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子羊少年と王様少年
4. 皇王国民からの熱い家来への勧誘
しおりを挟む「自分の名前は橋田クウガっていうっす!
さっき見せましたが自分もソウジくんと同じ能力者で、それもテレポーターなんすよ。
一瞬でひょいっと瞬間移動できるっす!」
ふふんと得意気な顔の金髪の美少年改め橋田クウガ。
「ぼくの名前は…滝沢ココロ…。
ぼくも能力者…。
触ったものの記憶とか…気持ちを…読んだり伝えたりできる…サイコメトラー?ってやつ…。」
人間には使えないけどね…と情報付け足す大人しそうな方の美少年こと滝沢ココロ。
「フウマくんからソウジくんの力の事も聞いてるっす!
なんでも教室中の物を一斉に浮かせるすっごくパワフルなサイコキネシスだったとか。
自分も見せたし見せてもらってもいいっすか!?」
「いやボクは能力とか使わないから!
それより、えーと橋田くん?」
「クウガでいいっすよ!」
「ぼくも…下の名前でいいよ…。」
「いや、じゃあまあ~…クウガ、ココロ…。
二人は皇フウマの知り合いっぽいけどどういう関係なの?
それとボクとどういう話をするつもりなのかな?」
話の本題もそうだけどくん付けで呼んだりえらくフレンドリーに見えるし、単純にあの自称王様との関係も気になった。
自分のことを王といったり、人のことを家来にするとしつこく付きまとう様なぶっ飛んだ人にも、友達がいるのかなって。
「ぼく達は…フウマくんの…」
「フウマくんの?」
「家来っす!!」
――け、け、け、け、け、けらい!?
ボクを勧誘してるだけじゃなく既にあいつの家来いた!?
しかもなんか家来って言ってて、二人共なんか凄く笑顔だし。
なんで家来で嬉しそうなの……?
「フウマくんからソウジくんを新しい家来に勧誘してるって話を聞いていて、でもあまり上手くいってないみたいだったので、じゃあ今度は代わりに自分達がってなったっす。」
「フウマくんって……周りから誤解を受けやすい性格…してるから…。
家来のボク達が誘った方が…伝わりやすいかなって…。」
ボクがちょっと衝撃が強くて呆然としてる中二人が言葉を続けた。
つまり王様に変わって勧誘しに来たってことか……。
でも家来、家来って本当にいってるの?
にわかに信じがたい。
「あ…あの家来って本気でいってるの…?
ボクみたいにしつこく迫られてしかたなく嫌々なったとか……?
・・・それとも何か弱味でも握られちゃってる?」
「弱味を握るだなんてとんでもない!
自分達は好きでフウマくんの家来をやってるんすよ。
家来として遣える毎日はとても充実してるし、フウマくんの家来なのは自分の誇りっす!」
「ぼくもおんなじ…。
フウマくんみたいな…凄い人の家来にして貰えるって…光栄なことなんだ…。
フウマくんのおかげで…毎日が輝いてる…。」
炸裂するインパクトの強い言葉の連続に頭が追い付かない…。
――家来が誇りって……光栄って……
「だからソウジくんも一緒にフウマくんの家来やってみないっすか!?
フウマくんは格好良くてマジでリスペクトできる人で、ソウジ君も家来として活動していけばそれが分かるはずっす!
それに同じ家来の仲間が増えたら自分達も嬉しいんで!」
「フウマくんはね…根っからの王様だから…苦手意識持つ人がいるのはわかる…。
でもね…フウマくんは…ホントはとても優しい人なんだ…。
家来として接していけばわかると思う…。」
あれ?
こういう感じ何かで見たことある様な?
・・・ああそうだ!
テレビの再現VTRとかで見る怪しい宗教にハマった人が周囲へ無理やり宗教勧誘してるやつだ!
教団の上の人に騙されて、自分が信仰するものは素晴らしいものだと信じ込まされて完全に頭がいっちゃてる人達にそっくりなんだ。
もしかしてボクって想像以上にヤバイことに巻き込まれていたりするの!?
そんなボクが不安で声が出せないでいるのをよそに話は進んでいく。
「それで自分達は日々家来として王様のフウマくんと一緒に色んな場所で色んな活動をしてるんす!」
「口で説明するより…実際にやって見た方が伝わると思うから…。
考えたんだけど…試しに…今日ぼく達の活動に…参加して見るっていうのは…どうかな…?」
「体験入部ならぬ体験家来ってことっす!
ちょっと手伝ってくれるだけで全然いいし、自分達のことを知る良いきっかけになると思うから。」
か、活動?
怪しい勧誘団体がする活動っていったら……もしかしてボク高い壺を売る手伝いでもさせられるのかな!?
それとも高い水?
いや王を名乗る能力者の集団がすようなことっていったら……ひょっとしたらひょっとしてテ、テ、テ、テロ活動とか!?
――イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだーーーーー!
ボクは普通でいたいのに…。普通でいなきゃいけないのに…。
でもこれを断ったからといって勧誘が止むとは思えない。
何よりこんなボクにも優しく接してくれる委員長をこれ以上困らせたくもない。
イヤでしかたなくても、もう腹を括るしかないんだ……。
そう自分を奮い立たせて声を出した。
「え~~~っと。ほんの、ほんの…ちょっと手伝う位だったら…やってもいい…かも。 」
無理矢理捻り出した結果すごい震え声(しかも小声)になってしまった……。
「全然それでOKっす!
まずは参加してくれるだけでもう大歓迎なんで!」
「あっでもボク力使うのは無理だしイヤだから!」
「能力を使わなきゃ…できない事ってわけじゃないから… 。
全然それで大丈夫だよ…。」
「そうっす!そうっす!
いや~新しい仲間ができるなんて嬉しいな~。」
「いやボクあくまで体験だから!
仲間になったわけじゃないからね!」
こうして、
「そうだったっすね!
まあじゃあ~これからの事が決まって話も纏まった事だし、皇王国の体験家来活動へ出発しましょう~~~~~!!」
――ボクは自称王様が指揮する怪しい団体の1日体験活動に参加する事になってしまった――。
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