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電子の国に消えた歌姫

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もういいのです。
いまさら何を、ひらこうか?

円熟したのでしょう、
それならそれでよいのです。
よいといってるのだから、
なぜに構うのか。

囲い尽くした者達が、離す、離す、手離さず。
胸ぐらつかんでなじるのは、離したくないから、優越感。
浅ましいことこの上なく、祀られる神が気の毒だ。

そんなこんなで廃れるのかと、歴史は語るわけだけど。
なんだかんだで、彼女の国は、栄えてはいるようで。
何をもって快進撃か、栄え栄えていくのはわかるが。

壁はあまりに匂っている、あれはそうか死屍累々。
弱者が弱者を、弱者が強者を、恥知らずに壊していったそして自壊の腐れ砂。
沼から産まれた美しい花だと思っていたが、どうして周りに毒虫があつまれば、
高嶺の花よりたちも悪く「忘れよう、あれは図鑑の向こう側の世界だ」そして夢から覚めるように離れるしかない。

離れて見やる、毒虫の中にあの子はいない、いつのまにか。
花に近づく妨げの、あの子は飽きて次の花。
とりとこされた、食い残された、荒れ地で思う。
旅人はもう一人の老人、花に伸ばす手は毒にやられた体、近づけなかった。
ちがう国へいこう、図鑑のこちら側、私の現実世界。
別の花が咲き乱れる国で、穏やかにあろう。

さよなら、あの子の歌が終わる。
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