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子羊少年と王様少年
29.思わぬ遭遇
しおりを挟むとにかく無我夢中で逃げるように公園から走り続けて暫くの時間が経ち、走る事による疲れもあってか頭も冷えてきて、ボクはふと気付いた。
あれ…? そういえばここってどこだ……?
というかボクどうやってここから家まで帰るんだ……?
ボクの今目の前に広がる景色は、ボクが一度も来たこともなければ見たこともない、知らない場所だった。
よく考えたらそれは当たり前の話で、只でさえ今日は今ボクが住んでいる地域から電車を乗り継いで遠い所まで来ていて、そこからクウガのテレポートで当然ボクが初めて行った公園まで移動した。
そして更にボクはその公園から一心不乱で、それこそ走る最中に見えている景色なんて確認する余裕なんてなく、只々走り抜いて今ここにいるわけで。
だから本当にボクは今全く知らない地にいる…。
え?本当にここどこ?
ボクって今もしかして…迷子…?
あれ?これボク…大丈夫…?
もっというと、放課後にどこでどんな活動をするかっていう事は完全にフウマ達で決めていてボクは一切関わってなかったし、自ずとその場所までの移動経路とかもボクは完全にフウマ達へ頼りきりになっていた。
正直どの駅で降りたとか、どうやって電車を乗り継いで来たとかもはっきり覚えていない。
あれ、これ詰んでない?
ど、ど、ど、ど、ど、ど、どうしようこれ!?
本当これヤバいやつじゃん!?
この状況…どうすれば、どうすればいいの!?
ボクは実はさっきとは別の意味で今危機的状況にいる事に今更気付き、パニックに陥っていた。
そしてさっきまでの出来事も半ば放り投げて、必死で打開策を考える。
ど、どうしよう!?
とりあえず一端公園に戻って…皆に帰り道を…ってダメダメっ!
あんな事があった直後に、しかも二度と会わないとまで言っちゃってたのに迷子になったから道を聞きに戻るって色々台無しすぎるし、最低すぎるし恥ずかし過ぎるよっ!
なしなし!
……でもそれしか方法ないならもうそうするしか…。
……いや?
よく考えたらそもそも知らない場所なのに本当に一切周囲とか気にせずここまで走って来ちゃったから、ボク公園までどうやって戻ればいいかももうわからなくない…?
あぁ…そもそも無理でした…!!
まず最初に思い付いた案が無理だった事に気付いてから、パニックの中暫く考えボクはある妙案を思い付いた 。
というかこれ普通の人だったら真っ先に思い浮かぶやつだ…!
そう、こういうピンチな状況の時こそ活躍するのが現代の叡智の結晶じゃないか!
超能力なんかよりもよっぽど人のお役に立ってる文明の利器、それを活用すれば良かったんだ!!
そんな風に思い立ったボクはポケットからケータイを取り出した。
そしてそこから指で画面を操作しながら、アプリを立ち上げた。
そう。
ケータイの地図機能を使えば良かったんだとボクは気付いた。
なんだ冷静に考えたら、こんな直ぐ解決できる簡単な問題だったんだ!
これで一安心!
とアプリを開いた最初は思っていたけど…。
そこから直ぐにボクの思考は再び困惑に支配されていく。
あれ?
よく考えたらボクこのアプリ最初からデフォルトで入ってただけで一度も使ったことなくない…?
これどうやって使うんだろう~?
まずい、まずい、まずい!!
え、えーと確かまず経路を探すにはGPS機能をオンにするんだっけ?
ど、どうやって!?
あれこれ地図ってどうやって見るんだ…!?
どこに何を入力したらいいんだ…!?
も、もう!やるの初めてだから全然使い方わからない!!
例え状況を打開する手段を持っていたとしても、それを使いこなせなければ全く意味のない宝の持ち腐れってやつで…。
ボクの今までの人生は結構引きこもりがちだったし、そうじゃない時も周囲に怯えて無用な外出はあまりしたことがなかった。
だからこの手のアプリにも今まで一度もお世話になる機会がなかったんだ。
只でさえテンパりまくってるこの危機的状況の時に、一度も試したことがない事を土壇場でやるなんて事は全く上手くいくはずがなくて、
ボクの困惑と絶望はむしろアプリの存在に気づく前よりも増していた。
あぁもう…わからない!わからない!わからない!
地図のアプリの使い方ってこんな難しいの…?
もうこれもダメなら…本当におしまいだ…。
時間的にもうそろそろ日も暮れだして辺りも暗くなってくるだろうし、そしたら余計に道がわからなくなっていく。
もう本当どうすれば、どうすれば、どうすればいいの!?
ボクの混乱はピークに達してもう地べたに踞る程の勢いだった。
それ位ボクはもう困り果てていて。
だけど、そんな時にボクの前に思いもよらぬ人達が通りかかった。
「あれ?
あそこに座ってるのってもしかして…都築くんじゃない?」
「あ…本当だ、都築くんだ!
都築く~ん!こんな所で座り込んで一体どうしたんだ!?」
その二人は転校初日にボクに優しく声を掛けてくれて、その後も何かとボクを気に掛けてくれていて。
特にその内の一人は、ボクが困っている所をよく助けて貰っていて何かと心配を掛けてしまっていた人。
「あっ…委員長に、副委員長…!」
ボクの今のクラスの学級委員両人が、ボクの目の前に心配そうな顔で歩み寄って来てくれていた。
応援ありがとうございます!
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