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第2章 Ω
8 嵐前?
しおりを挟む翌朝、澪が目を覚ますと目の前に首筋とパジャマの襟が見えた。
誰のものかは匂いでわかる。
澪はいつの間にか悠真にしがみついて寝ていたようで、その澪を悠真がそっと抱きしめてくれていた。
昨日のことはぼんやりとだが覚えている。
まあ大半の時間をぼんやりしていたのだから当然か。
それから、なんだか悠真が恋しくて、そばにいて欲しくて。
澪の顔が火を吹いたように熱くなった。
悠真と一昨日ついに肉体関係を持ってしまったけれど、それよりも昨日の自分の行動の方が遥かに恥ずかしく思った。
子供みたいに悠真を呼び続けて、手を繋いで貰って。
頭がふわふわと曖昧な分、不安で心細く、はっきりとした悠真の存在で補おうとしたのかも。
悠真は優しくて、そんな自分のわがままに付き合ってくれた。
首の下に悠真の腕がある。
澪に回された腕をそっとずらして、悠真からそっと離れる。
幼さの残る寝顔を眺めて、悠真がしてくれるように前髪をそっと指先で拾って掻き上げた。
意志の強そうな太い眉が現れて、澪は少し口元を緩ませた。
悠真の顔はバランスが取れていると、澪は思う。
そっと鼻筋に触れる。
鼻は筋が通っていて、大きすぎず小さすぎず。
少し丸い自分の鼻とは大違い。
唇は薄くて、形が良い。
澪は自分の下唇が若干厚くて嫌いだった。
それから瞳は眉に合わせるように横に軽い流線を描き長い。
自分の目は全体的に丸くて、小さく見える。
顔の部品を一つずつ鑑賞しながら指先で辿っていると、悠真が吹き出すように笑い出した。
「わっ」
思わず引いた手を悠真が捕まえる。
「くすぐったいぞ、澪」
「ごめん、起こしちゃった」
「何、いたずらしてたんだよ」
「違うよ。バランスが取れてるなあと思って見てただけ」
「そうか?俺はどんどん父さんに似てくるから、嫌いだ」
「そうかな?」
似てるかな?
と、澪は悠真の顔の輪郭を指先で辿った。
「似てると思わないか?」
「んー、わかんない」
悠真の父、惣一とは月に一回の食事会で顔を合わせるだけ。
食事会、と言っても大層なものではなく、普段子供達と交流を持てない惣一が子供達の様子を見るため月半ば頃に昼食か夕食に集まるだけ。
参加者は悠真と澪、それから普段子供の面倒を見ている賢木と、報告を受けてはいるものの自分の目で様子を確かめたい惣一。そして颯太。
以前は賢木の子供達も呼ばれていたらしいのだが、長男が何かと忙しくなり参加できなくなると次男もそれに習ってしまったらしい。
颯太の妹、つまり悠真の姉も幼い頃は参加していたらしいのだが、思春期に入るとぱたりとこなくなってしまったらしい。颯太の妹は母親も好きではないらしいが父親も嫌っていて、本館にも寄り付かないとか。そのくせ賢木家にはよく出入りしているらしい。賢木は幼少時に預かっていた際、初めての女の子ということでちやほやしたせいだと笑っていた。悠真によると実際賢木は颯太の妹、悠真の姉をとても可愛がっていると、嫉妬をチラつかせて話してくれた。一方、惣一の方は賢木のΩの次男を猫可愛がりしてるらしい。
話を聞いているとどこからどこまでが血が繋がっているのかわからなくなるぐらい、二つの家族が仲が良い、一つの家族のように思えてくる。
食事会のメンバーで颯太に悠真、賢木は平気なのだが、惣一の前では澪は酷く緊張する。
いつも睨まれている気がするのだ。
ただ渋い顔をしているだけで、睨んでいるつもりはないのかもしれないが、話しかけられても固まって顔を見ることさえできない。
だからいつも見ている悠真と、緊張から顔を見ることさえできない惣一が似ているかどうかなんて澪にはわからないのだ。
ただ、雰囲気や纏っているαの気配はよく似ているといつも感じていた。
「俺は澪の顔の方が好きだけどな」
「なんで?こんな、全体的に丸くて、僕は嫌い」
「澪らしくて良いじゃん」
悠真の手が伸びてきて、澪の髪を搔き上げる。
「ピアス、着けるか?」
澪は一瞬考えて首を振った。
悠真まで学校を休ませているのに。
それもこれも自分の体を心配してのこと。
自分勝手なわがままが発端なのに。
「まだ、大丈夫」
「そうか」
「…大丈夫だと思う?」
ふと不安になり、澪が聞くと悠真は吹き出すように笑い出した。
「大丈夫だと思うよ」
「おはようございます」
いつもの時間に賢木が現れた。
今日は自力でソファーまで移動した澪が、パジャマのまま振り向く。
「あ、賢木さん」
それからゆるゆると立ち上がろうとすると、肩を悠真に押さえつけられた。
「立たなくていいだろ」
「ええ、そのままゆっくりしていてください」
賢木にも言われて、澪はそのままソファーに身を沈め直した。
「澪さん、具合は如何ですか」
「はい。まだあんまりはっきりしませんけど、昨日よりは大丈夫です」
「そうか?賢木が現れるまでぼんやりしてたぞ」
いつにまにか部屋着に着替えた悠真が、澪にペットボトルを手渡しながら軽く笑った。
「ちょ、ちょっとだけだよ」
悠真から手渡されたペットボトルを両手でしっかり掴んで、少し頬を膨らませる。
そんな澪を微笑で見つめた賢木が口を開いた。
「まあまあ。昨日よりは大丈夫そうですね」
「はい、すいません」
座ったままで軽く頭を下げる。
「良いんですよ。それにしてもちょっと残念ですね」
「え」
くすくすと笑い声を零す賢木を、澪はきょとんと見つめた。
「昨日は随分と可愛らしかったのに、今日はしゃんとしてらっしゃるので、悠真さんはさぞかし残念がって」
賢木がちらちらと悠真を見ながら笑みを漏らす。
悠真はびくっと肩を揺らして澪を振り向いた。
恥ずかしそうな澪の視線とぶつかって、かあっと赤くなって、叫ぶ。
「賢木!」
真っ赤になって焦る悠真が楽しいのか、賢木はからかうような視線と口調で続けた。
「澪さんに呼ばれる度にデレっとして」
「賢木、余計なこと言うなよっ」
悠真が賢木の口を塞ごうと手を伸ばすとひらりと身を翻す。
「もう、見ていて楽しいったら」
口元に手を当て笑いを堪える様子を見せるが、漏れ聞こえてくる笑い声は楽しそうだ。
慌てふためいて賢木の笑いを止めようとする悠真をひらひらと交わした。
澪は真っ赤になってソファーに縮こまって俯く。
「賢木ってば!」
悠真がやっと賢木の腕を捕まえると、賢木は笑いを飲み込んだ。
でもまだ口元に笑みが残っている。
「今日は、平気ですか?」
そのまま顔を覗き込まれて、澪は顔を隠すようにしながら、視線を彷徨わせた。
「あ、あの、あんまり変わらないんですけど、抑えは効きます。そ、それに、悠真が離れる時には必ず声をかけてくれるので」
賢木からまたくすくす聞こえ始めて、澪はさらに赤くなる。
「賢木、早く仕事に行けよっ」
赤い顔のまま悠真が賢木の腕を引っ張ると、賢木は素直に従う。
「はいはい」
引っ張られるままにドアへ向かう。
「良いですね、可愛いカップルで。見ていて微笑ましい」
「賢木!」
ドアを開けた悠真に背を押されると、少し振り向き会釈をした。
「はいはい。お邪魔なようですから、私は失礼しますね」
最後の最後まで二人をからかうのを忘れずに、賢木は出て行った。
残された二人はなんだか気恥ずかしくて、赤い顔のまましばらく無言で過ごした。
家庭教師の倉石がやってくると、一先ず澪も一緒に書斎に移動した。
元からあった悠真の席の斜向かいに、いつの間にか用意されていた澪の机。
いつも使用している机に向かうと、倉石からそっと問題を渡される。
教科書を広げながら問題に取り組む。
問題を読んで教科書を見つめて。
繰り返してみるけれど、ちっとも進まない。
内容を理解できてるはずなのに、何度も読み返して。
悠真は倉石に教わりながら、どんどん進んでいく。
取り残された感じがして、焦って、教科書を手に取って食い入るように眺めた。
ぽん、と軽く肩を叩かれて、顔を上げると、いつもは厳しい倉石が微笑みを向けていた。
「焦らなくて大丈夫ですよ、ゆっくり」
「あ、はい」
見ると悠真も微笑みを向けている。
「ここから読み直して見てはどうでしょう?」
倉石に示されたのは、今取り組んでいるはずの問題の5ページほど前。
「え、でも」
「結局は応用ですから、ゆっくりここを見直して見てください」
優しい倉石の声に導かれ、澪は何度も後退りしながらちょっとずつ、ちょっとずつ、進み始めた。
お昼には一旦倉石が退出して行った。
澪が気付かないうちに昼食も運び込まれていて、悠真とソファーで食べた。
いつもはテーブルに移動するのに、悠真がソファー前のローテーブルに広げてくれた。
それを一口ずつゆっくりと澪が食べるのを、悠真が観察している。
その視線に澪はふ、っと笑みを零した。
「僕って、恵まれてるな…」
「なんだ、急に」
目を丸くして覗き込んできた悠真に、さらに笑いかける。
「だって、本当にここの人たちに良くしてもらってるから」
悠真は澪の言葉にきょとんとした。
「何言ってるんだ。当たり前の事だろ」
当たり前じゃないよ、そう澪はそっと心の中で呟いた。
悠真は結局3日学校を休んだ。
4日目に学校に出かける際、澪に何度も調子を確認し、さらには休み時間のたびにメールを寄越した。
心配してくれるということはそれだけ悠真の心を占めているということに他ならず。
その頻度からそれが相当な比率であることを嬉しく思った。
同時にこんなに心配かけてしまって申し訳ない気がした。
澪が復帰したのはニ週間後。
最初の一週間は全然勉強が捗らなかったので、次の一週間でなんとか挽回する事が出来るようになった。
その報告を受けた賢木と相談して、学校へ行くことに決めた。
復帰初日。
起きた時から悠真は煩かった。
「まだ休んでていいんじゃないか」
「無理しなくても、倉石に勉強見て貰えばいい」
準備を進める澪の後ろをついてくる。
さすがに澪は吹き出してしまった。
ほんの二週間前とは別人のような悠真の心配性に、嬉しくもあり、照れくさくもある。
「もう大丈夫だって」
悠真は何か言おうと口をもごもごさせたが、やがて小さく頷く。
でもこれも、今日起きてから何度か繰り返した。
踵を返して着替え始めた悠真の背中にそっと笑いかけた。
「なんかあったらすぐ連絡しろよ」
そろそろ車に移動するという時間になると、悠真がまた口を開いた。
「うん」
澪は素直に頷く。
「学校だからって我慢しなくていいんだぞ」
「うん」
しっかりと頷く澪を見つめて、ちょっと眉を寄せる。
「やっぱ、まだ休むか?」
「もう大丈夫だよ」
澪は吹き出した。
「ピアス、やっぱ一個着けておいた方が…」
寝室にピアスを取りに戻ろうとした悠真の腕を両手で引き止めて、澪は言う。
「悠真ってば!ピアスも薬も持ってるから大丈夫。もう、遅刻しちゃうよ」
「ほんとになんかあったら言えよ」
「わかってる。ほら、行こ」
悠真の腕を引くように玄関先で待つ送迎車へ向かった。
澪と悠真が通う学校は中等部と高等部が同じ敷地内にある。
正面のグラウンドの手前で左右に分かれる。
「じゃあな」
「うん」
心配そうな悠真に澪はわざと明るく手を振った。
足取り軽くグラウンドを横切ると高等部の昇降口が見えてくる。
澪の足取りは途端に重くなった。
ここまでくれば悠真の中等部からは見えない。
俯き加減で二年の下駄箱へ向かった。
学校で澪は「志垣」と名乗っていた。
捨てたはずの苗字。
賢木が取ってくれた手続きでこの苗字が使われていた時は驚いた。
もう、帰る家もないはずの澪に「苗字」があるのは変な気分だった。
玖珂家にやってくるまでは普通に名乗っていたはずなのに、今は違和感しかない。
悠真には言えないけれど。
心配してくれる悠真をこれ以上煩わせたくなくて、学校へ行きたがってるふりをしていた。
澪は実のところ学校が楽しくはなくて、出来れば屋敷で悠真と一緒に倉石の授業を受けている方が良かった。
というのも、澪は今の学校で一人も友達がいない。
この学校は外では名門中の名門と畏怖を含んで崇敬されているのに、内部に入ってみると別の一面も見えてくる。
前に通っていた学校ではαもΩもいなかった。
それなのにこの学校には悠真を始め、何人もαがいる。
同様に澪を始めΩも数人いる。
学校側も慣れているのか、その対策もなされていた。
Ωはどうやらαと同じクラスにならないよう配慮してあった。
同様に対処がしやすいようにΩを同じクラスに集めてある。
体育の着替えには、女子の更衣室の他に中から鍵がかかる別室が用意されているし、施錠の問題から同じクラスのΩは一緒に行動するよう通達してある。そして水泳用の水着は男子用とも女子用とも違って、ズボンの丈が長く体の線が出にくいもので、黒いTシャツ着用が義務付けられている。また職員用トイレの使用もΩにだけ許されている。
男子とも女子とも扱いが分けられているのだ。
名門の学校なので預かっている学生も、Ωであっても、それなりの家柄を持っている。よって学校側の構内で問題が起きては困る、という意図が見える。
だがこの配慮は逆にΩの逃げ場を失わせていた。
βもαも本来オメガバースを嗅ぎわけることはできない。α同士もβ同士もわからないし、たとえ発情期であってもΩ側が万全に対処していれば、たとえ隣にいても発情期に敏感なαでさえわからない。なのに、この配慮のせいで、Ωということがはっきりと周囲に知れてしまうのだ。
そうなるとΩとしてはいつ如何なる時も気が抜けない。
Ωと知られている以上、βはともかくαに捕食されてしまう可能性があるからだ。
なるべくΩ同士固まって行動し、互いに警戒する、というのが理想なのだが。
あいにくクラスメイトのΩは同じΩの澪にすらビクついていて、話もままならない。
学校に行くようになる時、密かに賢木から注意を受けた。
「どこそこのお坊っちゃまと甘やかされ、さらにαだとちやほやされて育ちますと、一様に傲慢、高飛車になります。もちろん悠真さんは違いますよ、私がちゃんとしつけてますからね。でもそうでない愚かなお坊ちゃまは、βは召使い同然に扱い、Ωは性奴隷ぐらいにしか思いません。澪さんには分かると思いますが、αにも格というものがあります。その辺のαと悠真さんは格が違い、また玖珂家も格式高い家柄。そういうことを見極められない者は、例え玖珂家に関係のあるΩだろうと、悠真さんのΩだろうと、身分を弁えずちょっかいを出してきます。そういう輩に気を付けてください」
一人で行動しない。
人目につかない所には一人で行かない。
トイレも気をつけること。
特にαに気をつけること、近付かないこと。
αが近くにいなくても、αに支配されたβがいるかもしれないから。
と。
廊下で時々αが取り巻きを従えてにやにやこちらを見ている時がある。
この学校では廊下や教室で数人の生徒の塊をよく見かけるが、その中心にいるのはα。
それを取り巻く生徒が取り巻きのβか友人かは、話している人物でわかる。
中心にいる人物が主に聞き役に回っている場合、取り巻きではないと澪は見てる。
一方、話しているのが主に中心にいるαで周りはへつらうように愛想笑いをしているなら取り巻きだ。
この学校に来て始めて気付いたのだが。
αの強弱というか格の違いは、家柄と比例しない。
面白いことにああやってβの取り巻きを従えているαほど弱い。
強いαは周囲と対等に接していて、決してαであることをひけらかしておらず、自然と人が集まってくるのだ。
そして弱いαほどΩを蔑み軽んじている。
絡みつくような値踏みする視線。
明らかに隙を狙われている気がして、澪は気が休まらない。
休まるのは昼休みにカフェで悠真と会う時だけ。
中等部と高等部共用のカフェで、いつも待ち合わせている。
「どうだった?」
パンとスープを口にしながら、悠真が澪の復帰1日目を気遣ってくれた。
「なんとか、やってる」
「なんとか、って。大丈夫か?」
「うん、多分ね」
澪は食欲がなくて、悠真から少し分けてもらう。
悠真の食べかけのパンから少しちぎり取り、同じスプーンでスープを飲む。
澪も悠真も特になんともないが、側から見ればどう映っているのだろう。
時々澪は思うけれど、悠真は気にも止めていない様子だ。
やはり自分は悠真の愛人のように見えるのだろうか。
ちらちらと窺い見る視線があちこちから飛んでくる。
そういった好奇の視線にも悠真は慣れているのか気に留めた様子もない。
αの性質がそうさせるのか、それとも家柄と育ちがそうさせるのか。
向けられる視線に落ち着かない気はするけれど、誇らしくもある。
これだけ注目を集める悠真と、この中で自分が一番近いということが、嬉しいし、ちょっと自慢。
悠真には友達がいるだろうけど、このひとときだけは自分を優先させてくれる。
「早退してもいいんだぞ。車呼んでやろうか?」
「もう!悠真ってば、そんなに心配性だった?大丈夫だよ、ほんとに」
「心配性ってわけじゃない。ただ澪は抱え込むとこがあるみたいだからさ」
ちらり、と拗ねるような視線を向けられる。
「澪が不安抱えてるとか、俺、気付かなかったし」
「…それは、ごめん。でも、もう考えないことにしてるから大丈夫」
悠真には隠していたけれど、澪だって自分の体調に不安はあった。
悠真と一緒にいない時に向けられるαの視線。
彼らに見破られはしないかと。
けれどそれらは杞憂に終わった。
相変わらず機を待っているようには感じるが、澪にその隙がないのかそれらしい動きはない。
もちろん気は抜けないけれど。
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