半熟卵とメリーゴーランド

ゲル純水

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回想の階層(2016.05.xx)

眠りのこと

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近頃、夢の中でも働いている。

    夢がおかしいのだ。
    眠りに付くと、布団の上で夢から覚めるシーンで夢が始まるのだ。そこから、当たり前に出勤し、8時間の労働と1時間半の休憩を職場で過ごして、帰路は書店などをのぞきながら来ないバスに苛立ちながら徒歩で1時間半から2時間をかけ帰宅するのだ。疲れて帰ったところに小言をくらい、それでも家にいる人間のストレスを考慮してそれを受け止め、小言を言いながらも自分を居候させてくれる家の人間に感謝しながら一日を終える。眠りについたところで、目が覚めて現実の朝が始まる。
    とはいえ。
    とはいえ、だ。
    決して、仕事が嫌いなわけでもなく、ストレスを感じているわけでもない。むしろ毎日楽しく働いていて、帰るのが勿体ないと感じるほどだ。大好きな現場だからこそ、もっと仕事量をこなして慣れながら知識も深め、より高い技術でスムーズに仕事をこなしたいと考えている。向上心、良い意味の緊張感、創意工夫という名の試行錯誤。それは迷いでも苦しみでもない、心地よい成長痛なのだ。しかし、このような夢の話をすると、かならず友人がこんな言葉をかけてきてくれて、泣きそうになる。

「それは無意識のストレスだよ!楽しいなんて言ってるけど本当は…」

「無理しないで!」

    白目をむきそうになる。
    私のどこを見ているのだ。まるで、母乳を含ませた海綿体を球速150キロでぶつけられた気分だ。あるいは、閉じられないように瞼を固定された眼球の上で搾り込まれるように。なんて痛いんだろう、この愛は。成分が愛であろうと、体をさいなむこの痛みは。

「いますごく幸せを感じてるのに無理をしているように見えるの?どんな姿をして生きていれば納得してくれるの?だったら私はいつも世間を憎んだ顔をして愚痴をいってればいいの?」

   叫びたくなる。いや、馬鹿馬鹿しくなって、弁解する気などおきもせず、オキヅカイアリガトウと笑うしかないのだ。笑うしかないのだ。これまでも、これからも、人間付き合いのわからない私はそうするしかない。きっとみんな同じ気持ちなんだと思いながら。

   さておき、あまり寝た気がしなくて頭の動きに自信がない。横になっているぶん、内臓や筋肉は休まってると信じている。休まっているからこそ毎日はたらけるのであって、そうでなければとっくに倒れている。夢など、長い時間だと感じていても一瞬のことだときく。あとは夢もなく眠っているのだと。本当なのか私にはわからないが、それならなおさら、休まっているはずなのだ。
    嫌だとかどうとかではなく、日付の感覚が狂ってしまうという不便の一卓で、いまの夢のみかたがつらい。とりたててストレスを感じる域ではないけれど、なんとなく不便である。
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