迷える子羊少年と自称王様少年

ユー

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子羊少年と王様少年

56.大好きだから!

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「都築くん、一応確認でもう一度聞くけど、本当に暴風魔…いや皇とは自分の意思で一緒にいるんだよな?
無理矢理付き合されてたりする訳じゃないんだよな?」
「え?」

 ボクと副委員長の二人で会話が進んでいると、委員長がいきなりそんな言葉を問いかけて来た。


「ちょっとあんた!昨日あれだけ助けて貰って置いてまだそんな事言ってんの!
それに都築くんと彼が仲良しな事なんて見てれば分かったでしょ!」
「うるさいな!
だから一応の確認だって言ってるだろう!
た、確かに俺は不覚にも昨日アイツに助けて貰ってしまったし、
ま、まぁ能力者が迷惑者の悪人だけじゃなくて、人を助ける為に力を使う奴もいるって認識を少しは改めてやっても…ま、まぁいいかも知れない!


でもまだ俺はアイツの事を完全に認めてやった訳じゃないからな!!」

 委員長の言葉は更に続いていった。

「昨日の今日ですっぱり能力者への印象全てを塗り替えてしまえる程、それは俺の中では簡単な問題じゃなくてさ…。
やっぱり俺は能力者はまだ苦手だ。

そ、それに考えたんだが、アイツは能力とか関係ない所でもおかしい所多いだろう!?
なんだよ自分の事王だとか、人を家来にしてやると付きまとうとか、人の話を全く聞かない上に直ぐ自分褒め話に繋げるし、能力者以前の問題でアイツは大概ヤバい奴だとも思うから!
だから本当に都築くんが望んで一緒にいるのか、ちゃんと都築くん自身の言葉でもう一度確認して置きたくてさ…。」

 委員長の認識を改まる様な出来事があっても、だからといって直ぐそう簡単に割り切れる事が出来ないという気持ちは、ボクにもよく分かるものだったし。
それにま、まぁ…フウマが能力者以前の問題として大概な変人だという認識も、まぁもっともでもあるなぁとも納得もしてしまった。

 それから、この問いはボクにとってとても重要な意味を持つ、きちんと真剣に答えなきゃいけないものだと同時に思った。
ボクは一度フウマ達と上手く向き合う事が出来ずに逃げてしまった。
それでも今は怖くてもきちんと向き合ってフウマと、そして皆と一緒にいたいと思う。
その決意をボクにとって、もうひとつの居場所になっている大切な人達へときちんと言葉にして伝えたいと、そう思った。


「確かにあ…あいつは能力関係なく大分変な人だってボクもいつも思うよ。
でもそれ以上に良いところも一杯知ってるから、だから。
だから大丈夫だよ。
ボクはちゃんと、自分の意思で一緒にいたいと思っているから一緒にいるんだ。」

 だって。


「だってあいつと一緒にいるのが心地よくて、楽しくて、何より、

…だ、大好きだから!!!!」



そんな風に気持ちが溢れ過ぎて、ボクは叫ぶ様に答えてしまった。
でもこれは紛れもないボクの本心だ。


「そ…そっか…。
そ、それなら…べ、別にいいんだが…。」
「そ…そこまで都築くんが…お、思ってるなら…安心だね……。」

 ボクの言葉に委員長達二人は顔を真っ赤にして、口ごもる様に返事をしていた。
そこでボクはやっと気付いた。

 え…?
ボク完全に無意識に滅茶苦茶恥ずかしい事口走っちゃってなかった…!?
 
 誰かを好きな気持ちを大声で叫ぶ様に言うだなんて、客観的に考えたら滅茶苦茶恥ずかしい行為をしていた事にボクは気付いた。
それによく考えたらボク自分のクラスの教室でこんな大きな声出したの初めてじゃないか…?
これ絶対委員長達以外にも聞こえてただろうし、本当にボクは飛んでもないことを仕出かしてしまってない…?

 うわぁ~何言っちゃってんだよボクは!!
自覚したら本当恥ずかし過ぎるって…!

 ボクの顔も一気に羞恥の赤で染まっていった。

「あ、あの大好きっていうのは、へ、変な意味じゃなくて…!
いやちゃんと本心なんだけど…思いが溢れ過ぎてしまっただけというか…!」
「だ、大丈夫だよ都築くん…ちゃんと君の気持ちは伝わったから…。」
「いや、本当に伝わってる!?
あの好きっていうのもあいつの事だけじゃなくて、昨日話した他の二人も含めた皆がって意味であってね…!!」
「都築くん大丈夫…。
わ、私達ちゃんと都築くんの気持ち理解してるからね…。 」
「いや絶対ちゃんと理解してないって!
絶対何か勘違いしちゃってるって!
本当に違うったら…!!」

そこから暫くは、ボクの大好き発言に顔を真っ赤にする二人に対して、ボクがテンパりつつも必死でその発言を弁明する時間が暫く続いていた。
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