33 / 90
33.感想いってほしい
しおりを挟む
「いつも文句もいわないけど感想もいわずにただ黙々と食べるだけなのに、今日はめずらしいね」
「そんなことない。いつもうまいっていってるよ」
「よくいうよ。テレビ見ながら食ってるだけじゃないか。人が一生懸命作ってるのも知らずにさ」
テーブルの上にあるピッチャーからグラスに麦茶を注ぐ。
「そうだっけ」
麦茶を飲んで、また食べる。どんぶりはもう半分なくなっていた。
「たまには今日みたいに、感想いってくれると参考になるんだけど」
「そうだな」
「あ、それでさ。話は変わるけど、最近帰り遅いじゃん。なにしてんの? もしかして兄ちゃんもとうとう彼女でもできた? おれにだけ教えろよ」
「別に」
洋介は食べるのか話すのかどちらかにした方がいい。
苛立ちをあおるかのように、電話が鳴った。ごはんどきにかかってくる電話は、飯が冷めるので出たくない。
「兄ちゃん出てよ、カツ丼作ってやったとき、ずっとテレビ見てただろ」
だれも晩ごはんを作ってくれと頼んでない。好きで勝手に作ってるくせに。今まではおれが作ったのを、当たり前のように食べていたくせに。仕方なく箸を置いて電話機に向かった。
「もしもし」
「……ちょっと待って。洋介、父さん」
洋介はどんぶりを抱えたまま、口を動かしている。
「なに?」
「ちょっと代われって」
しぶしぶとやってきて、洋介は受話器を受け取った。
「もしもし? 今飯食ってたんだよ。カツ丼、そう、おれが作ったの。うまくできたよ」
この時間帯はちょうどシューベルトが忙しいときだ。なんの用だろう。それも洋介に。
「えっ、ほんとに? 手伝ってもいいの? 今から? 行くよ。余裕で行く。5分で行くから、ちょっと待ってて」
洋介は勢いよく受話器を置いた。
「ちょっと行ってくる」
興奮した、いかにもうれしそうな声だった。
「そんなことない。いつもうまいっていってるよ」
「よくいうよ。テレビ見ながら食ってるだけじゃないか。人が一生懸命作ってるのも知らずにさ」
テーブルの上にあるピッチャーからグラスに麦茶を注ぐ。
「そうだっけ」
麦茶を飲んで、また食べる。どんぶりはもう半分なくなっていた。
「たまには今日みたいに、感想いってくれると参考になるんだけど」
「そうだな」
「あ、それでさ。話は変わるけど、最近帰り遅いじゃん。なにしてんの? もしかして兄ちゃんもとうとう彼女でもできた? おれにだけ教えろよ」
「別に」
洋介は食べるのか話すのかどちらかにした方がいい。
苛立ちをあおるかのように、電話が鳴った。ごはんどきにかかってくる電話は、飯が冷めるので出たくない。
「兄ちゃん出てよ、カツ丼作ってやったとき、ずっとテレビ見てただろ」
だれも晩ごはんを作ってくれと頼んでない。好きで勝手に作ってるくせに。今まではおれが作ったのを、当たり前のように食べていたくせに。仕方なく箸を置いて電話機に向かった。
「もしもし」
「……ちょっと待って。洋介、父さん」
洋介はどんぶりを抱えたまま、口を動かしている。
「なに?」
「ちょっと代われって」
しぶしぶとやってきて、洋介は受話器を受け取った。
「もしもし? 今飯食ってたんだよ。カツ丼、そう、おれが作ったの。うまくできたよ」
この時間帯はちょうどシューベルトが忙しいときだ。なんの用だろう。それも洋介に。
「えっ、ほんとに? 手伝ってもいいの? 今から? 行くよ。余裕で行く。5分で行くから、ちょっと待ってて」
洋介は勢いよく受話器を置いた。
「ちょっと行ってくる」
興奮した、いかにもうれしそうな声だった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる