螺旋の中の欠片

琴葉

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第3章 螺旋

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「凄いよな、澪って」
不意に悠真が言った。
放心するように出て行ってしまった賢木の背中を、二人は無言で見送った。
澪が放った一言が想像以上に賢木にダメージを与えてしまったようで、澪はショックを受けていた。
そんなことも知らずに、勉強のために移動してきた書斎の机に向かいながら、悠真は無邪気に言う。
どこか嬉々として、興奮気味。
「…そう、かな…」
「普通、わからないだろ?妊娠してるとかさ」
「普通…」
自分が普通じゃない、と言われてるようで、澪の気分は落ち込んで行く。
明らかに顔色を悪くし、項垂れてしまった澪に悠真は慌てて取り繕う。
「褒めてるんだぞ」
悠真の言いたいことはよくわかるので、澪は苦笑いしてみせた。
「僕にとってはあまり褒め言葉にならないかな」
「なんで?」
「だって。Ωってだけでも普通じゃないのに、その中でもさらに普通じゃないって、僕はどれだけ普通じゃないんだろう、って思うじゃない?」
「…そんなつもりじゃない…」
悠真が呟くと、澪はさらに笑いかけた。
「うん、わかってる」
悠真は自分にない能力を、単純に素晴らしいと評価し、それを口にしてるだけ。
悪気などなく、悠真の言葉にはむしろ尊敬の念さえ込められている。
それを澪も重々承知しているのだが、悠真には言わずにはいられなかった。
「特殊なことはわかってるけど、僕にとってはコンプレックスでしかないんだ」
悠真に自分の気持ちを隠したくない。
「特殊、じゃなくて、特別、だろ?」
悠真が慰めるように言う。
「同じことだよ」
そう返した澪を悠真はじっと見つめた。
「でも俺はそんな澪を誇りに思うし、尊敬するよ」
「………」
「誰にでもできることじゃない、特殊なことをできることは、凄いことだと思うし、それを活かせたらもっと凄いと思う。現に澪は賢木の子を救ったかもしれないだろ?」
「………」
「澪、言ってたじゃん?安定してないから早く病院へ、って。それで賢木が病院に行って、賢木が子供を気遣えるようになったらそれだけ安全になるし、子供も無事ってことになるだろ」
「…そうだけど…」
悠真はまだ浮かない顔をしている澪に、小さく溜息を吐いた。
「きっと澪はまだその能力を活かしきれてないんだ。だからコンプレックスになってる。本当にその能力を活かせるようになったら、それは澪に自信をくれる」
悠真の言葉を聞きながら、澪はふと福田に言われたことを思い出した。
悠真のためにその能力を活かせる方法を考えてみたら、と言われたっけ。
「俺はそう思うよ」
悠真も今、同じことを言ってる。
悠真のためにこのコンプレックスでしかない能力を活かせるなら。
その方法を、見つけたい。
「うん」
澪がしっかりと頷くと、二人の正面から咳払いが聞こえた。
「お勉強中におしゃべりとは、二人とも随分と余裕がおありのようですね」
悠真と澪、二人揃ってぎくりと背を震わせながら視線を向けた。
眼鏡の奥の鋭い眼光が、二人を射抜く。
忘れていたわけじゃない。
けれど、忘れていた。
家庭教師の倉石はとっくに現れていて、二人は与えられた課題を懸命に解いている最中。
悠真は今朝あった出来事に興奮していてつい、その存在を忘れて、澪はコンプレックスを刺激されたことによりついつい、視界から外してしまった。
いつもなら静寂のうちに進む勉強会が、おしゃべりタイムになってしまって、倉石は不機嫌そうだ。
「そんなに余裕がおありならもっと難解な課題にとりかえましょうか」
「…い、いえ、結構です…」
澪は引き攣った笑顔で返し、悠真は無言で机の上に視線を落とした。
そこからしばらくは静寂が続いたのだけれど。
今朝の出来事は悠真にとってよほどの大事件だったらしく、悠真の思考を支配していた。
「…賢木って幾つなんだろ?…」
「悠真!」
澪は倉石の様子を見ながら、悠真を諌んだ。
「だってさ、そんなに若くないしさ。そしたら出産、て大変なんじゃないかな」
「それはそうだと思うけど」
ちらちら倉石を伺い見ながら、澪は答えた。
「幾つなんだろ?」
「今年、42になるはずです」
意外な所から、返事が聞こえてきて、二人は驚いて顔を上げた。
二人の視線を受けて、倉石は大きな溜息をつく。
「どうやら、集中力が途切れているようですね。しばらく休憩しましょう」
その言葉を合図に悠真がペンを放り出し課題を閉じて、倉石に身を乗り出した。
「なんで知ってるんだ?」
澪もそれに習って課題を閉じる。
「私と賢木さん、それから悠真さんのお父様の惣一さんは同級生ですから」
「え、ええっ!?」
澪も悠真も驚いて、思わず顔を見合わせた。
「お二人とは高校も大学も一緒でした」
ちょっと得意げに倉石は眼鏡を持ち上げた。
「賢木さん、妊娠されたんですか」
驚く二人を見渡しながら、倉石は尋ねた。
「は、はい」
「今朝、澪が気付いて教えてくれたんだ」
やはりどこか得意げな悠真が答える。
悠真が本当に澪の能力を誇りに思ってくれているのがわかる。
嬉しい、と素直に心から喜べたらいいのに。
澪の気分はまたちょっとだけ落ち込んだ。
「…そうですか…」
倉石が小さな溜息を吐いた。
あまり好ましくない事柄のように。
「あの…」
澪が声をかけると、倉石が首を振った。
「高齢出産ですからね。私なら産みませんが、賢木さんなら絶対に産むでしょう」
「うん、産むよ」
そう、断言した悠真を澪は振り返る。
その確信はどこから来るのか。
あの放心ぶりを見てもなお断言できる、その根拠は?
いや、これは確信というより期待?
そうか、悠真は賢木の子が待ち遠しいのか。
悠真の弟、のようなものだから?
「二人目はともかく一人目の時も反対したんですが、聞かないでしょうね」
「え」
「彼は子供のために無理をしてしまうので心配です」
さらりと流れていく言葉は、倉石と賢木が親しい間柄であることを匂わせていた。
「どう、いう」
澪が聞き返すと、倉石は答えた。
「一人目の出産はまだ、学生でしたから」
そしていつも勉強する二人を、監視するかのように座っている椅子に腰掛ける。
「育児と勉強、って大変じゃないですか?」
「そりゃあ大変ですよ。出産前は大きなお腹を抱えて、ギリギリまで登校してましたし、出産後もすぐ復学してきましたからね。それでも単位も落とさず現役で卒業されました」
「…凄い…」
「そんな簡単なものじゃありませんよ」
思わず零した澪の感嘆の言葉はすぐに否定されてしまった。
「出産後は夜泣きが酷いとかでみるみるやつれていきますし。玖珂のおじ様、つまり悠真さんのお祖父様から子供を預けるところを紹介してもらったとかで、登校前に預けて、授業が終わるとすぐに引き取りに行って。玖珂のおじ様には借金もしていたようですし」
「え、そうなのか?」
悠真が聞き返した。
「考えても見てください。育児と勉強で、彼に働く時間はありません。後見人である玖珂のおじ様からは賢木さん本人の衣食住と教育費は保障されていましたが、子供の養育費までは出ませんからね」
「え?」
「まあ、我が子同然に思ってくださっていたらしいので、その辺は保障されるはずだったのかもしれませんが、賢木さんは頑固なので断ってしまったのかもしれません」
さらりと出てきた会話の中に、色々疑問点が多すぎて、澪は混乱した。
悠真も同じらしく、大きな声を出した。
「後見人、ってなんだよ」
悠真に聞き返されて、倉石はきょとんと見返した。
「ご存知ありませんでした?賢木さんはもともとは孤児で、玖珂のおじ様が後見人として孤児院から引き取って来られたんですよ」
「ええ!?」
二人で驚いてから、悠真がぼそりと呟く。
「…俺、初耳だ…」
二人の驚きように、口にすべきではなかったかと、一瞬口を押さえたが開き直ったように倉石は息を吐いた。
「なんで、引き取られたんですか」
「賢木って、うちの親戚か?」
二人同時に聞き返して、顔を見合わせる。
「いいえ、全くの他人です。玖珂のおじ様は惣一さんの将来右腕として活躍できる子供を探してらしたんです。当時のことは賢木さんから聞いた限りですので詳しくは存じませんが」
「右腕…」
澪は思わず繰り返して、考え込む。
今の賢木はまさにそれだが、その為だけに引き取られてきた?
その澪を倉石はじっと見つめた。
「将来、玖珂を引継ぎ、頂点に立つべく惣一さんには、それを補助する信頼できる人物が必要だと考えてらしたそうです。そしてそれにはいくつかの条件がありました」
「条件?」
「大前提として、孤児であること」
「え」
「玖珂の頂点に立つ者の右腕として行動するにあたり、家族という柵が判断を狂わせないようにする為です。家族を盾に取られては、裏切るつもりはなくとも、裏切らざるを得ない状況にもなりかねませんからね」
「………」
「悠真さんならわかると思うのですが、玖珂の後継者というだけで人は群がってきます。玖珂を利用しようと考えるものばかりで信用できる者など一人もいません。孤独を強いる我が子に親としてできること、それが心から信頼できる、決して裏切らない優秀な相手を与えてやること」
悠真の孤独を知る澪にはよくわかる。
親としてその孤独を緩和してやろうと考えた、というのもわかる。
「優秀さを求めるなら、αが一番じゃないんですか」
澪がいうと、即座に返される。
「確かにαは生まれつき優秀です。ですが、誰かに付き従う性ではないので、チャンスがあれば簡単に惣一さんを裏切るでしょう」
「じゃ、βは?」
同じように悠真の問いにも即座に返事が返ってきた。
「βは本能的に強いαに諛う性を持っています。ですがαであれば誰でもいいところがあるので、甘い話を持ち出されれば簡単に惣一さんを裏切るでしょう」
倉石は二人を見比べながら言う。
「裏切らない相手、そのための大前提二つ目が、Ωであること」
「Ω?」
「αとΩには硬い絆が生まれます」
「番になれば、だろ?」
悠真が即座に付け足すと、倉石はふっと鼻で笑った。
「賢木さんに言わせれば、番関係はαのマーキングにすぎない、そうですよ」
「マーキング…」
思わず繰り返してから、その言葉の持つ卑猥さに二人揃って頬を染めた。
「他のαにこのΩは自分の所有物だと知らしめるための行為でしかなく、その証拠にΩ側に利点はない、賢木さんはそう考えていらっしゃいます」
「で、でも発情期がなくなって…」
澪が慌てて口を挟む。
「確かに発情期は大変そうですし、それが無くなればΩは楽になれるかもしれませんが、それはあくまで結果論だそうです」
「結果論?」
聞き返した澪に倉石が大きく頷いた。
「Ωが発情するのはαに自己アピールするためです。それをα側が封じることになるので、結果的にΩは楽になるだけで、見方を変えれば選択の自由を奪われ、他のαにアピール出来ないようにされる、と」
「…た、確かに…」
一理あるかも…。
「わずかな利点を振りかざしてΩを搦めとるαの手管。番関係には精神的にも肉体的にも絆など存在しない」
思わず黙り込んだ二人に気付いて、倉石は苦笑いした。
「将来ある若いお二人には、賢木さんの持論は夢がなさ過ぎましたね」
「じゃ、じゃあ、結婚は?」
澪との将来を夢見る悠真が答えを探すように尋ねた。
それを感じ取った倉石は一瞬顔を曇らせる。
「あくまで当時の賢木さんの持論ですよ」
「ああ」
「…社会的手続きを円滑にするための、ただの申請書…」
「…………」
ショックを受けたように黙り込み、項垂れてしまった悠真を澪は見つめた。
「…だから、賢木さんは番にもなってないし、結婚もされないんですね…」
「そうです」
「…じゃあ、強い絆ってどうやって作るんだよ…」
悠真が呟くと、倉石は吹き出すように言った。
「それはもうお二人ならご存知でしょう?」
きょとんと見返した二人に倉石はにっこりと笑いかけた。
「ともに過ごす時間です」
「あ」
倉石はふふ、っと二人をからかうように笑う。
「苦楽をともに過ごし、二人に絆が生まれれば、Ωは決してαを裏切らない。αもそんなΩを唯一無二に信頼する。だから玖珂のおじ様は、一緒に過ごす時間が長くなる惣一さんと同じ年頃の孤児でΩを探してらしたんです。その他にも細かい条件を設定して、何件も孤児院をあたり、やっと賢木さんに辿り着いたわけです」
しん、と一瞬静まり返った。
そんな中、ふと思い当たって澪は口を開く。
「もしかして賢木さんはこの屋敷で暮らされたんですか」
引き取られて共に過ごす、とはそう言うこと。
「そうです。引き取られてきた小学校低学年から大学卒業まで。部屋こそ別々でしたが、学校、勉強も遊ぶのもずっと一緒」
まるで今の悠真と澪のよう。
「幼馴染、てのは聞いたことがあったんだけど」
悠真が呟くと、倉石が頷く。
「玖珂のおじ様から引き取る時の条件として、同居、そして惣一さんと同等の教育、衣食住と教育費の保障が挙げられたそうです。お二人ならお分かりでしょうが、そうした時間は絆を育むには大切な時間です。まあ、時々盛大に喧嘩もされてましたけど」
最後にくくっと当時を思い出したような笑いを零した。
「え、喧嘩?」
「主に口喧嘩ですよ。いつに間にか仲直りされてましたけど。喧嘩ができると言うことは本音が言い合えると言うことですからね」
倉石の言葉には押し殺した笑いが含まれていた。
「賢木さんが出産した時も惣一さんが育児を手伝ってらっしゃいました。賢木さんが勉強する間、惣一さんが子供の面倒を見て、交代で睡眠を取ったり…。養子でなかったのも、そうやって共に過ごす他人だからこそ育める絆を求めてらしたからです。…私から見れば少々強すぎる絆だと思いますけどね。惣一さんは賢木さんにべったりで、賢木さんが大学卒業後屋敷を出ると、そちらに入り浸り。玖珂のおじ様も嘆いてらっしゃいました」
当時を思い出すと楽しいのか、倉石の表情は緩み、笑みさえ溢れる。
澪はその様子をじっと伺った。
悠真は自分の知らない二人の過去に熱心に聞き入っている。
「当時の賢木さんはどこか意地になってるようにも見えました。周囲に何か言われたのかもしれませんが、育児と勉強の両立にムキになって、私や惣一さんが休学を勧めるのも聞かず…。玖珂のおじ様との約束でしたからね、惣一さんと一緒に卒業して玖珂の会社に入ることは。まあ結局、成し遂げてしまうんですけど」
半ば呆れたように肩を窄めた。
「当時はかなり心配しました。体でも壊すんじゃないかと」
ふうう、っと大きな溜息を漏らす。
「また無茶をしなければいいんですが」
倉石の回顧がひと段落して、言葉が途切れるのを待って澪は小さく呟いた。
「…なんか、倉石さんと賢木さんて、すごく親しそうな…」
「今も昔も親友のつもりですよ」
澪の言葉に心外だとでもいうように、目を剥く。
「……全然、そんな風に見えないけど…」
悠真も小さく呟くと、倉石は肩を窄めた。
「まあ、卒業後、賢木さんは玖珂の会社に入って惣一さんの右腕として頑張ってましたし、私も教職に着きましたからね。公的立場である以上、必要以上に玖珂と言う大きな存在にむやみに近付けなくなってしまったので、時々連絡を取り合うぐらいになってしまいましたから。ですが、惣一さんの子供たちを預かって育てたことも、二人目の出産も、その他諸々全部本人から聞いてますよ」
少し得意げに見えるのは気のせいか。
「玖珂へその子供たちを返すことになって、教育係を兼任することになった時に、仕事をしながら子供たちの勉強は見れないと言うことで、ちょうど結婚し仕事を辞めていた私も子供が学校へ入ったことで復職を考えていたので、声がかかったわけです。惣一さんも私なら、と言ってくださったようですし」
「そうだったんだ」
「彼も仕事と家庭がありますし、私の勤務時間とは合いませんので顔を合わせることはほとんどありませんが、ちゃんと二人の様子は報告してありますからね」
きらりとメガネが光る。
サボったりすればすぐ報告しますよ、とでも言いたげだ。
「ですが妊娠の話は知りませんでした。…彼も今朝知ったのなら、後で連絡が来るかもしれませんね…」
急に考え込むような仕草をしたものの、すぐに二人に向き直った。
「さあ、ききたいことは他にはありませんか?」
澪と悠真は一瞬顔を見合わせた。
「そろそろ昔話を終了して勉強に戻りたいのですが」
「あの、もう一つだけ」
悠真はもう聞きたいことはないのか黙ってしまったけれど、澪にはまだ気掛かりがあった。
思い切って声をかけると、倉石の視線が向く。
「なんでしょう」
悠真を気にしながら言葉を紡ぐ。
「…賢木さんの出産はおめでたいことではないんでしょうか」
一瞬驚いたように目を見開いた倉石は、すっと目を細めた。
「…本人にとってはめでたいことだと思いますよ。ですが、周囲にとって彼の妊娠はいつでも騒動の元です」
「…つまり、倉石さんはお子さんの父親もご存知なんですね」
「……はい……」
倉石は小さく答えながらも、驚いた様子はない。
澪が玖珂家へ来た翌日に、賢木に投げかけた話の内容を知っているのかもしれない。
それはやはり二人の親密さを物語っていて。
だからこそ、澪は聞かずにはいられなかった。
「また、騒動が起きるとお考えですか?」
澪の言葉に倉石は一瞬考えた後、はっきりと頷いた。
「ええ。悪い予感しかしません」
「………」
それは遠回しに二人も覚悟しておけ、と言われたようなもの。
どんな風に騒動が起こり、二人に関わって来るのか。
その時どんな行動をすればいいのか。
考え込むように黙り込んだ二人の気を逸らすためか、倉石は手をぱんぱん、と勢いよく叩いた。
「さて。質問が一つだけではなかったようですが、気は済みましたか?」
「はい」
手を叩く凛とした音に、二人の背筋も自然と伸びた。
「じゃあ、再開してください」
それを確認すると、倉石は机の上の課題を促す。
色々一度に聞きすぎたのか、頭の整理は追いついていない。
けれどもそれ以上のおしゃべりを倉石は許してくれないだろう。
浮ついていた悠真も一通り聞いたことで落ち着いたらしい。
いつも通りの静寂が書斎に流れた。





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