半熟卵とメリーゴーランド

ゲル純水

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山の怪異

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  オカルトではなく、野生の勘とか、防衛本能なのだ。くれぐれもオカルトではないし、女子達の言う霊感とやらは英訳すればインスピレーション。やはり「ピント来た」の一言に集約される。

  そんなわけで。

  山が好きなのに、直感的に「このまま進んではいけない」と頭に浮かんで、行けないことがままある。
  誰かといて、その感覚が鈍いときの条件はなにか。安全度が増しているか、感覚が鈍っているかのどちらかだ。後者と仮定しても進んでいい相手なのか、そうでないのか…進むと決められないのは信頼のなさかと悩んだこともある。しかしながら、やはり、動物的な部分で異様に「進んではならない」と強く思うものは避けたほうがいい。その相手に及ぶかもしれない害も裂けられるなら、信用がないと思われてもいいではないか。

  とはいえ。一緒にいっても大丈夫かと、思う機会もなくなり、その悩みをかんじる分岐点にも至らないなら心は穏やかだ。あとは、拒んでも立場をかざして、絶対にいくことにしそうな相手との距離だけだ。
(行きたくないという意思があるように、相手にも行きたいという希望があるから、しかたがないのだけれど)

  山は好きだけれど、なにかが大声で叫んで体を突き飛ばす。意思とは関係なく動く、なんらかのシステム、これが防衛本能なんだろうなと。でも、山にいきたい。この前大丈夫だったから次も大丈夫とはかぎらなくて、安心感はふだんの人間関係での安心感とイコールでもなくて、どうしたらいいかわからないから一人で歩むしかないのだけれど。そう書くと、なんて寂しい。
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