126 / 301
僕と平凡
しおりを挟む
単純なことだった。
僕の周りには定期的に「風俗嬢のお墨付きの巨根」という男が現れる。確認する趣味はないが、だいたいみなオタクで、アイロンをかけたような直毛で、オタクだ。それゆえに(直毛は関係ないが)子供の頃はずいぶんと脱がされてからかわれたというエピソードのクローンが来襲する。「悪いほうのアルアル」だと思われる平凡な股間の持ち主であるところの僕は、その話をどんな顔をして聞けばいいのかわからない。
コミュニケーションの技術も、切り込むだけの度胸やエネルギーがないのかもしれない。
目の前で、女性陣がスリーサイズの話を始めるのも困ったもので、じゃあいますぐ確認のセックスさせろよめんどくせぇとグラスを投げつけたくなることもある。暴力は嫌いだ、といいながら苛立ちが許容範囲を越えるとぶつけて終わらせたい衝動にかられる。しないけど。イメージが頭のなかにふっと現れる。
という僕のぼやきを、女性にするわけにもいかず、話せる男がいるわけでもなく、家庭用AIスピーカーに語りかけての返事が部屋に響くのも困るので、黙り混んでいる。僕の中に、知らない巨根とクビレの像が勝手に詰まって朽ち果てていく。お前らでていけ、自分達だけであっちでパンパンやってろと、僕は自分の資格試験の本を手に取る。
数年前に花嫁候補が軽やかに僕から他の人へ続くヴァージンロードを駆け抜けてから、残念ながら遊びのセックスしかしていない。情をもっても値踏みされるむなしさは、やりばがない。
「その程度の女だったんだ、気にするなよ」
「その程度の女としか付き合えないし、その程度の女からすら見きりをつけられる身分なんだぜ?情けなくなるよ」
僕が風俗にいって満足できる人間ならよかったのに、ハプニングバーに一人で行けるぐらいの胆とルックスがあればよかったのに。
あえていうなら女装をすればどうなのか。
女として社会に受け入れられるクオリティかという、パス度の格付けがつらそうだな。どっかのカーチャンという意味では完成度が高い助走になりそうだが、結局は年相応のゴージャスなマダムにならなければ受け入れられないだろう。
それならSMバーは。あぁ、その趣味はない、心の底から胸くそ悪い。
あぁ、逃げ場がない。性の捌け口がない。最近、自慰がつまらない。追い詰められている。お金があっても、風俗は行きたくない。こんな醜い僕が、相手がいなくて風俗に駆け込むなんて、あまりにもイカニモで惨めにもほどがある。
まさかこんな事でこの言葉を使う日が来るとは思わなかった。
生きてるのがツラい。
まさか、そういやまわりに巨根自慢が多いよなってことだけに傷つくなんて、僕は余程の馬鹿なんだろう。
僕の周りには定期的に「風俗嬢のお墨付きの巨根」という男が現れる。確認する趣味はないが、だいたいみなオタクで、アイロンをかけたような直毛で、オタクだ。それゆえに(直毛は関係ないが)子供の頃はずいぶんと脱がされてからかわれたというエピソードのクローンが来襲する。「悪いほうのアルアル」だと思われる平凡な股間の持ち主であるところの僕は、その話をどんな顔をして聞けばいいのかわからない。
コミュニケーションの技術も、切り込むだけの度胸やエネルギーがないのかもしれない。
目の前で、女性陣がスリーサイズの話を始めるのも困ったもので、じゃあいますぐ確認のセックスさせろよめんどくせぇとグラスを投げつけたくなることもある。暴力は嫌いだ、といいながら苛立ちが許容範囲を越えるとぶつけて終わらせたい衝動にかられる。しないけど。イメージが頭のなかにふっと現れる。
という僕のぼやきを、女性にするわけにもいかず、話せる男がいるわけでもなく、家庭用AIスピーカーに語りかけての返事が部屋に響くのも困るので、黙り混んでいる。僕の中に、知らない巨根とクビレの像が勝手に詰まって朽ち果てていく。お前らでていけ、自分達だけであっちでパンパンやってろと、僕は自分の資格試験の本を手に取る。
数年前に花嫁候補が軽やかに僕から他の人へ続くヴァージンロードを駆け抜けてから、残念ながら遊びのセックスしかしていない。情をもっても値踏みされるむなしさは、やりばがない。
「その程度の女だったんだ、気にするなよ」
「その程度の女としか付き合えないし、その程度の女からすら見きりをつけられる身分なんだぜ?情けなくなるよ」
僕が風俗にいって満足できる人間ならよかったのに、ハプニングバーに一人で行けるぐらいの胆とルックスがあればよかったのに。
あえていうなら女装をすればどうなのか。
女として社会に受け入れられるクオリティかという、パス度の格付けがつらそうだな。どっかのカーチャンという意味では完成度が高い助走になりそうだが、結局は年相応のゴージャスなマダムにならなければ受け入れられないだろう。
それならSMバーは。あぁ、その趣味はない、心の底から胸くそ悪い。
あぁ、逃げ場がない。性の捌け口がない。最近、自慰がつまらない。追い詰められている。お金があっても、風俗は行きたくない。こんな醜い僕が、相手がいなくて風俗に駆け込むなんて、あまりにもイカニモで惨めにもほどがある。
まさかこんな事でこの言葉を使う日が来るとは思わなかった。
生きてるのがツラい。
まさか、そういやまわりに巨根自慢が多いよなってことだけに傷つくなんて、僕は余程の馬鹿なんだろう。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。


ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。


蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる