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クックロビンは三度哭き

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  喉がカッとしていたのだと思う。
  欲望のままに、か細い喉を両の手で掴んだ。竹久夢二の絵のような、といって通じるかはわならないが、彼女の細さは病的だと感じつつも世間でのスタンダードとなり、違和感を感じていた僕は深い意味もなくその首にてをかけて力を込めた。ごりゅりと気持ちの悪い感触は、表皮と脂肪と筋がそれぞれ別の層にあるものだと言わんばかりに(僕などには一掴みにできるものかと、人体構造を知らない僕に脅しをかけるように)左右に力を逃がしていった。

「殺すの?」
「たぶん違う」

ころりととびでそうな、頭を破裂させて死ぬ病んだハムスターの元気な頃のような目で見上げる、彼女の名前を僕はもう思い出せない。個としての存在を失った、概念として、記憶の中にある、記号としての彼女のことを。

細い首は簡単に折れるのだろうか?

否。

友人の太い首は、ぶあつい脂肪に指がしっとりと沈み、見た目とは全く逆のはかなさを感じた。椿の真っ赤な花びらの上に、紗を刻んだような降り始めの雪が舞いはじめたなら、その深紅に溶けてしまいそうではないかと思うほどには。

  彼女の首は、必要最低限の機能的な首であり、その感触はゴリゴリと固いものを感じ、筋肉の収縮や脈拍がかえって力強い。この感触はなにかににている、としばらく考え込む。彼女は抵抗をしない。

「夢中になって、馬鹿ね」

あぁ、芭華バカみたいなのさ、扱いにくくて…女性の曲線という言葉の意味がよくわからない、彼女の固い喉は指をめり込ませない。ほどほど弾く皮膚は、なにかを思い出す。あぁこれは陰茎を握るのと何が違うんだろうか、大きさなんかまるでちがうけれど、彼女は意思があるのかもわからない人形。僕は僕で彼女のことなど見えない。彼女に特別の感情があるから首を絞めるわけではない、他愛ない興味だ。彼女が別の人間だとしても、また彼女と別れて別の人間がそこにいたとしても、僕はまた同じことを繰り返してしまいそうだ。ならばこれは、やはり、自慰と何らかわりない、目の前の陰茎の成の果ての女の首を、普段自分に振る舞う快楽と同じように……いや、大きいならばいつもよりもより鮮明にぶつければよいのだ。欲望を、夢を、不安を、あるいは無機質に落ちて行く痛みを、怒りを、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、は「じしらず」ろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ、はぜろ! 
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