迷える子羊少年と自称王様少年

ユー

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子羊少年と王様少年

5. 皇王国体験入国

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――シュンッと空気を裂くような音と共に、またボクの見る景色は一転した。


 場所は校内玄関の近くの廊下、そこでフウマと待ち合わせをしているとのことだ。

「子羊くん~~~!!
やっとオレの家来になることを受け入れてくれたかーー!
嬉しいよ!
偉大なるオレの家来になったからにはもう君に不自由な生活はさせない!
君のこれからの人生が薔薇色に染まることを約束しよう!!」
「いやあくまでちょっと体験ってだけで家来になったつもりはないんだけど。」

 相変わらずのマシンガントークだ。
それにまたあの変な呼び方してるし。

「そうか!
そう言えばそういう話だと二人が言っていたな!
それでも全然構わないし十分嬉しいぞ!!
王たるこのオレの素晴らしい輝きを近くから浴びて、家来になりたいと思わない人間などいるはずないからな!!」

そこからフウマの暑苦しいトークが続く。

「ココロ!クウガ!ありがとう!!
二人のおかげで子羊くんを勧誘する事に成功した!
流石オレの優秀な第1家来と第2家来だ!!」
「どういたしまして…。
フウマくんの為だし…お安いご用…だよ…。」
「そうっす、そうっす!
普段からフウマくんにはお世話になってるんすから、自分達が優秀なのだとしたらそれはフウマくんという偉大な王に遣えるからに他ならないんで。
よっ王の中の王!」
「ははっ!そうかそうか!!
オレのおかげか!
……クウガもっと褒めてもいいんだぞ……?」

 とこれ以降も暫く自称王と家来の褒め合いが延々続いていた。
さっき話していた時から薄々そうなんじゃないかと感じていたけど、クウガってやっぱりフウマの太鼓持ちなんだ…。
というかこの自称王様普段から自画自賛全快でこっちの発言も無理矢理プラスに解釈する癖に、ストレートな褒めも満面の笑みで凄い喜ぶんだなぁ。

「さて、新しい家来も加わった事だし、早速今日の目的地に出発するぞ!!」
「だから家来にはなってないから!」
「今日は…どこに行くんだったっけ…?」
「確か今日は◯◯町にある△公園っすよ!」


 公園に行くんだ?
まさか公園で能力を 使って暴動とか起こしたりするの!?


「そうその公園だ!
そこにはバスの停留所がある。
クウガ!ここから最寄りのバス停までテレポートお願いできるか!?」
「了解っす!」
「え?テレポートできるなら直接そこまでテレポートで行けばいいんじゃ…」
「自分のテレポートはそこまで万能じゃないっすから。
精神力も体力も使うんで、何度も使い過ぎたりあんまり遠い距離は無理なんすよ。」

 公園でも力はバンバン使うので移動でバテるわけにはいかないんすと、クウガは続ける。
 そうか超能力っていってもフィクションみたいに万能なわけじゃない。
ボクが心の不調に影響を受けやすい様に、おのおのの体調によって限界があって当然なんだ。
ってバンバン使うって本当に何がそこで行われるんだ!?

「あの~公園で何をするの……?
もしかして危ないことだったりするんじゃ…」
「ははっ!行けば分かるさ!
心配することないぞ!
実際に体験すれば素晴らしいと思うこと請け合いだ!!」

 自称王様の相変わらずのポジティブ台詞にむしろ不安しか湧かず、ボクは行きのバスの中では重たい気持ちで一杯で過ごしていた…。 
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