半熟卵とメリーゴーランド

天国

夢の中で、上司にしょうもないことをいう。
「その膝掛け、しまうなら貸してください」
「これバスタオル、洗いすぎてペラペラだから寒いよ」
「えー！」
「もうすぐ陽が当たるからだいじょぶ～」
と、会議にいくのを呼び止めて、
自分は寝転がってるという状況はどうかとおもうけど、
そんな夢を見るだけあって、起きたら寒い。

タオルでもボロボロでもいいから、かけに来てほしかった。
夢だとそのあと、布団を被った不審者があらわれた。
あたたかいけど美しすぎて怖い人形のような人で、夢の中の私は怖かった。

二度寝してみる。
陽射しと影のあたりぐあいで、不思議な色を放つ蝶の群れをみる。
ひとにみせたいとおもい撮影を試みるが、うまく撮せない。
肉眼に焼き付けようとおもいみていると、かなりちりぢりになっていた。
それでも美しかったけど、撮影できなかった間も自分のために観ていられたらよかった、バカダナー。
…という心の声を、隣にたっている女の子が完全再現してビビる。
自分はずっと管理者として見てるから、いつも近くに座ってるんですけどね…と。
実在の上長に、新卒より若い管理者がいて、彼女のイメージなのだと思う。にてないけど。

簡略化したミュシャの絵のコピーを、テーブルより大きなパネルにはってあるのをみかけた。
大人の塗り絵なのだそうだ。
サイズが大人用だなと思う。

夢の中の食べ物を口にできない自分が、パンを食べる。そして、焼かないと美味しくないパンとであう。現実では周りがそう評するパンも、パンとしての最低限の美味しさを感じるというのに、そのパンは本当にパンのような味こそするが魅力のないものだった。見た目はとことんフォト字ぇニックで、行列のできる有名な商品という話だったのに(現実にはない)


  日記にはそう書かれていた。読み取るよりも、自分もパンが食べたくなり、今日の仕事は中断する。

【魔女はカボチャの馬車にのらない③天国】