50 / 64
子羊少年と王様少年
49.王が王になる前の話
しおりを挟む
それからまた暫くの時が経ち、ボクがフウマを王と呼び続けてそれにフウマがひたすら喜ぶという謎のやり取りも漸く落ち着いて来たので、今度はボクからフウマへと話したいと思った話題を振って見る事にした。
「ね、ねぇ次はボクが聞きたい事を聞いて見てもいい?
ちょっと気になる事があって…。」
「あぁ!さっきまでオレが話したい話題をずっと続けてしまっていたからな。
君のしたい話に移っても全然構わないぞ!
しかしオレに聞きたい事って…っは!もしや今度こそオレの素晴らしさの秘訣について知りたく
「違ーう!!
その手の話題は本当にいいって何度も言ってるでしょ!!」
「なんだ、違うのか…。」
もう!
本当にフウマには話の腰を折られてしまいがちだな。
……でもこの手のやり取り、最早懐かしくも感じて、同時にまたそれが出来る嬉しさを覚えてたりもするんだよなぁ…。
「えっと、ボクを家来に勧誘してたのって本当にボクが能力者だってだけなのかなって思って、聞きたくなったんだ。」
「え!?な、なんでそんな事思ったんだ!?」
「さっきの不良達とのやり取りで、一緒に活動して見ないかって勧誘していたよね?
でも相手が応じなかったら無理に迫ろうとはしてなかったから。
前にボクの事を一緒に接する様になってどんどん知っていったって言ってくれたよね?
ま、まぁそれは…嬉しかった…けど…、でも出会った当初のボクは勧誘に対して強い拒否感しか示していなかったし。
き、君はまぁ大分強引だし、お節介焼きだけど、嫌ってる人に無理やり迫る程ではないと、あの時は初対面だから分からなかったけど、今なら思うし。
だから何かあるのかなって。」
「あ、いや、それは、その、あの、えっと…」
それは不良達とフウマのやり取りを聞いていて生まれたちょっとした疑念の様なもの。
はっきりとした確証があるような類のものという程じゃないけれど、委員長共さっき似たような話をしていたのもあってフウマに聞いて見たくなった。
それにボクがフウマ達と仲良くなったきっかけは同じ能力者だからで、いや別に出会いがそうだとしてもそこから能力以外のお互いの事を知っていけたんだから、別に良いは良いのだけれど…。
でもやっぱり最初は、皆にとってボクって能力しか価値なかったのかなって考えたら、ちょっとぴり寂しくはなるから…。
もしそれ以外でも何かしら理由があるかも知れないなら、確かめたくなってしまって。
ボクのその質問にフウマはあわあわと酷く狼狽している様な様子だった。
いつも必要以上な位常に堂々としてるフウマがこんなに困惑してる様は凄く珍しい。
というかこんなの今までボクが泣いてしまった時くらいじゃないか?
だから多分何かあるのは間違いないのだろうけど、そんな話しづらいような内容なのかな…?
「あの、聞いちゃいけない様なことだった…?」
「いやそういうわけじゃないが、ないんだが…。」
「えっとでも話し難いことなら無理にってわけじゃ…」
「む、無理ではない!
王たるオレの辞書に無理などという2文字はない!
た、ただ…」
「ただ?」
「…ちょっと恥ずかし…いや何でもない、オレは何も言ってないぞ!!
はぁー…いや、この手の話は王たるオレとして語るには憚られる、あまり王らしくない話だと思うから出来るなら誰にも話したくなかったのだが。
だが、そうだな!
君はオレ達に自身の過去を、けして口にするのは簡単じゃなかった痛みを伴った話を打ち明けてくれたんだ。
それなのに王であるオレが言いたくないから、話さないだなんて、そっちの方がよっぽど王として相応しくない行いだったな!
分かった、オレも君に全てを打ち明けるとしようっ!」
「は、はぁ…。」
何かフウマは勝手に一人で納得してしまっている様だけれど、ボクはフウマが何を言ってるのか全然ピンとこなかった。
「いや君の問いへの回答は、オレの過去が関係してくる事なんだ。
だから今から君へオレの過去を語る事にしたんだ。」
「過去?」
「あぁ。で、でもあくまで過去の事だぞ!
今や立派で偉大な王であるこのオレが、あくまでもまだ王になる前の幼い頃の話だっ!
か、勘違いしないでくれよ!
過去の話であって今のオレは素晴らしき王だからな、子羊くん分かったか!?」
「わ、分かったから、分かったからっ!!
そんな念を押さなくても大丈夫だよっ!
あくまで過去の話ね!」
「分かってくれるならいい!
それだけはちゃんと念頭に置いておいてくれよっ!
はぁあ…。こんな話ココロやクウガにだってしたことなかったのになぁ…。」
ボクのした質問への回答は、どうやらフウマにとってとても話し難い事にも繋がる事なようで、こんなテンパっているフウマの姿なんて初めて見るし、凄く申し訳なくなってくるけれど。
それでも、それ以上にあのフウマの過去だなんて、とても興味を引かれる話だったし、それにボクより付き合いの長いココロやクウガにすらしていない話を、ボクに打ち明けてくれるという事に何だか優越感みたいなものも湧いてきて、フウマが語る言葉を聞くのがむしろより楽しみにもなってしまってもいた。
「これはまだオレが王になる前の幼い頃の話だ。
オレは能力者の中でも珍しいとされる、生まれながらに能力を持って生まれた子供だった――。」
「ね、ねぇ次はボクが聞きたい事を聞いて見てもいい?
ちょっと気になる事があって…。」
「あぁ!さっきまでオレが話したい話題をずっと続けてしまっていたからな。
君のしたい話に移っても全然構わないぞ!
しかしオレに聞きたい事って…っは!もしや今度こそオレの素晴らしさの秘訣について知りたく
「違ーう!!
その手の話題は本当にいいって何度も言ってるでしょ!!」
「なんだ、違うのか…。」
もう!
本当にフウマには話の腰を折られてしまいがちだな。
……でもこの手のやり取り、最早懐かしくも感じて、同時にまたそれが出来る嬉しさを覚えてたりもするんだよなぁ…。
「えっと、ボクを家来に勧誘してたのって本当にボクが能力者だってだけなのかなって思って、聞きたくなったんだ。」
「え!?な、なんでそんな事思ったんだ!?」
「さっきの不良達とのやり取りで、一緒に活動して見ないかって勧誘していたよね?
でも相手が応じなかったら無理に迫ろうとはしてなかったから。
前にボクの事を一緒に接する様になってどんどん知っていったって言ってくれたよね?
ま、まぁそれは…嬉しかった…けど…、でも出会った当初のボクは勧誘に対して強い拒否感しか示していなかったし。
き、君はまぁ大分強引だし、お節介焼きだけど、嫌ってる人に無理やり迫る程ではないと、あの時は初対面だから分からなかったけど、今なら思うし。
だから何かあるのかなって。」
「あ、いや、それは、その、あの、えっと…」
それは不良達とフウマのやり取りを聞いていて生まれたちょっとした疑念の様なもの。
はっきりとした確証があるような類のものという程じゃないけれど、委員長共さっき似たような話をしていたのもあってフウマに聞いて見たくなった。
それにボクがフウマ達と仲良くなったきっかけは同じ能力者だからで、いや別に出会いがそうだとしてもそこから能力以外のお互いの事を知っていけたんだから、別に良いは良いのだけれど…。
でもやっぱり最初は、皆にとってボクって能力しか価値なかったのかなって考えたら、ちょっとぴり寂しくはなるから…。
もしそれ以外でも何かしら理由があるかも知れないなら、確かめたくなってしまって。
ボクのその質問にフウマはあわあわと酷く狼狽している様な様子だった。
いつも必要以上な位常に堂々としてるフウマがこんなに困惑してる様は凄く珍しい。
というかこんなの今までボクが泣いてしまった時くらいじゃないか?
だから多分何かあるのは間違いないのだろうけど、そんな話しづらいような内容なのかな…?
「あの、聞いちゃいけない様なことだった…?」
「いやそういうわけじゃないが、ないんだが…。」
「えっとでも話し難いことなら無理にってわけじゃ…」
「む、無理ではない!
王たるオレの辞書に無理などという2文字はない!
た、ただ…」
「ただ?」
「…ちょっと恥ずかし…いや何でもない、オレは何も言ってないぞ!!
はぁー…いや、この手の話は王たるオレとして語るには憚られる、あまり王らしくない話だと思うから出来るなら誰にも話したくなかったのだが。
だが、そうだな!
君はオレ達に自身の過去を、けして口にするのは簡単じゃなかった痛みを伴った話を打ち明けてくれたんだ。
それなのに王であるオレが言いたくないから、話さないだなんて、そっちの方がよっぽど王として相応しくない行いだったな!
分かった、オレも君に全てを打ち明けるとしようっ!」
「は、はぁ…。」
何かフウマは勝手に一人で納得してしまっている様だけれど、ボクはフウマが何を言ってるのか全然ピンとこなかった。
「いや君の問いへの回答は、オレの過去が関係してくる事なんだ。
だから今から君へオレの過去を語る事にしたんだ。」
「過去?」
「あぁ。で、でもあくまで過去の事だぞ!
今や立派で偉大な王であるこのオレが、あくまでもまだ王になる前の幼い頃の話だっ!
か、勘違いしないでくれよ!
過去の話であって今のオレは素晴らしき王だからな、子羊くん分かったか!?」
「わ、分かったから、分かったからっ!!
そんな念を押さなくても大丈夫だよっ!
あくまで過去の話ね!」
「分かってくれるならいい!
それだけはちゃんと念頭に置いておいてくれよっ!
はぁあ…。こんな話ココロやクウガにだってしたことなかったのになぁ…。」
ボクのした質問への回答は、どうやらフウマにとってとても話し難い事にも繋がる事なようで、こんなテンパっているフウマの姿なんて初めて見るし、凄く申し訳なくなってくるけれど。
それでも、それ以上にあのフウマの過去だなんて、とても興味を引かれる話だったし、それにボクより付き合いの長いココロやクウガにすらしていない話を、ボクに打ち明けてくれるという事に何だか優越感みたいなものも湧いてきて、フウマが語る言葉を聞くのがむしろより楽しみにもなってしまってもいた。
「これはまだオレが王になる前の幼い頃の話だ。
オレは能力者の中でも珍しいとされる、生まれながらに能力を持って生まれた子供だった――。」
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説

王様は知らない
イケのタコ
BL
他のサイトに載せていた、2018年の作品となります
性格悪な男子高生が俺様先輩に振り回される。
裏庭で昼ご飯を食べようとしていた弟切(主人公)は、ベンチで誰かが寝ているのを発見し、気まぐれで近づいてみると学校の有名人、王様に出会ってしまう。
その偶然の出会いが波乱を巻き起こす。

王道にはしたくないので
八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉
幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。
これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。
学園の天使は今日も嘘を吐く
まっちゃ
BL
「僕って何で生きてるんだろ、、、?」
家族に幼い頃からずっと暴言を言われ続け自己肯定感が低くなってしまい、生きる希望も持たなくなってしまった水無瀬瑠依(みなせるい)。高校生になり、全寮制の学園に入ると生徒会の会計になったが家族に暴言を言われたのがトラウマになっており素の自分を出すのが怖くなってしまい、嘘を吐くようになる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿です。文がおかしいところが多々あると思いますが温かい目で見てくれると嬉しいです。

僕はお別れしたつもりでした
まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!!
親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
大晦日あたりに出そうと思ったお話です。

初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
どうしょういむ
田原摩耶
BL
苦手な性格正反対の難あり双子の幼馴染と一週間ひとつ屋根の下で過ごす羽目になる受けの話。
穏やか優男風過保護双子の兄+粗暴口悪サディスト遊び人双子の弟×内弁慶いじめられっ子体質の卑屈平凡受け←親友攻め
学生/執着攻め/三角関係/幼馴染/親友攻め/受けが可哀想な目に遭いがち
美甘遠(みかもとおい)
受け。幼い頃から双子たちに玩具にされてきたため、双子が嫌い。でも逆らえないので渋々言うこと聞いてる。内弁慶。
慈光宋都(じこうさんと)
双子の弟。いい加減で大雑把で自己中で乱暴者。美甘のことは可愛がってるつもりだが雑。
慈光燕斗(じこうえんと)
双子の兄。優しくて穏やかだが性格が捩れてる。美甘に甘いようで甘くない。
君完(きみさだ)
通称サダ。同じ中学校。高校にあがってから美甘と仲良くなった親友。美甘に同情してる。
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる