半熟卵とメリーゴーランド

ゲル純水

文字の大きさ
上 下
45 / 301

クックロビンは三度哭き

しおりを挟む
  喉がカッとしていたのだと思う。
  欲望のままに、か細い喉を両の手で掴んだ。竹久夢二の絵のような、といって通じるかはわならないが、彼女の細さは病的だと感じつつも世間でのスタンダードとなり、違和感を感じていた僕は深い意味もなくその首にてをかけて力を込めた。ごりゅりと気持ちの悪い感触は、表皮と脂肪と筋がそれぞれ別の層にあるものだと言わんばかりに(僕などには一掴みにできるものかと、人体構造を知らない僕に脅しをかけるように)左右に力を逃がしていった。

「殺すの?」
「たぶん違う」

ころりととびでそうな、頭を破裂させて死ぬ病んだハムスターの元気な頃のような目で見上げる、彼女の名前を僕はもう思い出せない。個としての存在を失った、概念として、記憶の中にある、記号としての彼女のことを。

細い首は簡単に折れるのだろうか?

否。

友人の太い首は、ぶあつい脂肪に指がしっとりと沈み、見た目とは全く逆のはかなさを感じた。椿の真っ赤な花びらの上に、紗を刻んだような降り始めの雪が舞いはじめたなら、その深紅に溶けてしまいそうではないかと思うほどには。

  彼女の首は、必要最低限の機能的な首であり、その感触はゴリゴリと固いものを感じ、筋肉の収縮や脈拍がかえって力強い。この感触はなにかににている、としばらく考え込む。彼女は抵抗をしない。

「夢中になって、馬鹿ね」

あぁ、芭華バカみたいなのさ、扱いにくくて…女性の曲線という言葉の意味がよくわからない、彼女の固い喉は指をめり込ませない。ほどほど弾く皮膚は、なにかを思い出す。あぁこれは陰茎を握るのと何が違うんだろうか、大きさなんかまるでちがうけれど、彼女は意思があるのかもわからない人形。僕は僕で彼女のことなど見えない。彼女に特別の感情があるから首を絞めるわけではない、他愛ない興味だ。彼女が別の人間だとしても、また彼女と別れて別の人間がそこにいたとしても、僕はまた同じことを繰り返してしまいそうだ。ならばこれは、やはり、自慰と何らかわりない、目の前の陰茎の成の果ての女の首を、普段自分に振る舞う快楽と同じように……いや、大きいならばいつもよりもより鮮明にぶつければよいのだ。欲望を、夢を、不安を、あるいは無機質に落ちて行く痛みを、怒りを、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、は「じしらず」ろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ! 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

処理中です...