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第5章 変化
34 呼び合う想い
しおりを挟む戻ってきた惣一が二人を見渡して、ちょっと表情を明るくした。
「おっ、終わったか?」
「終わった、かな?」
賢木は答えながらも澪を伺う。
澪を傷つけないように労わりながら差し伸べられた、優しい手。
遠回りではあったけれど、澪にそっと一つの道を示してくれた。
澪がこくん、と頷くとにっこりと笑顔を向けられた。
「よし、じゃあ本格的に手伝ってもらうかな」
「あ、はい」
惣一の元へ駆け寄っていって、渡されたリンゴの皮むきを始めた。
先ほどより、ちょっと軽くなった気持ちが身体を動かしやすくする。
日向は再び賢木の腕に戻されたが、「やるぅ」と暴れ始めたので、賢木が床に下ろした。
辿々しく追いかけてきた日向に惣一がリンゴを持たせる。
おもちゃの包丁を澪が渡してやると、澪の真似をして皮を剥くふりをした。
小さくて可愛い、日向。
それまで幼児に触れ合うことなどなかったけれど、無条件で愛おしいと思う。
保育に興味を持った京香の気持ちがよくわかる。
自分の子供だったらもっと愛おしいと思えるのだろうか。
子供の世話と、家事を中心とする専業主婦の道。
ないと思っていたけれど、日向を見ていると、それもいいかと思えてしまう。
穏やかに眺めながらふと、思いついた事を口にした。
「あ、あの、惣一さんの会社とかお店で、僕、バイトとか出来ないですか?」
思い出したのは、福田との会話。
日曜にしか会えない惣一に、悠真がいないところで話す機会なんてそうそうない。
悠真の前では切り出しにくい。
悠真は悪気があるわけじゃないのに、澪が悠真から金銭的援助を受けていることに不満があるとは知られたくない。
きっと傷つくから。
好意を跳ね除けられた気がするだろうから。
決して、そうではないのに。
滅多にないチャンスだから、と澪は切り出した。
「バイト?」
惣一は眉を寄せたが、日向のそばに座り込んでいた賢木ははっとしたように目を見開き、それから急に立ち上がった。
「ありますよ!」
澪が振り向くと、賢木は満面の笑顔を向けた。
「私が探して上げましょう!あ、龍一の会社とかどうですか?正確には倉石さんの会社ですが」
「それを言うなら、正確にはお前の会社だろ」
「実質倉石さんの会社です!澪さん、どうですか?」
ダメ元で切り出しただけなのに、賢木が妙に食らいついてきて、澪は戸惑った。
澪の気持ちを知っているからこそ、なのかもしれない。
「でも、龍一さんの会社ってweb関係ですよね?僕知識とか、技術とかないんですけど」
玖珂の系列にどんな企業があるのかはっきりとは知らない。その中にもし飲食店とかあれば、そこで店員としてバイトができないかと思っていたのだけれど。
経験はないけれど、それぐらいなら自分にもできそうだと。
賢木は首を振りつつ答える。
「龍も最初は初心者だったんですよ。最初は簡単な雑用から始めたんです」
「でも普通の会社とか、大学があるので…」
嫌、と言うわけではないけれど、大学にはちゃんと行きたいし、両立できなければ意味がない。
「フレックスですから都合のいい時に出勤すればいいんです。最初は龍か倉石さんが、澪さんの勤務できる時間に、出勤してくれると思いますし」
「まあ、龍もそうやって高校2年から大学4年まで勤めてるしな」
「あ、そんなに長い間だったんですね」
バイトしていたことは聞いていたけれど、そこまでとは知らなかった。
「ああ。試験休みとか貰いながらだけどな。長期の休みには時間を長くして貰ったり、結構融通効くみたいだ」
「へえ…、それは都合がいいですね」
「ね?龍に話しておきますから都合がいい時に話を聞いて見ませんか?」
なんだか、自分よりも賢木の方が乗り気で、澪は思わず笑いを零した。
「そうですね」
「龍の連絡先はご存知でしたっけ?」
賢木が嬉しそうにごそごそとポケットを探り出す。
「あ、連絡先なら一応、伺ってます」
実際にかけたことはないけれど。
かかってきたこともないけれど。
「あー…、その前に悠真に話しておいた方がいいと思うぞ」
惣一が頭を掻きながら、遠慮がちに口を挟んだ。
「え」
「澪さんの自由だし、悠真さんの許可は必要ないんじゃない?」
賢木もせっかく上機嫌だったところを邪魔されて、ちょっと不機嫌そうに言う。
「許可、とかじゃなくて、さ」
くしゃ、と髪を掻き毟る。
「妬くんじゃないかと思って、さ」
「え、妬く?」
好意を無碍にされたと怒るではなくて?
「誰に?」
賢木も聞き返す。
「龍にだよ」
まさか、と賢木と二人で笑いながら顔を見合わせた。
悠真の龍一へのなつきぶりは、実の父親以上なのは澪も知っている。
龍一の前だと悠真はまるっきり子供に戻る。
澪の前だと恥ずかしいのか、少し抑えてはいるけれど。
わかってねーな、とばかりに惣一は舌打ちをした。
「悠真の澪くんへの執着は半端ないぞ。俺はよく、澪くんに車を与えたよと思ったぐらいだし。あれは、お前が言い出したんだろ?」
「ええ。大学通うには必要だし」
「だろうな」
惣一の言わんとするところがいまいちわからなくて、澪は首を傾げながら賢木を振り返る。
賢木も首を傾げながら惣一を振り返った。
「どうゆうこと?」
「…わからなければいい。とにかく、悠真にはちゃんと話しておいた方がいい」
「はい」
わからないながらも、澪は頷いた。
どちらにしても話さなければならない。
惣一と一緒に作ったアップルパイは結局、夕飯と一緒に食卓に並べられた。
食堂に一同に会して、談笑する。
チェスで負けたらしい颯太は、今度は悠真にレースゲームで挑戦中だった。
なんだかんだと文句を言いながらも、門限を守っている圭吾が横からそんな二人に茶々を入れている。
京香はアップルパイを日向に分け与えながら、嬉しそうに微笑んでいるし、賢木と惣一は昼間の話などなかったかのように、子供達のことや仕事の話をしている。
澪は。
悠真の背中に声援を送りながら、考えていた。
悠真に話さなければいけないことがある。
バイトのこと、発情期のことで澪が悩んでいること。
バイトのことはともかく発情期の話をするのは、気が重い。
なぜ、話せないのか。
なぜ、気が重いのか。
そもそもなんで発情期が待ち遠しいんだったっけ?
そんな事を賢木たちと話してから考えている。
何度考えても、浮かんでくる答えが自分が想像していたものと違うので、澪は戸惑って、何度も打ち消しては考え直している。
けれども結局、同じ答えが浮かんでくるのだ。
悠真と一線を越えるきっかけとして、望んでいるのだ。
発情期が始まるまで、澪とセックスしないと豪語した悠真。
その言葉を頑なに守り続けている。
澪は。
澪は、認めるのは恥ずかしいし、それを口にするのはもっと恥ずかしいけれど、悠真としたいと思っている。
一度だけ、悠真と重なった時の事を覚えている。
でもあの時は激情の中で、訳も分からないまま過ぎていった。
もっとちゃんと。
悠真と繋がりたい。
でもそれを口に出来ない。
だからきっかけとして発情期を望んでいるのだ。
発情期が来れば悠真は、自然と澪と寝てくれるはず。
そう、思っているからだ。
悠真に話す、と言うことは、それを悠真に話すことになる。
それはどう考えても恥ずかしい。
知らず羞恥に顔が熱くなる。
それを隠すように何度も顔をさすりながら、悠真の背中を見つめる。
悠真は、澪がそう打ち明けたら、どんな反応をするだろうか。
浅ましいと思う?
呆れて、嫌いになってしまう?
反応が気になって、澪は結局、どちらがどう勝ったのかわからず、声援を送り続けた。
ある程度の時間が経つと、家族はぱらぱらと自室へと散り始める。
主にこくこくと船を漕ぎ始めた日向をきっかけに、賢木や京香が立ち上がるところから始まる。
賢木が部屋へ戻る時には惣一も一緒だし、目当ての日向がいなくなると京香も引き上げが早い。
それを見た悠真もあくびを始める。
「俺たちも戻ろ、おやすみ~」
「おやすみなさい」
二人で並んで部屋を出る。
「おやすみ~」
颯太と圭吾もそれを見て引き上げの準備を始める。
この後、二人はどちらかの部屋でゲームの続きをしているようだが、賢木からほどほどに、と釘を刺されているらしい。
前を歩く悠真の背中を追いかけながら、澪はどう切り出そうか、迷っていた。
先延ばしにしてもしょうがない。
発情期は来ないけれど、悠真との関係を改善できる。
問題があると思っているのは澪だけかもしれないが。
そもそも改善さえ出来れば、面倒なだけの発情期は必要ない。
部屋へ入ると、悠真がそのままバスルームへ向かっていく。
「澪は?」
一緒に入ることもあるし、別々の時もある。
「あ、僕、課題とか出しっぱなしだから、片付けてからにする」
「わかった」
あのままにしてしまっていた書斎を片付けながら、澪は一人顔を赤くした。
こんな、悠真とのセックスが念頭にある中で、一緒にお風呂に入るとか出来ない。
何度も一緒に入っているし、最後までしていないけれど、お互いの身体にはいつも触れ合っているのだから、今更だけど。
ますます顔が熱くなる。
これは、熱を冷ますために少し勉強したほうがいいのかな。
そんな事を考えながら、広げたままの教科書や課題をペラペラとめくった。
「澪」
「うわっ」
声を掛けられて、澪は飛び上がった。
「 ごめん、驚かすつもりじゃなかったんだけど」
悠真が思いの外跳ねた澪の反応を面白がって笑う。
「あ、ううん、ごめん、考え事してた」
思わず振り向いて、半裸の悠真に一気に顔に熱が上がってきて、澪は慌てて目をそらした。
「風呂、空いたぞ」
悠真の声には気にした様子はない。
「うん、すぐいく」
そう答えながら、無意味にごそごそと机をかき回すふりをした。
悠真が立ち去る足音を聞いて、ほっと胸を撫で下ろす。
悠真の裸なんて、見慣れてるはずなのに。
課題も秘書検定の教科書も、とりあえず寄せただけで、机に置いたまま、澪はバスルームへと向かった。
寝室のドアは閉じられている。
まさか、悠真、寝ちゃった?
欠伸してたし。
起こしてまで、切り出すのはちょっと憚れる。
いつもの習慣で本を読んでるかも。
澪は足早にバスルームへ入った。
変に赤くなりながらも念入りに身体を洗う。
この後を想定して、その準備を人知れずしていることさえ恥ずかしい。
悠真と繋がる予定の場所も、シャワーを当てながら指で入口を広げ、中を洗う。
こんな自分を悠真には見せられない。
ますます恥ずかしくて。
でも覚悟のためにも準備を念入りにする。
言うんだ。
悠真に。
何度も言い聞かせて、羞恥を追い払った。
思ったよりも遅くなってしまったことに不安になりながら、そっと寝室のドアを開けた。
寝てたらどうしよう。
こんなに準備したのに。
そしたら恥ずかしいことこの上ない。
窺い見たベッドの上で、上半身を起こし、いつも通り読書をする悠真の姿が目に入った。
ほっ、とした反面、動悸が激しくなる。
いよいよだ。
身体を洗いながら考えた文言を反芻する。
一度開けたドアを閉めて、深呼吸を繰り返すと、澪は覚悟を決めてドアを開け、ベッドに近付いた。
近付くなり、悠真がくすりと笑う。
「え、なに?」
「いや、どうしたんだよ、澪」
悠真はやはり笑っている。
一度開けたドアを閉めたことに気付かれていたらしい。
澪は恥ずかしくて、俯きながら、悠真に向かってベッドの上で正座をした。
再び切り出すセリフを頭の中で繰り返した。
すると、悠真がさらに笑う。
「なんなんだよ」
呆れた、と言う感じではなくて、ちょっと頬が赤く見えるのは気のせいか。
一呼吸置いて、澪は一気に切り出す。
「あ、のね、悠真、話があるんだけど」
言い淀んでしまうのは仕方ない。
「ん?」
悠真の視線は本を向いている。
澪は膝に揃えて置いた手をきゅっと握りしめた。
言わなきゃ。
悠真の反応を気にしてたら、勇気が萎んでしまう。
なにも考えず、言うんだ。
言い聞かせて、口を開いた。
「あのね、僕、まだ、あの、発情期が、来ない、じゃない?」
「ん、そうだな。まあ、焦らなくても…」
半分上の空で、本のページを捲った悠真に少々いらっとした。
なんでもないことのようにさらりと流された言葉は、澪が必死に絞り出した声。
もっとちゃんと聞いて欲しくて。
「そうじゃなくてっ」
「え?」
澪が遮ると悠真が顔を向けた。
代わりに澪が俯く。
「あ、のね、悠真がその、僕に発情期がくるまで、その最後、までしない、ってい、言ってくれたのは僕を心配してくれてるからだって、わかってるんだけど」
恥ずかしい。
これ以上は、恥ずかしい。
でも言わなきゃ。言わなきゃ。
「その、僕は、悠真とちゃんとしたいって思ってるんだけどっ」
渾身の力で言い放ち、恥ずかしさに消え入りそうになり、目をぎゅっと閉じた。
そのまま羞恥に耐えながら悠真の反応を待つけれど、何もない。
あれ、伝えわらなかった?
「あ、あのね、その、浅ましいし、悠真に軽蔑されるかも知れないけど、あの…」
言い終わらないうちに、肩を引き寄せられて、頭を押さえ付けられ、唇が重なっていた。
突然のことに目を見開いたまま、近過ぎて焦点の合わない悠真の顔を見つめる。
そのまま引き寄せるように倒されて、枕に頭が落ちた。
唇は押し付けられ、いつもの優しい悠真のキスじゃない。
戸惑いと驚きと困惑に息をすることさえ忘れて、なすがまま。
悠真の手が澪の足を移動させ、首下に悠真の腕が入り込み、肩を抱き寄せる。
悠真の身体の下に巻き込まれるようにされ、暖かい重みがのしかかってくる。
何が起こっているのか、よく理解出来ないながらも、悠真の体温や重みが嬉しくて、そっと腕を回すと唇が離れて言った。
焦点の合う位置まで離れて言った悠真の顔が、ベッドサイドランプの淡い光に浮かび上がる。
少し寄せられた眉、真剣な目つきはいつものじゃれついている時の顔じゃない。
微かに滲む汗。
上気した肌。
熱を含む瞳。
雰囲気や吐息まで熱を持っているかのよう。
でも、見たことがある。
一度だけ。
ぞくり、と澪の身体の奥が震えた。
「あの、悠真は、どう、思ってる?」
先ほど言えなかった言葉を澪が口にすると、悠真の顔が少し歪む。
「わからない?」
フラッシュバックする記憶の中の悠真と、今の悠真。
幼さが残っていながらも雄の顔をしていた。
今は、雄そのものの瞳で澪を見下ろしてくる。
ぞくぞくと、澪の中を興奮が駆け上がってきた。
不意に香ってくるαの香りに、じん、と澪の奥が痺れる。
再び重なってきた唇から、舌先がぬるりと口腔に入り込んできた。
いつもと違う、熱と動きに翻弄され、澪は思わず悠真の背中にしがみついた。
口の中を犯してくる舌が、ぞろりと中を舐め上げ、舌を絡めてくる。
澪も必死に答えながら、身体中から力が抜けていくのを感じた。
ベッドの上にいるのに、そのまま沈んでしまいそうな錯覚を起こして、悠真にしがみつく。
悠真の指先がスウェットの裾を捲り上げて、素肌に直に触れてきた。
熱い、悠真の手に触れられた箇所が熱を持ちじんじんする。
脳に悠真の熱が、香りが浸透して、何も考えられない。
熱い…。
悠真の舌が恥ずかしい音を立てながら離れていくと、不意にスウェットの上着が顔をかすめて行って、腕からも抜かれていく。
悠真は片手でパジャマがわりのTシャツをめんどくさそうに脱ぎ捨てた。
知っているはずなのに、知らない悠真の素肌にどくん、と身体の中心が跳ねた。
「ずっと、我慢してた」
そのまま悠真が覆い被さってくる。
澪の唇を挟むようにキスをしてから、舌先が首筋へと降りていく。
「…ん…」
泡立つように湧き上がってくる快感に澪が震えると、悠真はそれを強い力で押さえつける。
鎖骨を辿るように舌を滑らせ、時折肌を唇で挟んで吸い上げる。
これぐらいで熱く零れてしまう吐息が恥ずかしくて、澪が口を被おうとすると、その腕も押さえつけられた。
舌先は澪の体の線を辿って、恥ずかしくも紅く立ち上がってしまった乳首へと辿り着く。
いきなり口に含まれ、澪は悲鳴のような声を上げ、背を反らせた。
おかしい。
いつもよりずっと、快感が早くて強い。
いつもはもっとゆっくりと穏やかに登ってくるのに。
乳首を悠真に刺激されることは前にもあったけれど、こんなに、感じなかった。
恥ずかしくて。
澪は悠真の頭を引き剥がそうともがく。
悠真は澪の背中を抱え込むように押さえつけて、口の中に含み舌先で突起を転がす。
「ひゃ、ん」
襲いかかってくるような快感に、思わず澪の視界が滲んだ。
「我慢できると思ってた」
悠真は澪の胸を揉むように口に含みながら手を、スウェットの下へ滑り込ませてきた。
下着もすり抜けて、いきなり直に触れてきた指先に、あられもなく膨らんで、だらしなく蜜を零すものを捉えられ、澪は再び跳ね上がる。
「それなのに」
澪の体の横に肘をつき、じっと瞳を覗き込まれた。
「煽ったんだから、逃がさないからな」
雄。
α。
そのものの悠真に、澪は全てを放棄して、頷きながらしがみついた。
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