
悠真の相手として、自分にも資格があると、胸を張ることができる。
まだまだ、行先も決まっていない将来だけれど。
きっと、その道は悠真と寄り添うように伸びているに違いない。
拗ねたように歩く賢木に、澪は後ろから飛びつくようにして腕に腕を絡めた。
驚く賢木に、精一杯の笑みをみせた。
「ありがとうございました、賢木さん。そして色々心配かけてすみませんでした」
賢木越しの反対側に悠真が微笑んでいるのが見える。
目を見開いていた賢木がふわりと微笑んだ。
「まだ、過去形にしないでくださいね。私はまだまだ澪さんの心配をする気でいますから」
嬉しくて。
賢木が自分もあの、たくさんいる家族の一員として見ていることを、初めて口にしてくれたから。
これまでも他の子供達と同等に扱ってくれていたけれど。
自分にはもういないはずの親が、ここにちゃんといると。
いつでも見守っていてくれる。
それが嬉しくて。
賢木の腕に顔を擦り付けるようにして、幸福感に満ち溢れた笑顔で歩いていた澪に、賢木が何気なく声を掛けてきた。
「そうそう、龍が来週にでも一度顔を出しにおいで、って言ってましたよ」
「え」
あ、忘れてた。
澪がその一言で、もう一つ悠真に話さなければいけないことを思い出したのと同時に、悠真から黒い怒気が漂ってきた。
「なんで、りーちゃんと約束してんだよっ」
「え、あれ?」
賢木が悠真の様子にきょとんとして澪を振り返る。
澪はそれどころじゃなく。
「あ、あのね、悠真、そうじゃなくてね」
「ま、まさか発情期だからりーちゃんに会うとか言うなよっ!絶対会わせなないからな!!」
賢木越しに、澪を捕まえようと腕を伸ばしてきた悠真から、澪は反射的に逃げ、賢木の後ろに隠れた。
「な、なんで逃げるんだよっ」
「だ、って、悠真誤解してるし」
「はあ!?どこが誤解だよっ!?」
「だから!悠真が思ってるような意味じゃないんだってば!」
澪も必死に訴えようと声を荒げる。
賢木の周りを澪はくるくると逃げ回り、悠真はそれを追いかけてくる。
「ちょ、ちょっと二人ともやめなさい」
「おい、澪!こっち来いよっ」
「やだよ!悠真が話を聞いてくれたらそっちに行く!」
焦る賢木の後ろを逃げ回りながら、尋常じゃない悠真の怒気に怯みつつも、思わず笑みが零れた。
「こっちきたら話を聞く!」
悠真は額に筋すらない浮かべているけれど。
「話を聞いてくれたら、行くってば」
堂々巡りの言い合いを繰り返す。
それすらも嬉しくて、楽しい。
ちゃんと話を聞いてくれれば、悠真の怒りが収まることはわかっているので。
それよりも取り乱した悠真が、珍しくて楽しい。
自分のために例え誤解であっても、こんなに取り乱してくれると言うことは、それだけ思っってくれていると言うことに変わりないから。
あんなに慕っている龍一が相手でも。
微かに脳裏を掠める惣一の言葉。
澪に自信と喜びを与えてくれる悠真の態度。
「いい加減にしなさいっ」
賢木の怒声を聴きながら、澪は笑い声を上げていた。
「ちゃんと聞いてほしいんだってば、悠真」
親友によって導き出された一筋の道。
ぜひ悠真に聞いて欲しい。
自分が悠真と一緒に進むために足掻いていることを、ちゃんと知ってほしい。
まあ、悠真が簡単に頷いてくれるかはわからないけれど。
きっと、悠真ならわかってくれるから。
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