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Ep1 高校デビュー
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俺は生まれながらにして性格が悪い。
性格が悪い父親と性格が悪い母親の間に生まれた性格の悪さにおけるサラブレッドと言ってもいい。
性格の悪さが先天性なんて、そんな馬鹿な話があるもんかって思うだろ?
俺も中学の頃はそう思ってた。
でも、人に嫌われないよう努力すればするほど、自分の身に染みた性格の悪さが露見する。
そのときは『これぐらい』って思ったことも、後になってやっぱりやり過ぎだって気づいたりする。
しかし、俺は中学3年までそれに気づかなかった。
小学校では無意識の悪口で敵を作りすぎてしまい、いじめのターゲットになった。
中学では友達と呼べる人間がなく、ひたすらぼっちだった。
なぜこんなに不幸なのか、どうして俺はみんなみたいに毎日が楽しくないんだ?
中学を卒業する頃になってようやく俺は、自分が人を平気で傷つけていたからだと気づいたのだった。
Ep1 高校デビュー
性格が悪いと一口に言っても、その種類はいろいろだ。
人によって態度をコロコロ変えて強い者になびく奴、簡単に嘘をついて平気で裏切る奴、自分の思い通りにコトが進まないとキレる奴、仲良くしている人間の陰口を平気で言える二面性の激しい奴とか。
俺は、人を傷つける言葉を平気で放てる人間だった。
思ったことをズバズバ言えると言えば聞こえはいいが、要するに無神経な奴だったんだ。
どんだけクズかこれじゃ想像つかないか?
じゃあ実践してやろう。
「おまえってさぁーアニメオタクだよな! 俺、アニメって嫌いなんだよなぁ。キモいしな!」
「おまえってすっげぇ鼻の穴でかいな? それに出っ歯だし。背も低いしいいとこないな!」
俺は今までこういうことを平気で言える人間だった。思いやりがなく、サラッと人を傷つける天才。
言えるってだけじゃなくて、人の悪い部分ばかりに目が行く時点でもう……。
どうだ? クズだろ? だからみんな俺の前からいなくなった。
それに気づいた俺はそんな自分を卒業した。
と、言えればいいんだが……。
中学も後半にさしかかって俺は、自分の悪い部分を修正すべく努力した。
だけど……。
テレビに向かって常に悪態をついている親父。
友達なんていらない、なんて平気で俺にぬかす母さん。
人の欠点を笑いながら指摘する姉貴(俺と一緒)。
俺が自分自身の無神経に気づいたある日、家族全員のそういう醜さがはっきりと見えた。
一緒に暮らしているからこそ見えなかったもの。
それが急に目につき始めた。
彼らと生まれてからずっと一緒に暮らしている俺が、ちょっと努力しただけでなんとかなるものなのか?
おそらく家族だってみんな、自分が性格悪いなんて気づいていないのかもしれない。
なかなか簡単には治せないだろうな……。
でも、俺は俺たち家族が無神経な家族だって気づけた。
だからこそ、注意をすれば、無神経な発言をして友達をなくす事態を避けることができるかもしれない!
中学までの同級生たちは俺の正体を知ってるから今更無理だけど、進学先なら……。
ということで俺は、県外の誰も知り合いのいない高校に単身で進学し、高校デビューを企てることにした。
まずは、笑顔だ。
笑顔は人に好感や親しみやすい印象を与える。人畜無害を装うこともできるからな。
それと、制服はできるだけ着崩さないようにする。
髪を染めたりも、憧れてたけどやめる。清潔感が大事だ。
目立たないようにもしないとな。どこでボロが出るかわからんから。
本性がばれるようなシチュエーションを自分から作り出さないことがポイントだ。
教室でもできるだけ自分からはアクションを起こさない。
ただし、人に好感を与える行動は(選ぶが)やる。
……俺のストレスMAXな生活は、そうやってスタートを切ったのだった。
性格が悪い父親と性格が悪い母親の間に生まれた性格の悪さにおけるサラブレッドと言ってもいい。
性格の悪さが先天性なんて、そんな馬鹿な話があるもんかって思うだろ?
俺も中学の頃はそう思ってた。
でも、人に嫌われないよう努力すればするほど、自分の身に染みた性格の悪さが露見する。
そのときは『これぐらい』って思ったことも、後になってやっぱりやり過ぎだって気づいたりする。
しかし、俺は中学3年までそれに気づかなかった。
小学校では無意識の悪口で敵を作りすぎてしまい、いじめのターゲットになった。
中学では友達と呼べる人間がなく、ひたすらぼっちだった。
なぜこんなに不幸なのか、どうして俺はみんなみたいに毎日が楽しくないんだ?
中学を卒業する頃になってようやく俺は、自分が人を平気で傷つけていたからだと気づいたのだった。
Ep1 高校デビュー
性格が悪いと一口に言っても、その種類はいろいろだ。
人によって態度をコロコロ変えて強い者になびく奴、簡単に嘘をついて平気で裏切る奴、自分の思い通りにコトが進まないとキレる奴、仲良くしている人間の陰口を平気で言える二面性の激しい奴とか。
俺は、人を傷つける言葉を平気で放てる人間だった。
思ったことをズバズバ言えると言えば聞こえはいいが、要するに無神経な奴だったんだ。
どんだけクズかこれじゃ想像つかないか?
じゃあ実践してやろう。
「おまえってさぁーアニメオタクだよな! 俺、アニメって嫌いなんだよなぁ。キモいしな!」
「おまえってすっげぇ鼻の穴でかいな? それに出っ歯だし。背も低いしいいとこないな!」
俺は今までこういうことを平気で言える人間だった。思いやりがなく、サラッと人を傷つける天才。
言えるってだけじゃなくて、人の悪い部分ばかりに目が行く時点でもう……。
どうだ? クズだろ? だからみんな俺の前からいなくなった。
それに気づいた俺はそんな自分を卒業した。
と、言えればいいんだが……。
中学も後半にさしかかって俺は、自分の悪い部分を修正すべく努力した。
だけど……。
テレビに向かって常に悪態をついている親父。
友達なんていらない、なんて平気で俺にぬかす母さん。
人の欠点を笑いながら指摘する姉貴(俺と一緒)。
俺が自分自身の無神経に気づいたある日、家族全員のそういう醜さがはっきりと見えた。
一緒に暮らしているからこそ見えなかったもの。
それが急に目につき始めた。
彼らと生まれてからずっと一緒に暮らしている俺が、ちょっと努力しただけでなんとかなるものなのか?
おそらく家族だってみんな、自分が性格悪いなんて気づいていないのかもしれない。
なかなか簡単には治せないだろうな……。
でも、俺は俺たち家族が無神経な家族だって気づけた。
だからこそ、注意をすれば、無神経な発言をして友達をなくす事態を避けることができるかもしれない!
中学までの同級生たちは俺の正体を知ってるから今更無理だけど、進学先なら……。
ということで俺は、県外の誰も知り合いのいない高校に単身で進学し、高校デビューを企てることにした。
まずは、笑顔だ。
笑顔は人に好感や親しみやすい印象を与える。人畜無害を装うこともできるからな。
それと、制服はできるだけ着崩さないようにする。
髪を染めたりも、憧れてたけどやめる。清潔感が大事だ。
目立たないようにもしないとな。どこでボロが出るかわからんから。
本性がばれるようなシチュエーションを自分から作り出さないことがポイントだ。
教室でもできるだけ自分からはアクションを起こさない。
ただし、人に好感を与える行動は(選ぶが)やる。
……俺のストレスMAXな生活は、そうやってスタートを切ったのだった。
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