たまり場に湯気

闇雲の風

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46.元は生き物

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「―そうか」
 妙に納得をしてしまった。儲け優先の企業が、むざむざ余った食品を無駄にするはずない。
「ハムやソーセージの加工食品や、チーズ、ヨーグルトの乳製品。缶詰なんかも。日持ちする食品に作り変えていくんだ」
「でも大量の売れ残りを全部まかなえんのかな。それにそんなことをしてたら、同じ製品を作れないんじゃない」
 俺たちは大いに唸った。脳裏に雪副の食中毒事件がよぎった。彼女にもきっと浮かんでいるだろう。ケチり過ぎて、管理が行き届かなくなり、食中毒を起こす食品を作ったのだ。
 実際のところはわからない。ただ無駄なものに成り代わるために、食物たち(もとは生き物だ)は生産されるべきではないし、コロッケになるわけでもないと思う。
 太陽が校舎の真上に上がり、俺たちは陰の中にいた。昼飯を食べ終わった生徒たちが、騒いでいる声が聞こえてくる。
 彼女はコロッケパンを食べ終わると、イギリスパンのサンドイッチを食べ始めた。本命は別に用意していたらしい。俺もカレーパンを食べ終え、最後のチョコロールに手をかけようとした。話をしすぎて、食べるペースが非常に遅くなっていた。
「ゴホッ、ケホッケホッケホッ」
 となりが突然咳き込んだ。どうやら飲み物もなしに、パンを飲み込みつづけたので、喉を詰まらせたらしい。
「いる?」
 牛乳パックを差し出した。彼女は苦しそうに、胸を撫でて呼吸を整えている。
 牛乳パックは、手に取らなかった。ようやく落ち着いたようで、ひと息吐くと、
「ごめん、牛乳だけはきらいなの」と引きつった笑顔を浮かべた。
 

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