11 / 64
子羊少年と王様少年
10.理想の世界
しおりを挟むそれからボクは毎日の様に放課後、フウマ達の王の政・・・もとい人助け活動を一緒に手伝う様になった。
ボク達はクウガのテレポートやバス・電車等を駆使して色んな場所に向かった。
基本的に遠出をして学区の外へ行くからか、同じ学校の人に出くわす事もなく、ボクが能力者の人達と一緒に出歩いてる事は学校では広まっていない様で、それは正直ありがたかった。
フウマ達から聞いた話によると、この人助け活動は能力者である事を話して地域で行われるボランティアに参加する事もあるけれど、
ネットを駆使して【超能力を使ってあなたの悩みを解決!】とか募集を掛けて、依頼をされた事をこなす事も多いみたいだ。
フウマ達の行う活動の内容は、ボクが初日に参加したような公園等の公共施設の清掃活動や、
ゴミ拾い、廃品回収といったボランティアと聞いて直ぐ思い浮かぶ様なものから、
祭りや行事ごとの手伝に、害虫駆除、工事や道の整備のお手伝いに、
クウガのテレポート能力を生かした人やモノの移動の補助、ココロのサイコメトリー能力を生かした落し物探し、
果てはもっと単純に、熱いからフウマに風を吹かせて欲しいとか、
ペットの考えてる事が知りたいからココロに教えて欲しいだとか、
クウガにテレポートで目的地にまで連れてって欲しい等々、内容は本当に多岐にわたる。
それを毎日、大きな内容の場合は1件・細々とした内容の場合は日に何件もまとめてこなして行く。
そういった活動の中で目撃する光景は、やっぱりボクが知らなかった世界のものだった。
例えばココロの力を使って、迷子になったペットを一緒に探した時の、飼い主さんとココロのやり取り。
「本当にありがとう。あなたのおかげでこの子と再会する事ができたよ。
抜け毛から探し当てるなんて本当に凄い力だね!」
「ぼくは…読み取っただけだから…。大したことは…してない…。
後はみんなと一緒に…だから…。でも何とか見つかって…良かった…。」
満面の笑みでお礼をいう飼い主さんにココロは謙遜しつつも頬が緩み、お互い笑い合っていた。
例えばクウガの力を使って、大人の女性の方の引っ越しのお手伝いをした時の、依頼主とクウガの会話。
「かなりの大荷物で女の私一人じゃ運ぶのが大変で困ってたから本当助かったわ。ありがとね!
テレポートって本当凄いわ。
でもこんなに助けてもらって本当にお代はいいの?」
「いえいえ、自分みたいな能力者の力を社会に役立てる場が貰えるってこと事態が、とてもありがたい事っすから!
……それに貴方みたいなとっても綺麗なお姉さんのお役に立てるなんて、男として冥利に尽きるってものっすよ?」
「まあ、クウガくんは人を煽てるのも上手なのね。
じゃあせめてお茶菓子だけでも食べていかない?」
「おおー!それはありがたく頂くっすーー!」
とやっぱりボクにはクウガの話し口は少しチャラく感じたりもするけれど、そんな風に談笑する二人はどちらも本当に楽しそうで…。
ボク達も一緒にお茶菓子をご馳走になった。
それからある公民館内の掃除中、フウマが風の力を使って物凄いスピードで館内中のゴミを一ヶ所に集めた時なんか、
「フウマくん達がいると掃除が普段の何倍も早く終わって本当助かってるよ。ありがとうね。
正直ね。フウマくん達と出会う前は超能力なんて怖いし関わりたくない何て思ってしまっていたんだけど、
フウマくん見たいな人を助ける為に使う様な子達だっているんだって考えを改められたし、本当に君達は立派だって思うよ。」
「ははっ!そうだろ、そうだろ!
素晴らしきオレの力を行使すればこんなの朝飯前だからな!
オレは偉大で立派な王を目指しているからな。それ位当然の事だ!!」
「でたよいつもの坊主の王様発言!
最初は面食らったけど本当面白いヤツだよな~。」
「面白いのか?
ふふっ、オレは何だってこなせる王だからな。笑いのセンスもあって当然だな!!」
「本当に君はずっと元気でいいなー!
こっちまで元気貰えるし、毎回すっごく喜ぶからこっちも褒めがいがあるってもんだよ。」
「そうか、そうか!
だったらもっとオレを褒めてくれ!もっと称えてくれ!」
フウマは清掃員の何人ものおじ様達に褒められたり撫でられたりしながら、揉みくちゃにされていた。
意外な事にフウマのあのノリは年上受けが良いみたいで、よく可愛がられるらしい。
力を使う事で人を助けて、沢山の人が笑っている 。
そしてその笑顔の中心にはフウマがいる。
その様子がなんだかとっても眩しかった。
超能力者が能力を使うことで人が喜んで、笑顔が生まれてお互いに笑い合っている。
そんな夢見たいな優しい世界。
こんな場所だってあったんだなぁ……。
それはボクが知らなかった世界であると同時に、心の奥底でずっと望んでいた理想の世界かも知れない……なんてそんな事を思った。
――人に嫌われるのを怖がって、縮こまり下しか見ていなかったボクなんかじゃ見つけられるはずも無かった、そんな世界だ。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説

王様は知らない
イケのタコ
BL
他のサイトに載せていた、2018年の作品となります
性格悪な男子高生が俺様先輩に振り回される。
裏庭で昼ご飯を食べようとしていた弟切(主人公)は、ベンチで誰かが寝ているのを発見し、気まぐれで近づいてみると学校の有名人、王様に出会ってしまう。
その偶然の出会いが波乱を巻き起こす。

王道にはしたくないので
八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉
幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。
これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。
学園の天使は今日も嘘を吐く
まっちゃ
BL
「僕って何で生きてるんだろ、、、?」
家族に幼い頃からずっと暴言を言われ続け自己肯定感が低くなってしまい、生きる希望も持たなくなってしまった水無瀬瑠依(みなせるい)。高校生になり、全寮制の学園に入ると生徒会の会計になったが家族に暴言を言われたのがトラウマになっており素の自分を出すのが怖くなってしまい、嘘を吐くようになる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿です。文がおかしいところが多々あると思いますが温かい目で見てくれると嬉しいです。

僕はお別れしたつもりでした
まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!!
親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
大晦日あたりに出そうと思ったお話です。

初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
どうしょういむ
田原摩耶
BL
苦手な性格正反対の難あり双子の幼馴染と一週間ひとつ屋根の下で過ごす羽目になる受けの話。
穏やか優男風過保護双子の兄+粗暴口悪サディスト遊び人双子の弟×内弁慶いじめられっ子体質の卑屈平凡受け←親友攻め
学生/執着攻め/三角関係/幼馴染/親友攻め/受けが可哀想な目に遭いがち
美甘遠(みかもとおい)
受け。幼い頃から双子たちに玩具にされてきたため、双子が嫌い。でも逆らえないので渋々言うこと聞いてる。内弁慶。
慈光宋都(じこうさんと)
双子の弟。いい加減で大雑把で自己中で乱暴者。美甘のことは可愛がってるつもりだが雑。
慈光燕斗(じこうえんと)
双子の兄。優しくて穏やかだが性格が捩れてる。美甘に甘いようで甘くない。
君完(きみさだ)
通称サダ。同じ中学校。高校にあがってから美甘と仲良くなった親友。美甘に同情してる。
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる