迷える子羊少年と自称王様少年

ユー

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子羊少年と王様少年

59.戻ってきた日常

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「しかし子羊くんよ!
君たちのやり取りを見守らせて貰っていて思ったのだが、…昨日のオレの言葉はあれほど君の胸に強く響き、とても感銘を受けてくれていたのだなぁ!!
まさか二人との仲直りにオレの言葉を使ってくれるとは!
王たるオレの放つ言葉はそれほど素晴らしいもので、そしてその言葉を参考にしてくれるほど君はオレを尊敬してくれているのだな!!
あぁ嬉しいなぁ、嬉しいなぁ!!」

「え!?あ、いや、それは、その…」
「え?もしかして受け売りとか教えて貰ったとか言ってたのって、あれはフウマくんの事だったんっすか?」
「ああ!昨日オレと子羊くんが仲直りした時にな!!
でももちろんそのまま同じじゃなくて、彼自身の言葉にきちんと直してくれていたがな!」
「あぁ…うぅ…。」

 ボク達が仲直りの円陣を終えると、フウマが話題を転換させるかの様なそんな発言をし出した。
いや、気まずい雰囲気を引き摺りたくもないし、フウマのこんな風に空気を変えてくれる所は助かりはするのだけど…。
で、でもボクの言葉がモロ昨日のフウマの発言を参考にしていた事もバラされちゃった…!?

 どうしよう…これ大丈夫…?
ボクなりに真剣にやったつもりだったけど、仲直りの言葉をパクってくる様な誠意がないやつだって思われちゃうかな…!?

「その、ち、違うんだよ!
言葉が思い付かないからパクっちゃえとか、そういうんじゃなくてね!
あの、本当に二人にあんな悲しい顔させているのが嫌で、それで昨日フウマに掛けて貰って嬉しかった言葉を思い出して、二人もボクと同じ様な気持ちなのだとしたら、ボクがして貰ったように二人にもしてあげたいって!
…そう思ったからそういう言葉を選んだだけで。
だからけして、真剣に言ってないとか、誠意がないとか思われちゃうかも知れないけど、本当にそういうんじゃなくて!!」

「…大丈夫だよ…ソウジくん…。
ソウジくんが…心を込めて口にしてくれてた事…ぼく達にもきちんと…伝わっていたから…。」
「そうっす、そうっす!
ソウジくんの真剣な気持ちはちゃんと自分達もわかってるっすよ!
むしろ言われて嬉しかった事を自分達にもしたいって思ったなんて聞いたら、自分ももっと嬉しくなってしまったっす!」

「そ、そう…。それなら良かった…。」

 ボクのテンパりつつの必死の弁明に、ココロとクウガは安心させる様に優しく否定の言葉を投げてくれた。
その言葉にボクの気持ちは漸く落ち着き、胸がとても安らいでいた。
とりあえず誤解されてなくて本当良かった…!

 だけど、クウガの目がなぜかとてもキラキラと輝いて、何か話したそうにソワソワしてだして、だからそんな事より聞きたいことがあるっす!と言葉が続いていった。

 今度はなに…!?

「さっきのソウジくんの大好きで大切な友達ってやつ、あれもフウマくんからの言葉っすか!?」
「…は!?」
「いやあれはオレ関係なく完全に子羊くん自身の言葉だぞ。」
「ちょ…!」
「あっやっぱりそうなんすね!
あぁまさかソウジくんが自分達の事そんな風に思っていただなんて!」
「え、あ、ダメだった…!?違った…?」
「そんな事ないっす!
むしろその逆、自分その言葉が滅茶苦茶嬉しくて!!」

 なんだか思わぬ所から攻撃を食らってしまった。

「ソウジくんも自分と同じ気持ちだったんすね!
ソウジくんは照れ屋だからと分かりつつも、やっぱりそういう好きの気持ちを言葉に中々してくれないから、不安ではあったんで凄く嬉しいっす!」
「いや、それはごめんだけど…。
でもボクも、ボクばっかりがそういう気持なだけで本当にそうなのかなとか、本当にその言葉で合ってるのかと不安だったというか…。」
「自分は前からずっとソウジくんの事マブダチとかベストフレンドとか言ってたじゃないっすか!!
はぁ~ソウジくんがまさか自分達の事そこまで愛してくれているだなんて!!」
「いやよく考えたらそうだったけど…って愛してるって…恥ずかしいから!」
「大好きな友達・大好きな友達・大好きな友達!
ああもうこれはベストフレンドフォーエバーってやつっすね!」
「ちょっと…連呼するのやめて!!」

 ボクがクウガの発言に困惑しまくっていると、そこに更にココロまで加わってきた。

「ぼくも…ソウジくんが…大好きな友達って言ってくれて…凄く嬉しかったなぁ…。」
「ココロまで!ちょっと本当に恥ずかしいからぁ…。」
「ソウジくんは…ボク達と友達なの…恥ずかしい…?
やっぱり…一緒にいるの嫌…?」
「いや、そういんじゃなくて!!」

 二人の言葉によってボクの顔は羞恥から、すっかり真っ赤になってしまっていた。
というか気付けばボクはいつもの様に弄られ倒されてしまっている…?

 おかしい。
これはおかしい。
いや気まずい雰囲気をいつまでも引き摺っていたいわけではないし、仲直りして元の関係に戻ると言ったんだがらこれが正しいのかも知れないけれど、仲直りした直後なのに、あまりにも平常運転過ぎない…!?
フウマの時もそうだったけど、あんな事があってしんみりしていた空気が、こんなにも直ぐに元のノリに戻れてしまうものなの…?
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