半熟卵とメリーゴーランド

ゲル純水

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回想の階層(2016.10.xx)

to do リスト「逃げる」

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    同僚のなかでもずば抜けてる人間はいる。
    毎期において頭角を表す人間はいて、しかし半年後や一年後をみると悲喜こもごもであるからして、彼がいつまで優秀な異端者扱いでいられたかはわからない。結局のところ、単なる異端者、使い勝手の悪い道具として解雇となったが、使いこなせない日本社会を詰るわりに彼はまだ日本にいる。

    そのようなわけで、解雇となったそのプライドの高い優秀らしき人間は、ゲイだった。私は女である。そうすると、セックスのない落ち着いた夫婦のようなのんびりとした友人付き合いをしていたのも不思議ではない。いや、不思議なのだろうけれど、セックスについて考えなくていいという気軽さが余裕をうんだのか、そういう過ごし方となった。しかし彼は、一定以上親しくなってからのモラハラがひどかった。

    井の中の蛙
    自分の常識が全て
    相手の人格否定
    都合のいい記憶改竄
    自己愛
    想像力の欠如

    その他もろもろ、かきはじめると吐き気がする


    元同僚なのだ。解雇のため「元」だ。
    彼から、逃げていることを、共通の仲良い同僚はなんと思うか。ほどよい距離感だからこそ、嫌わずにすむいいとこどりだった面々は。いつまでも、優秀な異端者のお友だちなのだろうか…それはそれでいいのだけれど、彼のあることないことの私の悪口をどう思うのか。鵜呑みにされるなら、それだけの関係なのだけど。

    そのことを話した相手は二人。
    彼のことをなんとなくしか知らない、私のことを好きだといってくれる後輩に話た。そういう問題時を引き寄せやすい人なのかなと私を悲しそうに見たのだった。何より、話を聞くというより聞くしぐさで近づくことに意識を注いでいる後輩の欲望への正直さが羨ましい。私はこれ以降、少しだけ考え方を変えた。

「そっか、きつくなったか」

とだけ言って笑ってくれたのは、年下の兄ともいえる別の後輩だった。共通の友達であり、この人は私とよりむこうとのほうが親しいはずである。けれど、バカではないから、今後も同じ現場で働く私に対して彼を擁護したり私を否定したりするわけもない。なにも考えてないとかどうでもいいとかそういうことなんだろうけれど、幾分にも救われる。

「面白い世界をもってるから」

なるほど、私はページをめくらなくていい書籍としてこの後輩の世界の一部になっている。なんて心地いいんだろう、そして読み物でしかない干渉は時に無責任でよく、読み込みたければいくらでも読める。

    日記にはこう、書いた。

    人生同士が交尾しているような
    都合のよさを感じるのだ
    それはなんとも心地よく
    自分が自分を許したはじめての命だ
    私は私を生んだのだ
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