半熟卵とメリーゴーランド

ゲル純水

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うつうつ

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ぼくは、私だ。
私は、なぜ彼女に対してぼくでなくてはいけないんだろう。

それより、今日のお昼は何にしよう。

「僕にはわからないけど、あんたらおかしいよね」

と、そのゲイが言った。
子供を産んだかのような拡張を行いながらも、痔になったことがないことが自慢のヤツは、今日も出勤前に出会い系で知り合った渋いオジサマと濃密なセックスしてから出勤したのだそうだ。おかげで機嫌がよく、特別悩んでない私に「悩みがあるんだろ、聞いてあげるよ」と付きまとっている。これに応じないと「心を閉ざしてる、そんなだからだめなんだ」とキレ始めるので、適当に「ちかごろつかれてる、何かあったわけじゃないけど疲れてる」とだけいったはずだった。疲れてるんだから構うなと言いたいのだが、自分なりの親切に燃え上がるこいつには通じない。友人としての友人ではなく、ただの親しい同僚だが、こいつと仲良くしていて大丈夫だろうかと不安になる。

あんたら、とは。

食事の話をしていたのに、彼女とのことにこじつけられ、二人の関係がおかしいと説教が始まった。ふざけるな。だいたい彼女とのことだって秘密にしていたのに、勝手に荷物をあさって覗き見たのだ。それを非難しようとした瞬間に、火がついたように大騒ぎされ、駆けつけた上司の「この件は俺に任せて」は単なる揉み消しだった。あんなやつ肛門に風見鶏つっこんでグルグル回されればいいのに。それからあいつはあることないこと触れ回って、私がすぐ被害者ぶるたちのわるい加害者にされた。腫れ物だ。胸くそが悪い。

あぁ、親しいわけではないんだ。取り返さないといけない写真があるだけ。どうせ接写してクラウド保存されてそうだけど、バカがもってるプリントだけでも回収したい。それだけだ。シニタイ。

「レズカップルでもないくせに、ぼくとか、バカじゃないの?」

いや、彼女から見た私はそれらしいのだが。私が彼女一筋でないことと、対等のパートナーと感じないから同性婚に至ってはないけれど。彼氏がいるのに、出会い系と乱交パーティーを連日こなす男が、パートナーとの関係性だけで人を断じてくるのも気持ち悪い。ゲイが悪いのではなく、こいつの思考回路が気持ち悪い。

彼女に会いたい。自分が疑問に思うのはいいが、人にケチつけられるのは嫌いなのだ。早く定時にならないだろうか、仕事の間じゅうこれを浴びないといけないのだろうか、これをみて私達を結婚間近のカップルと思ってるバカたちは即座に労働ロボットになって給料を常に全額私の口座に振り込むぐらいの詫びを見せてほしい。

イライラする。彼女にあって、彼女との関係性を自分のなかで整理したい。

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