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第3章 螺旋
22 真相
しおりを挟む惣一が現れたことで戦意喪失した女性に、惣一は淡々と語りかける。
「お前のカードは差し止められている。金に困ったお前がたかるのは苳也しかいないからな。妊娠の件も相まったんだろうが…」
玄関ホールを見渡し、澪と悠真を見つけて、少し眉を寄せる。
「お前には好都合なことに、悠真が居合わせたようだな。…どこまでバラした?それとも、バラすことをひけらかして、苳也を脅したか?」
女性は口惜しそうに唇を噛み黙り込んだ。
その後ろを覗き込むようにして、惣一の視線が賢木に止まった。
「…苳也?」
惣一の伺うような視線を受けて、賢木が小さく答えた。
「…この子の、父親、を…」
賢木はゆっくりと労わるように、お腹をさすった。
惣一が悠真を凝視すると、悠真からまっすぐな視線が返ってきて、小さく溜息を吐いた。
「そうか」
女性が勇気を奮い立てて、惣一に立ち向かってきた。
「カード差し止めってどう言うことよっ?!そんな権限…」
「ある。少なくとも弁護士にはそう言われた」
惣一が金に輝くカードを懐から取り出すと、女性が、あっと息を飲んだ。
「俺名義、俺の支払い、当然だな」
そのカードをくるくる回しながら、裏も表も確認するように眺めて、惣一はそのまま指先でみしっと音を立てながら、カードを折り曲げてしまった。
女性が顔を歪めて、ふるふると肩を震わせた。
それを鼻で笑うように眺め、曲がってしまったカードを女性の足元に放り投げて惣一は話し始めた。
「先日カード会社から請求書が届いた。いつものことだと半ば呆れながら開いて驚いた。1000万あったからだ。それも月単位とかではない。1日で、1000万だ」
周りの反応を見るように見渡しながら、惣一は続ける。
「流石に腹が立ったんで、会計士に今までこいつがいくら使ったか調べさせた。カード会社から過去の請求書を全て取り寄せ、口座の引き落としと照らし合わせた。いくらだったと思う?」
その場に居合わせる者一人一人に視線をうつして、最後に女性で止まった。
女性がびくりと肩を揺らす。
「俺の個人資産の1/3にも及んだ。ついでに計算させたらこの調子でこいつが使い込んだら、十数年で俺の資産を食い潰すことがわかった。弁護士とも相談して、俺は玖珂家当主として、玖珂の資産に支障を出す前にこいつと別れることにした」
惣一が女性を指差す。
賢木がその間に割り込もうと身を乗り出した。
「ちょっと待ってください!」
澪はそんな賢木を信じられない思いで見つめた。
さっきまで自分を脅して、お金をせびってきた相手をなぜ庇うのか。
澪には賢木の行動が理解できない。
賢木がこの女性に弱味を握られているのは、今までの流れでわかっているけれど。
「今回ばかりはお前の意見は聞けないし、お前が肩代わりできる額でもないぞ」
その賢木を惣一はあっさりと切った。
「肩?…なんのことですか…」
「惚けるな!調べさせてわかったことだが、取り寄せた請求書の中に引き落としされてないものがあった。問い合わせると何者かが引き落とし前に全額キャッシュで支払っていた。それが何度もある。こいつの家族ではありえない。俺名義のカード、俺にきた請求書、他人が見ることなどできないし、こいつがどこで何に金を使っているかその家族が把握しているとは到底思えない。勝手に支払いを済ませてある時期には偏りがある。お前が俺の部屋付きでいた頃だ。お前なら俺宛の請求書に目を通すこともできたはず。全部じゃないのはこいつは毎日カードを使い請求書が届く、それが止まれば俺が疑うと思ったからじゃないのか?だから急に金額が跳ね上がった時だけ、俺の目に止まる前に請求書を処分し、支払いを済ませた。違うか?」
惣一に詰め寄られ、賢木がたじろいだ。
「なんで、私が…」
視線はまっすぐに惣一を向いているけれど、時々揺れる。
それを見て、惣一がふっと笑った。
「確かに、一介のサラリーマンがキャッシュで払える額じゃない。何度もとなると特にだ。お前は俺の会社の中でも特別な給料計算がされている。親父がお前が入社した時に決めた方法のままだ。一切変更するな、と言う命令で人事がずっと守り続けている。俺ですら知らなかった。だからお前は重役並みの給料を貰っているが、それでも足りないだろう」
「なら…」
「でもお前は親父から受け取った個人資産があるよな?」
「え」
即座に切り返されて、賢木が怯んだ。
「親父の死後、相続手続きの為資産を調べていて気付いた。いくつか俺が知ってる資産がないことに。まあ俺も記憶が曖昧だし、念のためと思って調べてみたら、過去の所有者の名前に親父の名前はなかった。だが不思議なことに現在の所有者は大半がお前の名前になっていた。親父の弁護士を問い詰めたら白状したよ。死期を悟った親父が、隠し財産は全てお前に名義変更したってな」
「………」
賢木は黙って惣一を見つめている。
「親父はお前に当たりが強かったと俺の記憶にはあったが、弁護士の話ではお前を我が子のように思い、自分の死後、お前に何も残してやれないことに気付いて手続きを取らせたと。詳細は白状しなかったから自分で調べてみた。親父の偽名から割り出せるだけ割り出して、もちろんその全てが名義変更されてた。お前の名前、子供達、知らない名前もあったが誰かの偽名だろう。総額はわかっただけでもざっとおれの個人資産の2/3に及ぶ。相続税がかからないよう手を尽くしてあったみたいだが、避けられない分は前もってお前の口座に振り込んであった。子供達は知らないだろうが、お前が気付かないわけはない。そして黙って受け取るわけもない。お前も納得した上で相続してるな」
惣一も賢木を見つめている。
「その資産があればこいつの肩代わりぐらいできる」
「…気付いてたんですね…」
観念したように賢木が息を吐いた。
「正直、裏切られた気分だったし、悩みもしたが、最終的にお前が俺を裏切るはずがないと行き着き、目を瞑ることにした。親父からの迷惑料だと割り切ったよ」
「………」
賢木は目を伏せ、黙り込んだ。
「親父とどんな約束をしたのかは知らないが、こいつをお前が庇い続ける理由は一つしかない。ずっとそうだったように。こいつを母親だと思っている子供達のためだ。だがそのお前の資産もこの調子でこいつが使い続ければ、同じように数年で枯渇する。もう、限界なんだよ、苳也」
「………」
惣一の声には賢木を責めている様子はない。
むしろ言い聞かせているような、優しさが篭っている。
惣一は一緒に入ってきた男の方へ行くと、白い封筒と茶色の大きめの封筒を受け取った。
白い封筒を女性の胸元に投げやる。
反射的に受け取った女性に、惣一は言う。
「こいつは離婚届だ。こっちは裁判所に提出した書類の写しなんかが入ってる」
そして茶封筒も女性の胸元へ飛んできた。
受け取って、じっと見下ろした彼女の顔がどんどん歪んで行く。
「別館のお前の荷物は差し押さえられた。返品可能なものは全て返品され、何割か返金される。その差額は全てお前に請求される」
ぐしゃっと彼女の手の中で封筒が潰れる音を聞いて、澪は振り向いた。
「いくらになるかわからないが、相当な額になることは覚悟しておけ」
潰れた封筒を引き裂きそうに捻じ曲げて、手が震えている。
「同時に前々から問題に上がってたお前の実家の方も訴えさせて貰った」
はっとしたように顔を上げた女性を惣一が、まっすぐに見た。
「お前の実家が玖珂の後ろ盾を利用して無謀な賭けに出て失敗し、玖珂に多大な損害を与えている。こちらが様子を見ているのをいいことに、懲りもせずまだ無謀なことを繰り返している。こちらもそろそろ限界だ。損害を請求させて貰う」
大人の事情がやりとりされる中、澪はそっと悠真を見た。
はっきり言って澪には半分ぐらいわからない話。
ただ漠然とこの女性とその家族が借金を背負うことになったということぐらいしか。
悠真はじっと惣一の話を聞いている。
悠真には理解できているのだろう。
深刻なその顔は同時に複雑そうでもあった。
女性と賢木。
比率で言えば、賢木の方が悠真にとって大事だろう。
それでも母親、と認識している以上人ごとではないのかもしれない。
「知っての通り、お前は俺の意思が伴わない状態で嫁に来ている。お前の金遣いの荒さが元からなのか、玖珂の財産を目にしてからなのかはわからないが、カードを受け取った直後から始まっていることは確かだ。よってその責任はこの婚姻を進めたものにも及ぶことになる。お前の家族、お前の家族から何らかの賄賂を受け取り玖珂へ売り込んで来たもの、結構な数だ。責任の比率によって分割されるだろうが」
悠真が俯いたのが見えた。
大人の事情かもしれないが、悠真の心もかき乱す。
やはり望まれた結婚ではなかった。
望まれた子供でもなかった。
その事実が悠真の胸に突き刺さっているように見えて、澪は思わず賢木の服を握りしめた。
「お前も、お前の家族も二重の負債から破産は確実だな」
惣一はそんな悠真に気付いていないのか。
それとも気付いていてもなお、こうする意味があるのか。
大人は残酷だな、澪はぎゅっと唇を噛んだ。
「だが安心しろ」
ふと惣一の言葉に合わせるように賢木の手が澪の手に重ねられた。
思わず振り向くと、少し悲しげな賢木の目が、澪を見つめ、悠真を見つめた。
「ざっと計算させた限りだが、お前の実家の資産全てを手放せば残りはほんの少しになる。一族総出で普通に働いて30年ほどで返済できる額だ」
惣一はくいっと顎を癪って、玄関を促した。
「お前はこのまま別館には戻れない。警備をつけた。別館は前々から別館に興味を示していた親父の知り合いの博物館へ、ほぼ無償で貸し出すことに決まった。子供達もこっちに移ってくる」
この屋敷に全員やってくる。
この事実は少しだけ澪の心を軽くした。
きっと悠真も喜ぶだろう。
「身一つで放り出すことになるが、同情はしない。身から出た錆だ」
惣一はまっすぐに女性を見つめる。
「ああ、ちなみにお前が身につけている宝石は抵当に入ってるからな、持ち出せないぞ」
その非情にも思える姿が、なぜか悠真と重なった。
非情にならざるを得ない時だってある。
そう、惣一が言っているかのように。
思わず振り向いた先で悠真が顔を上げて、惣一を見つめているのが見えた。
女性は封筒を握りしめたまま、おろおろと突きつけられた事実に抗い始めた。
「そ、惣一さんは騙されてるのよ、こいつに!こ、の雌犬に!誑かされて、操られて」
「ああ、昔よく言われたセリフだな。不思議と、親父は言わなかったが」
惣一が遮るように言う。
「お、お金だって、こいつが…」
「苦し紛れも大概にしろ!さっき俺が言った話を聞いてなかったのか?苳也は俺に匹敵する資産を持ってる。わざわざ俺の金に手を出す必要はないんだよ」
呆れたような惣一の視線が女性を見る。
「いつでも金に困ってるのはお前だろ?」
女に嘲るような笑いを見せると、惣一は後ろに控えていた男達を振り向いた。
澪と悠真も顔を見合わせて、ほっと息をつく。
皆の注意が削がれた、その、一瞬だった。
思いっきり彼女は賢木に突進した。
足音と折り重なって倒れこむ音に惣一が振り向き、血相変えて駆け寄る。
澪と悠真も一安心した矢先だったため、反応が遅れてしまった。
「あんたさえいなければっ!」
横たわる賢木に馬乗りになった女性は、賢木の頰を何度も平手で殴っていた。
澪と悠真が腕を抑えようとするが、先程までとは比べものにならないぐらいの力でもって振り払われた。
何度も、何度も乾いた頬が鳴る音がして、その拍子に賢木の頭部が床の大理石に当たる音もした。
「苳也!くそっ」
女性を後ろから羽交い締めにした惣一が、暴れる彼女を無理矢理引き剥がす。
「手を貸せっ」
一緒に連れて来ていた男達を振り向く。
数人の男がかりで彼女を賢木から引き離すことに成功した。
が。
離れ切る直前、暴れた女性のヒールが賢木の腹部を直撃した。
「ぐ、うっ!」
賢木が呻き声を上げ、腹を抑えて身を丸めた。
「賢木っ」
「賢木さんっ!」
澪と悠真が賢木の脇に座り込む。
「苳也!」
惣一が男達に女性を引き渡そうとすると、彼女の足が賢木を追いかけるように伸び、丸まる賢木の横っ腹を細いヒールで突くようにしながら捻った。とっさに止めようと伸ばした悠真の手が、靴と賢木の腹部の間に入り込む。
「ぐわ、ああっ」
さらなる呻き声が賢木から上がり、澪も手を伸ばして女性の足を持ち上げ、惣一は賢木との間に立って女性を押しやった。
「そいつを連れて行け!救急車を呼べ!」
女性は男達に取り押さえられながら、気が触れたような高笑いを響かせた。
「馬鹿な女だな…、これで傷害もついた…」
その様子を、伝い落ちて来た汗を手で拭いながら惣一は見送った。
悠真と澪の間で、腹部を庇うように身を丸めた賢木は顔面蒼白で、ねっとりとした汗を滴らせていた。
全身を震えさせ、苦しげな呻き声を漏らす。
「賢木さんっ」
側に座り込んだものの、手を出せず、澪たちはその姿を見下ろすだけ。
動かしていいものか、それすらもわからない。
澪の切羽詰まった声を聞き、惣一は振り返った。
「苳也っ?!」
惣一が駆け寄り頬を撫でると、賢木はうっすらと目を開けた。
「…惣…一…」
赤く腫れ上がった頬は、所々爪が当たったのか、切れて血が滲んでいた。
賢木と一緒に振り返った惣一も、なすすべもなく側に座り込むだけ。
ふと正面に座り込むだけ悠真に視線を移すと、縋るように父親を見上げていた。
「いい、喋るな!救急車はまだかっ!?」
惣一が振り向きながら叫ぶと、どこからか「今、向かっていますっ」と返事が返って来た。
「急がせろ!」
惣一の頬にそっと賢木の指が触れた。
「…騙す、つもりも、隠すつ、もりもなかった…」
ぐぅ、っと賢木が呻き声を上げると、惣一がその指を掴んだ。
「後で聞く!喋るな!」
澪と悠真はその様子を傍で見守るだけ。
耳を澄ませてサイレンが聞こえるのを、ただただ待つだけ。
そのじれったさ。
無力感。
何も出来ない。
ここにいない誰かに、何かに、助けを求めることしかできない。
繰り返し、心の中で助けを呼ぶ。
見下ろしてくる心配げな瞳に、賢木はまっすぐに視線を向けた。
「ただ、先代は、ほんと、うに、私を可愛、がってくれた…」
賢木は蒼白な笑顔をうっすらと浮かべる。
「黙れ、苳也!」
「それに、応えた、かっただけ」
「くそっ!後で聞くって言ってるだろっ!」
じれったそうに床に拳が当てられる。
澪も、悠真も、同じ気持ちで唇を噛む。
賢木は息も絶え絶えに、言葉を紡ぐ。
「…子供達も、みんな、可愛がって、くれた。産まれると、いつも駆けつけて、くれた…から」
「黙れ!」
この状況でも伝えたいことなのか、賢木は苦しみ喘ぎながら言葉を繋げる。
この状況だから。伝えたいのか。
「…隠してて、ごめん」
「親父の立場ぐらい、今なら俺にもわかるよ!だから、だから、もう黙ってくれ!」
賢木の必死の言葉を聞きながら、惣一同様喋らないで、とは言えず。
澪はじっと賢木の腹部を見つめていた。
あんなに元気に瞬いていた光がどんどん弱くなっていく。
何も出来ない?
この中で自分だけに見えている光なのに?
無力感に思わず涙が溢れてくる。
悠真も溢れてくる涙を袖で拭っているのが見えた。
賢木も、この光も、助けたい。
ふっと一瞬強くなった光に澪は、助けて、と言われた気がした。
何も出来ないなら、なぜこの光が見えるのか。
ぎゅっと目を閉じた澪の耳に、微かにサイレンが聞こえた気がした。
同時に賢木が一際大きい呻き声を上げた。
光が急激に小さく窄んで行く。
「賢木さぁん!」
澪が賢木を呼ぶ声が玄関ホールにただ虚しく響いた。
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