半熟卵とメリーゴーランド

ゲル純水

文字の大きさ
上 下
43 / 301

若葉マーク&爆乳ネイリスト

しおりを挟む
はぁ、と、息を。

  とある集まりのなかに、とあるカップルがいて(いまはそれぞれ、その集まりの別の人と家庭を築いてるわけだが)その彼女は、まさしく美人だった。

何を吸っていたか思い出せないが、わかばのパッケージをみると彼女の言葉を思い出す。ぜったいにそれではないのに。そこの理屈は解明していない。の。

  たぶん私の宝なのだと思う。彼女が、ふいに夜中に呟いた言葉が、頭の隅っこにずっとある。しばらくは「彼女らしい」と思うだけで「私には出来ない芸当だ」としまっていたけれど。

「二人だけの秘密が多い方が楽しいじゃない」

と、私は不覚にもどきりとした。憧れの年上の女性にいたずらな微笑みを向けられた、少年そのものの鼓動だった。私は狼狽を隠しきれず、不確かな笑みを浮かべて、文字通りに蠱惑の美貌の前に一つの剥き出しの魂でしかない飾れない飾る必要もない蟲になった。

カラリコラリと、なにかが音をたてる。あれは夜も更けているのに蒸し暑い、百万遍あたりのの路地裏の幻。

  当時は、なるほどと思いながらも難しい感情だった。

  カラリコラリと、時が流れた。

  彼女の年になる頃に、私は君と出会ってしまった。

  こうして君のことばかり思うけれど、昔の私ならば書いたであろう細かなことには触れていないなと気付く。私の感情の変化であり、出来事というものとはなにか違うのだ。君のことはあまりに大切で、なんとなく勿体ないと、心のなかにカラリコラリと音をたてて溜めてゆくのだ。秘密基地の、びぃ玉の詰まったクッキーの缶のように。

  君はブリキの夢を見て、ぼくは鉛入りのガラスごし、なぜかやたらとあのひとの感触がよぎり、ぼくは君に会いたくて会いたくて私がここにいる。私の中の少年も、秘密基地にいるのだろうかと。

  私は彼女になることはない、君も僕になることはない、ただ込み上げる気持ちは今日も、あの音をたてて私にこの世界はすべてが初めての次の日だと、若葉を輝かせて教えてくれる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

処理中です...