258 / 301
回想の階層(2016.05.xx)
眠りのこと
しおりを挟む
近頃、夢の中でも働いている。
夢がおかしいのだ。
眠りに付くと、布団の上で夢から覚めるシーンで夢が始まるのだ。そこから、当たり前に出勤し、8時間の労働と1時間半の休憩を職場で過ごして、帰路は書店などをのぞきながら来ないバスに苛立ちながら徒歩で1時間半から2時間をかけ帰宅するのだ。疲れて帰ったところに小言をくらい、それでも家にいる人間のストレスを考慮してそれを受け止め、小言を言いながらも自分を居候させてくれる家の人間に感謝しながら一日を終える。眠りについたところで、目が覚めて現実の朝が始まる。
とはいえ。
とはいえ、だ。
決して、仕事が嫌いなわけでもなく、ストレスを感じているわけでもない。むしろ毎日楽しく働いていて、帰るのが勿体ないと感じるほどだ。大好きな現場だからこそ、もっと仕事量をこなして慣れながら知識も深め、より高い技術でスムーズに仕事をこなしたいと考えている。向上心、良い意味の緊張感、創意工夫という名の試行錯誤。それは迷いでも苦しみでもない、心地よい成長痛なのだ。しかし、このような夢の話をすると、かならず友人がこんな言葉をかけてきてくれて、泣きそうになる。
「それは無意識のストレスだよ!楽しいなんて言ってるけど本当は…」
「無理しないで!」
白目をむきそうになる。
私のどこを見ているのだ。まるで、母乳を含ませた海綿体を球速150キロでぶつけられた気分だ。あるいは、閉じられないように瞼を固定された眼球の上で搾り込まれるように。なんて痛いんだろう、この愛は。成分が愛であろうと、体をさいなむこの痛みは。
「いますごく幸せを感じてるのに無理をしているように見えるの?どんな姿をして生きていれば納得してくれるの?だったら私はいつも世間を憎んだ顔をして愚痴をいってればいいの?」
叫びたくなる。いや、馬鹿馬鹿しくなって、弁解する気などおきもせず、オキヅカイアリガトウと笑うしかないのだ。笑うしかないのだ。これまでも、これからも、人間付き合いのわからない私はそうするしかない。きっとみんな同じ気持ちなんだと思いながら。
さておき、あまり寝た気がしなくて頭の動きに自信がない。横になっているぶん、内臓や筋肉は休まってると信じている。休まっているからこそ毎日はたらけるのであって、そうでなければとっくに倒れている。夢など、長い時間だと感じていても一瞬のことだときく。あとは夢もなく眠っているのだと。本当なのか私にはわからないが、それならなおさら、休まっているはずなのだ。
嫌だとかどうとかではなく、日付の感覚が狂ってしまうという不便の一卓で、いまの夢のみかたがつらい。とりたててストレスを感じる域ではないけれど、なんとなく不便である。
夢がおかしいのだ。
眠りに付くと、布団の上で夢から覚めるシーンで夢が始まるのだ。そこから、当たり前に出勤し、8時間の労働と1時間半の休憩を職場で過ごして、帰路は書店などをのぞきながら来ないバスに苛立ちながら徒歩で1時間半から2時間をかけ帰宅するのだ。疲れて帰ったところに小言をくらい、それでも家にいる人間のストレスを考慮してそれを受け止め、小言を言いながらも自分を居候させてくれる家の人間に感謝しながら一日を終える。眠りについたところで、目が覚めて現実の朝が始まる。
とはいえ。
とはいえ、だ。
決して、仕事が嫌いなわけでもなく、ストレスを感じているわけでもない。むしろ毎日楽しく働いていて、帰るのが勿体ないと感じるほどだ。大好きな現場だからこそ、もっと仕事量をこなして慣れながら知識も深め、より高い技術でスムーズに仕事をこなしたいと考えている。向上心、良い意味の緊張感、創意工夫という名の試行錯誤。それは迷いでも苦しみでもない、心地よい成長痛なのだ。しかし、このような夢の話をすると、かならず友人がこんな言葉をかけてきてくれて、泣きそうになる。
「それは無意識のストレスだよ!楽しいなんて言ってるけど本当は…」
「無理しないで!」
白目をむきそうになる。
私のどこを見ているのだ。まるで、母乳を含ませた海綿体を球速150キロでぶつけられた気分だ。あるいは、閉じられないように瞼を固定された眼球の上で搾り込まれるように。なんて痛いんだろう、この愛は。成分が愛であろうと、体をさいなむこの痛みは。
「いますごく幸せを感じてるのに無理をしているように見えるの?どんな姿をして生きていれば納得してくれるの?だったら私はいつも世間を憎んだ顔をして愚痴をいってればいいの?」
叫びたくなる。いや、馬鹿馬鹿しくなって、弁解する気などおきもせず、オキヅカイアリガトウと笑うしかないのだ。笑うしかないのだ。これまでも、これからも、人間付き合いのわからない私はそうするしかない。きっとみんな同じ気持ちなんだと思いながら。
さておき、あまり寝た気がしなくて頭の動きに自信がない。横になっているぶん、内臓や筋肉は休まってると信じている。休まっているからこそ毎日はたらけるのであって、そうでなければとっくに倒れている。夢など、長い時間だと感じていても一瞬のことだときく。あとは夢もなく眠っているのだと。本当なのか私にはわからないが、それならなおさら、休まっているはずなのだ。
嫌だとかどうとかではなく、日付の感覚が狂ってしまうという不便の一卓で、いまの夢のみかたがつらい。とりたててストレスを感じる域ではないけれど、なんとなく不便である。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説


会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる