半熟卵とメリーゴーランド

ゲル純水

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回想の階層(2016.10.xx)

to do リスト「生きる」

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    私がゲイの恋人モドキから逃げはじめて、どれだけかが経過した。友人のレズビアンは腹を抱えて笑ったが、同性愛者の女と交際中の異性愛者の男は「笑い事ではない」と深刻すぎる顔で言っていた。この話は私の回りのそれぞれの同性愛の性質をオープンにしてる友人二人に話した部分。

「そうか」

    ベリーの目鼻をくしゅりと一瞬ゆがませてからにっこりと微笑み、その長身はゆっくりと笑った。そう、あの彼だ。兄のような人。

    いつもこうだね。
    仕方ないねと口癖の寛容は、ある意味の無関心さからくる幕引きなのか本当に優しく受け入れてくれているのかはわからないけれど。

    わからないけれど、
    癒されるのは、
    事実である。

     私は君が好きだった、いまでも好きなのだ、手にいれたいという欲を起こさないだけで。欲を持ってはならないと自分のありかたを決めてるだけで。

    私は何を考えているんだろう?

    逃げるという概念が消えていた時間、もっと前向きに人と繋がろうとすればよかったのだろうか?何故もなにも、軟禁されているときの思考回路は何故だか私をそこへ追い込んでいく。

(監禁は物質で、軟禁は制約で、身体は拘束されていなくても実質拘束している、軟禁は)

疲れが水のようにだくだくと流れて、溢れて、こぼれていくけれど抜けない感じは何なのだろうか…生命が、栓に隙間のあるバスタブに水をはろうとしてるようだ。どぶどぶと溜まってはいくけれど、常に抜けていて満たされない。なんだろうかこの疲れは、ただひたすらにつらい。

    この疲れのせいだろうか?彼がいるときの精神的な落ち着きは計り知れない。バスタブの栓の上から手を添えて流出をとめてくれているかのように。いるかいないかで、なにかをしたあとの精神的なエネルギーの残量が違う。いまは立ち止まらないでいるための精神力を彼がくれているから、今一歩、もう一歩、次の一手にでる力がほしい。それは自分が出すものだけど、後押しになるエネルギーのすべては花よ風よ君の姿よ。
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