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夢日記
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学校の研修。
メンバーは現実での職場の人間が多い。
海の家だけど裏山がある、島ではないところ。
集落のあちこちが渡り廊下で繋がっている。
コンクリートで、土地に堤防をつくって回った結果らしい。
むかしむかし、土地が緩くなることがおおくて、いまの地面も堤防も上に盛り上げている。
結果的に、見た目は平屋で地下に何階もある町ができた。
らしい。
なんだかんだで行動を共にした、というわけでもなく節目節目で顔をあわせる君はとても親切な人だった。人が多ければ、背中にぴたりとくっついて押し流されないようにしてくれていた。
どういう関係性だったのだろうか。
なんとなく夫婦のような何かがあったが、どうしてそんな夢を見て、その配役が君なのか。
あたたかい。
すべて、こうだったらいいのに。
夢の中の君は、ぼくのよく知ってた人が「キスをしようと、タイミングを真剣にはかっているとき」に放つ独特の気配をしていた。結局しなかったが、目が覚めるとした感触があった。
ビデオを流しっぱなしでテレビに切り替えてからビデオの電源を切る感じの、目の覚めかただと思う。
さて。
次の日の夢。
線路に別れて移動しないといけないのに、集団行動がうまくいかない。何人のれば勝手に載せれば動きます、という魔法のトロッコを手で引きながらメンバーを回収しなければならないと。
そうこうしていると、何十年も前に引っ越した街の踏み込んではならない路地裏にいて、きがつけば鍵つきの赤い自転車を盗んで走っていた。はやくもとのところに戻らなければという一心で。だから自転車は路地裏の街からおもてにでたところに乗り捨てるつもりだった。そして、そうした。
車が通っているわけではないが、歩道どころか道路も見えているのに歩けない呪いがあちこちにかかっていた。引っ越した理由でもある。住むのに不便だ。だが住民もしたたかで、建物のなかには呪いが干渉しない(というより「道」に反応する)ことに気がつくと、道沿いの商店はテンポが壁を共有しているのをいいことに、壁に穴を開けて繋げた。道という概念を呪いがわが受け取らないように、家具の配置に配慮して出入口周辺が通路のような細さを持たないようにした。
しかたなくはいったところは、友人のバーだった。バーのはずなのに、シャンプー台がおかれていて、ワイン風呂ならぬワイントリートメントでも始めたのだろうかと首をかしげた。時の流れがおかしいので、数十年前の姿で未来のカレンダーを売っている。
巨大な寺院にいた。
散らかしているのではなく「意味があって」幾つかの柱の影に配置されているであろう木像を、私の後ろからきた観光客のゆるふわ女子が「散らかしてるのをそのままにしたらいけまちぇんよねー」と子供をあやす口調で木造に語りかけながら、集めていく。まんなかの(よそでいうご本尊)に集めていく。これは祀られているのではなく封じられてるんだよな、ヒヤリとする。
この空間で、正しい順序で行動しないだけで呪いを受かるかもしれないところでよくやるなと思う。いつから、どこから、パワースポットだのスピリチュアルだのいわれだしたのか、この場所が。ものの場所を変えられたら、何が起きるかわからない。はやく逃げ出したいところを、順序をくずさないように(まわらないといけない順路を)ぐるりと回って駆け出した。
観光客のゆるふわ一人で呪われてください、封印が解放されたら、この山といわず世界はどうなってしまうんだ。
その焦りもありつつも「すみずみまでめぐる」ルールがあるために、半地下のお土産屋のようなものに入る。壁にアイヌの模様がある。お土産屋にはいると、カウンターの向こうで若い女性が背の高い男性を指導している。知的障害があるかたの就労施設からきたそうで、レジはないので案内カウンターらしい。店内を棚でM字に区切ってある。その角角にカウンターがある…はずだった。お土産を見て進んでいたのに。
「先にメニューを決めてお支払されてから進んでください!」
Mの切れ目、その先にいくつもりはないのだが、Mの二つ目の角のレジをつつかしたのがまずかったそうだ。無線飲食や万引きを捕まえるかのように言われ、とても不快な思いをした。
出ていこうとすると、廊下に物を広げ、て白人観光客二人と日本人スタッフが腹這いになって工作をしていた。ガラス容器にキラキラの砂上のものを入れて、土はないのにサボテンをつっこむアートだ。
「通してください」
店を出たいのに邪魔だ。避けようという意識のない、ナニコノヒトといいたげな視線に腹立たしくもあり、これが「ふつうのひと」の世界なのだなと孤独な気持ちになって店を出ようとする。アイヌの壁がなくなっていて、等身大の人形をおいたギャラリーになっていたが通過した。
通過したはずなのに、なかにいた。記念館のようなものらしい。
そこは崖の上の、ネットで有名な極寒アイスショップだった。かつては緑豊かで爽やかなショップとして建てたはずが、なぜか常に薄明かりしかない冬の世界になった。それを「これをみればわか」とスライドショーされていたが、よくわからない。
もう帰ります。
通り抜けると、廃墟となったモールを買い取った現実の職場だった。日本語を話せる外国人の研修が終わり、赤い自転車の持ち主の同居人がいたので状況を説明して謝罪した。
何ヵ月も前に引き抜かれたはずの直属の上長が奥から出てきて、私の書いている広告ラフをのぞきこんできた。「いいねそれ、最高」と笑ったあと時計を見てバタバタと身支度を始めた。これから送別会だという。きいてないよ、とおもったが、上長にふさわし正しく美しい社会人だけがいくんだろうなと作業を続けた。
途中から、別の席にいく。もう休暇なのに、今の直属の上司が「いや、やってもらわなきゃ」とホラー映画のテーマ曲をテクノアレンジにしたニコニコ動画を壁に上映しながら、なにかの作業を与えてきた。なにをやっても材料が足りずに進まない。帰りたいなという気持ちで満ちる。
セットもあるけど、単品でしょ。
という、誰かが現実世界でおこなう会話で目が覚めた。
いかにも普通の人生と、突き抜けてるという意味ではなく悪い意味で規格に満たない自分の人生。なかなかつらい。
メンバーは現実での職場の人間が多い。
海の家だけど裏山がある、島ではないところ。
集落のあちこちが渡り廊下で繋がっている。
コンクリートで、土地に堤防をつくって回った結果らしい。
むかしむかし、土地が緩くなることがおおくて、いまの地面も堤防も上に盛り上げている。
結果的に、見た目は平屋で地下に何階もある町ができた。
らしい。
なんだかんだで行動を共にした、というわけでもなく節目節目で顔をあわせる君はとても親切な人だった。人が多ければ、背中にぴたりとくっついて押し流されないようにしてくれていた。
どういう関係性だったのだろうか。
なんとなく夫婦のような何かがあったが、どうしてそんな夢を見て、その配役が君なのか。
あたたかい。
すべて、こうだったらいいのに。
夢の中の君は、ぼくのよく知ってた人が「キスをしようと、タイミングを真剣にはかっているとき」に放つ独特の気配をしていた。結局しなかったが、目が覚めるとした感触があった。
ビデオを流しっぱなしでテレビに切り替えてからビデオの電源を切る感じの、目の覚めかただと思う。
さて。
次の日の夢。
線路に別れて移動しないといけないのに、集団行動がうまくいかない。何人のれば勝手に載せれば動きます、という魔法のトロッコを手で引きながらメンバーを回収しなければならないと。
そうこうしていると、何十年も前に引っ越した街の踏み込んではならない路地裏にいて、きがつけば鍵つきの赤い自転車を盗んで走っていた。はやくもとのところに戻らなければという一心で。だから自転車は路地裏の街からおもてにでたところに乗り捨てるつもりだった。そして、そうした。
車が通っているわけではないが、歩道どころか道路も見えているのに歩けない呪いがあちこちにかかっていた。引っ越した理由でもある。住むのに不便だ。だが住民もしたたかで、建物のなかには呪いが干渉しない(というより「道」に反応する)ことに気がつくと、道沿いの商店はテンポが壁を共有しているのをいいことに、壁に穴を開けて繋げた。道という概念を呪いがわが受け取らないように、家具の配置に配慮して出入口周辺が通路のような細さを持たないようにした。
しかたなくはいったところは、友人のバーだった。バーのはずなのに、シャンプー台がおかれていて、ワイン風呂ならぬワイントリートメントでも始めたのだろうかと首をかしげた。時の流れがおかしいので、数十年前の姿で未来のカレンダーを売っている。
巨大な寺院にいた。
散らかしているのではなく「意味があって」幾つかの柱の影に配置されているであろう木像を、私の後ろからきた観光客のゆるふわ女子が「散らかしてるのをそのままにしたらいけまちぇんよねー」と子供をあやす口調で木造に語りかけながら、集めていく。まんなかの(よそでいうご本尊)に集めていく。これは祀られているのではなく封じられてるんだよな、ヒヤリとする。
この空間で、正しい順序で行動しないだけで呪いを受かるかもしれないところでよくやるなと思う。いつから、どこから、パワースポットだのスピリチュアルだのいわれだしたのか、この場所が。ものの場所を変えられたら、何が起きるかわからない。はやく逃げ出したいところを、順序をくずさないように(まわらないといけない順路を)ぐるりと回って駆け出した。
観光客のゆるふわ一人で呪われてください、封印が解放されたら、この山といわず世界はどうなってしまうんだ。
その焦りもありつつも「すみずみまでめぐる」ルールがあるために、半地下のお土産屋のようなものに入る。壁にアイヌの模様がある。お土産屋にはいると、カウンターの向こうで若い女性が背の高い男性を指導している。知的障害があるかたの就労施設からきたそうで、レジはないので案内カウンターらしい。店内を棚でM字に区切ってある。その角角にカウンターがある…はずだった。お土産を見て進んでいたのに。
「先にメニューを決めてお支払されてから進んでください!」
Mの切れ目、その先にいくつもりはないのだが、Mの二つ目の角のレジをつつかしたのがまずかったそうだ。無線飲食や万引きを捕まえるかのように言われ、とても不快な思いをした。
出ていこうとすると、廊下に物を広げ、て白人観光客二人と日本人スタッフが腹這いになって工作をしていた。ガラス容器にキラキラの砂上のものを入れて、土はないのにサボテンをつっこむアートだ。
「通してください」
店を出たいのに邪魔だ。避けようという意識のない、ナニコノヒトといいたげな視線に腹立たしくもあり、これが「ふつうのひと」の世界なのだなと孤独な気持ちになって店を出ようとする。アイヌの壁がなくなっていて、等身大の人形をおいたギャラリーになっていたが通過した。
通過したはずなのに、なかにいた。記念館のようなものらしい。
そこは崖の上の、ネットで有名な極寒アイスショップだった。かつては緑豊かで爽やかなショップとして建てたはずが、なぜか常に薄明かりしかない冬の世界になった。それを「これをみればわか」とスライドショーされていたが、よくわからない。
もう帰ります。
通り抜けると、廃墟となったモールを買い取った現実の職場だった。日本語を話せる外国人の研修が終わり、赤い自転車の持ち主の同居人がいたので状況を説明して謝罪した。
何ヵ月も前に引き抜かれたはずの直属の上長が奥から出てきて、私の書いている広告ラフをのぞきこんできた。「いいねそれ、最高」と笑ったあと時計を見てバタバタと身支度を始めた。これから送別会だという。きいてないよ、とおもったが、上長にふさわし正しく美しい社会人だけがいくんだろうなと作業を続けた。
途中から、別の席にいく。もう休暇なのに、今の直属の上司が「いや、やってもらわなきゃ」とホラー映画のテーマ曲をテクノアレンジにしたニコニコ動画を壁に上映しながら、なにかの作業を与えてきた。なにをやっても材料が足りずに進まない。帰りたいなという気持ちで満ちる。
セットもあるけど、単品でしょ。
という、誰かが現実世界でおこなう会話で目が覚めた。
いかにも普通の人生と、突き抜けてるという意味ではなく悪い意味で規格に満たない自分の人生。なかなかつらい。
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