半熟卵とメリーゴーランド

ゲル純水

文字の大きさ
上 下
42 / 301

画家仕事

しおりを挟む
  初めて見たときから、ずっと気になっていた人がいる。その人を眺めていると、なにかと面白い。女性としての観点で言うならば一目惚れなのだろうけれど、そういうものとは違うなにかの話。

「いままで自分がやってない、色の塗り方が思い浮かんだんだ」

  ぬいぐるみに、絵の秘密を明かす。

教本では常識だとは思う。
勉強する人には常識だとは思う。
私が直感頼みで勉強しなさすぎる。

「そんなこともできなかったのか」

と、思われても仕方ない。

  でも、自力で行き着いたことにも価値はあるもので、そんなに否定するものでもないさと。

さて。

  実験した画面は、自分が描いたことのないできだった。あまりにドキドキして、途中だというのに先に進めない。

    その姿に何故ひかれるのかと一年観察を続け、今朝やっと一つ理屈がわかった。

私をひきつける美しさ、なぜ美しいのか。

「比率」

比率がいとおしいとは以前から思っていた。
私でなくともあの比率にひかれはするだろう。
あの美しさにひかれるだろう。
ありていにいえば、かっこうがよい。

けれど、私は誰がなんと言おうと画家なのだ。

物事を理解し、飲み込み、再構築するのだ。

なぜ美しいの?
美しいから愛している?
そんな台詞は、そこいらの愛くるしい(愛される)少女達のお仕事なのだ。

私はこのような私だから、私として、つきとめる。

「肌の色」

私にはない色、意識が溶け込む唯一の色相?
それは勿論、釘付けにされている。
だが、それだけでもない。
もっと、それ以上のなにかがある。


「      」

一つみつけた答えは、脳をはっとさせ、視界を鮮やかにした。

いとおし、いとおし、私にみえる世界にまた一つ新しい領域が。
私の心にしまう、私の世界の鍵、君の姿は、君こそが、私の世界が壁の向こうではなく扉の向こうであると教えてくれた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

処理中です...